« 福島交通会社更生法を申請 | トップページ | 自衛隊イラク派遣違憲判決 »

2008年4月16日 (水)

光市母子殺害事件についての放送倫理検証委員会報告書

放送倫理検証委員会(BPO)より、15日に放送倫理検証委員会決定 第4号として「光市母子殺害事件の差戻控訴審に関する放送についての意見」が出されました。次のサイトでダウンロードできます。

光市母子殺害事件の差戻控訴審に関する放送についての意見のダウンロードはここ(pdf)

裁判員制度については、来年5月21日施行とする政令案を法務省が公表したとの報道があり、いよいよスタートします。(日経Woman 4月8日 裁判員制度、09年5月21日施行・「初公判」は同7月

昨年の9月6日に光市殺人事件が裁判員制度での裁判であったならと言うエントリーを書いたこともあるし、 9月18日に光市事件に関するもう一つの裁判を書き、その中で、「3) TV局他マスコミの責任」として「果たして、放送倫理・番組向上機構が取り上げるかどうか、分かりませんが、せめてTV局も正しいことを伝えたり、社会の役に立つことを少しはして欲しいと思います。」と書きました。

BPOが取り上げてくれていました。

1) 能力・知識のないTV局

NHK、テレビ東京、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日の番組を調査したとのことで、大阪局が制作した番組もあるはずで、そこまで調査できなかったのは仕方がなかったのだと思います。報告書で厳しいというか当然の意見をBPOは表明しました。

意見書の中の10ページに「V 刑事裁判――その前提的知識の不足」と言う記載があります。次のように書かれていますが、その通りだと思います。

裁判制度に照らして見るとき、本件放送の際立った特徴は次の2点だった。
(1)被告・弁護団に対する反発・批判の激しさ
(2)裁判所・検察官の存在の極端な軽視
前者は、「第1、2審で争わなかった事実問題を、差戻控訴審になって持ち出すのはおかしい」「被害者遺族の無念の思いを踏みにじっている」「弁護団は死刑制度反対のために、この裁判を利用している」等々の反発・批判をさかんに浴びせたことを指す。
多くの番組がそのことだけに終始した、という印象すらある。

結論は、次の文章でしょうか。私は、TV局の人たちは、正しいことを伝える必要性はないとの認識にいるとしか思えないことがあります。即ち、掘り下げて検討をしないことと、自ら多くの人たちに意見を聞いて判断を下さず、視聴率さえ上がれば何をしてもよいというTV局のバカどもです。せめて、弁護士に位は相談して判断を下すべきです。(最も、弁護士も依頼主を守る、即ち銭稼ぎのチャンスをつぶすことは避けねばらないのであり、どのように依頼するかも非常に難しいのですが。)法以上に倫理性が重要とも言えるのであり、本当は良心と言えます。経営が重要ですが、TV局の経営者は良心を悪魔に売り渡したのかも知れませんので。

これらの背景には、番組制作者に刑事裁判の仕組みについての前提的知識が欠けていたか、あるいは知っていても軽視した、という事情があったのではないだろうか。

報告書の15ページに「Ⅵ 被告人報道――いわゆる「素材負け」について」がありますが、様々なことを含んでいる複雑な事件です。例えば、1審、2審がどのような裁判であったのか、全く報道がされていないと思います。差し戻し審で弁護側が触れたので、少し知ることができました。例えば、私は国選弁護士だと思っていたのが、父親が依頼した弁護士であった。実は、父親と被告人そして母親が複雑な関係にある。

報告書の文章ですが、「記者会見やインタビューに応じた被害者遺族を登場させ、いまの被告の供述や、それをしゃべらせた弁護団を非難し、無念や怒りの気持ちを語らせて打ち消す」というのも聞いていて嫌なものです。愛なしで、憎しみだけの世界ですから。

タレント弁護士を初めとして多くのコメンテーターというTV局の提灯持ちもすごく嫌で、この事件は速報にこだわる必要がなかったのですから、せめて一つの局ぐらい正面からどうどうと取り上げて欲しかったと思います。

2) 裁判員制度

裁判員制度についても、TVは余り取り上げようとしていません。「・・・・と言うのがあった。」と報道するのみです。

裁判員制度は光市母子殺害事件より更に難しい素材です。例えば、裁判員制度が何故導入されるのですかという問いに答えようとすると大変なのです。一つは、政府が言っている説明ですが、それだけと考えてよいのでしょうか?

もともとは、民事事件に対して一般の人たちの参加を得ようとした。しかし、経団連等が反対した。そこで、刑事事件にすることにした。裁判官3名と裁判員6名ですから、裁判員の数が多い多数決で無罪、有罪、有罪の場合の量刑を決めるのですが、3名-6名としたのは与野党の国会での妥協の産物だけで理由はない。このようなことを言った人がおられます。

「刑事事件については、裁判官が詳細に調べを行って、裁判官の良心に従って判断が下されることの方がよい。」については、皆様どう考えられますか?

本当は、そんな難しいこともTVは伝えるべきです。お題目だけ唱えるのはある種の宗教で、これでは、TVによりマインドコントロールされてしまう。

|

« 福島交通会社更生法を申請 | トップページ | 自衛隊イラク派遣違憲判決 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/200131/40896492

この記事へのトラックバック一覧です: 光市母子殺害事件についての放送倫理検証委員会報告書:

« 福島交通会社更生法を申請 | トップページ | 自衛隊イラク派遣違憲判決 »