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2007年10月13日 (土)

年金着服 これでよいのか舛添大臣

次のニュースについてです。

朝日 10月12日 社保庁 市に代わり、着服の元職員告発 宮城・大崎
NHK 10月12日 18時14分 自治体職員着服 社保庁が告発 (NHKはリンクが早く切れるので、続きを読むに入れておきます。)

着服した金額は28万円余りで、既に弁済されており、着服した市職員は当時懲戒免職になっていると報道されています。元市職員を厚生労働省が宮城社会保険事務局長名で業務上横領の疑いで県警古川署に告発しましたが、これで解決になるのか、これでよいのか疑問を持ちましたので書いてみます。

1) 刑事告発の目的は何か?

この共同47 10月12日 20:10 「告発は自治の侵害」 「告発は自治の侵害」 社保庁に大崎市長が不快感 に「大崎市の伊藤康志市長は12日午後、記者会見し「非常に残念だ。告発の検討を求める国の要請を市が十分検討して見送ったのに、協議しないで告発したことは自治の侵害に当たる」と不快感を示した。」と書かれています。

NHKの記事の中にも、「当時の町長以下7人が減給などの処分を受けている。」と書かれています。

犯罪を犯したならば全て告発し、刑事罰を受けるべきだという考え方があることは、認めます。しかし、告発することで解決するのか、社会が良くなるのか、むしろ相手が真剣に反省をし、弁済され被害が回復されたならば、告発をしない選択もあると私は思います。この事件の場合は、合併前の当時の旧田尻町の町長にも報告が上がり、その結果、弁済が終了しているとして、懲戒免職にとどめ、刑事告発を見送ったが、同時に管理監督責任として町長以下7人が減給などの処分を行いました。

現場であるからこそ、意味がある判断が可能であり、有効な決断を下せたのだと思います。今更、刑事告発をして、どのような意味があるのか?逆に走れば、恐ろしい結果になると思います。即ち、隠し通してしまう体質になることです。

市町村は、こうなると不正が発見されても、社保庁には報告しないことにならないでしょうか?約5000万件の年金記録問題は、当時保険料徴収や事務を行っていた市町村の協力なくしては、解明・解決はいよいよおぼつかなくなると思うのですが。

民間会社だったら、28万円で問題を起こしても悪質でなければ、簡単に刑事告発するなんてならないと思うのです。信用を失墜して、それ以上の損失になることもありえますから。

2) 信用・信頼が重要

信用・信頼が重要と思います。チームプレイとは、何であり、どうあるべきでしょうか?私は、組織で実施する行為であり作業であると考えます。例えば、着服問題であれば、人はそのような誘惑に負けてしまうことは誰にもあるかも知れない。何故しないかと言えば、それをチェックする担当や組織が存在し、見つかる可能性が高いと判断され、露見すれば失うモノの方が大きいからです。管理、監査、照合、チェックと言うのは、一人だけの組織では不可能であり、チームで組織で取り組むから可能です。大崎市・旧田尻町の場合についても、チェックする組織があったから、露見したのではないかと想像します。但し、十分ではなかった。そのことから、7人の減給を決めたのだろうと思います。個人一人の犯罪や過失であれば、その一人が民事賠償を負い、刑事罰を受け、免職となればよいのですから。

それからすると、舛添大臣の次の発言なんて、とんでもないと思います。

読売 9月29日 年金保険料の窓口徴収廃止 「社保庁は信用ならない」

銀行員が(保険料を)ポケットに入れるはずがない。銀行は信用できるが、社保庁は信用ならない。市町村はもっと信用ならない。」とは、大臣がすべき発言とは思えない。銀行員の横領事件なんてよく報道があると思うし、実際には少額であれば、表に出ずに内部だけで処理されていることが、ほとんどだと思います。自分の部下は信頼できないと述べ、その上、市町村の地方公務員の人が聞けば、こんなけしからんことはないと思える発言です。中には、着服する人はいますが、ほとんどの人は自らの仕事に誇りを持ち、正しく仕事をされておられると思います。

着服を防ぐためには、チェック体制の不備を見直すことが、より重要と思います。

舛添大臣は、人気取りのために発言しているのだと思いますが、知能程度を露見しているだけのようにも私には思えます。

3) 厚生労働大臣がすべきこと

厚生労働大臣がすべき重要なことは、余りにも多いと思います。この厚生労働省のWebに昭和36年度から平成16年度までの国民年金保険料の納付率の推移が記載されています。一番高かった昭和51年度は96.4%でしたが、平成16年度は63.6%です。どうするのですか?少なくとも、民主党が言う「基礎年金税方式による解決」については、政府の考えを述べ、反論すべきは、反論すべきです。

国民に対して社保庁職員と地方公務員を馬鹿呼ばわりすることでは、ありません。自らの能力がないから、せめて馬鹿呼ばわりして鬱憤を晴らし、国民の目をそらせておこうかという意図ではないかと疑いを持たれても・・・となります。

10月 2日のエントリー病院経営で、自治体病院のことを書きました。北海道のことですが、次の北海道新聞の記事を見てください。

北海道新聞 10月5日 38病院「診療所に」 道、再編案で方向性

道は四日、道内九十四カ所ある自治体病院のうち三十八病院について、ベッド数が十九床以下となる診療所への規模縮小の検討を求める考えを明らかにした。」と書かれています。10月2日のブログに掲げたグラフでは、北海道は丁度真ん中あたりにありますが、病床数割合は国立5.6%、道立2.6%、市町村立14.8%の合計23.0%です。94カ所のうちの38カ所は40%に相当します。中には、その方が、合理的な場合もあるとは思いますが、医療のレベルを下げたり、医師をより過酷な勤務に追い込んでしまう可能性もあります。

記事には、財政状態との言葉が何度も出てきており、医療のニーズではなく、収支尻を合わせようとするニーズだと思います。そして、何とか辻褄を合わせるために、広域化・拠点病院化しようとしています。結果は、拠点病院に働く医師を過酷な勤務に追い込み、医師が離れる、そして医療が提供できなくなると言う医療崩壊にまっしぐらになる危険性はどうなのでしょうか?医療崩壊については、既に始まっており、加速するだけとの意見もあります。

労働も厚生労働大臣です。低賃金労働者の増加が進んでいると思います。単に、低賃金のみならず、労働条件も悪くなってきていると思います。経済政策については、格差拡大のみを論じることは全体の議論を誤った方向に導くかも知れず、経済政策とは別に、人としての生活権の確保のようなことを厚生労働省がしっかりと打ち立てるべきだと思います。

社会が大きく変わる時、弱者が一番大変である。政治家や権力者は、スケープゴートを立て、人々の目をそらせる。そんな大層なこととは思いませんが。

自治体職員着服 社保庁が告発

告発されたのは、大崎市に合併する前の旧田尻町の町民生活課に勤務していた30代の元職員です。社会保険庁の宮城社会保険事務局によりますと、この元職員は当時窓口で年金保険料の徴収に当たっていましたが、平成12年から13年にかけて10人から受け取った年金保険料28万円余りを着服した業務上横領の疑いが持たれています。12日は社会保険庁の宮城社会保険事務局の年金課長らが大崎市の古川警察署を訪れ、刑事課に告発状を提出し受理されました。この元職員について、大崎市は、すでに懲戒免職となっており、全額を弁済していることや、当時の町長以下7人が減給などの処分を受けていることから、7年の時効を迎えていないのに刑事告発しない方針を表明したのに対し、舛添厚生労働大臣が大崎市に代わって告発することを決めました。年金保険料の着服問題をめぐって、社会保険庁が自治体に代わって刑事告発をしたのは、これが初めてです。ただ、告発した元職員の名前や年齢について、宮城社会保険事務局は「社会的制裁をあらためて求めるものではないため、人権に配慮して必要はないと判断した」として明らかにしませんでした。これについて舛添大臣は、記者団に対し、「原則をきちんと守ったということだ。ほかの市町村についても、告発しなければ、こちらで告発する」と述べ、年金の保険料を着服した職員が死亡している事案を除き、残る6件についても、自治体が告発しない場合は、順次、国が告発していく方針をあらためて示しました。一方、大崎市の伊藤康志市長は「自治体が真剣に検討した結論は尊重してもらえると思っていたが、一方的に告発という手段に出られたことは自治の侵害ではないかと思う。当時の処分も、小さな町の中では刑事罰に等しい厳しいものだったと思っており、理解されず残念だ」と述べました。また、舛添大臣が一連の年金保険料の着服問題で、「市町村は信用できない」などと発言したことについて、「地方に対し偏見を持たれているとしたら失望を感じる。大臣の改革へのやる気は感じるが、地方分権や自治に水を差すことは控えてほしい」と批判しました。

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