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2007年5月 2日 (水)

大淀病院事件の現状について

大淀病院事件について、次の報道がありました。(NHKは、リンクが切れるのが早いので、続きを読むに入れておきます。)

読売ー関西4月29日 奈良・妊婦死亡の診療情報がネット流出
NHKー奈良5月1日 大淀町の妊婦死亡で提訴へ

売れない経営コンサルタントのブログで大淀病院事件については、何回も書いたことから、今回の報道に関連して少し書いてみます。なお、過去に書いたエントリーは、

12月22日ー大淀病院の産科は来年3月末で閉鎖
10月27日-真実の報道-大淀病院事
10月23日-続続々 大淀病院事件
10月20日-大淀病院事件の続き
10月21日-大淀病院事件 (続)
10月20日-奈良の妊婦が19病院で搬送受入出来ず

(1) 周産期医療の崩壊

大淀病院で産科は既に閉鎖しており、ここ(pdf file)に外来診療担当表がありますが、婦人科のみとなっています。私は、大淀病院事件を通じて知ったことは、奈良県の周産期医療(お産に関する医療)の崩壊でした。周産期医療の説明は、この東京都福祉保健局少子社会対策部子ども医療課の説明を見ていただいた方が良いと思います。お産は、無事に終わることが勿論多いのですが、医師の助けを必要とする事態が発生することもあります。そんな時に、母子ともに無事でいられるように医療を受けたいものです。大淀病院事件の高崎実香さんが不幸にも亡くなられたのは、最終的に子癇発作が生じてから6時間後に転送先の病院に到着したことと関係が深いと思う。しかし、その原因は大淀病院の産科医ではなく、奈良県地方の周産期医療体制にあったはずです。

(2) 何のための訴訟提起

何を目指して訴訟を提起されるのだろうか?憎しみでしょうか?訴訟を提起して原告が勝訴できるのでしょうか?勝訴できないからこそ、刑法の秘密漏示を持ち出しているのでしょうか?刑法の秘密漏示とは次の条項です。

134条1項 医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

高崎実香さんの遺族の石川寛俊弁護士は、ここに略歴がありますが、医療過誤事件や薬害訴訟で患者側の弁護士として戦っておられる弁護士です。しかし、この件については、無理筋がありすぎると感じてしまいます。

ここに毎日放送が2006年11月2日に放送した「産婦人科医療のジレンマ」という番組の紹介がありますが、看護記録が映っています。番組ではカルテと言っていたと思いますが。昨年10月17日に最初の報道がありましたが、当時は患者遺族よりの情報に基づいたものばかりで、医療側の言い分は一切報道されませんでした。

医療側には守秘義務を迫り、患者側は根拠がなくても推測を述べることができ、個人情報に属することも自分の情報であるのでカルテであれ看護記録であれ何でも外部に都合良く切り張りして提出できるのだとしたら、恐ろしいことであると思います。

(3) 周産期医療の崩壊防止

周産期医療の崩壊防止は簡単でないと思います。何故なら、ハコモノではないからです。医師、助産士、看護士がいた上でのハコモノですが、医師を育てるのは容易ではないし、周産期医療を行うことが魅力ある仕事でないと誰が産科医になってくれるのでしょうか?

訴訟を提起されれば医師は直接の医療業務以外の仕事が増えてしまう。勿論、医師が医療上での過失を犯した場合には、仕方がないことであり、また訴訟の提起は誰にも認められた権利であるので他人が止めることはできない。

しかし、本当に向かうべきベクトルは違った所にある気がしてならないのです。

大淀町の妊婦死亡で提訴へ(NHK奈良 2007年5月1日)

産科医療の問題点を考えるシンポジウムが大阪・中央区で開かれ去年、大淀町の病院で出産中に容態が急変して亡くなった女性の遺族が同じようなことが繰り返されないよう訴えました。
また遺族の弁護士は担当の医師らに対して損害賠償を求める訴えを起こすことを明らかにしました。

このシンポジウムは妊娠・出産中の医療事故で被害にあったり死亡したりしたと訴えている女性や遺族の団体などが開きました。
この中で去年8月、大淀町の町立大淀病院で出産中に意識不明になり19もの医療機関に受け入れを断られた末に脳内出血で亡くなった高崎実香さん(当時32)の夫の晋輔さん(25)が体験を話しました。
この中で晋輔さんは「陣痛の痛みに伴うよくある失神です、という医師の言葉を信用してこのような結果になり今も 自分を責めています。2度とこのようなことが起こらないよう産科医療の問題点を訴えていきたい」と涙で声を詰まらせながら話していました。
また晋輔さんの弁護士は病院側にどのような落ち度があったかを詳しく検討した上で担当の医師や大淀町に損害賠償を求める訴えを来月中にも起こす方針であることを明らかにしました。

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コメント

>大淀病院事件の高崎実香さんが不幸にも亡くなられたのは、最終的に子癇発作が生じてから6時間後に転送先の病院に到着したことと関係が深いと思う。

インターネット上の情報から言えることは、この産婦は、脳出血の部位からいって、子癇発作直後に転院しても、お亡くなりになった可能性のほうが大です。

>しかし、その原因は大淀病院の産科医ではなく、奈良県地方の周産期医療体制にあったはずです。

奈良県に限らず、全国的に、産科の医療は崩壊直前ではないでしょうか。重症患者を、高次医療機関へ転院さす場合でも、常に受け入れ可能な医療体制を作るには、今の医療政策では不可能です。
お産に限らず医療は、100%安全というわけではありません。しかし、マスコミは、100%安全な医療でないといって、患者や遺族の言い分を錦の御旗にして、医師個人を叩いています。
これでは、日本の医療はすべての科にわたって、崩壊するでしょう。

投稿: 通りすがり | 2007年5月 4日 (金) 16時25分

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