2017年4月27日 (木)

減損会計は正しい会計である

変なタイトルになっているが、日経の次の大機小機(ネットでの無料部分は少ないのですが)を読んで、こんなタイトルにしてしまった。

日経 4月26日 大機小機 減損会計の難しさ

いつも大機小機は、鋭い視点で書いていると思うのだが、この記事はピント外れと思ったからである。最も、一般の人や経営者の多くはこのような感覚でおられる人が多いかも知れない。

例えば、次の表現(記事の最期の有料部分)を例に挙げる。

減損は一種の時価会計だ。それも、赤字事業だけを対象とした時価会計である。黒字事業には時価会計は適用されない。会計の保守主義の原則にかなっているが、双方に時価会計が適用されれば、黒字事業を売却して穴埋めに充てる必要はなくなる。

減損と言っているのは、「東芝の決算」という言葉から、この大機小機が始まっている事から、固定資産の減損を指している。しかし、固定資産(有形固定資産のみならず無形固定資産や投資等も含む)の減損は、時価評価ではなく、将来キャッシュフローを評価し、簿価以下の将来キャッシュフローを生まないと判断されれば、期待収益額以上の簿価を維持する事はおかしく、減損を認識する。そもそも、固定資産で長期投資の金融資産以外は時価など存在しない。黒字事業だって、赤字事業だって、時価評価など誰もしない。但し、黒字事業も赤字事業も、全ての事業は将来キャッシュフローを常に予測し、予測結果により改善等を進める。誰もが行う基本中の基本である。

この表現に黒字事業の売却なんてことか書いてある。これも通常は禁じ手である。何故なら、ある事業を何故しているかと言えば、自社がやることが他社よりは利益を出せると確信しているからである。自分がやれば100の利益を生む。しかし、その利益は他社がやれば90とかそれ以下であると皆思っているはずである。東芝が半導体事業を何故売却するかと言えば、東芝にはもはや能力がないからである。能力が本当にあるなら、金融機関を説得したり、半導体部門のみを対象とする社債を発行できるように会社をリストラすれば良いのである。

敗退経営者がそこにいる。この大機小機の発想は、同じような敗退経営者であり、経営から引退せねばならない。

東芝はまもなく消え失せるかも知れない。しかし、この大機小機を読むと、東芝だけではなく、日本の企業の多くに日没が迫っているように思ってしまう。東京オリンピック後の日本大不況で多くの上場会社は消え失せるのでしょうか。

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2017年4月22日 (土)

自衛隊による原発安全対策

続けて原発ですが、朝日の法と経済のジャーナルに次の記事があった。

法と経済のジャーナル 3月30日 日米でこんなに違う原発事故の対応、福島の教訓

米テネシー州メンフィスにある陸軍の物流拠点に電力各社が共同で運営する緊急事態対応センター(National SAFER Response Center)の倉庫があり、24時間以内に全米のすべての原発に緊急時の機器を届けられる体制にしてあるとのこと。道路が使えず、ヘリコプターで輸送する場合にも備え、機器はすべて、ヘリの能力に合わせて4トン弱より軽くしてあり、つり上げが容易なように機器の上端部にフックが取り付けられている。

福島第一原発の事故被害を最小限にできた可能性は、事故直後に自衛隊を出動させ、直流電源だけでも復旧にあたることであったと思う。当時の菅直人政権は、自衛隊を全く使わなかった。電源車が原発に向かったものの、避難する車で通行は容易ではなく、役に立たなかった。チェルノブイリ事故では、直ちに軍が駆けつけた。自民党政権でも同じであった可能性はある。

原発事故においては、何があるか分からない。各原発に必要な機材があるから十分であるとせずに、非常事態には何があるか分からず、自衛隊が事故発生と共に直ちに出動し、緊急対応機器を事故現場に輸送できる体制を日本でも構築すべきと考える。原発のみならず、青森県の六ヶ所再処理工場他も視野に入れて、万一福島第一原発事故のような事態が発生しても国民を守る仕組みを構築すべきである。

机上の空論で、安全と判断されれば安全であるとか、運転絶対反対ではなく、安全性を国民が議論できるようにすべきである。

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2017年4月20日 (木)

原子力規制委員会の原発5基廃炉認可は予定取り

原子力規制委員会が4月19日に、4社の原子力発電所計5基の廃炉を認可したとのニュースがあったが、予定通りの発表である。

日経 4月19日 廃炉、次は解体技術確立 三菱重工など連携探る 

何故なら、私の3月14日のブログに、「2015年、2016年に運転を終了した原子力発電所」として、次の表を掲げていた。

Nuclearplant20173a

今回廃炉が認可されたのは、最下行の四国電力伊方1号以外の5基である。四国電力伊方1号は、運転終了が2016年5月であり、手続き上の時間により来年3月頃には原子力規制委員会により正式に廃炉が認可されるはずである。

廃炉と言っても、簡単ではない。廃棄物を捨てる場所がない。かといって、そのまま放置することも危険であり、できない。考え方によっては、バカな物を作ったのである。国土がやたらと広い国だったら、こんな苦労はないと思うのだが。

ところで、原発にミサイルを撃ち込まれたら、どうなるのだろうか?こんなこと今までは、杞憂よりも更に非現実的なことであった。しかし、トランプ政権のシリア巡航ミサイル攻撃があった後は、誰もが、米国による北朝鮮巡航ミサイル攻撃もあるという可能性を認める。何しろ、米国大統領が、あらゆる可能性があると言っているのだから。そして、北朝鮮による報復があり得る。韓国への侵攻。在日米軍基地へのミサイル攻撃。これに、日本の原発ミサイル攻撃が加わったらどうなるのだろうか?

北朝鮮は、そんなことはしないと考えるのは甘過ぎするのではと思う。何故なら、戦前・戦中の日本を考えればよい。特攻(自爆)を実施し、本土決戦をまじめに考えていた人が多く実在したのだから。北朝鮮が狂っているとするなら、戦前・戦中の日本人の状態になっても何らおかしくなく、日本の原発ミサイル攻撃なんて実行するバカがいる可能性がある。

ちなみに、これも3月14日のブログにある表だが、日本には未だこれだけの原発が存在する。

Nuclearplant20173c

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2017年4月 7日 (金)

東芝はやはり会社更生法?

東芝の事は、何度か取り上げたが、やはり会社更生法しか残された道はないのだろうかと思わせる記事です。

ニユースイッチ日刊工業新聞 4月6日 東芝、米LNG事業で損失リスク懸念。決算3回目の延期高まる

東芝のフリーポートLNGについては、私のこのブログ他でも触れた事がある。フリーポートLNGで東芝の1兆円の損失が決まっているわけではない。決まっている事は、米国天然ガス価格と日本を含め世界のLNG価格の価格変動リスクを東芝が負担している事である。もし、これが石油ガスメジャーなら何の心配もない。石油ガスに素人の東芝がリスクを負担している事が問題なのである。

石油ガスの世界はあまりにも恐ろしい世界である。冷酷・悲惨・・・・色々な形容詞が浮かんでくる。東芝が石油ガスの専門家を雇ってハンドリングをすれば、うまく行くかも知れないという考え方があるかも知れない。しかし、そんなことをすれば、完全に破滅である。その専門家の言う事を全て聞かねばならなくなり、最終的には利益を全てその専門家に持って行かれるばかりではなく、本体の利益をも浸食されるばかりか、本体が滅亡するリスクもある。

東芝が会社更生法を申請して管財人による再生を目指す事ができるかであるが、その前提はフリーポートLNG関係を、早くどこかに事業譲渡することである。お金を付けないと無理かも知れない。そうなると、更正法申請後は無理で、早急に現金付きの譲渡をしなければならない(これって、今でも銀行に反対されて無理でしょうか?)。

東芝には技術力はあったし、今もあり、すばらしい技術者が多くおられる。しかし、技術とは100%の世界ではない。90%で賭をして、成功して、事業を拡大していく面がある。そのような観点でWHを取得した。世の中、技術の世界のみで動いているわけではない。企業とは、技術は重要であるが、経営者は全てを適切に見渡し判断する能力が求められるのである。残念ながら、東芝には、そのような真の経営者は存在しなかった。フリーポートLNGも、そのような例である。東芝が再生するには、真の経営者が必要である。東芝の再生とは、企業再生のみならず企業としては消滅しても、有用な技術がどこかで存続し、世界の役に立つ事も含むのである。

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2017年4月 1日 (土)

認知症による自動車事故は無罪 or 有罪

2016年10月28日に横浜市で88歳の男が運転する軽トラックが集団登校中の小学校1年生(田代優君)を死亡させた事故があった。88歳の男は、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)容疑で送検されたが、横浜地裁は不起訴とすることとした。

朝日 3月31日 横浜の小1死亡事故、88歳男性を不起訴 認知症と診断

記事にあるが、父親は次のコメントを発表した。

希望に満ちあふれた人生のすべてを一瞬にして奪い去られ、その運転手の罪を問うことができないという判断は到底納得のできるものではありません。

事故があったのは10月28日午前8時頃。男は前日朝に自宅を軽トラックで出たまま途中で、どこにいるかも分からなくなり、体調も認識できない状態のまま、事故までの約24時間にわたる運転で疲労が蓄積されていたとみられると記事には、無責任男というべきか、キチガイに刃物状態になっていた男の様子が書かれている。精神鑑定の結果、アルツハイマー型認知症につき、無罪という結論。

今回の結論は、検察庁の結論であり、検察庁は有罪・無罪の結論は出せず、刑事事件として裁判所に公訴を提起しないとしたのであるが、検察以外に刑事事件の提起はできず、無罪の結論です。親として納得できないのは当然と思う。88歳の男も、この日突然に症状が出たのではなく、以前からその兆候はあったと思う。そうであれば、24時間もうろうとしたまま運転を続けるのではなく、どこかで誰かに助けを求める事はできたと思う。そのようなことをしなかった責任は重いと考える。

民事の賠償については、どうなったのだろうか。ホフマン方式による逸失利益金額に加え、多額の慰謝料が払われたのだろうか。自動車保険による保険金は払われたと思うがどうなのだろうか。認知症高齢者の横暴を許してはならない。

改正道路交通法が3月12日に施行され、認知症と診断されたドライバーの運転免許を取り消すための手続きが強化された。さて、その結果、免許証の更新が認められなかった高齢者が運転する車の事故に対して、自動車保険は払われるのだろうか?もし、払われるとすれば、何のための制度か分からない。一方、実質無免許運転をする認知症高齢者がいたとして、その高齢者が起こした事故に保険金が払われないのも、何のための保険制度かと思いたくなる。

共和駅構内事件以来認知超高齢者については責任がないのが当然とされ、監督義務者の責任について2016年3月1日の最高裁判決(参考:私のこのブログ)でも責任を問う事の難しさを示した。

こんなことをしていれば、認知症高齢者の隔離のような政策をとらざるを得なくなる。隔離政策はハンセン病に対しての措置を思い起こさせ、そのようなことではない、人として暖かく人間性豊かに過ごしていけるような配慮が必要である。では、どうするかと言えば、私は認知症の人を通常の人と同じように扱う事である。すなわち、刑法39条の心神喪失者や民法714条の責任無能力者には認知症は該当しないとするのである。認知症になれば、すべて分からなくなるのではない。周りの人たちのサポートを受けて、自動車運転であれば、どう対処するか個別に自らが決めていくのである。万一事故を起こした時は、一般の人と同じように刑事罰を受け、損害賠償をするのである。賠償金が払えなければ、自己破産をする。普通に社会のルールを適用するのが良いように思うのである。

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2017年3月31日 (金)

東芝の将来は極めて厳しい

東芝綱川社長は「債務超過を解消し全力で上場廃止を回避する」と述べておられる。

日経 3月30日 東芝「上場維持に全力」 総会、株主の不満噴出

しかし、東芝の将来は極めて厳しいと思う。半導体メモリー分社の結果は、当面の利益計上とキャッシュフロー手当にはなるが、将来の利益とキャッシュフローの源泉を失うこととなる。

思えば、東芝のWH問題をブログで書いたのは2015年11月20日でこのブログであった。当時の私の損失予想は、WH株式の購入推定価格6,210億円に近い6000億円としていた。やはり甘かった。現在の東芝の予想が1兆円を超えているなら、最終損失予想2兆円でもおかしくはないのかも知れない。何故ならWHのチャプター11の適用で、WHが無くなるわけでも、東芝が負担している契約や保証履行義務を含む債務が消滅する訳ではないのだから。

日本国内の原子力について言えば、現在この表の通り41,482MWの原発が存在する。今後稼働を再開する原発、停止を続ける原発また廃炉となる原発がある。表中でBWRと書いた原発の約半数を東芝が納入している。メンテナンスや改造・改良そして廃炉については、放射能の危険性があり特殊な技術が要求されることから、通常は供給メーカーの仕事となる。しかし、東芝の場合は、どうだろうか、ユーザーたる電力会社は東芝への発注に不安を抱くし、地元や国民も不安になる。BWRについては、GE日立ニュークリア・エナジーがPWRは三菱重工がとなるように思う。あるいは、東芝が国内の原子力部門をGE日立ニュークリア・エナジーに売却し、同時に重電部門も、どこかに売却する事になるのかも知れない。

この2016年12月29日のブログでは、東芝が取り組んでいる米国のフリーポートLNGプロジェクトにおいても巨額損失の可能性があることを書いた。LNG年間220万トンとは500億円-1000億円という規模である。ガス価格の変動は激しいので、幅が広いのをお許し下さい。しかし、この価格変動こそLNGリスクである。20年間価格変動リスクにさらされるとなると、どうなるか。素人には手を出せないビジネス。そんなビジネスに手を出してしまった東芝と思うのです。

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教育勅語

学校法人森友学園の幼稚園では、教育勅語を園児に暗唱させている動画がYou Tubeにあり一時話題になっていたが、最近は様々な問題が脚光を浴びている。

教育勅語についても考えてみる事が重要であると思う。

1) 勅語とは?

勅とは天皇であり、勅命は天皇の命令であり、勅語とは天皇の言葉である。

明治23年10月30日出されたが、実際には明治天皇が書いたのではない。この文科省のWebにも「教育勅語は、総理大臣山県有朋と芳川文相の責任のもとに起草が進められ・・・」とある。

天皇制とは、天皇という錦の御旗を時の権力者が利用する道具でしかないと考えれば、すっきりする。

2) 戦争の道具

「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」との文章がある。戦争が起これば、天皇のために奉仕しろと読める。

価値観がなっていない。天皇が全てという価値観である。絶対王政とは、このようなものなのかな。人の命は価値がない。天皇しか価値がないと教える宗教かな。

3) 朕惟フニ

教育勅語は「朕惟フニ」で始まる。朕は天皇であり、天皇は以下のように思うなのだから、それで終われば、思想の自由であり、何も問題はない。しかし、実際には、謄本が全国の学校に配付され、天皇・皇后の写真の拝礼と勅語奉読を核とする学校儀式が実施された。

天皇を利用する。天皇の利用が徹底的にされたのが、日本の歴史なのだろうか。

4) 私学

私学はその自主性を持ち、尊重されなければならない。しかし、税金をはじめ公財産を提供することについては、制限があってしかるべきと考える。誰が判断をすべきかは国民であり、そのためには公的な助成が為されている私学については、助成金額・便宜供与金額等とともにその教育内容が公表されるべきと考える。

国公立の学校も私学も寄附金を募る事は自由である。総理から、総理夫人から寄附を受けても問題にすべきではない。総理や総理夫人をして税金をはじめ公財産の提供を受けたのなら問題である。

国公立の学校も私学も寄附金を募る事は自由である。総理から総理夫人から寄附を受けても問題にすべきではない。総理や総理夫人をして税金をはじめ公財産の提供を受けたのなら問題である。

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2017年3月28日 (火)

今度は日立が原子力で650億円の損失を発表

原子力とは恐ろしい世界であります。

日経 3月24日 日立、減損損失650億円 ウラン濃縮技術の開発で

日立による発表は次であります。

2017年3月24日 持分法適用会社に関する損失計上のお知らせ

GEが60%、日立が40%を出資するGE日立ニュークリア・エナジー社が取り組んでいるレーザーを使うウラン濃縮技術の開発・商用化事業に関連しての日立出資割合分の減損損失として約650億円を2017年3月期に損失認識するとの発表です。

GE日立ニュークリア・エナジー社のホームページはここにあり、沸騰水型原子炉のメーカーです。原子力発電所の建設、核燃料の供給、技術サービスと原発のほぼ全てを手がけている。日経記事には「原発建設の停滞や稼働中止などが相次ぎ、事業環境が悪化した。すでに開発事業への投資を凍結し、現在は撤退や売却などの具体的な方法を検討しているという。」との文章もあるが、実際はどうなのでしょうか。

原発ビジネスは、新設プラントは現在ほとんどないが、例えば今後廃炉ビジネスも多く出てくるわけで、日本国内だけでも大きなマーケットである。又、日本なんて未だに核燃料サイクルなんて非現実的かも知れない夢に向けて大金をはたいていく計画が続いている。実は、この方針を転換しても燃料廃棄に大金をつぎ込む。原発ビジネスは、まだまだ続く巨大マーケットです。例えば、この2017年1月3日の発表は、スウェーデンのOskarshamn原発の廃炉を支援する契約をGE日立ニュークリア・エナジーが受注した事を伝えている。

原発ビジネスはなかなか複雑です。なお、日本法人として日立GEニュークリア・エナジーという日立80%出資、GE20%出資の会社がある。この日本法人を国内でのビジネスに利用しているのだと思う。

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2017年3月26日 (日)

九州電力は需要の78%を再生可能エネルギーとは本当か

九州電力は2016年5月4日の午後1時、需要の78%を再生可能エネルギーによる発電を受け入れて系統の安定運用を行ったとの記事が環境保護NGOのWWFジャパンのWebにあった。

WWFジャパンの2017年3月3日の記事 78%の再生可能エネルギーを運用して見せた日本の技術力

にわかには、信じられない数字です。しかし、九州電力の系統運用担当者に取材をしたことが書いてあり、また写真も掲載されている。

日本の電力供給において再生可能エネルギーが占める割合について資源エネルギー庁の電力調査統計を見ると図表1及び図表2の通りである。

Electricitysupply20173a

Electricitysupply20173b

全発電に対して再生可能エネルギーが占める割合は次の図表3の通りとなる。

Electricitysupply20173c_2

WWFの記事が伝える78%とは開きが大きすぎるのである。資源エネルギー庁の統計から再生可能エネルギーとしてピックアップしたのは風力、太陽光、地熱、バイオマスと廃棄物であり、水力は含んでいない。水力を含んだ場合、図表2で再生可能と水力の合計分となり、ほぼ15%~20%となる。一方、この水力には揚水発電や大型水力も含んでいる。なお、資源エネルギー庁の統計には、再生可能エネルギーの固定料金買取制度に係わる統計がある。そこで、図表1の再生可能エネルギーによる発電の内訳と固定料金買取制度による電力買取量合計を示したのが図表4である。

Electricitysupply20173d

固定料金買取電力が水力を含まない再生可能エネルギー発電より小さくなっているが、その理由としては、電力会社が保有・運転し買取制度対象外の設備や、石炭火力発電所においての燃料として利用しているバイオマスがあったりする。(このような部分の2重計算は回避するようにして図表を作成している。)

電力調査統計も固定料金買取制度の統計も九州地方のみを対象とした発電内訳のデータが存在しない。但し、固定料金買取制度の統計には発電を開始している再生可能エネルギー発電設備の導入容量のデータある。九州地方の割合を計算したのが図表5である。

Electricitysupply20173e_2

電力調査統計に都道府県別の電力需要統計があり、2016年3月から2016年11月を合計すると全国合計549,787GWhに対して九州7県の合計は54,670GWhであり、9.94%が九州地方の電力消費割合である。一方、再生可能エネルギーの全国に対する割合は19%程度であり、再生可能エネルギーの普及度は九州に於いて高い。全国平均の再生可能エネルギー割合が図表3であるとすると15%から20%が九州地方における割合となる。しかし、バイオマスや廃棄物については全国平均とあまり差はないと思える。一方、地熱発電は九州に多いので、そう簡単でもない。

固定料金買取制度の統計による太陽光発電の発電量は図表6である。図表5の設備割合を用いて、全発電量に占める九州地方の太陽光発電割合を計算した結果である。

Electricitysupply20173f_2

4月から11月の太陽光発電の合計発電量は5,698GWhである。電力調査統計による全国の4月から11月の発電量は641,082GWhであり、この10%が九州地方であるとすると64,108GWhが九州地方の発電量。太陽光発電の割合は8.9%となる。再生可能エネルギー全体では15%程度であるかも知れない。全国平均より高い。しかし、WWFの数字とは未だ差が大きい。

実は、WWFは、2016年5月4日の午後1時という瞬間値の値を発表しているのである。2016年5月4日の刻々と移り変わる発電量は九州電力でんき予報の実績値を見る事により分かる。図表7が2016年5月4日のロードカーブであり、WWFのWebにあるこのグラフと一致する。

Electricitysupply20173g

図表5にあるように九州地方の太陽光発電設備は6,800MWある。これらが平均で70%発電をしたなら4,680MWの出力となる。一方、午後1時の供給に対する必要発電出力は7,440MWであり、太陽光割合は62.9%であり、WWFの説明と一致する。

但し、太陽光発電は日の入りから日の出までは発電をせず、日の出や日の入りに近い時間帯は出力も低い。WWFのグラフの黄色部分が示しているように日中の正午前後に発電が集中する。太陽光発電単独での電気の供給は不可能であり、他の電源やバッテリーとの併用が必要である。他の手段と併用する事により、太陽光発電あるいは風力発電の割合をどこまで増加させる事ができるかが重要な課題である。WWFのグラフには必要発電量を超過している紫部分がある。これは、揚水発電において揚水動力として電力を消費、正確には揚水発電の上ダムに下ダムの水をポンプ・アップして消費した電力である。この水は19時-20時頃に上ダムから下ダムに水を発電目的で流して水力発電として電力供給に使われた。

揚水発電とは、大規模なバッテリーである。ちなみに九州電力の揚水発電所は図表8の通りである。

Electricitysupply20173h

太陽光発電や風力発電は出力変動の大きな電源である。電気は電圧一定、周波数一定で供給されている。発電が刻々と変化する需要に対応しなかった場合、電圧一定、周波数一定が乱れる。家庭に於いて電圧や周波数の乱れに対応できない機器が出るであろうし、工場等に於いては、安全機器の不動作・誤動作その他危険な事態が発生する可能性がある。あるいは、その前に安全装置が起動して、ブレーカーが作動し、停電となることもあるし、大規模停電が更に大きな需給アンバランスを引き起こし、全停電となる恐れもなきにしもあらずと思う。

再生可能エネルギーによる発電の割合を大きくする一つの要素は揚水発電である。しかし、WWFのグラフからして九州地方に於いては太陽光発電もこれ以上の増加はあまり見込めない気がする。全発電量に対しては15%程度が限界なのかも知れない。一方、現在公表されている統計データは少ない。都道府県別の電源別発電量は公表されているが、このデータは事業者の発電のみであり、事業者外の数字は日本全体で一つの数字となっている。又、発電量=消費量・供給量という統計になっていない。発電しても発電所内で消費する所内動力があり、揚水動力、送電損失、配電損失が存在する。2016年3月までは一般電力会社の数字は発表されていた。しかし、電力は自由化されたとの理由かも知れないが、公表されなくなってしまったデータも多いのである。エネルギーや電気の供給を考える上に於いて様々な統計データは欠かせない。多くの統計データの公表を望むのである。

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忖度のススメ

忖度(そんたく)という言葉が、本来の意味から転化して変な意味で使われてマスコミを賑わせている。

例えば3月25日の日経記事の次の安倍首相の発言である。

忖度(そんたく)していないことは明らかだ

安倍首相夫人昭恵氏は、森友学園や籠池氏に便宜供与や利益供与をしていないことは明白であるとの意味で使っている。

忖度を辞書で引くと、「他人の心をおしはかること」とある。

福沢諭吉が書いた「学問の独立」という文書がある。青空文庫ではここにあり、この中で忖度という言葉については次のように使っている。

・・・その原因とは何ぞや。学生にして学問社会に身を寄すべきの地位なきもの、すなわちこれなり。その実例はこれを他に求むるを

須たず、あるいは論者の中にもその身を寄する地位を失わざらんがために説を左し、また、その地位を得たるがために主義を右したることもあらん。これを得て右したる者は、これを失えば、また左すべし。何ぞ現在の左右を論ずるに足らんや。自身にしてかくの如し。他人もまたかくの如くなるべし。伐柯其則不遠、自心をもって他人を忖度すべし。

最期の漢文部分の「伐柯其則不遠」は「えをきるそののりとおからず」と読むのであるが、枝を切るにあたり、その方法は遠い道のりではない(簡単である。)との意味であり、この後に、「自心をもって他人を忖度すべし。」となり、自分の心を理解する事により他人の心も理解できるのであるとの意味に私は捉える。

忖度とは悪い事ではない。良い事である。政治家初めあらゆる者は、忖度をして真に社会が求めるものをつくっていかねばならない。賄賂とは無関係の言葉を歪めて使うのは好きではない。

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2017年3月18日 (土)

GPS捜査についての最高裁判断

最高裁は、車両に使用者らの承諾なく秘かにGPS端末を取り付けて位置情報を検索・把握するGPS捜査の適法性について、令状がなければ行うことのできない処分と解すべきであると判断した。

日経 3月15日 令状なしのGPS捜査「違法」 最高裁が初判断 

判決文はここにあります。

なお、判決は上告棄却であり、有罪と認定した第1審判決は正当であり、それを維持した高裁判決の結論に誤りはないとした。GPS捜査に密接に関連するとまでは認められないとする証拠能力を肯定して有罪と認定した判決であるとした。

GPS捜査については、個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害するものとして、刑訴法上、特別の根拠規定がなければ許容されない強制の処分に当たるとともに、一般的には、現行犯人逮捕等の令状を要しないものとされている処分と同視すべき事情があると認めるのも困難であるから、令状がなければ行うことのできない処分と解すべきであるとした。

憲法第35条には「何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第33条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。 」とある。

産経は3月16日の主張は「GPS捜査 最高裁の判断に疑義あり」と書いていた。最後は「こうした事態を、一体、だれが喜ぶことになるのだろう。」として結んでいる。

最高裁は「GPS捜査が今後も広く用いられ得る有力な捜査手法であるとすれば、その特質に着目して憲法、刑訴法の諸原則に適合する立法的な措置が講じられることが望ましい。」とした。

GPS捜査は有効と思われる。犯罪者側は、高度なIT技術を使う等して、捜査側の上手を行くと思う。捜査側がGPS捜査を使えないなら、ハンディキャップが大きすぎるように思える。しかし、逆に捜査側は巨大な力を持つ可能性がある政府権力であり、法律により適正にコントロールする事が必要である。司法の頂点である最高裁の判断を踏まえ、行政をコントロールするために、立法機関である国会が適切な仕事を実施するか楽しみである。

なお、今回の話は車に警察がGPS端末を装着する話であった。では、個人が保有するスマホ等からの信号により警察が位置情報を把握する事は、どうなのだろうか?実は総務省のガイドラインに「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」と言うのがある。その第26条1項が次である。

第26条 電気通信事業者は、利用者の同意がある場合、裁判官の発付した令状に従う場合その他の違法性阻却事由がある場合を除いては、位置情報(移動体端末を所持する者の位置を示す情報であって、発信者情報でないものをいう。以下同じ。)を他人に提供しないものとする。

ガイドラインであり、法律ではない。今回の最高裁判断にともなう立法措置の検討の際に電気通信事業の位置情報についても見直されるのだろうか。国民を巻き込んだ大議論が必要と思うのである。

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2017年3月16日 (木)

クレジットカードのネット決済での情報流出

これまでに被害の報告はないというもの恐ろしい事件だと思いました。

日経 3月11日 カード情報67万件流出か 都税サイト、不正アクセス被害

情報が流出した東京都主税局のお知らせは次です。

3月15日 「都税クレジットカードお支払サイト」への不正アクセスに関するお知らせ

このお知らせのページが15日で、利用停止措置を実施したのが10日11時15分、報道発表が3月10日と複雑になっているのは、東京都の関係者も混乱していたからなのでしょうか。(もっとも、報道発表資料の方が詳しく、情報流出の可能性は2015年4月1日から2017年3月9日23時53分までのサイト利用者のクレジットカード情報としてカード番号、カード・ブランド、有効期限が流出。合計67万6290件(うち61万4629件はメールアドレスを含む)とある。)

東京都税の指定代理納付者となっているトヨタファイナンス(株)(ホームページはここ)とはトヨタ自動車(株)の100%子会社であるトヨタファイナンシャルサービス(株)の100%子会社と言うわけで、トヨタ自動車(株)の100%孫会社であります。実際にソフトを開発したのはGMOペイメントゲートウェイ(株)(ホームページはここ)であります。

情報流出の原因はGMOペイメントゲートウェイ(株)が利用したプログラムApache Struts2 の脆弱性にあったとのことです。Apache Struts2とは、APACHE Software Foundation(ホームページはここ)が提供している無償で利用できるオープン・ソース・プログラムです。

Apache Struts2の脆弱性については、GMOペイメントゲートウェイ(株)が3月9日の独立行政法人情報処理推進機構による発表・注意喚起により知る事となり、直ちに調査を開始して情報流出が判明した。

もし損害が発生したら、誰が最終的に責任をとるのでしょうか。Apache Struts2がオープン・ソース・プログラムなら、APACHE Software Foundationには責任はないと考える。クレジットカードのネット決済は、現代社会ならびに将来の社会において、なくてはならない存在です。安心してクレジットカードのネット決済が実施できるようにしないといけない。カード会社は(これは三菱UFJニコスですが)オンライン取引での不正利用であっても損害の補償をする。但し、不正利用がないか気をつけておく必要があると思うし、今回のケースのような場合は可能性があるカード情報は判明しているので、カード会社が新しいカードを発行すると思う。

しかし、カード会社は損害賠償権を持つ。今回の場合、東京都か、トヨタファイナンス(株)か、GMOペイメントゲートウェイ(株)か、どこに対して万一の場合、損害賠償を求めるか。また、この業者、このソフト会社についてはネット決済を認めないとすることもあり得ると思う。そのようにしてネット決済も進歩していくのだろうと思う。

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2017年3月14日 (火)

原発ゼロについての一つの考察

民進党の定期党大会に関するニュースに接すると、原発問題はイデオロギー論争となっているように感じる。本当は、幅広い見地からの検討や議論が必要であり、科学的見地、技術的見地、経済的見地、社会的見地等からの研究・検討結果を基に、正しい判断を下すべきと考える。絶対的な安全はあり得ないのは事実である。しかし、それは原発のみならず全てにあてはまる。幸いなことに死傷者は出なかったが、アスクルの倉庫火災も何日も継続するような可能性は想定されていなかったと思う。

私は、原発に関して、幅広い科学的見地での議論を行い、リスクを負担し便益を享受する国民が決定に参加すべきと考える。原発ゼロを唱えれば、選挙に勝てると、政治家がポピュリズムに走る事は、世界的な流行かも知れないが、国民は自分の事を自分で考え、自分で判断すべきである。そのためには、関係する多くの情報や研究・検討結果が発表・公表されなければならないが、私のブログもたいした情報ではないが、少しでもお役にでも立つなら、喜ばしい限りである。

1) 原子炉の運転期間

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(原子炉等規制法)の第43条の3の22に次の条項がある。

第43条の3の32 発電用原子炉設置者がその設置した発電用原子炉を運転することができる期間は、当該発電用原子炉の設置の工事について最初に第四十三条の三の十一第一項の検査に合格した日から起算して四十年とする。
   前項の期間は、その満了に際し、原子力規制委員会の認可を受けて、一回に限り延長することができる
   前項の規定により延長する期間は、二十年を超えない期間であつて政令で定める期間を超えることができない。
 --省略---

すなわち商業運転開始日より40年間が運転期間であり、1回限りとしてこの延長が認められる。

2015年あるいは2016年に運転を停止し、撤去の段階に入った原発が6つある。それらは、次の図表1の原発である。

Nuclearplant20173a

2) 40年ルールで運転を停止したならば

新規原発を建設しないという前提で考えた場合は、次の図表2が今後の稼働可能な原発の設備容量合計となる。原発は安全性を第一に運転する必要があり、この図表1は最大であり、実際に運転中の原発は、補修や燃料交換を含め停止している期間があり、この数字通りとはならない。

Nuclearplant20173b

図表2を作成するにあたり使用した各原発のデータは図表3の通りである。なお、運転開始日の古い順から並べている。(形式のPWRは加圧水型。BWRは沸騰水型。)

2030年になると1990年以前の原発が40年を経過するので、図表3では柏崎刈羽2号、3号が丁度40年となる。40年で延長が認められない場合は、2050年には原発はなくなる。

原子炉等規制法第43条の3の22の最長20年の延長をする場合には、多少様子が変わる事が図表2から分かる。

なお、現在建設中の原発がある。電源開発の大間1・2号機、中国電力の島根3号と東京電力の東通1号であり、これら4基の合計出力は5,524MWであり、これら建設中を含めると図表2のグラフは5,524MW分上方向にシフトされる。

原発の撤去、廃炉と言っても、図表1に記載したように30年-40年を要する作業である。図表3にある関西電力の3原発は40年を経過した。これから40年を超える原発が次々に出てくる。40年を単純に適用するのではなく、検査・調査・審査し判断すべきであるが、地元の人々や多くの国民も方針決定には参加すべきと考える。

Nuclearplant20173c

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2017年3月 8日 (水)

金正男殺害の目的

ぶっそうなブログタイトルを付けて、我ながら嫌な気分になる。次のニュースに接すると悲しくなる。

日経 3月8日 正男氏息子か ネットに動画 「父が殺された」 

投稿されたネット動画は簡単には発見できなかったが、その動画をニュースの中で再生しているYou Tubeサイトは多く見つかった。例えば、次のYou Tubeサイトである。(日経のWebにも動画が張られている。)

2017 - Intl' - South Korea's Intelligency Agency Confirms Kim Han Sol is Safe after Dad's Murder -

恐ろしい事件である。顔にVXを発生させる物質を塗りつけて、殺害する。塗られた瞬間は何が起こったか分からず、しかも10分以上経過してVXが体に回り死んでいく。北朝鮮政府あるいは政府機関が関与している事件と考えられる。

1) 2人の女をして金正男に何を塗りつけたのか

VXとマレーシア政府は発表したが、VXは常温では気体であり、このWikiによれば液体になるのは零下50度Cである。(最も、この英語のWikiには零下3.9度Cとある。)使われたのは、おそらく、VXの化合物であり、VXが少しすると発生し、塗りつけた相手にのみに作用するという化学物質と思われる。それでも、2人の女やあるいは金正男が駆け込んだ空港救護所の人たちには、大きな被害を与えなかったようであり、狙った相手を確実に殺せる化学物質を使ったと思う。

2) 北朝鮮犯行グループの狙い

金正男の殺害はVX化合物のデモンストレーションであり、殺害に使用したこのVX化合物を販売し、金を得る計画による犯行の可能性が高いと私は思うのである。誰に売るかと言えば、例えばISIS(イスラム国)やテロリスト、反政府武闘勢力等である。このVX化合物の威力は、多分ほんの少量で狙った相手を殺害可能であり、警備をかいくぐりやすい。その相手のみを殺す事ができる。クアラルンプール空港での殺害は、VX化合物の威力を誇示する目的で実施した。金正男という邪魔者を殺す事もあっただろうが、兵器の宣伝効果に、より期待したのかも知れないと思う。

犯行グループと書いたが、金正恩まで巻き込んでの政府全体が実行しているのか、あるいは特定の幾つかの北朝鮮政府機関のみなのか、北朝鮮の制度や仕組みが分かっておらず、何とも言いようがない。普通であれば、政府機関の中にも、牽制をする機関もあるし、トップまで巻き込んだ政府全体による意志決定であるなら、情報のリークはあると思える。現状よく分からない。

2001年12月に九州南西海域不審船事件というのがあり、海上保安庁の巡視船による銃撃結果、自爆沈没した。不審船は2002年9月に引き上げられ、横浜の海上保安資料館にて展示されている(ここ)。見学に訪れた事があるが、すごい船である。30m足らずの船体に1100馬力のエンジンが4基あり、更に11.2mの300馬力エンジン3基を搭載したボートが船体にすっぽりと格納している。まさに工作船である。引き上げられた船体に残されていた証拠物等から北朝鮮国籍の船と判断された。日本の暴力団組織を相手とする覚醒剤取引にも使用されたと推定される。

考えればVX化合物も日本の暴力団に高値で売れる可能性がある。手荷物に紛れ込ませる方法で簡単・容易に密輸することができるなら北朝鮮組織にとり金を生む物質である。

3) 北朝鮮という国

恐ろしい国だと思う。金正恩が絶対権力を持つ独裁国家と思っている人も多くいる。しかし、そんな単純な構造ではないかも知れない。金正恩は人形であり、これを操っている黒幕がいて、黒幕同士も権力争いをしているという複雑な姿だったらどうなのだろうか?日本だって、幕末を含め同じような状態が多くあったと思う。南スーダンを初め、世界には内乱が続いている国があり、破綻状態の国が多くある。それらを正常な状態に戻すのは並大抵の事ではない。利益を失う者は必ず抵抗をするし、権力を握った者は、その権力で甘い汁を吸い続けようとする。でも何時の日か、革命があろうがなかろうが、変化は訪れると思う。北朝鮮の場合、それは国の中からなのか、中国の力からか、韓国の同胞の連帯からか、何かは分からないが、なにがしか変化する事はあると思う。

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2017年3月 3日 (金)

日本人とは環境破壊に関心がないのだろうか

次の朝日の記事を読むと日本人とは環境に無頓着なのだろうかと思ってしまいます。

朝日 3月2日 小型火力、迫られる環境評価 原発事故で計画増 アセス対象外、住民不安

実は、1年以上前の2015年11月25日に小規模石炭火力の問題点というブログ(これ)を書いたことがある。出力112.5MW未満の火力発電所の建設は環境影響評価(アセスメント)の対象となっておらず問題であると書いたのです。1年以上前と今と全く変わっていない。気候変動による気温上昇を2℃以下に抑えるパリ協定が昨年11月4日に発効したが、日本は環境対策に無頓着と思える。

1000MW級のような大型石炭火力発電でもCO2排出量はkWhあたり800g弱である。一方、LNG火力の主力であるガスタービンコンバインドサイクルの大型発電所のCO2排出量はkWhあたり400g弱であるので、石炭火力のほぼ半分である。小規模石炭火力は、大型と比較すると、やはり熱効率は悪く、環境対策への投資額も小さくならざるを得ず、問題が多い。そのような傾向にあるにも拘わらず、野放しであることは、日本人とは環境に無頓着なのだと思う。

この信毎ニュース 2月11日は、上田市が、太陽光発電設備の設置事業者を対象とした市独自のガイドライン(指針)案をまとめ、防災や景観、環境面の影響を考慮し、「立地を避けるべきエリア」などを明示したことを伝えている。太陽光発電設備も、設置場所や設置方法が悪ければ、環境に悪影響を与える。残念なのは、上田市の取組は強制力を持つ事ができない。国会が唯一の立法機関であり、上田市は事業者の自主的取り組みを促すことしかできない。

112.5MW未満の火力発電所についても、太陽光発電所についても、法律の抜け穴で悪徳業者が環境破壊をすることを許すような現状を変えていかないと、日本の環境破壊は進むばかりと思う。

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