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2007年10月 7日 (日)

シティによる日興の株式交換・子会社化

ここに日興コーディアルグループのプレスリリース「(訂正)株式交換についての基本契約書締結に関するお知らせ(PDF) 」があります。1枚目から3枚目が訂正で、2枚目から16枚目が本文です。シティの英文プレスリリースはここにあります。

新聞報道は次の通りでした。

日経金融新聞 10月3日 米シティが日興を完全子会社化 株交換、反対株主は 買い取り請求可能
朝日 10月2日 米シティ、日興を三角合併方式で完全子会社に
読売 10月2日 初の三角合併、米シティが日興コーディアルを完全子会社化
毎日 10月2日日興:三角合併第1号 シティの完全子会社に 上場も廃止
産経MSN 10月2日 シティ、日興を完全子会社化 初の三角合併

思うところを書いてみます。なお、ここで述べるていることは、私個人の見解であって、その見解が正しいことを保証するものではありません。もし、間違いである部分を発見された場合は、ご指摘をお願いしたいと思います。

1) 合併ではなく株式交換

この中で、日経金融新聞以外全て三角合併という言葉を使っていますが、プレスリリースにあるように株式交換です。この三角合併株式交換を図に書いてみました。

200710

日興コーディアルグループ(NCG)は、上場会社であり、67.2%(657,711,277株)の株式はシティグループ・ジャパン・ホールディング(CJH)が保有し、残る32.8%(321,177,972株)が取引先等を含む一般投資家が保有しています。株式交換の結果は、株式交換の効力発生日にCJHと一般株主が行い、一般株主はNCG株式を渡し、CJHの100%株主であるCitiGroup Incの株式(C株)を入手します。結果、一般株主は投資先がNCGからCitiGroupに変わることとなり、一方CJHはNCGの全株を保有することとなります。

図のブルーの線が現在の株保有の線で、一般株主の分がピンクの線に変わります。

合併と異なるところは、合併とは複数の企業が一つになることで、企業の数が減少しますが、株式交換は株式の交換が起こるだけで、企業の数は変化しません。

2) 株主総会による承認と反対株主の買い取り請求

株式交換契約は株主総会で2/3以上により承認されなければなりません。(会社法783条、309条②十二)すでに、CJHが67.2%の株式を保有しているので、結果はミエミエです。反対する株主は、会社法785条による反対株主の株主買い取り請求となりますが、今回提示あった1700円を上回る金額を得ることは困難と思います。何故なら、次のNCGの株価チャートからすれば、1700円で公正(文句は言えない)とされると思いますから。(取締役会は意見書も取得していますし)

2007108603_t

シティがNCG株式の1株1700円でのTOBを発表したのが3月14日でした。チャートでは、発表と同時に1700円に張り付いたのが見れます。そして、つい最近は1400円近くまで下がってきて、再び1700円での株式交換の発表があったので、また1700円近くに上がりました。

株式交換の結果取得するCitiGroup Incの株式(C株)は、次の計算式によります。買い取り請求で支払われる金額は、1700円から手数料相当を差し引いた金額になると私は思うのですが。

CitiGroup Incの株式数=NCG株式数 x 1700円 ÷ C株式価格の円換算値

債権者保護の手続きもあり効力発生日は2008年1月であり、多少時間もあることからC株価格が58ドル以上に上昇または37ドル以下に下落すれば、それぞれを換算値にするとしていますが、10月5日の株価が48.3ドルでしたから、プラス・マイナス20%はあります。26ドルを下回った場合、株式交換取りやめのオプションがCJHに発生するとなっていますが、特に問題はないと思います。ちなみに、CitiGroup Incの株価チャートは以下です。

Sharecchart200710

CitiGroup Incの株式は、東京証券市場にも上場するとしており、株主にとっても特に不都合が生じるとは今のところ思えません。シティに取ってメリットかも知れないと思うのは、端数処理のための支払いや、反対株主の買い取り請求のための支払いを除けば、キャッシュ不要の取引です。即ち、5400億円程度の取引が新規株式を発行により実行されることとなります。結果、CitiGroup Incの普通株発行株式数は2%弱増加する程度です。

3) 税務面の扱い

CJHにとってどうなるかは省略します。

個人株主にとっては、所得税法57条の4 (株式交換等に係る譲渡所得等の特例)に、2007年3月の改正で「株式交換完全親法人の100%親会社の法人の株式」が課税の繰り延べのケースに追加されましたので、とりあえずは非課税です。株式交換完全親法人の100%親会社の法人には外国法人も含まれます。なお将来、CitiGroup Incの株式を売却した時に取得原価がNCGの株式の取得原価を基として売却益を計算することとなります。

CitiGroup Incの株式は上場株式ですからNCG株式となんら変わるところはないし、上場株式の税率50%優遇の租税特別措置法37条の11に規定された期限である2008年12月以降の売却となっても、所詮はNCG株式より不利になることはないでしょう。但し、C株の値動きによる差益・差損はべつですよ。何も起こらないとは言い切れませんので。例えば、メリルリンチですが、ブルームバーグ・ニュース 10月5日 米メリル:7-9月期に評価損50億ドル、6年ぶりの赤字決算にとのニュースもあります。

法人株主の場合は、法人税法2条①十二の十六の適格株式交換に該当することから、簿価による引き継ぎが行われ、課税所得は発生しない。

ところで、いつの間にかというか、当然というか、シティはNCGの投資ルートを変更していたのですね。ここに、TOB完了直後の2007年4月27日のプレスリリースがありますが、TOBによりNCG株を取得したのは、米国デラウェア州のシティグループ・ジャパン・インベスツメントLLCなるCitiGroup Incの米国にある子会社でした。株式交換は双方とも日本の会社でなければ出来ません。それとTOBで取得した株式は56.15%でした。それまでCitiGroup Inc.が保有していたNCG株式4.93%と合わせて61.08%となりました。従い、その後6.12%を買い増ししていたこととなります。TOBを発表した段階から2/3以上を取得し、子会社にする計画であったのだと思います。

税務のことで、一つ付け加えると、反対株主の買い取り請求は、通常の株式譲渡と同じ扱いとなります。端株処理による金銭の受領についても、課税対象ですが、最大でも売却額は7千円にならないはずです。

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