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2007年2月 3日 (土)

日興 ベルシステム24の推理

導入部は一つ前のエントリーです。2年間の連結経常利益の修正額418億円のうち、昨年12月18日の発表分はEB債による修正との日興コーディアル・グループ(NCC)の発表であり、2月1日に発表分は①ベルシステム24(BS24)株式売却益修正と②買収目的会社連結などの2種類としています。買収目的会社連結などが全てBS24以外であったとしても、345億円はBS24の関係となることから、80%以上はBS24関連です。何故、BS24にNCC/NPIは投資をしていったかを推理してみます。

1) BS24の投資目的は

利益を得るためと言ってしまえば、余りにも当たり前ですが、NCC/NPIの投資ですから、電話のコールセンター事業を行って、コールセンター事業の利益によるリターンの利益を目指したのではなく、株式投資と同じように、投資額より高い金額で売り抜けて利益を確保することが目的であったと思います。特別調査委員会の報告書30ページにこんな記載があります。

検討されたストラクチャーには次のようなものがあった。
(イ)即転方式・・・・・即時転売して利益を確保する。
(ロ-1)EB債方式・・9月末にオプション分の時価評価を行い利益を計上する。
(ロ-2)EB債方式・・時価評価が困難な場合は、BS24株式に転換することにより時価評価する
(ハ)合併方式・・・・NPIがNPIHを吸収合併しNPIHの資産(BS24株式)を時価評価して利益を計上する。

(イ)以外は、会計上問題があると思いますが、即時転売も視野に入っていたわけで、所詮NPIが自ら事業経営を行う力や能力があったとは思えません。また、NCC/NPIは中央青山監査法人に対し、NCC/NPIは事業経営を行う意図はもっておらず営業投資であると説明していたはずであり、だからこそ中央青山も連結の対象外として監査報告書を書いたはずです。

2) 期待利益

ヒントとして、報告書資料部分の008ページに連結利益の予想表があります。これを見るとBS24の毎年の経常利益が約270億円程度になっています。有価証券報告書でBS24の平成14年5月、平成15年5月、平成16年5月それぞれの期の経常利益は81億円、 83億円、89億円でした。この期間の株価は15,000円から50,000円程度でした。株価15,000円で経常利益を使用し、PERが同じだとすると毎年の経常利益約270億円は、株価21,877円と計算されます。

第三者公募20,050円、CSKからの購入単価27,000円で、加重平均取得単価は22,011円ですから、ほぼ21,877円に一致します。そして、CSK株価15,000円は、最も安かった時の株価ですから、20,000円であれば、29,170円に相当します。従って、損失の可能性はなしで、おそらくは518億円の利益は堅いというような期待計算をしていたのではと思うのです。518億円も利益が堅いのであれば、180億円ぐらいNCCの連結利益を粉飾するのに使っても許されると言うような感覚ではなかったかと思うのです。なお、518億円の計算は、以下です。

518億円 = (29,170円 - 22,011円) x (5,200,000株[第三者募集] + 2,044,000株[CSK購入])

3) 現実

結果は、厳しかった。実は期待はずれであったと思います。先ず、BS24の2006年2月期の経常利益(連結利益は不明であるため、親会社のみの利益になりますが)64億円でした。利益の増加はほとんどありませんでした。一つは、CSKが独自にコールセンター会社を設立したことにより業務が減少したと想像します。もう一つは、BBコールを取得したのですが、この会社の売上規模がよく分かりません。最も、単体決算故、64億円にどう反映されているかも不明ですが。いずれにせよ、毎年約270億円の経常利益は絵に書いた餅に終わったのであろうと思うのです。

経常利益270億円とならなかった最大の理由は、BBコール取得時にあった新サービス提供のための関連システム構築投資額約590億円を中止したからだと想像します。多分、採算性の見通しがつかなかった。590億円の投資については、このソフトバンクのプレスリリースにあります。NPIHがBS24取得のために支出した合計額は2,391億円です。内訳は、第三者公募1,042億円、CSK551億円、TOB737億円と株式交換61億円です。)そして、590億円の投資を中止したことから、1,320億円を戻してきたのですが、2006年2月の貸借対照表には長期借入金395億円があり、以前の貸借対照表にはなかった科目であることから、NPIが融資、保証している可能性があります。また、BS24は240億円の配当も実施していますが、これも一方でNPIが資金の貸し付けを行って実施した可能性もあります。確実なことは、590億円の投資を中止したことです。

4) 結果の評価

NPIのBS24に対する現在の投資金額と融資金額の合計がよく分かりませんが、NPI/NPIHのBS24に対する投資のうちBS24に資金が渡ったのは、第三者公募の1042億円のみです。そして、BS24からソフトバンクBBに渡った資金が690億円です。150億円は、BS24の資金を使用したとして、NPI/NPIHに戻せた金額は500億円です。総投資額2,391億円から500億円を差し引くと1,891億円となります。少しだけ、株式譲渡をしていることから、投融資合計1800億円と私は想定します。

BS24の売上、利益がほとんど変わっておらず、NPIが投資する前のBS24株式時価総額は今も以前も同じであるとすると、株価25,000円で総額1200億円。30,000円で1444億円となります。投融資合計1800億円との差は、600億円の損失あるいは350億円の損失となります。

このディールの核心部分は、BBコール取得に関連していた新サービス提供のための関連システム構築にあったと思うのです。NCCやNPIにエンジニアがいるわけではない。事業を展開できる経営者もいない。実体としては、日興コーディアル証券としての業務を遂行する人材が中心だと思うのです。2,391億円もの巨額投資を向こう見ずに実行して、結果的に決算数字を粉飾するために使用できたから使用した。そうでもしないと、この失敗投資に向き合えなかった。実は、そんなところではなかったかと思いました。

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コメント

こんにちは

興味深く拝見しました。こちらの記事では、ソフトバンクとGSがらみの内容がかかれておりますが、
http://facta.co.jp/article/200612004.html
本件において、GSやソフトバンクの行為に問題視される点があるとお考えになりますか? 株主なもので、ライブドアの二の舞になるのは非常に困ります。ご意見伺えると幸いです。

投稿: ささみ | 2007年2月10日 (土) 09時30分

ベルシステム24は失敗投資ですか。
ネット上では、
この件に関して所感を記しているブログが幾つか見つかります。
皆同様の考え方をしていて大変興味深いです。
BS24は再上場に向けて動いているようですが、
上場廃止から約三年。
大分かかってますけど、再上場は出来るでしょうか。
ホームページでPLとB/Sは見れますけど、
芳しくはないですよね。

投稿: ベルベル | 2007年2月12日 (月) 22時13分

ついに日興もしびれを切らせて役員交代しましたね。新社長はブーズの人ですし、抜本的に変えそうですが、ご意見いただけませんでしょうか

投稿: bells | 2008年5月28日 (水) 23時24分

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