2009年7月 4日 (土)

橋下知事に360万円賠償を命じる判決を読む

選挙の道具として、某党がコンタクトをしているタレント知事の一人が橋下タレント知事でしょうが、7月2日に広島高裁は光市事件弁護団4名に対する橋下知事から各人90万円、合計360万円の賠償金支払いを命じる判決を出しました。

日経 7月2日 橋下知事に360万円の賠償命令 「光事件で懲戒」控訴審

最高裁まで争われるかどうか知りませんが、判決文が橋下弁護士による懲戒請求扇動被害弁護団のホームページからダウンロード可能であり、読みました。

橋下タレントの主張は、「2007年5月27日放送のTV番組「たかじんのそこまで言って委員会」(よみうりテレビ製作)での発言内容は、言論の自由の範囲であり、損害賠償の責めを負う内容の発言はしていない。」であります。

一方、弁護団の主張は、「そのTV番組の中でなされた橋下発言は、根拠なく懲戒請求を扇動する不法行為であり、刑事裁判における弁護人の存在意義と弁護士懲戒制度の意義を傷つけるもので、刑事弁護を引き受けることを萎縮させ、ひいては憲法上保障された被告人の弁護人依頼権を害することになり発言を看過することができない。」であります。そして、光市事件の弁護団(22名)の構成員の一部である弁護士4名が、個人として各人300万円の損害賠償を求める民事訴訟を広島地裁に提起したものです。

広島地裁は、各人に対し200万円(合計800万円)の支払いを命じる判決を2008年10月2日に出し、橋下タレントは、これを不服として、広島高裁に控訴しました。今回、この控訴審の判決が出されたのです。読むと、その通りと賛同することが書かれていました。その部分を紹介します。(判決文において、控訴人が橋下タレントです。)

判決文31ページ
控訴人は,圧倒的影響力をもつテレビ放送という媒体を利用し,虚偽の事実(発言オ)をない交ぜにして,本件弁護団には懲戒事由があるとの表現で弁護方針を批判し,懲戒請求への積極的参画を呼びかけることで弁護団への非難を誇張して表現しつつ,視聴者に積極的に非難に加わることを求めたものといわざるを得ない。

判決文31ペ-ジ
控訴人の上記懲戒請求の勧奨は,弁護士懲戒制度の本来の趣旨目的を逸脱し,多数の者による理由のない懲戒請求を集中させることによって,被控訴人らを含む本件弁護団の弁護方針に対する批判的風潮を助長し,その結果,被控訴人らの名誉感情等人格的利益を害するとともに,不当な心身の負担を伴う弁駁,反論準備等の対応を余儀なくさせたものと評さざるを得ず,控訴人は,このことについて,不法行為責任を免れないというべきである。

32ページ
控訴人は,刑事弁護の経験を持つ弁護士として,刑事弁護人の職責やその困難性を身をもって知るという,本件番組には唯一弁護士の資格を持つコメンテーターとして出演していたのであるから,刑事弁護人の職責を適切に紹介した上で,自説を述べるべきであったといえる。それにもかかわらず,控訴人は,適切な説明や紹介を十分にしないまま,本件弁護団の弁護方針や内容に対する他の出演者らの疑問や批判に同調し,弁護団への批判的意見を懲戒請求制度に絡めて開陳し,それにとどまらず,番組視聴者に懲戒請求を勧奨した。もとより,控訴人が本件弁護団の弁護方針,弁護活動に対する批判的見解を述べるのは,表現の自由の範囲内においては何ら答められるべきものではないが,テレビという大きな影響力をもっメディアの番組において専門家として発言する以上,発言内容に慎重を期すべきは当然であり,正確かつ客観的な情報を提供した上で,自説を披涯すべきであったと考える。

その通りと思います。

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2009年7月 3日 (金)

日本航空と全日空の比較

次の2つ最近のニュースが、興しろいと思いました。

日経 7月1日 日航、政投銀などと1000億円の融資契約締結

日経 6月30日 日航優遇「公平性欠く」 全日空、国交省に申し入れ

そして、全日空は、この7月1日のプレスリリース「新株式発行並びに株式売出しに関するお知らせ」の通り、537,500,000株の増資を発表。この増資により払込を受ける金額は、本日の株価320円を基準にして90%を払込金額にすると、1548億円となります。

次の様な、日本航空と全日空を「財務格差一段と 増資か公的融資かで明暗」なんて記事もあったので、両社を比較してみました。

日経 7月2日 全日空・日航、財務格差一段と 増資か公的融資かで明暗

1) 2009年3月期業績

日本航空と全日空の連結損益計算書は次の通りです。

Jalana20097

収入の規模からすると、全日空が71%なので、適切な比較が可能と考えます。また2社とも収入のなかで航空輸送収入が88%を占めています。(両社とも、航空輸送収入のグループの内部収入を含めていますが、旅行事業への内部収入と思いますから、実質航空輸送収入でよいと思います。)今年度と昨年度の航空輸送収入を2社についてグラフにしたのが次です。

Jalanarev20097

国内輸送に関する収入は両社ともほぼ同じで、国際線輸送に関する収入で日本航空が全日空より大きく、旅客収入は2.4倍です。ちなみに、収入を輸送した人数と距離および重量と距離で平均単価を求めると次の表になりました。距離が長いと単価は安くなるはずなので、簡単には言えませんが、日本航空の国際線旅客はほんの少し安いのでしょうか。そして、国内線は、その逆の感じです。いずれにせよ、それほど大きな差があるようには、感じません。

日本航空と全日空の旅客と貨物の平均収入単価
JAL 2008/3 JAL 2009/3 ANA 2008/3 ANA 2009-3
国際旅客(円/人km) 12.5 13.5 14.6 15.0
国際貨物(円/トンkm) 43.0 43.6 42.9 41.7
国内旅客(円/人km) 21.3 21.3 18.5 18.6
国内貨物(円/トンkm) 70.3 76.5 68.7 71.2

2) 両社の航空輸送事業収支

航空輸送事業の事業収支を書いたのが次の表です。(航空輸送費用には、航空輸送事業に関わる販売費及び一般管理費も含んでいます。)

Jalanaplf20097 

さほど、変わらない感じですが、日本航空は609億円の損失で、全日空は48億円の利益です。一つ言えるのは、燃油費が、日本航空の場合は、収入の落ち込み6.0%に対して23.4%の増であり、一方全日空の場合は、収入の落ち込みは5.5%と日本航空と余り変わらないが、燃油費は14.0%増で押さえることができています。

収入単価の低い国際線が多い日本航空に、燃料単価の上昇インパクトは大きくなることがその要因と思います。一方、航空機減価償却費と賃貸料は燃料単価の影響は受けず、長距離の国際線が多い日本航空の方が、コスト中に占める割合も低く、日本航空が償却費・賃貸料合計で10.0%で、全日空は13.9%です。なお、両社の保有航空機の比較表も作成しました。

Jalanaplane20093 

このあたりから言える一つのことは、新素材を多く使用した軽くて燃油費が安くて済む航空機に機材を変更していくことが、経営戦略として欠かせない。全日空も今回発表した増資の資金使途は、航空機購入を含む設備投資資金に充当と言っています。ちなみに、全日空はボーイング787型機を55機購入するとしており、総投資総額は7181億円。今回の増資額の4倍以上になります。発表から計算すると飛行機の単価は777型機が150億円、787型機130億円となります。

3) 両社の貸借対照表

2009年3月末の両社の貸借対照表を示したのが次のグラフです。Jalanabs20093

売上規模が日本航空2兆円で全日空1.4兆円ですから、総資産額が売上高にほぼ一致するあるいはより大きい会社です。

なお、日本航空の2009年3月末期の財務諸表において、ファイナンス・リース取引を、有形固定資産とリース債務として貸借対照表に計上せずに、賃貸借取引として処理しているリース取引があり、注記情報からこの部分を、比較の目的で資産・負債に組み替えました。この結果は、資産増2806億円、負債増2886億円となり株主資本が80億円減少となっています。このベースにおける両社の借入金、社債、ファイナンス・リース取引を抜き出したのが、次の表です。

Jalanaltloan20093

債務について、一つ言えるのは、1年以内に返済期限、償還期限が来る長期資金債務が日本航空に2,259億円あり全日空の1,229億円の倍近くあることです。日本航空は、この返済・償還のための資金が必要です。

4) 燃料ヘッジの失敗

これまで見た範囲では、それほど大きな差はなかったのですが、貸借対照表における両社の純資産の部が次の通りです。

Jalanaequity20093

貸借対照表全体で見ても、3)に掲げたグラフのように、日本航空の純資産の部は小さいのですが、その原因は、評価・換算差額等にあり、その中でもマイナス2018億円と圧倒的マイナス金額を誇っているのが、繰延ヘッジ損益です。

流動負債として計上されているデリバティブ債務1263億円と関係があり、多分内訳としては出ていないが、固定負債はその他固定負債1793億円の中に隠れていると思います。その他固定負債が前年度末より703億円増加しているので、合計すると1966億円になり2018億円に近くなります。

Webでは見つかりませんでしたが、2009年3月3日の日経で「相次ぐデリバティブ損失 原油乱高下でヘッジ裏目」と題して、2008年12月末時点で日本航空が約2,400億円、全日本空輸が約1,000億円の繰延ヘッジ損失が発生していると報じられています。そこで、これが何かですが、次のジェット燃料価格のチャートを見てください。

Jetkeroseneprice20095_2 

燃油に関するデリバティブ取引とは、先物の燃油価格をあらかじめFixしてしまうことと考えてください。もし、将来の市場価格が上がれば、購入価格上昇を避けられるが、逆に下がってしまえば、高値の燃油を購入することとなります。日本航空の消費する年間燃油量は、45百万バレル程度と推定されます。このうちデリバティブ取引で押さえているのが決算説明会資料からすれば、80%-90%になるようです。そうなると、36百万バレル-40百万バレルが1年以内にデリバティブ取引の決済となるはずで、US$35/バレル程度の値差になると思われ、デリバティブで押さえたのは、平均US$90-US$100/バレルでしょうか?実際のオペレーションでは、期間の長短が組み合わさっており、金額としては「価格差X数量」であるので、3月末時点で存在したデリバティブ取引に関わる対象燃油量はもっと少なく、一方更に高い価格で押さえている可能性もありますが、実態は、分かりません。日本航空は、2009年度の計画を燃油価格をUS$76.2/バレルで作成しているので、このデリバティブ取引がなければ、もっと利益が出る計画であったはずです。

いずれにせよ期末時価で損益を換算すると赤字が2018億円増加するということです。燃油価格が上昇するとデリバティブ取引による損失が少なくなるわけですが、一方、会社全体としてどうなのか?単純では、ないはずです。例えば、世界景気がよくなれば、国際線を運行する航空輸送事業は利益が見込めるのであり、その場合は、国際的燃料価格は上昇するはずです。本来、マーケットは、それ自身の中に、オフセットの方向に働く部分があります。例えば、円高で輸出企業は打撃を受けるとしても、実は輸入原材料や輸入原材料から作られる物は、価格が下がることになります。本来複雑な要素が絡み合っているにも拘わらず、どの時点でFixしているか等よく知らないので言えない部分が多いのですが、80%-90%をデリバティブ取引で固定してしまうのは、行き過ぎであると思います。

本来は、経営者が説明すべきです。コンプライアンスや内部統制が完璧であっても、経営者はその経営判断についても問われるのであり、株主代表訴訟がそのために存在すると私は思っています。

5) 退職給付引当金、退職給付費用

退職給付引当金、退職給付費用に関して、日本航空と全日空で差があるので、見ておきます。次の表を、2009年3月期財務諸表の注記から抜き出して作成しました。

Jalanaemplob20093

日本航空の方が数字が随分大きいのですが、その原因には退職金、年金の水準のみならず他の要素も入ってくるので、よく解りません。そして、費用とした671億円も販売費及び一般管理費に退職給付費用は119億円しか計上されておらず、残る552億円はどうしたのか、私は掴めていません。

退職給付については、日本航空の大きな課題のはずです。従業員にとって水準を下げることは、受け入れることはできないと思います。但し、一方で、年金資産が4000億円存在することは、会社にとっても従業員にとっても強いことと思います。

なお、退職給付債務から年金資産を差し引くと、退職した従業員を含めた債権金額となりますが、これも同じく4000億円です。GMを考えれば、最悪は年金債権の一部を出資株式に転換し、組合が取締役を出すのも面白かったりして。4000億円は、株主資本より金額が大きいのですから。

6) 政府保証の政策投資銀行からの借入

日本政策投資銀行等からの総額1000億円の借入で、そのうちの政策投資銀行約600億円の80%について政府保証を得ることについては、おそらく数多くの交渉の結果として、そうなったはずで、それで良いと思います。

但し、日本航空から政府に対して正当な保証料が支払われる必要があると思います。保証料がどうなっているか、調べずに書いていますが、民間会社に保証料免除はおかしいと思います。中小企業も、信用保証協会に保証料を払っていますし。

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2009年6月29日 (月)

インサイトvsプリウス、そしてi-MiEVとティーダを比較しました

エコカー減税とエコカー補助金により、落ち込んでいる新車販売も、エコカーについては販売増は期待できると自動車メーカー各社は懸命にエコカーの販売に力を入れていると思います。ちなみに、次の表が2009年5月と5月までの自動車販売台数であり、昨年より落ち込んでいます。

新車販売台数(2009年5月実績)    自販連・全軽自協・輸入組合調べ
ブランド 2009年5月販売台数 本年累計
(a)
前年累計
(b)
増加率
(a)/(b)
乗用車 トラック・バス 合計
ダイハツ 32,718 8,990 41,708 259,747 289,853 -10.4%
日 野 0 1,134 1,134 9,865 18,221 -45.9%
ホンダ 35,700 1,830 37,530 230,975 276,920 -16.6%
いすゞ 1 1,855 1,856 14,203 26,813 -47.0%
レクサス 1,815 0 1,815 7,444 12,788 -41.8%
マツダ 10,523 2,122 12,645 78,076 115,726 -32.5%
三 菱 6,457 2,749 9,206 64,047 91,513 -30.0%
三菱ふそう 0 1,246 1,246 9,564 16,305 -41.3%
日 産 32,189 5,673 37,862 243,733 328,704 -25.9%
日産ディーゼル 0 324 324 2,253 5,303 -57.5%
スバル 6,987 3,809 10,796 69,701 94,877 -26.5%
スズキ 34,307 9,340 43,647 277,468 305,619 -9.2%
トヨタ 72,277 8,226 80,503 472,773 667,938 -29.2%
外国車 11,621 150 11,771 64,604 88,599 -27.1%
合計 244,595 47,448 292,043 1,804,453 2,339,179 -22.9%

1) 比較するエコカー

エコカーで比較するなら、インサイトプリウスを外すことはできず、そして2009年7月下旬から売り出す三菱i-MiEVを対象に加えました。日産も、減税・補助金対象となる車があると宣伝しており、その中でティーダを加えました。次の表が、カタログ等のデータから抽出した比較表です。(三菱i-MiEVは、軽自動車アイを電気自動車に変更しているので、他の3車種との同一ベースでの比較とはならないのですが、電気自動車ということで対象にしています。)

車種 INSIGHT PRIUS TIIDA i-MiEV
タイプ G L 15M
メーカ希望小売価格
(消費税込み)円
1,890,000 2,050,000 1,674,750 4,599,000
10.15モード燃料消費 30km/L 38km/L 20km/L 125Wh/km
全長 mm 4,390 4,460 4,250 3,395
全幅 mm 1,695 1,745 1,695 1,475
全高 mm 1,425 1,490 1,535 1,610
ホイールベース mm 2,550 2,700 2,600 2,550
最小回転半径 m 5.0 5.2 5.2 4.5
車両重量 kg 1,190 1,350 1,150 1,100
室内 長 mm 1,935 1,905 2,035 1,790
幅 mm 1,430 1,470 1,390 1,270
高 mm 1,150 1,225 1,240 1,250
電池 容量(kWh) 5.75 6.5 N/A 16
タイプ ニッケル水素電池 ニッケル水素電池 リチウムイオン電池
電圧 (V) 100 650 330
モーター(最高出力kW) 10 60 47

価格については、電気自動車i-MiEVが他の車の倍以上であること以外は、こんなものかなと感じる感覚です。大きさはi-MiEVを除いて、ほぼ同じです。なお、i-MiEVは乗車定員4名です。

2) コスト比較

エコカーと言っているのですから、燃費等を含んで比較しなくてはなりません。次の表が、上記のメーカ希望小売価格にガソリン代を1リットル150円であるとして仮定して、10万キロメートル走った場合の、購入費と燃料費を計算した結果です。

INSIGHT PRIUS TIIDA i-MiEV i-MiEV
の前提
想定走行距離 100,000 100,000 100,000 100,000
10.15モード燃料消費 30 38 20 125 Wh/km
10万km燃料消費量 4,000 3,158 6,000 15,000 kWh
ガソリン150円/リットル 600,000 473,684 900,000 300,000 20円/kWh
購入費 1,890,000 2,050,000 1,674,750 4,599,000
合計 2,490,000 2,523,684 2,574,750 4,899,000

10万kmの実際走行に要する燃料消費は、10.15モードの20%増と仮定しました。i-MiEVは、ガソリンを消費しないことから、電力料金を20円/kWhとし、同じように20%のマージンを加えました。

結果は、INSIGHTとPRIUSがほぼ横並びです。そこで、今度はガソリン価格を100円から200円の範囲でグラフを書いてみました。

Insightprius20096

INSIGHTとPRIUSの線が交差するのは、1リットル190円です。ホンダvsトヨタのおもしろさを感じます。10年間の平均ですから、190円は高いかも知れないし、利息を考慮した時間価値を考えるとホンダがより有利。しかし、トヨタは、負けまいとPRIUSを最大限値下げして対抗していると思います。このグラフの比較で言えば、日常的に車を使い10万キロ以上走行するのであれば、PRIUSが有利で、土日のみの使用であれば、INSIGHTが有利かと思います。

3) メンテナンスを含んだコスト

ハイブリッドカーは、自分でメンテナンスはおろか、通常の自動車修理工場でもメンテナンス不可能と思います。1)に書いた表でPRIUSとINSIGHTを比べると、電池容量、電圧、モーター出力全てPRIUSが大きい値です。(電圧は、i-MiEVより高い。)通常の車の修理工場ではメンテナンスができず、メーカ指定・適合店でないとメンテナンスが無理だから、HiTech製品につきものの現象です。そうなると、INSIGHTとPRIUSのメンテナンスについては、価格や条件は同じかも知れませんが、可能性としては、PRIUSの方がHiTechだから、少しメンテナンスも高くつくかも知れません。

HondaファンはINSIGHT、ToyotaファンはPRIUSを選ぶのが間違いないでしょう。そうでない人は、色々悩んで考える。いずれにせよ、購入の際に、納得するまで、質問するのがよいと思います。現状では、納期が長くて、嫌なことを言うやつには、売ってくれないなんて変な気を回す必要はないはずです。

4) CO2排出・環境評価

10万km走行するとして、走行時に排出するCO2を計算しました。計算は、ガソリン発熱量34.6MJ/l、ガソリン炭素排出係数18.3tC/TJ、CO2換算44/12としました。

なお、製造時にCO2の排出はあり、さらには鉄板等の材料製造時のCO2,鉄鉱石や石炭の採掘・運搬に関わるCO2排出等を含んだLife Cycle Assessmentが必要です。そこで、PRIUSの環境仕様というページにCO2 LCA評価という絵があり、これをにらんでPRIUSの製造に係わるCO2排出量を3,000kgとしました。大雑把ではありますが、製造に係わるCO2は車体重量に比例するとして、INSIGHT、TIIDA、i-MiEVの製造時CO2を計算しました。結果は次の表の通りです。

なお、i-MiEVの走行時CO2排出量は、東京電力の販売電力kWhあたりのCO2排出量425kg/MWhを使いました。

INSIGHT PRIUS TIIDA i-MiEV
走行時CO2排出量(kg) 9,287 7,332 13,930 6,375
製造時CO2排出量(kg) 2,644 3,000 2,556 2,444
合計(kg) 11,931 10,332 16,486 8,819

またしても、INSIGHTとPRIUSの激しい競争です。一見、i-MiEVが低そうですが、i-MiEVは1回の充電で160kmの走行距離であり、これを伸ばすには電池を大きくする必要がある。そうなると、重くなる。価格が上がると同時に、燃費も悪くなる。更に言えば、石炭で発電をしたならば、INSIGHTやPRIUSに負けるのみならず、TIIDAとも良い勝負になってしまいます。

数字を使わずに感覚で考えてしまう場合の環境問題の恐ろしさです。電気自動車は排ガスを出さないから、クリーン。しかし、その電気は、どうやって作ったの?です。同様な、説明がこの環境省のWebにある低排出ガス車の開発 (トヨタ自動車)にありました。20ページですが、燃料電池車は燃料製造時のCO2排出量が多いため、ハイブリッドカーよりもCO2排出量はLife Cycle Assessmentをすると多くなるとあります。

イメージで、環境を考えると誤ります。環境は数字を使って考えないといけません。

5) エコカー減税とエコカー補助金

どうでも良い話かも知れませんが、エコカー減税とエコカー補助金の法的根拠について触れておきます。エコカー減税は、本年3月31日公布の地方税法改正(法律第9号)の第12条の2の2(自動車取得税の減税)と同日の3月31日公布法律第11号の中の租税特別措置法第90条の12(自動車重量税の免税等)によるものです。全額免税となるのは、電気自動車、ハイブリッドカー、CNG車、高性能ディーゼル車です。ガソリン車は、燃費性能により75%免税又は50%免税あるいは適用が受けられないかです。

エコカー補助金は、5月29日に成立した平成21年度補正予算による環境対応車普及促進事業費 357,216百万円です。その内容は、この経産省、国交省の説明にあります。ハイブリッドであるかどうかは関係なく、燃費基準達成車には補助金が出ます。最も大きな補助金を受けられるのは、大型トラック・バスで90万円(中古からの乗り換えの場合は180万円)です。

自動車取得税と自動車重量税の免税あるいは軽減が受けられるのは、乗用車のみならず基準を満たせば、トラック・バスも可能です。

ちなみに、2007年度の温室効果ガスの排出量確定値が2009年4月30日に発表されました。温室効果ガスの総排出量は1,374百万トン。うち非エネルギー起源を含めCO2が1,304百万トン。運輸部門のCO2排出量が249百万トンです。このうち乗用車が126百万トンで、貨物車が90百万トンです。合計で、日本全体のCO2排出量の16%強となります。ここをねらい打ちでしょうか?

中には年間10万km以上走行するトラックもあるわけで、リッターあたり4kmの燃料消費率を5kmに伸ばすことができれば、年間5,000リットルの節約となります。金額では年約50万円。CO2で年約13トンの節約です。だから、積極的に免税、税軽減、補助金を推進すべきだと言えます。問題は、財源です。今は、一般財源を使っており、継続するには、私は、炭素税を他の省エネ・低炭素政策財源用も含めて導入すればよいと思っています。かつては、石油業界は炭素税に真っ向から反対していました。しかし、現在は、そんな強い反対はできない。昭和シェル石油は、このように太陽電池をやっていますし。どの企業も、既得権益を守るより、新しい世界にどう立ち向かうかがより重要な時代です。

ところで電気自動車の場合、ガソリン税と軽油取引税を現状では払わずに済みます。電気自動車が多くなってくると、道路予算の財源はどこからもってくるのでしょうか?

6) これから

これからも未だ開発が進むと思いますが、ToyotaとHondaはすごい会社であり、F1レースを日本でしているような気がしました。i-MiEVの車体重量は、1100kgですから、軽4輪「i」の900kgと比較すると200kg重くなっています。エンジンが電気モーターに置き換わり、電池が搭載された結果ですが、電池の開発とブレーキ作動時の発電をしてのエネルギー回収を含む電気関係のコントロールがハイブリッドカーと電気自動車のキイポイントだと思います。

ハイブリッドカーは、現状では日本生産でしか対応できない。海外生産をする場合、Hondaの方が、HiTechを押さえている分だけ、有利ではないかと思うのです。いずれにせよ、米国メーカはハイブリッドカーを生産できない。ヨーロッパメーカもディーゼルに力を入れていた分だけ、対応が遅れている。当面世界でToyotaとHondaの2社独占が続くのではないか。多分、HiTechの度合いが少し低いHondaの方が、海外生産も台数増産も対応が容易である気がします。

ハイブリッドカーになると下請け企業も変わってくる。現在、PRIUSの電池はパナソニックでINSIGHTが三洋電機。双方ともニッケル水素電池。車メーカか電池・電気制御メーカか、どちらの技術力が高いかによっても、主導権は異なってきて、これからの絵は微妙に変わる。ハイブリッドカー、電気自動車、水素燃料電池車がこれからどのような戦いになっていくのだろうか。最も、電池素材となる希少金属の問題もあり、その点では俄然中国有利になったりして。

2)に掲げたグラフにおいて、ハイブリッドが有利ですが、比較しているTIIDAは非常に良い燃費の車なのです。グラフは、税優遇や補助金を計算に入れていない比較ですから、ハイブリッドカー恐ろしきやです。先進国間の貿易で、車に関税・非関税障壁は存在しないし、エコカーですから、皆賛成する。内燃機関と電動機の2つのエンジンを持ち、その上に燃料タンクと電池を持つ2重投資の見本みたいに思えたハイブリッドカーでした。今では、こんな姿になっているのですから、これから先はいよいよ分からないかも知れませんが。

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2009年6月28日 (日)

愛のないNHKニュース

リンクは張りませんが、次のタイトルのニュースを本日の夕方7時のニュースでNHKが放送をしていました。

「移植後死亡の男児 両親と帰国」

嫌な気分です。この1歳の男児は、米国で心臓移植を受けて、その後で死亡したのです。

まず言いたいことは、米国では心臓が余っているのですか?と言うことです。(日本も含め)世界中、どこでも移植を受けるために、待機している人が多く、移植を受けられずに亡くなられる人の方が、多いのです。

外国人が、どうしてその国の人に優先して、脳死の人の臓器提供を受けられるのですか?常識では、不思議です。勘繰れば、金銭です。臓器移植法の第2条を掲げます。この第2条は、今回衆議院を通過した改正法案でも、改正になっていません。

(基本的理念)
第2条
 死亡した者が生存中に有していた自己の臓器の移植術に使用されるための提供に関する意思は、尊重されなければならない。
2  移植術に使用されるための臓器の提供は、任意にされたものでなければならない。
3  臓器の移植は、移植術に使用されるための臓器が人道的精神に基づいて提供されるものであることにかんがみ、移植術を必要とする者に対して適切に行われなければならない。
4  移植術を必要とする者に係る移植術を受ける機会は、公平に与えられるよう配慮されなければならない。

私は、NHKが取材されたケースがどうであるかは当然知りません。しかし、善意で、任意で、人道的な精神でなされ、公平であるからこそ、臓器移植を積極的に推進できるのです。「○○ちゃんを救う会」の問題点として、多くの人達が問題点を指摘しています。それを、何故NHKは、あえてこの時期に報道したのでしょう。「バカですから!」で済ませてよいのかな?と思います。

NHKが、報道したケースは、不幸にもなくなってはいますが、心臓が未だ動いている同じような年頃の子供の心臓を動いている間に取りだして、この夫婦の子供に移植したのです。NHKからインタビューを受ければ、「同じような不幸を繰り返して欲しくない。」となるでしょう。インタビューでは出てきていませんが、私は、この夫婦は心の中では、「臓器提供をして下さった子供とその両親・家族にとても感謝しています。不幸にも私たちの子供は亡くなりましたが、生きるための希望を精一杯頂いたと感謝しています。」と言い続けていて欲しいのです。それなのに、心でそう思っていても、NHKに突然インタビューされたらと思うと、非人道的NHKであります。

臓器提供を受ける人達が、エゴイストであるなら、私は臓器移植などしたくありません。報道機関は、人を憎しみに向かわせる存在でしょうか?脳死や臓器移植の背景には、大きな愛が存在します。

愛など、存在しないNHK。仕方ないですね。でも、私は朝ドラ「つばさ」を、愛を描いていると楽しみに見ています。だから、NHKも全てが愛なしではなく、愛がある部分もあると解っていますが、影響力が大きいニュースで愛をつぶす報道を見ると嫌になりました。

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2009年6月26日 (金)

臓器移植法改正のNHK報道は嫌になる

相変わらず、NHKの報道は、正確さを欠き、誤解をまき散らすと思いました。

図を持ち出して、「衆議院で可決されたA案は、脳死を人の死とする。」と断定していましたから。

詳しくは、6月23日のエントリー 臓器移植法改正を読んでいただければよいのですが、脳死を受け入れないとか、臓器移植のための臓器提供をしないと表明しておけば、脳死判定を受けることもないし、無理矢理臓器を摘出されることもありません。当然、その人の意志が尊重されます。

ほとんどの人は、脳死になる前に、心臓死となります。事故か何かで、ICUに入れられた時に、心臓が生きているのに、脳が死んだのではないかと疑われる状態になります。その時に、脳死判定を受けて、脳死と診断されて、初めて脳死です。自宅で脳死はあり得ないし、脳死となるには、最後の最後まで、医療サービスを受ける必要があります。脳死、脳死とバカのNHKに言われたくありません。ICUだって、満床に近いことがよくあるから、脳死になりたいと思っても、なれない悲しさが出てきたり。

次に、現行法は、15歳以下の脳死段階での臓器提供を禁止しているとNHKは言います。子供を含む視聴者全員に、わかるようにするとして、そんな表現を用いるのでしょうが、法と日本人をバカにすることは嫌いです。6月23日エントリーで書いたように、法は、「意思を書面により表示している場合」と言っているのであり、この解釈について現在厚労省の平成9年10月8日付け通達により運用しているからです。但し、その通達は、厚労省も審議会を始め関係者の意見を取り入れて出したのですから、勝手な独断ではありません。その通達は、日本臓器移植ネットワークこのページにありますが、その第1の項であり、次のようになっています。

第1 書面による意思表示ができる年齢等に関する事項
 臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号。以下「法」という。における臓器提 供に係る意思表示の有効性について、年齢等により画一的に判断することは難しいと考え るが、民法上の遺言可能年齢等を参考として、法の運用に当たっては、15歳以上の者の意 思表示を有効なものとして取り扱うこと。
 知的障害者等の意思表示については、一律にその意思表示を有効と取り扱わない運用は 適当ではないが、これらの者の意思表示の取扱いについては、今後さらに検討すべきもの であることから、主治医等が家族等に対して病状や治療方針の説明を行う中で、患者が知 的障害者等であることが判明した場合においては、当面、法に基づく脳死判定は見合わせること。
 臓器の提供先を指定する意思が書面により表示されていた場合は、脳死・心臓死の区別 や臓器の別にかかわらず、親族に限定する場合も含めて、当面、当該提供先を指定する意 思表示を行った者に対する法に基づく脳死判定及びその者からの臓器の摘出は見合わせること。

通達は、法ではないので、拘束力はありませんが、「医師は・・・」と医師が主語になっている法律条文の所ですから、医師がこれをどう解釈するかの問題ですが、医師に強制をすることは誰もできません。また、現行法を支持するなら、海外渡航移植はダブルスタンダードであり、現行法の改正運動をすべきです。

NHK職員にも法学部や理科系出身の人間がいると思いますが、法も読まない、調査もしない。権力闘争のみに興味があるように思えて悲しくなります。大東亜戦争は昔の話と思っていました。でも、こんな真実から離れた報道ばかりをしていれば、恐ろしいことが起こりそうに思います。戦争に導いていったことに対して、NHKは自らをどのように分析・評価しているのだろうと思います。

なお、最後に、他のマスコミもチェックしました。

日経 「A案は本人が事前に臓器提供を拒否しなければ、家族の承諾で脳死移植を可能とする。」とあり、報道許容範囲内と思う。

朝日 「衆院で可決された「脳死は人の死」を前提に15歳未満からの臓器提供を解禁するA案」とあり、問題含み。

読売 「衆院で約6割の賛成を得たA案は、脳死を「人の死」とし、15歳未満の臓器提供を認める内容だ。」とあり、問題。

MSN産経ニュース 「A案は、脳死後の臓器提供の年齢制限を撤廃し、本人が生前に拒否の姿勢を示さなければ」とあり、正確。

毎日 「衆院を通過したA案は、「脳死を人の死」とし、年齢制限を撤廃して本人が生前に拒否しなければ臓器摘出が可能」とあり、問題はあるものの、比較的少ない。

共同47 「「脳死は一般に人の死」と位置付ける衆院案(A案)」とあり、誤解をまねくが、「本人が生前に拒否表明していなければ家族の同意で臓器提供を可能にする改正内容」ともある。しかし、逆に支離滅裂・理解不可能にならないかなと思う。

ネット・Webがあるので、正確な情報を得ることが可能となりました。正確な情報を得て、マスコミ報道に接すると、こいつらマスゴミだなと思うようになります。そんなとき、新聞であれば、購読しなければよいのですが、放送法により契約締結が義務となっているNHKには、最高に頭に来ます。

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新生銀行とあおぞら銀行の合併の絵

株主総会では、新生銀行はあおぞら銀行との合併を考えていないとされていたと思いますが、本日は、次のように報道がありました。

日経 6月25日 新生・あおぞら銀、池田・前足利銀頭取に新社長打診 来秋合併へ

両行のプレスリリースは、ここここにあり、両行とも話し合いを持っていることは、認めておられます。そうなると、合併ができないとなると逆に不信感を持たれることになるのが懸念されます。合併の実現までには、1年近く要するのは、当然ですが、産業界や一般個人等に対する融資を含め、より一層の社会に対する金融サービスを向上させるための合併となるよう尽力願いたいと思います。

1) 合併比率1:1

上の日経を含め他の記事も合併比率1:1を報道しています。本日(6月25日)の東証終値で、新生銀行が161円で、あおぞら銀行が154円ですから、1:1はよい所と思います。ちなみに、過去6月間の株価の推移も同じような感じです。

20096chart_2

2) 合併後の資本金

発行済み株式の状況は次の通りです。下の表には、煩雑になりすぎるので書けていませんが、新生銀行についても、普通株式のうち269,128千株を預金保険機構が200,000株を整理回収機構が保有しています。両銀行とも、預金保険機構と整理回収機構の資本が入っています。

   発行済み株式の状況 (単位:千株)
新生銀行 あおぞら銀行
発行済み普通株式 2,060,347 1,650,147
自己株式 96,427 155,888
株主保有普通株式 1,963,919 1,494,259
第4回優先株式(預金保険機構保有) 0 24,072
第5回優先株式(整理回収機構保有) 0 258,800

新生銀行・あおぞら銀行のどちらが存続会社になるか不明ですが、株価を160円として合併により生じるのれんを計算すると、次の表のように、株主資本の方が金額的に大きく負ののれんとなりました。なお、新生銀行を存続会社とした場合の、あおぞら銀行の優先株については、残余財産を分配する場合の1株あたりの金額第4回優先株式1000円、第5回優先株式600円で計算をしています。

単位:百万円 新生銀行 あおぞら銀行
株主資本の金額(2009年3月末)
 個別財務諸表 601,750 527,271
 連結財務諸表 600,147 534,158
株価160円の場合の株主保有株式価額 314,227 239,081
優先株価額 179,352
株主保有普通株と優先株の合計価額 314,227 418,433

負ののれんが発生する場合は、昨年12月26日改正の企業結合に関する会計基準が平成22年4月1日以後の適用なので、負ののれんは直ちに特別利益として認識することになると理解します。この利益は税務上は益金ではないので、全額株主資本となるものの、増加する資本金と資本剰余金がその額だけ小さいのですから、お遊びのように思えます。

3) 株主構成

現在のまま移動がないとすると、次の表のようになります。あおぞら銀行の最大株主が米国のPrivate Equity Fundで、あおぞら銀行の最新データは、株主総会が終了しておらず、有価証券報告書が見れていないのですが、過半数の株式を保有していると思います。一方、新生銀行のSATURN・・・・という株主も米国のPrivae Equity FundのJ.C. Flowersであり、J. クリストファー フラワーズ氏は、ファンド創設者と理解します。

新生銀行とあおぞら銀行合併後の株主構成試算(単位:千株)
新生銀行 あおぞら銀行 合併後
サーベラス 821,469 821,469 23.8%
SATURN Ⅳ SUB LP 322,964 595,418 17.2%
SATURN JAPAN Ⅲ 110,449
J. クリストファー フラワーズ 91,297
SATURN V C.V. 70,708
預金保険機構 269,128 269,128 7.8%
整理回収機構 200,000 200,000 5.8%
オリックス 149,975 149,975 4.3%
ゴールドマン・サックス 68,000 68,000 2.0%
その他 831,373 522,815 1,354,189 39.2%
合計 1,963,919 1,494,259 3,458,179 100.0%

株主を見ても、両銀行は共通性があるように思えます。

4) 合併後の貸借対照表の資産

次のような感じになりました。

20093mergbs

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2009年6月24日 (水)

新生銀行の執行役報酬1億4千万円から6350万円に下がったの?

次のブルームバーグの記事によれば、新生銀行の執行役の2008年度の報酬は平均6350万円であったとのこと。

ブルームバーグ 6月23日 新生銀:執行役の報酬5-15%削減-株主総会で社長表明

さて、2009年6月4日に開催された参議院財政金融委員会において共産党大門実紀史委員の質問に対して金融庁監督局三國谷勝範局長は、次のように答えておられました。議事録は、国会図書館のWebからも取れますが、大門実紀史委員の質問と答弁部分の議事録をここ (文字化けの場合は、エンコードを日本語にしてみて下さい。)に置いておきます。

○政府参考人(三國谷勝範君) 両行から公表されております経営健全化計画によりますと、両行の常勤役員に対する役員報酬の一名当たり平均額は、二十一年三月期の計画値を見ますと、あおぞら銀行においては四千八百万円、新生銀行においては一億四千百万円となっているところでございます

ブルームバーグの記事は、23日に開催された株主総会における会社の答弁と理解します。一方、参議院財政金融委員会における政府参考人の発言は正しいとしか考えられません。1億4千万円と6350万円は、倍半分以上の差があるが、両方とも正しいとすべきと思います。そうであれば、1億4千万円は、計画値であり、6350万円が実績値と推察されます。そうなると、新生銀行は1430億円の赤字だったから、執行役の報酬は1億4千万円から6350万円にダウンしたと推察されます。

しかし、そう単純ではない可能性もあります。即ち、この新生銀行のWebから2009年6月23日開催の第9期株主総会資料がダウンロードできますが、その中の提供書面(事業報告)24ページには、執行役の報酬等総額として2,776百万円となっており、執行役の人数は27名(内退任済み11名)となっています。単純平均でも1億円以上です。ストックオプションの対価を費用としているので、27.7億円が全て現金で払われているのではないが、いずれにせよ高額報酬と多くの人が感じる水準と思います。

新生銀行の業績や財務状態については、6月17日の銀行の比較を参照いただければと思います。

一方、大門委員の質疑の中にあおぞら銀行のある支店の契約社員で働いておられる人のことについての発言が出ていますが、大変ですね。こちらは、あおぞら銀行で、新生銀行ではないのですが、この収入の雲泥の差は、どう考えればよいのだろうと思ってしまいます。

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2009年6月23日 (火)

臓器移植法改正

臓器移植法改正についてA案が衆議院で6月18日に可決されました。A案については、多くの報道は、「脳死は一般に人の死」と言っており、これでは誤解を生むことが多すぎると思うことから書いてみます。なお、報道としては、MSN産経ニュースをあげます。

MSN産経ニュース 6月18日 一転、臓器移植法案「A案可決」賛成263票

1) 衆議院で可決された法案

可決された法案により現在の臓器移植法のどの部分が改正となるかを続きを読むに入れましたので、法案については「続きを読む」をクリック下さい。第6条の改正が大きな改正であり、人の死の定義を定めていません。「医師は、2つの場合において、移植術に使用されるための臓器を、死体(脳死した者の身体を含む。以下同じ。)から摘出することができる。」としたのであり、この文章で「脳死は一般に人の死」と定めたと解釈するのは、余りにも拡大解釈であります。

なお、改正前の文章も「続きを読む」で、取消線で消しただけで、残してあります。「死亡した者が生存中に臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合・・・・」を2つの場合に変えたのです。15歳未満の脳死移植が日本で実施されなかった理由は、厚生労働省がガイドラインにおいて「自由意志の表示が行える年齢は15歳以上である。」としたからであり、民法961条が「十五歳に達した者は、遺言をすることができる。」との遺言能力15歳以上がその理由です。

「意思を書面により表示」との表現が足かせとなっていたことから、この足かせを外したのです。

2つの場合とは、続きを読むで、色を付けた6条1項の1号と2号ですが、1号は改正前と意味が同じと思います。2号は、「当該意思がないことを表示している場合以外の場合」というややこしい表現で、「臓器移植ドナーに私はなりません」と意思表示をしている人です。従い、移植拒否の人が移植の為に臓器摘出をされることはありません。

2) 子供が無理矢理臓器摘出を受ける

意思がない場合は、遺族が書面で同意すれば、臓器摘出があります。子供の場合について、子供の親とはそんなに信じられないのだろうかと思います。子供の感情や意思を一番知っている親が、臓器提供を申し出た場合には、それを受け止めて尊重するのが社会であると思います。

子供が天国で幸せに暮らすようにと子供の臓器提供を望む親がいるかも知れません。あるいは、そんなことをしない人が大部分でしょうが、他人が口をだすことではないと思います。最も、臓器提出可能な脳死になること自体、ほとんどあり得ないと思いますが。

虐待を受けた児童が、今度は遺族により臓器提供となる恐れについてですが、ないとは言えず、それ故、改正案には附則5がついています。この毎日 6月22日 臓器移植法改正:民主議員ら、参院に対案提出へも、「衆院を18日に通過したA案は、脳死を一般に人の死とし」と報じており、すんなりと理解しにくいのです。

3) 脳死

このMSN産経ニュース 6月7日 【臓器移植】(中)脳死は人の死か…議論再燃では、焦点がずれていると思います。脳死を人の死とは、できません。臓器移植法6条2項の改正されていない部分ですが、脳死を「脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定された者」と定めており、この判定は6条4項により「これを的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師・・・・・」と定められており、医療機関の脳死判定員会が判定します。

脳死判定員会は、移植を前提としなければ、判定行為もしないわけで、脳死判定員会が判定しなければ、脳死もあり得ません。移植をしなければ脳死はありえず、脳死状態で生き続けたというのは、おそらく脳死ではなかったのだと思います。

脳死の判断基準も変わっていくと思います。法で脳死を決めるのは、現在の条文でよいと思うし、A案は、マスコミが言うように「脳死を人の死」と定めることではなく、自由意思の範囲を拡大したのであり、逆に法が制限をすることがかえっておかしいと思います。

続きを読む "臓器移植法改正"

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2009年6月22日 (月)

ライブドア(LDH)配当の実態は資本の払い戻し

株式会社LDH(旧ライブドア)は、680億円の配当を行うとのニュースが先週ありました。

MSN産経ニュース 6月17日 ライブドア680億円配当案 1株6500円 「株主の要請」

このことに関連して、書きます。

1) 配当原資

6月26日の株主総会で決定し、6月末までに株主に対し、支払われると思いますが、実はLDHの事業利益からの配当ではなく、その原資は株主がかつて払い込んだ資本と言えます。

次の表が、株式会社LDH 第14期決算情報からLDHの個別貸借対照表の純資産の部を転記したものです。株式会社の株主への金銭交付額は、会社法461条に定められた分配可能額を超過してはいけない。LDHの現時点における分配可能額は、1203.9億円です。即ち、その他資本剰余金1766.5億円があるからであり、1年前の平成20年3月末であれば、実は30.6億円でした。資本金が862.9億円から1億円に、資本準備金が871.4億円から0への減少しており、合計1733.3億円がその他資本剰余金に変わったからです。

Ldhbs20093

2) 資本金、資本準備金の減少

資本金とは、株主が払い込んだ財産の額であり、資本準備金とは、その中で資本金として計上しなかった額です。(会社法445条)株式会社とは、株主が払い込んだ資本により活動をし、その結果として財産が増加すれば、払込時点より増加した額が剰余金であり、株主配当の原資です。従い、資本金や資本準備金を減少させることは、基本原則に反するが、会社の規模縮小等で株主に払い込んだ資本を戻すことはあり得ます。

会社法は、資本金、資本準備金及び(LDHの場合は計上されていなかったが)利益準備金の減少については、株主総会の議決(会社法447条、448条)と債権者に対する手続き(会社法449条)を定めており、LDHは2009年2月23日に、この資本金及び準備金の額の減少公告を行いました。

結果、その他資本剰余金が計上され、株主への配当が可能となりました。LDHは、社名がエッジであった時代を含め、株主配当を一度もしていなかった。初の株主配当が株主が払い込んだ財産の払い戻しで実施される皮肉な結果です。

3) LDHの今後

LDHが現在保有している最大の会社が株式会社セシールです。次の表がLDHの有価証券報告書にある2009年3月上半期の事業の種類別セグメント情報です。

Ldhsegment20089

セシールの株式の50.3%をLDHが保有しており、このLDH保有株式について、フジ・メディア・ホールディングスの子会社フジ・メディア・サービスがTOBを発表しています。(ここ)これに、LDHは賛同しており、このTOBは成立確実であり、その結果、上の表の黄色の通販事業がLDHから消滅する。残るは、インターネット事業が主体であり、インターネット事業のみを継続するのであれば、大きな金額の資本を維持しておく必要がない。そこで、今回の配当というか資金の払い戻しというかになるのは、合理的な判断と思います。

4) 最終的には

2009年3月期のLDH業績は連結で576億円、単体で557億円のそれぞれ純損失です。ほとんどが、LDH単体で発生していますが、その内訳には、
・ フジ・メディア・ホールディングスに対する和解による支払済み損害賠償金: 314.8億円
・ 日本生命他及び個人株主約3000名に対する訴訟損失引当金繰入:     223.8億円
の合計538.6億円の特別損失があります。

今回ホリエモンに対して配当を支払わない場合は、117.7億円については、現金の流出はされず、2009年2月18日付け公告でLDHが発表しているホリエモンを含む7名に対する損害賠償金345億7773万円と相殺されることと理解します。

2009年3月末時点でLDHには、現金・預金が1076億円あり、この中から、今回の配当をホリエモンには保留として支払うと564.4億円が流出し、511億円残ることとなります。しかし、訴訟損失引当金として計上している223.8億円を今後支払う場合は、残が287.8億円となります。ホリエモンには保留するとし287.8億円は、1株あたり3,300円強の配当資金です。

上記の場合は、ホリエモンに対して損害賠償金と相殺した金額は177.4億円であり、他の人達を加えると少し大きくなるかも知れませんが、損害賠償金の51%程度に止まり、ホリエモンから賠償を受けた分だけ、株主への今後の配当も多くなると言う計算です。事業収益からの配当期待ではなく、損害賠償金からの配当期待という変な形であります。

5) ライブドア

ライブドアとは何であったのでしょうか?2004年2月にエッジからライブドアへ、2007年4月にライブドアからライブドアホールディングへ、そして2008年8月にLDHへと、めまぐるしく社名変更を続けました。ホリエモンは、2006年1月に逮捕され、2006年4月にマザーズ上場廃止。現在までの利益の累計は、マイナスであり、損失なのです。

2005年9月期(当時はLDHは、9月決算でした。)からの貸借対照表と損益計算書を連結と個別の両方について掲げます。(クリックで拡大)全ての期間について、売上よりも流動資産の金額の方が大きく、資金調達サイドはほとんどが資本金・資本剰余金です。やはり財務諸表はいびつであったと言えると思います。そんな会社に対する投資は、気を付けなければいけないのでしょうね。実態のないバブル人気を一時は持っていましたから。

(注)途中に決算期の変更があり2008年3月期は6月期間です。2008年9月期は中間期であり、2009年3月期は中間期を含む1年間です。

Ldhfs2009

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2009年6月20日 (土)

小沢一郎への違法献金事件結審

たった1日の法廷だったのですね。

日経 6月20日 西松献金事件、前社長に禁固1年6月求刑 7月14日に判決

1) 政治資金規正法

裁判についてこのMSN産経ニュースにあり、(1)から(10)まで相当長いが、詳細な報告があります。あるいは、このMSN産経ニュース に前社長、国沢被告側の最終弁論の要旨がありますが、弁護士が述べたこととして、次の記述が含まれています。

A) 現金輸入について届け出をしなかったのは形式犯であり、違反は軽微であります。

B) 政治資金規正法は政治資金のあり方について定めたもので、一種の行政法規であり、実質犯と異なり形式犯です。あたかも贈収賄ととられるような適切な報道であったとはいえません。罪刑を越える非難を加えることはできません。

C) 公共工事の受注業者を決める際に影響を及ぼす政治家に、少なくとも嫌われたくないから多額の献金をするんです。ゼネコン各社にとって、競争に勝つためには献金は不可欠だと考えられてきました。西松建設だけが献金をしないことは不可能です。西松建設が政治団体を使って献金をしたのも、無理からぬことです。

D) 被告人は102日間という長期に渡り、身柄を拘束されました。実質上、取り調べが終了した後も保釈が認められず、罪刑に比べてあまりにも長期にわたり、拘束されました。

弁護人として当然のことを述べているのです。しかし、これをこのまま聞き逃してよいのか、何かおかしいのではと思います。C)の状態について西松建設や国沢被告に責任の一端はあるが、刑事罰を問うことだけで解決になるとは思いません。また、社会としてこれでは、絶対によくないはずです。

田中角栄はロッキード事件で収賄で起訴されました。裁判途上で死亡し、審理途上で控訴棄却になっています。しかし、榎本敏夫の最高裁判決がここ全文pdf)にありますが、田中角栄の収賄は認められています。

小沢一郎は、田中角栄ほど力がなかったのが理由で、収賄にならなかったとは思いませんが、釈然としません。

公共工事で政治家に金を渡すのは、一般市民の感覚からすれば贈賄であり、市長や知事が相手なら贈賄で、野党議員であれば政治資金規正法違反というのも、バランスが悪いと思います。ヤリ得になり、C)の問題解決がいよいよ困難になると思います。

2) 外為法違反他

A)の外為法違反を軽微だとはケシカランことで、重罪と思います。マネーロンダリング、贈賄、不正送金等を無くしていこうとしているのは、世界的な取り組みです。大量の現金をバッグに入れて持ち運びを軽微な違反であるとすることは、重大な不正を許すことであります。不正をするために、現金をバッグで運ぶのです。不正をするからには、記録を残さない。記録を残さずにすむのは、現生であります。(そんな小説がありました。もっとも、ロッキード事件は段ボールに現金を入れて渡したのですね。)

D)の102日間の身柄拘束は長すぎたと思いますが。

3) 二階俊博氏事件

どうするのかなと思います。検察審査会の「不起訴不当」と「起訴相当」を受けて検察が起訴をしなかった場合です。選挙前に起訴をすれば、自民への打撃は大きいと思います。しかし、反自民の政権になったなら、起訴になると思います。先ずは、検察に対して、状況の説明を求めるでしょうが。

面白いですね。小沢事件と二階事件がどう違うのか、分かるかも知れないなんて。

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