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2007年3月24日 (土)

向井亜紀さんと高田延彦さん夫妻の代理出産による出生届不受理確定

次のニュースがありました。

読売 3月23日 向井亜紀さんの双子男児、出生届受理を認めず…最高裁

この最高裁の決定は、ここ全文-PDF)にあります。

これに関して書き進めます。

1) 事実関係

向井亜紀さんと高田延彦さん夫妻(以下夫妻とします。)は、米国ネバダ州で夫妻の受精卵を米国人の女性の子宮に入れて、その女性によって出産をして貰い、2003年11月に双子を得ました。夫妻とその女性及び女性の夫(代理夫妻)の間には、生まれた子については夫妻が法律上の父母であり、代理夫妻は子に関する保護権や訪問権等いかなる法的権利又は責任も有しないことなどを内容とする有償の代理出産契約が結ばれていました。ネバダ州の州法は婚姻関係にある夫婦は代理出産契約を締結することができることを認め、権利・義務関係の条文も定めていました。

夫妻は、11月下旬ネバダ州第二司法地方裁判所家事部に対し親子関係確定の申立てをし、同裁判所は、代理夫妻が向井夫妻の子として確定することを望んでいることを確認し、関係書類を精査した後、12月1日代理母から生まれる子らの血縁上及び法律上の実父母が夫妻であることを確認するとともに、出生証明書を作成する関係機関に、夫妻を父母とする出生証明書を準備し発行することの命令を出しました。12月31日付で夫妻は出生証明書を得ました。

2004年1月に夫妻は帰国し1月22日に品川区に出生届けを提出しました。品川区は5月28日、夫妻による出産の事実が認められず、嫡出親子関係が認められないことを理由として、出生届を受理しない旨の処分をしたことを通知しました。夫妻は品川区の処分に対する不服申立てを東京家裁に行い、家裁は申立てを却下し、更に夫妻が東京高裁に不服申し立てをし、高裁は出生届の受理を命じました。そこで、品川区は最高裁に抗告を行い、最高裁は高裁の命令を破棄し、夫妻の申し立てを棄却する決定を行いました。

ネバダ州の出生証明書により、子らの父母を夫妻として品川区が出生届けを受理すべきであるという論拠は次の民事訴訟法118条です。

(外国裁判所の確定判決の効力)
第118条  外国裁判所の確定判決は、次に掲げる要件のすべてを具備する場合に限り、その効力を有する。
一  法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。
二  敗訴の被告が訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達(公示送達その他これに類する送達を除く。)を受けたこと又はこれを受けなかったが応訴したこと。
三  判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。
四  相互の保証があること。

2) 最高裁の判断

最高裁は民事訴訟法118条第3号の我が国の公序良俗に反するとして、夫妻の申し立てを棄却する決定を行いました。即ち、「民法が実親子関係を認めていない者の間にその成立を認める内容の外国裁判所の裁判は、我が国の法秩序の基本原則ないし基本理念と相いれないものであり、民訴法118条3号にいう公の秩序に反するといわなければならない。」と述べています。

日本国内で認められないことが、それを法律で許されている国や地域で行って、その結果を日本国内でも効力があるとできるのかと言う点です。又、補足意見としては、「代理出産が行われている国においては、代理出産した女性が自ら懐胎、出産した子に対して母親としての愛情を抱き、その引渡しを拒絶したり、反対に依頼者が引取りを拒絶するなど、様々な問題が発生しているという現実もある。」、「問題が発生した場合、懐胎、出産した女性、卵子を提供した女性及び子との間の関係が法律上明確に定められていなければ、子の地位が不安定になり、また、関係者の間の紛争を招くことともなって、子の福祉を著しく害することとなるおそれがある。」等々が述べられています。

そして、補足意見の中で「特別養子縁組を成立させる余地は十分にあると考える。」と述べられていますが、私も特別養子縁組がふさわしいと考えます。私の理解では、特別養子縁組は戸籍において「養子」と記載されず「長男・長女」と記載されると思います。

3) やはり愛

最高裁の決定の補足意見にも「子らに対し夫妻が親としての愛情を注ぎその養育に当たっていることについては,疑問の余地はない。」と述べられています。法よりも大事なものが愛であると私は思います。やがて大きくなった子らは、全てを知るでしょう。それで良いと思うのです。その結果、何も変わらないし愛情も当然変わらないものと思います。

最後に、宋 文洲氏が1月25日のNBonlineに書かれた「捨て子の少女の死と、脱・格差社会のもと」と題した記事を紹介します。貧しい、未婚の男性農夫が草むらに捨てられた女の子を拾って育て・・・というお話ですが、愛とは何よりも美しく強いものだと感じ入りました。ここにあります。生きていく上に最も大切なものは愛と思います。

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向井亜紀さんの代理出産問題に、最高裁の判断が出ましたね! この問題は、タレントの向井亜紀さんと元プロレスラーの 高田延彦さん夫妻が、米国での代理出産でもうけた双子の男児の出生届を受理するよう東京都品川区に求めた家事審判で鐔ワ愁鐔 [続きを読む]

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» 向井亜紀、高田延彦夫妻のニュースを見て [★☆Happy Saikology☆★]
理解できません。 古い法律に従った、 時代にそぐわない判決。 実の子どもで、 DNA鑑定をしたら、間違いなく2人の子どものはずなのに、 家族になれないなんて、 おかしいと思いませんか 全然理解できません、納得できません 少年犯罪が続いたとき、 法律が改正... [続きを読む]

受信: 2007年4月12日 (木) 22時44分

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