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2007年8月28日 (火)

寄付金を考える

PINEさんのブログで知ったのですが、8月24日大阪高裁で、赤い羽根共同募金などを自治会費に上乗せして強制的に徴収するとした決議は違法だとする判決がありました。朝日と読売の記事を掲げておきます。

朝日 8月25日 募金強制徴収は「違法」、住民が逆転勝訴 大阪高裁
読売 8月24日 募金、自治会費に上乗せ徴収は違法…大阪高裁が逆転判決

寄付とは、寄付行為を行う人が、自分の意志として行うものであり、当然の判決だと思うのですが、一審の大津地裁は強制徴収を認め、原告の請求を棄却していたのです。多分、自治会の総会で決議していたことから、大津地裁は棄却したのでしょうが、自治会の決議の強制力についても私は疑問を持つのですが、寄付金に関して少し書いてみます。

1) 寄付金とは

強制力があっては絶対ならないと思います。見返りがあるかどうかは不明だからです。税は、どこかでなにがしかの見返りが来ているものと思いますが、我々が法として決めたものですから、法に従い強制力が発生して当然です。寄付金は、強制力とは関係なしに、我々が自分の良心に従い拠出するものです。良心は、他人から一切の干渉を受けるものであってはならないと思います。寄付金に対する見返りは、出した人の心に返ってくるものと思うのです。

社会政策は本来政府が実施すべきものと考えますが、政府が万全であるはずがなく、個人の考えと一致するものでもなく、個人が自分の考えで自分のしたいことを実行するのは当然のことと思います。今後の日本社会の発展に寄付金はとても重要だと思います。

2) 税法上の寄付金控除

このニュースで気になったのが、自治会・町内会で寄付金を支出したら寄付金控除が受けられないではないかとの点です。ニュースによれば、赤い羽根共同募金や地元学校への寄付金です。赤い羽根共同募金は、各都道府県にある社会福祉法人の共同募金会が実施しており、地元学校への寄付も市町村への寄付であれば寄付金控除の対象となります。但し、寄付金控除を受けるためには、領収書が必要であり、自治会・町内会で寄付をする場合は、寄付を拠出した個人宛の領収書が発行されないから、寄付金控除は受けられなくなるのではと思ったのです。

なお、寄付金控除とは、所得税法第78条の規定であり、その第1項は次の通りです。

居住者が、各年において、特定寄付金を支出した場合において、第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超えるときは、その超える金額を、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。

  その年中に支出した特定寄付金の額の合計額(当該合計額がその者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の百分の四十に相当する金額を超える場合には、当該百分の四十に相当する金額)

  五千円

即ち、寄付金の年間支出額が所得の40%以内であれば、(寄付金額-5千円)が所得金額から減算されることとなり、年間の寄付金合計が10万円の場合は、9.5万円X税率ですから20%の税率であれば1.9万円所得税が安くなります。得をしたように思えますが、ボランティア活動をしたために10万円収入が少なくなったとしたら、収入減少に対しては税がかかってこないのであり、ボランティア活動の代わりに現金を支出したと考えれば、寄付金控除は当然のことと思います。

所得税法には特定寄付金と書いてあるのですが、それは次のような相手先に対する寄付金です。

  • 国又は地方公共団体に対する寄付金
  • 財務大臣が指定したもの(赤い羽根共同募金等が該当し、昭和40年大蔵省(現財務省)告示第154号第4号による財務大臣の承認を受けた寄附金であると理解します。)
  • 特定公益増進法人に対する寄付金(ここにそのリストが探せます。例えば、日本ユニセフ協会は、ここに入っています。)
  • 認定NPO法人に対する寄付金(関係する税法には、租税特別措置法41条の19と66条の11の2があります。)
  • 3) 地方税では

    7月23日のエントリー 税と年金で所得税と地方税で本当に減税・増税同額であるのかと疑問を書いたのですが、地方税増税でまたごまかされてしまったようです。地方税の所得控除は、地方税34条1項5号の4に規定されており、次の条文です。

    前年中に次に掲げる寄附金を支出し、その支出した寄附金の額の合計額(当該合計額が前年の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の100分の25に相当する金額を超える場合には、当該100分の25に相当する金額)が十万円を超える所得割の納税義務者 その超える金額

     都道府県、市町村又は特別区に対する寄附金(その寄附をした者がその寄附によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除く。)

     社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第113条第2項 に規定する共同募金会(その主たる事務所を当該所得割の納税義務者に係る賦課期日現在における住所所在の道府県内に有するものに限る。)に対する寄附金又は日本赤十字社に対する寄附金(当該所得割の納税義務者に係る賦課期日現在における住所所在の道府県内に事務所を有する日本赤十字社の支部において収納されたものに限る。)で、政令で定めるもの

    10万円を越えなければならず、上限も所得の25%であり、しかも寄付金支出する相手先は市町村と赤い羽根共同募金だけであり、悲しくなってしまいます。豊かな社会を実現する勇気をそぐのが今の政治なのかなと思ってしまいます。地方税も寄付金支出に対して税を戻すのが当然の話だと私は思います。

    4) 蛇足

    ボランティア活動が盛んで、皆が自ら様々な活動に参加し、寄付金を拠出して豊かな社会を、これからは作っていくと思っていました。しかし、世の中はそんなに甘くはないと思わされましたが、本日の朝日 8月28日 「将来不安、3時間しか眠れず」 ネットカフェ難民朝日 8月28日 ネットカフェ難民5400人 4分の1が20代 厚労省を見ました。ネットカフェ難民って増えているようですね。「セーフティーネットの拡充」とか「美しい国」とか言った人がいましたが、ネットカフェ難民のことだったんだとやっと分かりました。

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