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2007年3月 2日 (金)

大阪では病院のたらい回し続出

このエントリー名「大阪では病院のたらい回し続出」は、極めて不適切な表現です。でも、もしかしたら近い中に近畿地方・関西圏でこんなニュースが流れるのでは、いや関西圏ではなく日本のどこにでもある現象になったりして。

「病院のたらい回し」という表現が使われたのは、昨年10月17日に報道された奈良県の大淀病院の妊婦が19病院で搬送受入出来ず、亡くなったという報道です。私も、10月20日のエントリー:奈良の妊婦が19病院で搬送受入出来ず10月20日のエントリー:大淀病院事件の続きで取り上げました。

大淀病院の妊婦を受け入れてくれた病院が国立循環器病センターです。この国立循環器病センターの集中治療室(ICU)の5人の医師が3月末で退職するとの報道がありました。

朝日 3月1日 心臓血管外科系ICU医師一斉退職へ 循環器病センター
毎日 3月1日 国立循環器病センター:ICU専属医師5人が一斉退職
産経 3月1日 国循センター、ICU医師が全員退職へ
東京 3月1日 ICUの医師集団で退職 国立循環器病センター

大淀病院の妊婦さんは、昨年8月8日午前0時過ぎ意識不明になり、点滴を投与したが、午前2時頃に医師は大淀病院での治療はリスクが大きすぎるとして、県立医科大学付属病院に受け入れを要請したが、ベッドが満床で受入出来なかった。それから、19病院目の国立循環器病センターが受け入れてくれました。そして、朝の6時頃に妊婦さんは到着し、脳内出血と診断され、緊急手術と帝王切開が実施され男児を出産されました。その後、不幸にも妊婦さんは亡くなられました。この時、国立循環器病センターも受入が出来なかったら、もっと悲しい結果になっていた可能性もあると思います。勿論、この時の奈良県では受入出来ず結局は19病院目となったことは大いに問題です。でも、ICUの5人の医師の退職は、事態を更に悪い方向にしたと思います。

5人が退職する理由は、勤務が過酷であったからと思います。産経の記事には”ベテラン医師2人は辞職の理由を「心身ともに疲れ切った」と説明しているという。”とあります。一方、今後の医療について、東京新聞の記事ですが、”佃龍庶務課長は「診療機能の低下はなく、患者への影響はない」と話している。”と書いてあります。朝日新聞も「同センターは今後、外科医を勤務に組み込むなど態勢を変更し、患者の受け入れに影響が出ないようにするという。」と書いてあります。これらの表現は、センターの対外的な発表として止むを得ずに言っていると私は感じるのです。そう言わないと、「たたかれる」からです。おそらく残った医師の勤務は更に過酷になるのだろうと思うのです。

これは、国立循環器病センターで看護師として働いていた娘の過労死認定を裁判で争っておられる両親の裁判を支援する「看護師・村上優子さんの過労死認定・裁判を支援する会」のホームページです。2月28日の大阪高裁の判決では、過労死と認めなかった大阪地裁の判決が追認されたとなっていますが、ホームページ上の説明では、「三交替で不規則な勤務の上に80時間の残業」との記載があります。病院勤務医の過酷な労働の実体については医師の皆様ほぼ全員が認めておられます。看護師の勤務と比較することが適切ではありませんが、「看護師は3交替勤務であるが、医師は夜勤が入ると連続36時間勤務になります。」と。

話しを、冒頭に戻します。国立循環器病センターにおける医師の勤務実体は過酷であろうと想像します。でも、国立循環器病センターは必要です。そして、この問題は国立循環器病センターに特有な問題ではなく、多くの病院が潜在的に抱えている問題です。現在の実体を放置しておくと、医療を受けられなくなる恐れはないでしょうか?このリスクをどうしますか?厚生労働省は、それほど困らないはずです。医療費削減の結果は、人件費抑制となっていますが、その先に恐ろしいことはないでしょうか?社会が医師を必要とするからには、医師を育てなくてはいけない。

医師は、医師のために存在するのではなく、社会のために存在すると思います。病院という設備があっても医師がいなければ無用の長物である。政治家は票のために、医療費削減と言うでしょうが、中身のことは気にしない恐れがあります。医療崩壊を防ぐために、よーく考えて見ましょう。医療崩壊となっても困らない人達はいます。大金持ちです。2桁ぐらい多いお金を払えば、米国でもどこに行ってでも望む治療を受けられます。

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コメント

看護師も大変なんですね。
私は循環器内科医で、国循と言えば、泣く子も黙る、
って感じの最高峰の病院だったのですが。
そこでこんなんだったら、もう日本の医療は終わりか、って感じなのですが。
全然わかってない人達が多すぎますね。

投稿: Dr. I | 2007年3月 6日 (火) 23時20分

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医師が病院を辞めるって記事は、もう見飽きたかもしれませんが。 今回は、今までと少し違いますねー。 地方の病院の医師とか、比較的都市部だけど、 他にもっと大きな病院があって、替わりになる病院がある。 って所... [続きを読む]

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