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2008年3月30日 (日)

イラク戦争と石油

ガソリン・軽油の暫定税率をめぐる国会は、総無責任体制みたいです。しかし、国会議員のみを非難するだけでは済まず、実は多くの国民自身が人ごとのように考えているのではと思うのです。私なら、ガソリン・軽油の暫定税なんかなくしてくれるより、消費税を1%引き下げてくれた方が、よほど嬉しいですが。(消費税を1%を下げての減税額は2兆円程度ですから、ガソリン・軽油の暫定税の方が、金額が大きいがそれでも、消費税の方に魅力を感じます。)

暫定税率をなくしても税がなくなるだけで、石油が安くなるわけではない。イラク戦争も開戦から5年を超え、もしイラクから石油がもっと産出されていたならば、もう少し原油が安かったのではないかと思います。

1) イラクの原油生産量

ご承知の通り、原油の国別比較では埋蔵量でも、生産量でもサウジアラビアが1番です。埋蔵量の順で1番から10番までを並べたのが、次の表です。

  埋蔵量十億バレル 2006年
生産量
埋蔵量/
生産量
2008年2月
生産量
1 サウジアラビア 264 10,859 66.7 9,056
2 イラン 137 4,343 86.7 3,866
3 イラク 115 1,999 157.6 2,328
4 クウェート 102 2,704 102.8 2,550
5 UAE 98 2,969 90.2 2,582
6 ベネズエラ 80 2,824 77.6 2,392
7 ロシア 80 9,769 22.3  
8 リビア 41 1,835 61.9 1,770
9 カザフスタン 40 1,426 76.5  
10 ナイジェリア 36 2,460 40.3 2,062

生産量の単位は、1日あたり千バレルです。イラクは、埋蔵量で第3位ですが、生産量では第8位です。「埋蔵量/生産量」は、埋蔵量を生産量で割った数字を年に換算しており、何年で枯渇するかといった感じです。だから、イラクには増産の可能性ありとの感じです。上記は、BP統計(BP Statistical Report)2007年からの数字です。表の一番右端の2月の生産量はOPECの報告書にあった数字です。イラクも多少増産して、3位以下の国々とほぼ肩を並べた感じです。

イラク戦争とイラクの原油生産の関係はあったのかと言うことで、10年間のイラク原油生産量を描いたのが次のグラフです。

Iraqoilproduction20083_3 

米軍のイラク侵攻が2003年ですから、2003年には少し生産量が落ちています。

2) Financial Timesの記事

3月19日のForbidden fields: Oil groups circle the prize of Iraq’s vast reservesと言う記事で、NBOnlineの5年目のイラク戦争~石油をめぐる攻防は「クライマックス」で知りました。2つの記事とも、無料で読めるのですが、登録が必要かも知れません。

Shell is now negotiating a technical support agreement in which it will be compensated for helping upgrade production of producing fields. ・・・・・・Shell is one of several inter­national oil companies – including BP and the US groups ExxonMobil and Chevron – that have been tapping into Iraq’s oil industry by remote control.

と言うことで、大手国際石油会社は皆さんイラクとビジネスをしておられるようです。当然ですけど。これが本格化するかというと、全く見えてこないというお話です。

2つ問題があり、1つは治安です。命をかけて仕事はできないというか、生産をすることは、根をはやすことであり、通常の会社ならできません。次の問題は、誰が地面の下にある原油の所有者か?です。日本人だったら、イラク人と答えるかも知れませんが、イラクの人からすれば、シーア、スンニ、クルドは全て別の国の人という感覚だと思います。その上、油田は南部のシーア派が住んでいる場所とまだ大量の油田が眠っているという北部のクルド人地区に多くある。しかも、憲法で決着がついておらず、イラクの国内問題が存在する。

時間を要すると思います。焦ったら戦いになるだけと思います。戦っても憎しみが残るだけでしょう。時間が癒してくれるのを待つ。もともと、原油はイラクの人たちの物です。イラクが平和になるまで待てば良いだけと思います。

3) 旧フセイン政権とアルカイダ

このこの3月15日朝日新聞の旧フセイン政権とアルカイダ結ぶ証拠なし 米軍委託報告ですが、記事には「ウェブサイトに掲載する予定も取りやめになった」とかいてありますが、ここにあります。"This study found no "smoking gun" (i.e., direct connection) between Saddam's Iraq and al Qaeda."と書いてありますが、結びつく可能性があったことを否定しているわけではありません。

だから、「戦争をしてよい」とはならないと思います。面白いのは、この2003年3月8日放送のNHKこどもニュースの解説です。

アメリカやイギリスは、イラクが「大量破壊兵器は持っていない」というだけで、ちっともその証拠を示していない、と考えていて、「国連の求めに応えようとしないのだから、イラクを攻撃しよう」と準備を進めています。
 これに対して、フランスやロシア、ドイツなどは、「国連の調査団はイラク国内で調査できているのだから、もっとイラク国内を調べるべきだ」と主張して、アメリカなどのイラク攻撃に反対しています。

4) 福田首相はKYやめてツッパシタラ

何故そんなことを思ったかというと。上のこどもニュースの解説に、当時のブッシュ・ネオコンとお友達であった日本の宰相の言葉を付け加えると面白くなるからです。彼は、変人と呼ばれていたから、さもありなんですが。当時変人の近くにいた人たちが皆、変人と同じことを言っていました。

だから福田首相も、せめて3月初めとかもっと早い時期に道路特定財源は2008年度だけにすると宣言してしまえば良かったかも知れないと思うのです。そうすれば、国民に迷惑はかからなかった。名首相であるよりは、国民のことを本当に思う首相であるべきと思います。変人と同じになる必要はありませんが、あの変人のもつ強引さを少しは持ってアドバルンを上げてることがあっても良いのではと思ったのです。

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コメント

初めまして。表やグラフがあってとても分かりやすく、勉強になりました。もっと考えるようにします。

投稿: 天上 | 2008年3月30日 (日) 04時02分

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