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2007年1月10日 (水)

今年の展望-三角合併解禁

今年の展望と大きく書き出したのですが、風呂敷を広げすぎで、せめて今年5月1日に解禁となる三角合併について書いてみることとします。いずれにせよ、M&Aが日本でも活発化してくるし、三角合併の解禁に伴い日本のビジネス界も新たな段階に一歩踏み入れる年であると思います。

参考記事として、FujiSankei Business i. 2007/1/4- 外資への買収規制、議論加速 「三角合併」5月解禁で を挙げておきます。

1) 三角合併とは

合併とは、2社以上の会社が一緒になることで、吸収合併(会社法749条~752条)と新設合併(会社法753条~756条)があります。吸収合併の場合は合併当事者企業のうち1社が合併存続会社となり、他の合併当事者企業は合併により消滅し、その合併消滅会社の権利義務は合併の効力発生日に合併存続会社に承継されます。新設合併の場合は、全ての合併当事者企業が消滅会社であり、新設合併設立会社が新設合併消滅会社の権利義務を合併の効力発生日に承継します。

合併存続会社の株主は、間接的には投資先の会社の資産負債が増加したり、株主が増加したりするが、株主としての地位に直接的な変化はないが、合併消滅会社の株主にとっては投資先の会社が消滅するのであり、株券は紙切れになってしまうので、合併存続会社の株式あるいは現金あるいは何らかの対価を取得するのでなければ合併に同意できません。合併消滅会社の株主への対価として合併存続会社の親会社株式が交付される場合を三角合併と読んでいます。

2) 何故三角合併が解禁?

1)の説明で三角合併が特殊だとは感じないと思います。FujiSankei Business i.の様な記事になるのは、商法では、対価が合併存続会社(又は新設合併設立会社の株式)と金銭しか認められていなかったのが、会社法でフレキシビリティーの拡大が図られそれ以外の財産も可能となったからです。但し、フレキシビリティーの拡大部分は会社法附則4で会社法施行から一年間は適用されないこととなっているからです。

続きを読むに商法と会社法の双方の合併契約書の対価に関する部分の条文を入れておきます。又、会社法で今年5月1日に施行となる部分をフォントカラーを別にして示しておきます。

3) 三角合併の手続き

通常の合併と同じ手続きとなります。先ず、合併契約を締結しなくてはいけません。(会社法748条)そして、特別な場合を除いて、合併が実施される効力発生日までに合併消滅会社も合併存続会社も株主総会において合併契約の承認を得なければなりません。(会社法738条、795条)そして、この株主総会の承認は特別決議と呼ばれる議決権の過半数出席による2/3以上の多数決です。(会社法309②十二)

会社法による合併であるので、日本企業同士の合併です。但し、会社法は株式会社どうしのみならず合名会社、合資会社、合同会社といった持分会社との合併もあることとしています。外国の会社との合併はないが、外国の会社が日本に設立した子会社との合併で、この子会社が合併存続会社となり、合併消滅会社の株主が外国の親会社の株式を受領する合併があり得るわけです。

4) 三角合併をどう考えるべきか

FujiSankei Business i.の記事も三角合併脅威論の台頭を紹介していますが、本当に脅威なのでしょうかと思うのです。先ず、合併契約書の調印が行われなければならないのですが、その為には取締役会が合併を決定しなければならず、取締役の過半数が賛成しなければ合併契約書の調印がなされません。但し、TOBなりを仕掛けて過半数の株式を取得して取締役を入れ替えてと行った手段を取れば、考えられなくはないだろうがと思うのですが。

さらに株主総会での2/3以上の特別決議です。外国企業が日本に子会社を設立して、その会社に乗っ取られないかと心配なら、上場しなければ良いのです。或いは、少なくとも1/3の株主は自分たちの思い通りに株主総会で投票してくれる株主に就任して貰えば良いのです。そうすれば、2/3以上の特別決議は成立しません。

しかし、ここまで議論をすると会社は誰のものという議論になると思うのです。社長のものではありません。取締役のものでもありません。資金を拠出した株主のものであるはずで、株主総会が株式会社の最高意志決定機関です。株主総会での2/3以上の特別決議で決定する制度に異論があるとすれば、上場しなければよいのにと思ってしまいます。金は出して欲しいが、口は出して欲しくないなら、借入金にしたり、社債にしたりすれば良いのです。条件が合えば、そんな資金調達も可能です。

5) 今後の展望

合併も多くなってきたと思うのですが、やはり更に増加すると思うのです。私は、特段三角合併に不合理な点は見受けないのですが、実際にどのような形となるのが、実例を見てみる必要もあると思います。

やはり、売れない経営コンサルタントのブログ-日興役員に対する株主代表訴訟で言及した日興コーディアルのベルシステム24の買収方法ですが、非道いと思います。第三者公募でいきなり過半数の株式保有株主となり、数日で2/3以上の株式を取得し、そして数週間後の株主総会で議決権を行使するなんて、既存株主を徹底的に無視した許されないやり方と思います。

商法 会社法     (色字部分が2007年5月1日施行)
第409条  合併ヲ為ス会社ノ一方ガ合併後存続スル場合ニ於テハ合併契約書ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 存続スル会社ガ合併ニ因リ定款ノ変更ヲ為ストキハ其ノ規定
二 存続スル会社ガ合併ニ際シテ発行スル新株ノ総数、種類及数並ニ合併ニ因リテ消滅スル会社ノ株主ニ対スル新株ノ割当ニ関スル事項
三 存続スル会社ノ増加スベキ資本ノ額及準備金ニ関スル事項
四 合併ニ因リテ消滅スル会社ノ株主ニ支払ヲ為スベキ金額ヲ定メタルトキハ其ノ規定
五 各会社ニ於テ第四百八条第一項ノ決議ヲ為スベキ株主総会ノ期日
六 合併ヲ為スベキ時期
七  各会社ガ合併ノ日迄ニ利益ノ配当又ハ第二百九十三条ノ五第一項ノ金銭ノ分配ヲ為ストキハ其ノ限度額
八 存続スル会社ニ付合併ニ際シテ就職スベキ取締役又ハ監査役ヲ定メタルトキハ其ノ規定
九 消滅スル会社ノ株式ニ係ル株券ノ全部又ハ一部ヲ其ノ会社ニ提出スベキモノト為ストキ(第416条第4項ニ規定スル第408条第5項及第6項ノ場合ヲ除ク)ハ其ノ旨
第749条 会社が吸収合併をする場合において、吸収合併後存続する会社(以下この編において「吸収合併存続会社」という。)が株式会社であるときは、吸収合併契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。
 一 株式会社である吸収合併存続会社(以下この編において「吸収合併存続株式会社」という。)及び吸収合併により消滅する会社(以下この編において「吸収合併消滅会社」という。)の商号及び住所
二 吸収合併存続株式会社が吸収合併に際して株式会社である吸収合併消滅会社(以下この編において「吸収合併消滅株式会社」という。)の株主又は持分会社である吸収合併消滅会社(以下この編において「吸収合併消滅持分会社」という。)の社員に対してその株式又は持分に代わる金銭等を交付するときは、当該金銭等についての次に掲げる事項
  イ 当該金銭等が吸収合併存続株式会社の株式であるときは、当該株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法並びに当該吸収合併存続株式会社の資本金及び準備金の額に関する事項
  ロ 当該金銭等が吸収合併存続株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
  ハ 当該金銭等が吸収合併存続株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)であるときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
  ニ 当該金銭等が吸収合併存続株式会社の新株予約権付社債であるときは、当該新株予約権付社債についてのロに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのハに規定する事項
  ホ 当該金銭等が吸収合併存続株式会社の株式等以外の財産であるときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法

 三号、 四号、五号----省略-----
 六 吸収合併がその効力を生ずる日(以下この節において「効力発生日」という。)
2項及び3項 ----省略-----

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