2010年2月 8日 (月)

トヨタはどうなる

トヨタはどうなるのかと思う最近です。プリウスのリコールについては、Web上で発表は見あたりませんが、リコールを実施するようですね。

NY Times February 7 Toyota Is Expected to Add 2010 Prius to Recalls

日経 2月7日 トヨタ、「SAI」とレクサス「HS250h」もリコールへ

日経の記事には、次のようにあり、顧客無視もここまで来れば、倒産に至るのではと思ってしましいます。

車両そのものに欠陥はないとの見解を打ち出していたが、・・・・顧客の不安解消を優先してリコールに踏み切る。

トヨタは、嘗てカンバン方式や改善で有名になり、日本の製造業のトップであったのですが、今やコントロールの切れた会社でしかないのかと思います。

トヨタに関しては、悪いニュースが続いていますが、次の日経Tech-Onの記事には、トヨタが採用していた同じ米国CTS社製アクセルペダルをホンダ、日産自動車、三菱自動車も採用しているが、ホンダ、日産自動車、三菱自動車には問題なく、トヨタのみ問題ありと書いてあります。

トヨタがリコールしたCTS社のアクセルペダル、ホンダ含めて3社が採用するも不具合なしと表明

CSRと言う言葉がありますが、企業がボランティア活動をすることではありません。企業は、その企業活動を通じて、社会に貢献することこそ最も重要です。最近のトヨタを見ていると、市場を無視して唯我独尊・裸の王様になっているような気がします。市場とは、ユーザーであり、部品メーカー、仕入れ先、社員その他です。自社の設計能力すら分かっていなかったのでしょうか?

転落は早いですね。どうなるのか、挽回劇も見たいので、辛口に書いてみました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年2月 7日 (日)

土建政治を支持する朝日新聞

私は、土木工事や公共工事を悪だとは、考えていません。社会の役に立つ土木工事や公共工事は存在します。データに基づく設計を行い、正当な評価を実施して、実行すべきであると考えます。朝日新聞の次の社説を読むと、そのような評価もなく、感覚的に賛否を論じていると考えます。

朝日社説 老朽ダム撤去―「荒瀬」をモデルにしたい

正しくない論点を、指摘します。

1) 役に立っていない

「荒瀬ダムは1955年、球磨川中流に発電専用として完成した。当時は県内の総需要量の16%を供給したが、その後の発電方式の多様化で現在は1%に満たない。」

とありますが、発電量が減少しているのではなく、電力需要が増加したのです。1955年度の日本の電力発電量(発電端)は、日本統計年鑑によれば65,241GWhでした。資源エネルギー庁の電力調査統計では、この数字が2008年度は1,146,269GWhです。17.5倍に需要が増加したことを置き去りにして、評価することは、間違いです。16%が1%になるのは、当然です。

今も、荒瀬ダム・藤本発電所は、年間74,667,000kWhの発電をしていると理解します。現在の需要規模でも25,000世帯の消費電力量に匹敵します。太陽光発電であれば、20,000戸分です。

荒瀬ダム撤去は安易すぎないかで書きましたが、水力発電について、正しい評価が必要です。

全体に占める割合が小さくなっても、重要な役割を果たしている場合があります。全体に占める割合は単なる一要素であり、それを重要事項として扱って個別の評価をすることには、反対します。

2) ダムや湖のメンテナンス

「ダム湖には汚泥がたまり、悪臭や赤潮などが目立ってきた」とは、何を物語っているのでしょうか?水力発電は、自然との調和の中で、成立します。荒瀬ダムは、土砂の堆積が予定されていたダムです。土砂の堆積により、水流が停滞し、汚泥・悪臭・赤潮といった問題が発生したのだろうと想像します。

ダムやダム湖も、メンテナンスが必要です。水の流れに、問題が生じれば、浚渫したり、上流からの流出物を取り除いたり、様々なメンテナンスが必要です。メンテナンスが不十分でなかったか、検証する必要があります。例えば、電気収入は県庁の収入予算となり、メンテナンス費用は過去の実績を基に、少額しか割り当てられず、メンテナンスは常に先送りになっていたことはなかっただろうかと思います。92億円あれば、相当な自然保護が可能だと思います。

3) 魚の遡上

「アユなどの遡上(そじょう)も妨げている」と書いてあります。しかし、荒瀬ダムには、1999年に魚が遡上するための魚道が設置されています。魚道があるから大丈夫とは言いません。魚道を評価することが必要であると言いたいのです。

魚道が期待通りに機能を発揮するかどうかは、運用を通して評価します。必要な改良・改善をすべきです。荒瀬ダムがあることにより川の水面は、ダムの上流が約15mかさ上げとなっています。魚道を通って、アユなどの遡上があるのか、十分であるのか、その情報の方が重要です。他の、ダムの対策にも適用可能であるし、我々が自然と共存するために必要な情報です。

5)に瀬戸石ダムを書きましたが、瀬戸石ダムにも魚道があります。そして、国土交通省九州整備局のWebに球磨川の魚道の説明があり、「これらの魚道に併設された観察施設では魚道をのぼる生き物たちを実際に見ることができる。(入場無料)」と書いてあります。朝日の社説と差を感じます。

4) 水利権

「来月末で失効する水利権の再取得に必要な地元の同意は、漁協の反対などで得られる見通しがたたなくなった」とあります。水利権とは、何でしょう?河川法第2条2項において「河川の流水は、私権の目的となることができない。」と定められており、私もこれに賛成です。

河川やその流水は、流域に住む全ての人々が公平に恩恵を受けるべきものです。地元の漁協の為に存在するのでないし、地元の漁協が不利益を受けるべきものでもありません。利害が正当に調整される必要があります。利害が調整できない。従い、ダムは撤去というのが、許されるのでしょうか?そのために、92億円が支出され、CO2の発生は増加し、電気料金が高くなる。

不幸な政治により、巨大な無駄が発生する。正当な評価をしていなかったからでしょうが、正当な評価をすることは、政府・地方自治体の大きな役割です。

5) 瀬戸石ダム

荒瀬ダムから約9km上流に瀬戸石ダムがあります。同じ、球磨川で、ダムの高さもほとんど同じで川幅が狭いぶんだけ少し、ダムの長さが短く139.35mです。運転開始は1958年なので、荒瀬ダムの3年後と、時期もそう違いません。事業者は、熊本県ではなく、電源開発です。話題になっていないので、瀬戸石ダムは、撤去なんてことにはならないと思います。

荒瀬ダムと瀬戸石ダムの違いは何でしょうか?事業者が、異なるからメンテナンスのやり方が違ったのでしょうか?

ダムには限らないが、訳も分からずに、これが正義だとすることに、大きな危険性を感じます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年2月 5日 (金)

荒瀬ダム撤去は安易すぎないか

荒瀬ダム撤去のニュースがありました。昨年8月25日に大蘇ダムの漏水問題、8月25日に八ッ場ダムを考える、9月3日に川辺川ダムを書いたこともあり、荒瀬ダムについて今回書いてみます。先ずは、朝日の報道です。

朝日 2月3日 熊本県知事、荒瀬ダム撤去を発表 12年度から工事

熊本県知事の発言は次の所にあります。

荒瀬ダムの今後の対応について(H22.2.3:熊本県知事発言)

荒瀬ダムは、効果が期待できない八ッ場ダムとは異なり、発電という役割を果たしているダムであると言うこともできます。安易な撤去決定と思える点があることから、書いてみます。

1) 荒瀬ダムの場所

Yahoo地図を掲げます。

地図の下側に荒瀬ダムがあり、川の流れは下(南)から上(北)です。丁度、荒瀬ダムの下流で川が蛇行しており、鉄道(JR肥薩線)の藤本トンネルがありますが、このトンネルの右にある青い点線が荒瀬ダムの水を熊本県営藤本発電所に水を流す導水トンネルです。地図で藤本と書いた場所に藤本発電所があります。ダムから藤本発電所に水をショートカットして流している形ですが、本当は、ショートカットできる位置に建設すると建設費も安く、メンテナンスも容易なので、そのような地点をダムと発電所の建設地点として選んだ結果です。

八ッ場ダムや同じ球磨川の上流に位置する川辺川ダムとの比較を掲げておきます。

荒瀬ダム 八ッ場ダム 川辺川ダム
堤高 25.0m 116.0m 107.5m
堤頂長 210.8m 190.8m 283m
流域面積 1,721.1km2 707.9km2 470km2
湛水面積 120ha 304ha 391ha
総貯水容量 10,137千m3 107,500千m3 133,000千m3
有効貯水容量 2,400千m3 90,000千m3 106,000千m3
水没戸数 なし 340戸 403戸
水没農地面積 なし 48ha 66ha
事業費

29億円
(ダム本体4億円)

4,600億円 2,650億円

ダムは、川幅一杯に建設するので、荒瀬ダムも堤頂長は210.8mあるが、高さは25mの小さなダムです。この熊本県企業局のWebにある写真のようなダムであり、大型の堰といった感じです。

2) 荒瀬ダムの役割

荒瀬ダムは、藤本発電所の為に、昭和29年(1954年)に作られました。年間発電量として水量により変化しますが、期待量は74,667,000kWhです。CO2を発生しない、環境に優しい、クリーンエネルギーです。もし、一般家庭設置の太陽光と同じ46円/kWhで電力販売ができれば、年間34億円の収入が得られます。九州電力のCO2排出係数はクレジット適用前が374g/kWh、クレジット適用後で348g/kWhです。従い、クレジット適用前を使用すると28,000トンのCO2削減となります。

但し、74,667,000kWhを石炭火力でまかなったとすると、61,000トンのCO2に相当します。九州電力は、2008年度のCO2排出量を3,210万トンと発表しており、藤本発電所がなくなれば、CO2発生量が増加します。

もし、一般家庭設置の太陽光発電設備を設置する場合は、74,667,000kWh発電するためには、3.5kWの設備を20,000戸分設置することになり、設備投資金額としては360億円という巨額投資になります。しかも、製造、建設、運転のいずれにおいても、水力の方が、CO2発生量は小さく環境に有利で、コストも低い。風力の場合は、高さ100mの2,000kW風力を設置するとして、15-20基設置する必要があります。場所だけでも、大変です。環境や電力系統の周波数への影響もあり得ます。

3) 荒瀬ダムの撤去理由

冒頭に知事の発言をあげましたが、「深刻な財政危機にある本県の現状においては、荒瀬ダムを存続させることが最適の選択であると判断いたしました。」とあり、74,667,000kWhの発電は、重油を燃料として発電した場合には、約15,000klを要するのであり、7億円程度でになるでしょうか、莫大な金額で、その通りです。しかし、続いて「長年にわたり、荒瀬ダムの影響で苦しんでこられた地元坂本町の方々のことです。ダム存廃について再考したこの期間に、荒瀬ダムの電気事業は、地元の方々の痛みの上に成り立っていたことを、私も、また多くの県民も知るところとなりました。」が具体性に欠けています。

地元への配慮をしてこなかった。その結果、対立を生んだと思えます。1)の表に書きましたが、総貯水量10,137千m3に対して有効貯水量2,400千m3で設計されたダムであり、ほとんどが土砂で堆積する予定で建設されたのです。建設した1954年頃は、それでよかったのでしょうが、時がたつにつれて、適切な配慮が必要だったはずです。

環境に優しい設備も、メンテナンスをおろそかにすれば、悪影響も生まれます。但し、ダムを撤去しても元には戻りません。悪くなる可能性もあります。

川がそのままダム湖になっている構造なので、その面でも、よいダムです。発電に貢献しており、役に立たない八ッ場ダムとは全く違います。でも、やはり八ッ場ダムと同じでしょうか?地元は、札束と土建工事が欲しいだけ。八ッ場ダムのTVニュースは、そればかりです。下流の都県知事も札束目指して圧力を掛けているようです。荒瀬ダムも、朝日のニュースには、撤去費用総額92億円と書いてあり、これを目指して土建屋さんが指をくわえているのが、浮かんできます。もしかしたら、それ以上の金額になる金山でしょうか?

そう言えば、荒瀬ダムの撤去が出たのは、川辺川ダムの反対運動を押さえるために、荒瀬ダムを撤去することで黙らせようと画策したと聞いたことがあります。

土建業者の利権で、無駄なダムを造り、有効なダムを撤去し、人々は不幸になる。そんな構造から、抜け出すためには、数字を使った正確な議論をすべきです。感情論で議論をして、人々を不幸にし、貧しくすることは避けるべきと考えます。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2010年2月 3日 (水)

プリウスの欠陥

プリウスにも欠陥があるのでしょうか?

日経 2月3日 プリウスのブレーキ不具合、米で苦情100件 国内でも14件

これほど、大々的に報道されるとトヨタも沈黙はできないと思いますが、私がトヨタのWebを見た限りでは未だ会社として発表はなく、MSN産経 2月3日 トヨタ、プリウス苦情に「現時点でのコメント控える」という報道もあります。2月3日 時事ドットコム 「プリウス」ブレーキに苦情=日米で112件-国交省、トヨタに調査指示によれば、事故は昨年7月に千葉県松戸市の国道で起こったとあります。

1) 欠陥の内容

欠陥の可能性があるとすれば、電子制御関係だと思います。ハイブリッドは、ブレーキのエネルギーを電気として取りだし、電池に充電するようにしています。そのため、良好な燃料消費になっています。車のブレーキは、従来からのエンジンブレーキと機械的にブレーキパッドを押しつける方法が、確立された方法です。しかし、これでは、ブレーキのエネルギーを熱に変換するだけであり、電気に変換し充電して、再び動力に利用できるなら、併用でもエコ性能は高まります。

しかし、口や文章で述べるのと、実際にメカや電子・電気でやるのとは、わけが違い、運転者が意識せずとも、安全性を損なうことなく、最高のエコになるように電子制御が働くように設計されています。この電子制御関係のどこかに欠陥がある。もしくは、欠陥が入り込む可能性を持っているのではと思います。

2) インサイト

インサイトが抜き去っていくのでしょうか?ホンダとトヨタはF1を撤退したが、F1よりおもしろい興味あるレースです。トヨタは、インサイトを意識して、3代目プリウスを出した。価格も販売時期も完全に競争状態であった。開発に手抜きをしたかどうか、これから分かるかも知れないからおもしろい。ブレーキについても、電気回収を大きくすればするほど、エコにはなるが、制御が複雑になり、コストアップにもなる。どこで、手を打つかは、自動車メーカーの戦略である。

トヨタ欠陥問題とは、何なのだろうかと思います。トヨタの大規模リコール(米国で230万台、欧州?台)の発表がここにありますが、「アクセルペダル内部のフリクションレバー部」とは、何でしょうか?英語の発表では、”what is known as a friction device”となっています。アクセルを踏んだ時のバネの戻りを摩擦で調節して、運転にほどよい感覚にするための調整部品でしょうか?アクセルの戻りに関係する部品であれば、自動車の運転の安全性に極めて重要な部品です。

ここまで考えるとインサイトに周回遅れにさせられるのかなと思ってしまいました。あるいは、抜き去られる前に、何かあるのでしょうか?ちなみにプリウスは、現在注文しても6月以降の工場出荷と発表されています。(平成22年1月27日(水)以降のご注文分は平成22年6月中旬以降の工場出荷予定となります。

3) 今後

トヨタが今回のプリウス欠陥をどう生かせるかだと思います。もし、1)で書いたような電子制御関係の欠陥であるなら、EVにも共通します。うまく対処すれば、EVを含め、今後トヨタが有利に自動車メーカーとしてビジネスを展開できると思います。

エコの最先端を求めた結果であり、エコの最先端で未だ他のメーカーが経験していない分野において生じた問題であれば、その経験を生かして今後有利になれる可能性がある。

自動車メーカーレースも面白いと思います。

| | コメント (1) | トラックバック (3)

2010年2月 2日 (火)

明石歩道橋事故に思う

神戸第2検察審査会の1月27日の決議を受けて、兵庫県警の元副署長を起訴し、検事役を務める指定弁護士の候補として兵庫県弁護士会が弁護士3人を神戸地裁に推薦したとのニュースがありました。

読売関西 2月2日 検事役3弁護士を推薦…歩道橋事故「強制起訴」で弁護士会

この件に関するマスコミ報道は、次の読売社説のように、市民感覚の刑事裁判への反映が行われることであり、歓迎すべきとの意見が多いと思います。しかし、私には、釈然としないところがあります。

読売社説 初の強制起訴 1月29日 法曹三者の責任はより重く

1) 警察の役割

警察とは、何でしょうか?怪しい者を捕らえて冤罪者をつくる機関であってはならないし、行き過ぎると、言論・思想統制の暗い社会になります。現行犯や捜査令状なしで、強制的に国民の活動に関与してよいとは思いません。

明石歩道橋事故の主催者は、警察ではありません。参加人員を予測し、安全を確保し、対策を講じるのは主催者です。犯罪があった場合、それを取り締まるのが警察です。

例えば、集会を開催するのに、警察の関与があってよいでしょうか?警察に事故の責任を負わせるなら、逆に警察の命令に従うことを承諾することになると思います。集会や催し物の主催者が、参加者の安全を確保するのが本当であり、警察は補助者である。警察とは、どうあるべきかの大前提はどうなっているのだろうと思います。

2) 主催者

明石歩道橋事故の花火大会は、「第32回明石市民夏まつり」のなかの行事として実施され、主催者は、明石市、明石商工会議所、明石観光協会等12団体からなる明石市民夏まつり実行委員会であったのです。

主催者は、組織も責任体制も明確でなかった寄り合い所帯であったと思うのです。それまで、31回開催して大きな事故もなかったから、明石市地方自治体も問題意識を持っていなかっただろうし、中止なんて全く考えてもいなかったと思います。

危険性があるにも拘わらず、無責任体制で取り組んでいることが、身の回りにないか、考える必要があると思います。

この明石市のWebpageから、歩道橋事故の事故報告書がDownloadできます。花火大会に終結する群衆が15万人と予想されるにも拘わらず、1時間当たり7200人の通行量で設計された歩道橋を参加者の主要経路として考えていました。事故が起こった海側の階段の下には露店も出ており、そのために混雑が更に悪化したのですが、露店の出店を決めたのも主催者です。

3) 裁判

民事は、9遺族について、明石市、兵庫県(県警)、警備会社が568百万円の賠償をすることで2005年6月28日の神戸地裁判決で終わっています。(11人の死亡事故であったのですが、2人がどうなっているのか分かりませんでした。)

刑事では、明石市職員3名、県警1名、警備会社1名の計5名が起訴されました。1月27日の読売新聞 明石歩道橋事故で元副署長起訴へ…検察審が議決によれば、明石市の3人は禁固2年6月、執行猶予5年の有罪が確定しており、県警1名と警備会社1名の2人は、上告して争っていると報道されています。

多分、今回の元副署長についても長い裁判が続くのだろうと思います。

4) 検察審査会の判断

検察の判断が正しいとは限らない。同じように、検察審査会の判断も正しいとは限らない。よくない仮定ですが、足利事件について、当時菅家さんを起訴していなかったなら、検察審査会はどう反応したのだろうと思います。

現実に、検察が不起訴の決定をした結果、検察審査会が不起訴の不相当を議決し、その結果、20数年もの長期の裁判となり、無罪が確定したのが、甲山事件です。検察審査会の不当な決議により人生を失ってしまった人もおられるのです。(20数年の裁判で、差し戻しはあったものの、一度も有罪判決はなかったのです。)

検察審査会って何なのだろうかと思います。人を刑事罰で起訴をすることの重みは、相当のものであります。

明石歩道橋事故は、歓迎すべきとは、とても思えず、無責任体制が原因と思える嫌な事件です。そして、それが今も続いている懸念がするものですから。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年2月 1日 (月)

菅直人さん突っ込みが足りません

次の記事を思いました。菅直人さん突っ込みが足りません

日経 2月1日 11年度の社会保障財源、6兆円不足 菅財務相「特会を徹底見直し」

1月16日に医療費の将来予測を書き、国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計を基に将来の医療費を予想しました。この記事の記憶が残った状態で、「全閣僚が問題意識を共有して、自分の足元の特別会計などを徹底的に見直す」なんてことは、甘くって、国民を欺く行為だと思ってしまったのです。

1) 5年後の医療費は自然増で5%アップ

2008年度の医療費は、34.1兆円でした。私の1月16日の予想数字は、2010年度35.3兆円、2015年度37.1兆円でした。従い、5年間で1.8兆円(5%)の増加です。34.1兆円の負担は、個人から医療機関や薬局への直接支払いが4.8兆円で、全額公費負担が2.3兆円、そして医療保険が27.0兆円です。

5年間で1.8兆円(5%)の増加は、現在の年齢階層別の一人当たり医療費が変わらないとした前提で計算しているので、それ以上に増加する可能性の方が大きいと思います。2008年度の要素費用表示の国民所得は351.5億円でした。1月5日の日本経済の成長戦略に書きましたが、国民所得は1990年から水平又は下降です。従い大変なのです。

医療は、公共工事とは異なり、中止、凍結、繰延はあり得ません。多分、医療保険料の増加を国民が泣く泣く受けることになると思います。

2) 高齢者増加の影響

現在団塊の世代が60歳です。5年後には、65歳になり、多くの人はリタイヤすると思います。次の表は、医療費の将来予測で使用した国立社会保障・人口問題研究所の出生中位(死亡中位)人口推計の2010年と2015年について、25歳から59歳を年金支払世代とし65歳以上を年金受取世代として、その比率((a) / (c))を計算した表です。25歳から65歳を年金支払世代とした場合も計算しました。65歳以上の人口は増加し、一方で65歳未満の人口は減少する恐ろしい世界です。

2010年 2015年
(a) 25-59歳人口 58,534千人 56,235千人
(b) 25-64歳人口 68,529千人 64,634千人
(c) 65歳以上の人口 29,412千人 33,781千人
(a) / (c) 1.99 1.66
(b) / (c) 2.33 1.91

2010年において25歳から59歳の世代が65歳以上の世代を1.99人なので2人で1人を支えているとすると、それが5年後の2015年には1.66人で1人を支えるので、支える方の負担は1.2倍になります。25歳から64歳歳の世代が支えるとしても、1.22倍です。負担構造を変えて、25歳から59歳の世代が支えていた部分を、年齢層の拡大を行い、25歳から64歳の世代が支えるとしても、1.04倍になるのです。

団塊の世代をこき使って、65歳まで働いて頂くとして、仕事と仕事に対する支払は社会が確保する必要があります。実際に、団塊の世代のほとんどの方は、働く意欲を持っておられます。しかし、若者にさえ仕事は少ないのであり、あっても高い支払を得られないし、65歳以上の人達を支えるほど分担できないのが実状です。

年金は、受領する側になると負担しなくなるので、5年後には年金の負担が20%増加するのです。医療保険は、年金受領者も負担するが、給与収入より年金では受取額が小さくなるので、保険料負担額も高齢者が少額となる分、若い世代の負担が増加します。

3) 中長期将来設計

中長期将来設計ができていない。その結果が、菅直人さんの突っ込みの足りなさになっていると思います。今に始まったわけではなく、小渕政権時代の公共事業無限拡大と大幅減税の頃も全く将来像がなく、小泉政権も小渕政権の公共事業拡大路線を批判し、民活路線に転換を図ったが、具体的な将来像が示されたわけではありません。今、団塊の世代が60歳を超えつつあり、危険信号が点灯していると認識します。

それにも拘わらず、特別会計の徹底的見直しなんて、のんびりしたことを言っていたのでは、小渕政権や小泉政権と何ら変わりはないと思います。増税案の作成に直ちにかかるべきです。さもなければ、健康保険料や年金掛け金の大幅増加になります。結果は、格差拡大、貧困層の拡大、制度の破綻になると思います。税は負担能力に応じて徴収します。保険料や掛け金は払わない人に対して、無保険や年金減額・無年金と言ったペナルティーを課すことになり、それが制度破綻に繋がり、社会にとって悪い方向に向かいます。

民主党よ、増税案を立案下さい。結論までは無理でも、案を展開して、参議院選を戦うのです。さもなければ、日本沈没になる気がします。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

日米比較:医療、医療費、医療保険を考える(その6)

医療は、国により制度が異なり、その背景には社会的な考え方、過去の歴史により決まってくることが多く、また医療インフラが現実に提供可能な医療を決定するのであり、比較は容易ではありません。また、他国の医療に関して、それほど多くの知識を私も持っているわけではありません。しかし、比較自身が無意味とは言えず、私なりに比較を試み、その上で、多くの方々からご意見やご批判をいただければと思います。

1) 米国と日本の2007年一人当たり医療費

日本については、厚生労働省の資料です。米国は、Department of Health & Human Servicesが連邦政府の医療関係の行政部門であり、Centers for Medicare & Medicaid ServicesのNational Health Expediture DataからDownloadしました。

次の表が、日本と米国の2007年の一人当たり医療費の比較です。

Health20101jus1

統計項目の取り方に差があるため、米国の医療費についても、そのままの言葉で記載してあります。米国の統計項目の概要解説は、ここにあります。参考として、色分けして、且つ1ドル=100円で換算して、比較グラフとしたのが次です。

Health20101jus2

日米の差は、感覚からすれば倍半分という感じに思えます。

2) 過去からの推移

同じ内訳での1980年からの日米両国の一人当たり医療費の推移は次でした。

Health20101jus3

Health20101jus4

日本は、1980年に対して2007年が2.5倍強であるのに対して、米国は7倍以上ですから増加割合がまるで違います。但し、為替レートは1980年頃には220円/US$程度であったので、為替換算をすると米国は半分になります。それでも、日本の方が医療費の増加を抑えていると言えます。勿論、妥当な金額の水準は幾らかは、別途検討すべきです。

3) 医療保険

医療費は医療保険(日本では健康保険と呼んでいます。)と自己負担、そして生活保護の場合の公費負担や例えば公害認定病の公費負担があります。日米の制度を比べるにも、困難があり、米国で65歳以上はMedicareによる医療保険でカバーされていると了解しますが、相当複雑に思えます。(Wikiはここにあります。)2007年の医療費がどの保険から支出されたかのグラフを作成しました。なお、日本の場合、それぞれの保険に対して政府や地方自治体の負担金や補助金が支出され、更に保険制度の間で、拠出金として負担している金額が存在したり、相当複雑です。

Health20101jus5_3   

日本の場合も、後期高齢者医療制度による支払金額が大きいのが分かります。後期高齢者医療制度の患者負担(の保険料も自己負担も)は、小さいのであり、制度維持が困難と予想される悪い制度と思います。日本の健康保険について次回に考えてみたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年1月28日 (木)

OECD諸国との比較 : 医療、医療費、医療保険を考える(その5)

今回は、医療費をOECD諸国と比較します。

1) 順位

先ずは、最もポピュラーな表から始めます。医療費の対GDP比の順位です。

Health20101w1

日本は、医療費の負担が低い国です。なお、医療、医療費、医療保険を考える(その2)で掲げたグラフから読み取ると、2007年の日本の医療費は、GDP比7%に達していません。一方、上のグラフを書いたOECDの源データは、8.1%であり、OECDの数字が大きいのです。この差は、5兆円強であり、理由はOECDのSHA(System of Health Accounts)は、介護の分野、人間ドックや予防接種のような予防医療、政府の行政費用も含んでおり、範囲が広いためです。日本の厚生労働省の数字は、医療保険行政のための基礎資料であり、他国との比較を目的としていません。

国により制度が違い、統計の取り方も異なるので、国際比較は容易ではないのですが、OECDの統計であり、あまり細かい数字を取りだしても意味はないと思いますが、信頼しうる結果と考えます。(なお、2007年についてOECD数字がない国があり、日本、ルクセンブルグ、ポルトガルは2006年、トルコは2005年の数字を使用しました。)

一人当たり医療費の順位も掲げます。購買力平価による米ドル換算です。

Health20101w1a

2) 費用と効果

比較をするなら費用だけではなく、その効果も併せて評価する必要があります。次のグラフは、横軸に各国の一人当たりの医療費(米ドル購買力平価PPP)、そして縦軸にその国の平均寿命(ゼロ歳の平均余命)を散布図として作成しました。

Health20101w2_2 

この散布図では、上に行くほど、平均寿命が長く、医療の成績がよいことを示し、右に行くほど、医療費が多いことを示しています。低い費用で、最も効果がよいのが日本。逆に、費用は多額にも拘わらず、成績はもう一つというのが米国です。中央で楕円で囲んだ国々が、最も集中している、部分です。

なお、上の散布図は、購買力平価PPPを使用したので、為替レートで直接換算した米ドルによる医療費を使用した散布図も以下に掲げておきます。

Health20101w3

物価の高いノルウェーは、一人当たり医療費が米国を追い抜きましたが、GDP比では8.9%であり、米国の16.0%より相当に低い割合です。全体の傾向としては、ほとんど変わりはないと言ってよいと思います。

とりあえず、今回はここまでとします。次回は、何故米国の医療費は高いのかについて少し考えてみます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年1月26日 (火)

医療費の将来予測-医療、医療費、医療保険を考える(その4)

医療費の将来予測をしてみます。

前提として、1月21日のシリーズその3で書いた年齢別一人当たりの医療費(次のグラフ)が変わらないこととします。そして、将来人口の予測として、国立社会保障・人口問題研究所(ホームページはここ)の2006年12月推計の出生中位(死亡中位)推計による将来人口を使って、この年齢別人口にグラフの年齢階級の一人当たり医療費をかけ算して、求めます。

Health201012a

1) 人口推計ー出生中位(死亡中位)

一応最初に、人口ピラミッドを見ておきます。上が、2010年の人口ピラミッドで、下が20年後の2030年の予測です。

Poulation2010a

Poulation2010b_2

2050年まで5年ごとの人口ピラミッドも掲げておきます。クリックすると拡大表示されます。 

Poulation2010c

高齢化社会になっていくのが、よく分かると思います。

2) 医療費予測

グラフで計算結果を示します。医療費総額は、2030年に39.6兆円と現在の約1.2倍になるとなりました。しかし、2030年以降減少するのは、人口減によるのであり、一人当たりの医療費では、下の青線のように、増加を続け、2050年には現在の約1.4倍の39万円になりました。

20101a

人口ミラミッドでは、総人口の推移が掴みにくいので、グラフにしました。なお、年齢層により色を変えましたが、見やすくするために、65歳と25歳の境界に線を引きました。

Poulation2010d

次のグラフは、パーセントで表示したものです。65歳以上の人は、現在総人口の23%ですが、2050年には、40%になります。25歳から65歳までの人は、現在総人口の54%ですが、2050年には44%に減少します。この25歳から65歳までの人が、それ以下とそれ以上の年齢層を支えるのだとしたら、23%の負担増となります。逆に現在65歳リタイアーとすれば、2050年には75歳リタイアーにする必要があるのかも知れません。

Poulation2010e

今回の医療費予測は、インフレも何も考慮していません。そして、本当は介護に要する費用も考える必要があるはずです。老老介護はあたりまえ。痴呆症・痴呆症介護をどのようにサポートしていくかを将来は考えることになるのではと思います。

次は、医療費国際比較をしてみようかと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年1月25日 (月)

小沢幹事長問題の本質

報道は、民主党小沢幹事長問題で、にぎわっていますが、政治資金収支報告書の記載や会計処理ではなく、法人や組合等(解散した政党も含め)からの政治資金問題であり、それとともに政党助成金の問題であると思います。

1) 米国1月21日最高裁判決

米国を賑わせている最高裁判決が1月21日にありました。

読売 1月23日 選挙広告への支出制限、米最高裁が違憲判決

判決文は、ここにあり、183ページもあり、相当長い文章です。事件は、Citizens UnitedというNPOが現国務長官ヒラリー・クリントン氏の民主党予備選に関する反対キャンペーンのドキュメンタリー・ビデオを作成し2008年1月に公開しようとしました。そこで、2007年12月に連邦選挙委員会(Federal Election Commission)に申請し、法廷(District Court)でも争われたが、公開は、「政治資金規正に関する連邦法が、企業および団体が一般会計からの選挙広告への資金支出を禁じている」ことに抵触するとして、認められませんでした。

このことが最高裁まで争われていたのですが、最高裁は5対4で意見が分かれたが、企業および団体が一般会計からの選挙広告への資金支出禁止が憲法違反としました。判決文は長く、しかも米国の政治資金規正に関連する法も知らないと理解に苦労するのですが、こんな感じの判決と思います。

2) NY Timesの社説

ここにNew York Timesの1月21日の社説The Court’s Blow to Democracyがありますが、この最高裁判決に対しては、厳しく非難をしています。例えば、次のような文章があります。

The founders of this nation warned about the dangers of corporate influence. The Constitution they wrote mentions many things and assigns them rights and protections — the people, militias, the press, religions. But it does not mention corporations.

<参考訳>合衆国の創設者達は企業による影響の危険性を知っていた。彼らが書いた憲法は、国民、民兵、出版、宗教等についての権利や保護に関して多くのことを定めた。しかし、企業に関しては何も定めなかった。

The majority also makes the nonsensical claim that, unlike campaign contributions, which are still prohibited, independent expenditures by corporations “do not give rise to corruption or the appearance of corruption.” If Wall Street bankers told members of Congress that they would spend millions of dollars to defeat anyone who opposed their bailout, and then did so, it would certainly look corrupt.

<参考訳>最高裁の多数意見は、大きな間違いを犯している。企業による選挙資金協力(現状では禁止されているが)は、汚職・贈収賄に繋がるわけではないと言っている。しかし、ウォールストリートのバンカーが銀行救済法案に反対する議員を排除すべく巨額の政治資金を拠出するとすれば、それは汚職・贈収賄以外に何ものでもないはずである。

NY Timesの社説は、正しいことを述べていると思います。なお、米国の政治資金規正では、企業・団体であっても、一般会計とは別に選挙会計を設けて、定められた条件で運用されている選挙会計からの政治資金拠出は認められていると理解します。

3) 日本の政治資金規正

小沢幹事長問題は、政治資金問題であり、企業および団体からの政治資金を禁止しないと解決にならないと思います。民主党は、直ちに企業・団体の政治資金禁止法案を作成すべきです。それができるかどうかが、民主党が価値あるかどうかの分かれ目と思います。労働組合からの資金協力が欲しければ、組合費からの資金協力ではなく、組合が別途とりまとめた個人の献金を受領すればよいのです。

ついでに言えば、政党助成金は廃止し、議員個人に対する支援にすべきです。政党助成金と小選挙区により政党のボスの権力は大きくなり、独裁政治がはびこる気がします。民主党が言うような比例定数削減には大反対をします。

報道は、民主党小沢幹事長問題で、にぎわっていますが、政治資金収支報告書の記載や会計処理ではなく、法人や組合等(解散した政党も含め)からの政治資金問題であり、それとともに政党助成金の問題であると思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年1月21日 (木)

医療、医療費、医療保険を考える(その3)

今回は、医療費は下がっているとの分析を書きます。

1) 年齢別医療費

高齢になればなるほど、病気になるし、何らかの病で死に至るとすれば、死の直前には医療費がかさみます。従い、高齢になるほど医療費が増加するのは感覚的に分かります。今回も、厚生労働省の医療保険行政のための基礎資料を使って分析します。このページ -平成20年度 医療費の動向- からDownloadした資料です。

次のグラフが、2007年度の医療費の年齢階級別の1年間の医療費です。

Health201012a

若い時は、病気をしないが、高齢になると、医療費がかかることをグラフは表しています。これで、今回の私の医療費に関する分析は、半分以上を終わったようなものです。1月19日の医療、医療費、医療保険を考える(その2)では、医療費総額が増加を続けていると書きましたが、その原因は高齢者社会になっているからなのです。

医療費は、負担をする世代と支出する世代が、まるで逆なのです。保険料を払って貯蓄をし高齢に備えると言えるし、働く世代が高齢者を支える相互扶助の世界とも言えます。12月9日には、川崎協同病院事件医師有罪確定で尊厳死に関連することを書きました。尊厳死を認めず、人工呼吸器を全員が使用して、脳死を向かえるようになれば、上のグラフの数字ではなく、天文学的数字になるでしょう。そんな簡単に割り切れる問題ではないのですが、いろいろと考えることが必要だと思います。

2) 1997年からの推移

1997年からの年齢階級別の一人あたり医療費推移をグラフにしました。1999年をピークに減少しています。推移の状態を見やすくするために、折れ線グラフにしたのがその下の図です。

Health201012b

Health201012c

3) 年齢別人口と医療費

年齢別人口と年齢別医療費を比べてみます。次の図の上が人口で、下が医療費です。それぞれの年齢階級の色は、上も下も同じにしてあります。人口では、65歳以上は22.6%ですが、医療費では52.0%になります。65歳を定年だとすれば、医療費は半分以上を定年後に支出するのです。(勿論、個人差があり、平均の話ですが、傾向としては、正しいのです。)

Health201012d

ちなみに、後期高齢者の75歳で線を引くと、75歳は人口では10.7%ですが、医療費では29.6%です。後期高齢者医療制度の恐ろしさは、ここにあるのです。次回に分析をしようと思いますが、高齢化が益々進むことから、後期高齢者医療制度は制度維持が困難となるはずです。その点を無視して、後期高齢者医療制度を、根拠もなく長寿医療制度と読み替えることを提唱した人がいました。しかし、実態は、高齢者姥捨山制度かもしれません。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2010年1月19日 (火)

医療、医療費、医療保険を考える(その2)

厚生労働省が、医療費の動向を発表しています。様々な表がこのページからダウンロードできます。そこで、これらの資料も使って、現状を見ることとします。

先ずは、1970年以降の医療費の推移です。ここで言う医療費とは、個人が医療機関と薬局に支払った金額及び保険で支払われた金額の合計です。

Health20101a

35兆円ですから、すごい金額です。例えば、防衛費は5兆円ですから、医療費はその7倍です。それで、これが医療費の全てかというと、この厚生労働省の資料は、医療保険に関する審査支払業務において集まる医療費情報を集約し、医療費の動向を把握し、医療保険行政のための基礎資料を得ることを目的として、作成されているので、例えば自由診療や差額ベッド代は含まれていません。救急車やドクターヘリの費用も別です。また、介護保険適用の分野も含まれていません。

次に、同じグラフの上に国民総生産GDPと国民所得NNI(要素費用表示)を重ね合わせました。GDPとNNIは、右目盛としています。

Health20101b

1990年からGDP、NNIは水平になり、増加しませんでしたが、医療費は増加を続けています。そこで、今度は、国民総生産GDPと国民所得NNI(要素費用表示)に対する医療費の割合をグラフにしました。GDPに対する割合は、一定の付加価値を生み出すために、医療費としてのコストが幾ら必要かを示します。NNIに対する割合は、個人と法人を併せた総所得のうち、幾らを医療費に費やしているかを示します。

Health20101c

医療費負担が大きくなってきていることが分かります。次に、一人あたりの金額をグラフにしました。なお、1970年からの金額をグラフにしているので、消費者物価指数で2005年基準金額にしたCPIによる調整金額も表示しました。

Health20101d

今回は、これまでで、次回に更に分析をします。単純に考えると、これほど医療費が増加すると、パンクをしてしまう。デフレで苦しい中、医療は合理化ができていないと考えてしまいます。しかし、そう考えるのは、危険な面を含んでいます。何故なら、一面では医療崩壊が存在するからです。マスコミは、たらい回しと報道したりして、患者と医療を対立させることがありますが、表面ではない、根本の部分を見ていかないと誤ります。

また次の分析もお読み下さい。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2010年1月17日 (日)

日本航空株式の株式存続を望む

日本航空は、1月19日に会社更生法の申請を行い、同時に企業再生支援機構が支援を発表すると思います。

日経 1月15日 日航、19日に会社更生法申請 同時に支援決定、首相が日程了承

これに関連して、100%減資の可能性があることから、株式市場はストップ安を記録しました。次の1月12日日経ニュースには「企業再生支援機構は100%減資による上場廃止で株主責任を問う姿勢を示しており」とあります。

日経 1月12日 日航株37円、ストップ安で売買成立 7億株超の売り注文残す

次のニュースのように、銀行団に3500億円もの債権放棄を要求するなら、銀行団としては、何故自分達だけが損失を被らざるを得ないのか?、株主が負担して、当然であるとの見解になります。100%減資も3500億円もの債権放棄も企業再生支援機構が言っているのであり、極めて自分勝手な、「支援はしてやるが、損害はおまえ達だ。」との言い分にも思えます。

日経 1月15日 日航向け債権8割強放棄 支援機構、銀行団に提示

日本航空の経営問題は、麻生政権になった頃から、悪化が進み、鳩山政権になったら、いよいよ破綻したという気がします。前原大臣になってから、チーム前原が出てきて、横暴が始まって気がします。航空輸送業の素人が、好き勝手に、かき混ぜている気がします。航空行政をすべき人間が、航空行政ではなく、民間の航空会社の経営に口を出すことは、誤りです。国交省が、日本航空を助けるなら、経営ではなく、行政面で助けるべきです。例えば、運行を中止できない不採算地方路線に対する補助金政策の立案です。あるいは、不必要官僚出向者やOBの引き上げです。勿論、断固として、戦わなかった西松社長に大きな問題はあると思います。報道からは、西松社長は国交省と戦ったのではなく、社員やOBと年金引き下げを戦ったように感じますから。それでは、方向がまるで違います。

「日本航空株式の株式存続を望む」と、何故書いたかというと、このままでは、政治家、国交省、企業再生支援機構(その裏には、政治家や色々な役所もおられると思いますが)の言うなりになってしまう可能性が高いと思ったからです。利用者無視、合理性無視で、安全も無視されるかも知れない。企業として必要なディスクロージャーを行い、多くの利害関係者の監視が行き届くようにして欲しいのです。100%減資を実施すれば、暗闇に入る可能性があると思います。一旦、上場廃止になってもやむを得ないので、将来の上場を目指して健全な経営を行うことが日本航空再生への道と思います。増資をする際に、株式統合が行われても構わない。その時の、株式の価値が、決するのであり、合理的であれば、損得なしのはずです。8400億円の債務超過なんて、関係ありません。何故なら、飛行機の価値を勝手に評価しているだけですから。資産の価値は、持ち主により、使用方法により、変わります。

銀行団から3500億円もの借金棒引きが必要なのでしょうか?日本航空の借入金は長期・短期合計で7000億円です。金を借りて、半分は返さないとする。銀行からすれば、株主はゼロだとなるのが当然だと思います。銀行にもきちんと返し、やがて軌道に乗れば応分のお礼を株主にもするのが、普通だと思います。

やるべきことは、不採算路線からの撤退や、高コストたかり体質の下請けの整理です。例えば、関空は離着陸料が高いので、有名ですが、関空からと成田からロンドンに行くとして、運賃は同じです。当然やるべきことは、関空からの撤退です。国内路線でも、11月で利用率(満席率)が50%に満たなかったのは、羽田ー山形、成田ー中部、伊丹ー三沢、伊丹ー松本、伊丹ー隠岐、伊丹ー屋久島他沢山あります。

私は、安全に乗客を時間通りに輸送する航空輸送業としての任務を果たしていれば、借入金の棒引きも必要がなく、100%減資なんてせずに、多くの人に満足を与える会社として日本航空は存続可能だと思います。最後に、乗客輸送に関するグラフを掲げます。

1番目は、2008年4月から2009年11月までの日本航空の乗客搭乗者数です。2009年6月がボトムでしたが、右肩下がりは解消したと思います。

2010jl1

2番目は、単純な乗客数ではなく、距離をかけ算して合計した数字ですが、ほぼ同じです。

2010jl2

3番目は、座席数に距離を掛けた数字です。減便したり、小さな飛行機にすると、数字が小さくなります。国際線は、減少が続いており、小さな飛行機に切り替えていることが分かります。即ち、合理化は進めています。

2010jl3

最後は、乗客数と距離を掛け合わせた結果の満席率(利用率)です。国際線は、小さな飛行機に切り替えを進めた結果、満席率(利用率)は上昇していることが分かります。マスコミは、政府や、政府の意向を受けた企業再生支援機構の意に沿った報道をします。日本航空社内の、企業努力を評価しようとしません。なぜ、デルタやアメリカンが提携を申し出ているのでしょうか?それなりの魅力があるからです。その魅力を引き出すのが、本当の経営のはずです。そんな方向になっていない気がする面があり、嫌な気になることがあります。

2010jl4

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年1月16日 (土)

医療、医療費、医療保険を考える(その1)

医療と無縁で、常に健康で過ごすことができれば、最高と思います。しかし、人である以上は、時として病になり、現代において医者知らずで、医療無縁で一生を過ごす人は日本には誰もいないと思います。憲法25条1項の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」を推進し、医療を充実することは、私たちの幸福の追求であると思います。

しかし、一方で、医療サービスはタダで維持できず、一定の費用が発生します。1月9日の読売新聞(北海道版)に次の報道がありました。

読売北海道 1月9日 協会けんぽ料率9.4%以上に…月額1500円超アップ

但し、突然の話ではなく、2009年10月20日に読売が次の報道をしていました。

読売 2009年10月20日 協会けんぽ保険料率、9.5%に引き上げ必要

当然ですが、協会けんぽも、保険料率が上がる見込みであると2009年12月21日に発表していました。3月徴収分から実施となっていますが、確定した新規料率が未だ発表されていません。

協会けんぽにおける来年度保険料率の見通しについて

なお、誤解をしてはいけません。9.3%-9.5%と言っているのは、介護保険料を含んでいない保険料であり、介護保険料を含むと、介護保険料も1.50%への引上げとなる見通しとしているので、10.8%-11.0%になります。引き上げ幅は、合計で1.41%なので、年収5百万円の場合は、年7万円であり、これを労使折半なので、個人負担の増加は3.5万円です。

協会けんぽとは、少し前まで政府管掌保険と呼んでいた健康保険で、民間企業で健保組合を結成できていない会社の就業者が加盟する健康保険です。今後、健康保険組合、国民健康保険、共済組合の保険料も保険料率引き上げになる可能性があると思います。

これを機会に医療、医療費や医療保険について、シリーズで考えてみたいと思います。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年1月 9日 (土)

今年の米ドル相場

今年になって最初の営業週が丸1週間過ぎましたが、米ドルの動きはすさまじいものです。Yahoo-USAのチャートは以下です。(クリックで拡大します。)

20101usd 

一番の円高は、5日に90.40円があり、円安は7日に93.65円があったので、差は3.25円。1日の間に1円以上動いたのが、4日、7日、8日の3日間あったのですから、すさまじいと言えます。

次が全て同じ8日の日経ニュースです。

円、93円台半ば 東京市場、対ユーロは133円台後半

首相「為替に言及すべきでない」 財務相、過度の変動で介入示唆

円、93円台半ばで下げ幅縮小 首相発言で買い戻しも

円、92円台半ばに上昇 NYで、米雇用を受け

プロでも読めないのが、為替相場です。個人で、FXなんてされておられる方は、ポジションは極限まで抑えた方がよいと思います。でも、為替は儲けるためにするものではないと思います。やっていて楽しいことより苦しいことが多いですから。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«景気回復へ向けて