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2008年1月 9日 (水)

日本は”環境で世界をリード”できるか?

”環境で世界をリード”は、福田総理の年頭所感から引用した言葉です。福田総理の年頭所感はここにあります。なかほどに【環境で世界をリード】との表題があります。

年頭所感ですから、豊富を述べ、夢を述べることは重要と思います。一方で、年頭所感を聞くに当たっては、その実現性がどうか、課題や問題点はないかについても考えてみることは必要であると思い、このエントリーを書いています。

1)日本は環境で世界をリードしているのか?

年頭所感にある「日本は、環境・省エネ分野において世界の研究開発のトップを走り続け、環境にやさしい国づくりを進めてきました。」という部分ですが、格好良すぎるのではと感じました。

環境に関連して二酸化炭素(CO2)排出量について調べてみます。CO2排出量については、「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書 (Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate Change)」が余りにも有名です。京都議定書は議定書の附属書Iの締約国("Party included in Annex I" )からのCO2排出量を1990年の5%削減にむけて2008年から2012年の期間内に達成すべく個別締約国の削減値を附属書Bに記載して、その義務を取り決めました。

次のグラフは、国際連合枠組条約事務局(United Nations Framework Convention on Climate Change : UNFCCC)の2007年10月24日付け報告書(National greenhouse gas inventory data for the period 1990–2005)からCO2排出値が大きい10ヶ国を現したものです。

(京都議定書も複雑ですね。もとの条約は「気候変動に関する国際連合枠組条約」であり、1992年5月9日に国連本部で採択され、1994年3月21に発効し、現在までに192ヶ国により批准がされています。京都議定書は、この条約に関する議定書(プロトコール)で、1997年12月11日に採択され、84ヶ国により署名されました。附属書Iの締約国として削減義務を有しているのは、国の数では48でした。京都議定書を、日本は2002年6月に、そしてロシアが2004年11月に批准をして2005年2月16日に発効しました。米国は未だに批准をしておらず、ゴアさんがノーベル賞というのは、最高の皮肉にも思えます。)

CO2排出値の報告書はここに、京都議定書は日本語訳英語版、そして条約は英語版しか見つけられませんでしたがここにあります。

Co21 

各国の棒グラフの上に書いたのは、1990年CO2排出量に対する増加比率です、ドイツは18.4%の減少であり、英国も14.8%の減少。そしてフランスも1.6%ではあるが減少です。一方、ダントツはやはり米国で16.3%も増加しており、1990年より10億トン多くなっていますから、ドイツ1国とほぼ同じ量が増加し、日本の排出量13億トンと比べても余り変わらなかったりします。減少率の義務は、ヨーロッパ諸国が8%で、日本は6%です。

なお、減少率のみを見るとロシアが28.7%減少ですから、率では大きいのです。なお、グラフには11位以下なので現れていませんが、ラトビア、ウクライナ、リトアニア、ベラルーシといった旧ソ連諸国やルーマニア、ポーランド、チェコ、ハンガリーといった東欧諸国は全てマイナスです。ソ連崩壊が1991年12月ですから、1990年というのはその前年の絶好調の時代であり、ソ連崩壊によりソ連諸国や東欧諸国は、どの国もマイナス成長を記録しました。この側面を忘れると誤解が生じます。

次に1990年の排出量を1としてグラフを書いたのが次です。

Co22 

スペインが一番上の線で、一番下がロシアです。今度は、CO2排出効率を見るために、1米ドルのGDPの生産のために何キログラムのCO2を排出したかのグラフを書きました。

Co23_2

今回は、ロシアが最高に悪くて、他の国が下の方に行ったので、ロシアを除く9ヶ国についてのグラフが次です。

Co24_2

日本は、一番下で、最高の効率であったのですが、2005年の数字ではフランスの方が小さいので効率がよいのです。産業構造や様々な要素が関係することから、これだけで論じるのは間違いですが、一つの傾向であり、一つの比較です。

あの米国でさえ、一方的右肩下がりであり、日本は1995年が底で、残念ながら1位ではなく先頭ダンゴ集団の一員です。だから、福田総理の年頭所感にある「日本が持つ世界最先端の技術を各国に広めることで世界に貢献し、大きな役割を果たすことができます。」というのが、むなしく聞こえてきます。GDPの数字は、国連統計局の数字を採用しました。Webはここです。

参考として、灯油・軽油の1リットルの燃焼でCO2発生量は約2.7kgで、ガスの場合は1立方メートルで2.3kg、石炭は1kgを燃焼して2.5kgのCO2といった感じです。

3)中国とインドの参考グラフ

中国とインドの両国は京都議定書の附属書Iの義務を負っている締約国ではありませんが、署名をした締約国です。CO2排出量からすると中国はロシアより多く、米国に次ぐ世界第2位で、インドは日本とドイツの間となる世界第5位です。中国・インドが、これからの世界では大きく関わってくると思います。中国とインドを前の前のグラフに加えたのが次です。

Co25

中国もインドも頑張っています。例えば、中国のバイオガスについてこんな文章(ブログ?)がありました。インドも、バイオマス(マスタードの軸等)を燃料とする発電があります。例えば、これです。バイオエタノールを作るよりはるかに効率的だと思います。バイオエタノールは、バイオエタノールを作るためにCO2を発生し、エネルギーも消費しますから。参考として2007年10月12日のエントリー バイオ燃料

3)日本はどうすべきか?

総理の年頭所感の基本的な部分である、日本は高い技術で生きていこうということについて、私は賛成します。但し、そのためには、世界的に通用する高い技術を持ち続けなくてならない。1米ドルのGDPの生産のためのCO2排出量のグラフを見ても、日本の技術力は、相対的には他国に追いつかれたのではと思うのです。勿論、全てではなくて、ある部分では勝っていて、別の分野では負けているという状態と思います。

恐ろしいのは、実は相対的な高い技術力がなくなってしまう恐れです。その可能性はあると思うのです。高い技術力は、人です。人材育成に、今私たちはどれだけ投資をしているのだろうかと思うからです。国立大学を独立行政法人だとか言って、教育制度を壊していやしないか?若者をワーキングプアだとか格差社会とか言って、教育するのではなく、奴隷として今の社会が扱い、結果的に未来の重要な資産を食いつぶしていないだろうか?

少子化対策とは、「生めよ増やせよ!」として、子供が生まれたらお金をあげましょうとすることではないと思います。幼児が少年、少年が青年になって、未来を切り開き、社会を作っていくそんな社会にすることだと思います。優れた人材が教育に進んで携わり、未来を作る人材が育っていかねばならないのに、社会が教師いじめをしたりしてとても悲しく思います。

ゴアさんのノーベル賞を皮肉と言いましたが、ゴアさんは立派な人だと思います。ブッシュ政権になっても、自分の持論は変えませんでした。教育とは、そのような人材を育成することでもあると思います。点取り虫の風見鶏を大量生産したら、将来は暗いと思います。

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コメント

 日雇い労働や派遣業務では、高い技術力は絶対育ちませんからねえ。若者が高い技術力をつけるのを待ってくれる企業が少なくなって、即戦力ばかり求めているのが現状ですね。

 サッカーのオシム監督が言っていたそうです。「ベテランばかり使っていれば、新人の育つ余地がない。」医療の世界も技術の世界も同様です。ベテランはロートルになり、やがて引退する。その穴を埋める新人育成を、今の日本社会は育てようとしていません。

 ベテランが仕込んだコンピュータさえあればいいってものではないでしょう。

投稿: 山口(産婦人科) | 2008年1月10日 (木) 19時43分

山口(産婦人科)さん

コメントありがとうございます。医療の世界も、その通りと私も思います。私も、ブログでうったえたいと思っています。

投稿: ある経営コンサルタント | 2008年1月11日 (金) 00時18分

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