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2008年5月28日 (水)

米GMストライキで2800億円の損失

2800億円の損失は大きいです。ストライキがあったのは、GMではなく一次下請けでプロペラシャフト等を製造している部品メーカAmerican Axle & Manufacturing Holdings(”AML")で、ストライキをしたのはUAW(United Automobile, Aerospace and Agricultural Implement Workers of America)で、2月26日から5月23日まで3ヶ月近く続いたのでした。

いくつかのニュースを掲げます。

日経 5月24日 米GM、部品会社ストが18億ドルの減益要因に・4―6月期
日経 5月17日 GM、操業正常化へ・労使交渉、取引先が暫定合意
共同 5月24日 GM損失2700億円に 部品メーカーストは収拾
IB Times 5月24日 米GM、ストの損失が2,900億円に
Reuter May 23, GM says UAW strikes were $2.8 billion earnings hit

GMもSECに提出した5月22日付のForm 8Kで述べていました。ここにあります。

1) 今の日本でストライキは可能か?

本当に色々なことを思ってしまいます。先ずは、日本はストライキのない国だなと。日本が今活気がないのは、労働組合がストライキを打てる力を喪失てしまったからではないかと。米国のUAWと日本の労働組合を比べるのは違いがありすぎるし、文化や歴史が異なるから比べることは適切ではないと思いますが。

今の日本の格差社会と非正規雇用労働者を生み出した一端は、組合にもあると思うのです。日本の労働組合は、製造業の正規労働者の企業内組合を抜け出せていない。非正規雇用者が低賃金で働かされて、その利益が正規労働者への分配に繋がると同時に、自らの首も絞める。しかし、中国等新興国との競争にもさらされているから、会社と運命共同体の組合も対策が必要であり、そのためには労使協調路線を選んだ。

更に言えば、偉くなっていった人たちは、出世すごろくであがっていったのだから、実は会社の内情も労働者の気持ちも解っている人であり、苦しい中で頑張っているんだから、ストライキまで構えても所詮は、競争相手の会社を利するだけになってしまう。

そんな日本の内情も分かるのですが、余りにもおとなしくなりすぎてしまった日本の労働組合なのかな?三井三池労働争議があったのが1960年ですから、50年近くが経過しました。感傷に浸る必要はないのですが、労働者の夢みたいなことがほとんど消え去ったのかなと思います。むしろ、アメリカ合衆国の方が未だ健在でいるのかなと思う次第です。

5月24日のエントリー日米の経済比較で、サブプライムと騒ぐけれど米国の方が日本より良いではないかとの雰囲気を書きました、それどころかもっと基本的なところで、日本が弱々しくなっており、それに気がつかないでいる恐ろしさがないかと懸念します。

2) ストライキの理由と妥結内容

会社と組合は4年間の契約を締結しており、今年は丁度更改時期にあったのです。このUAW Press Release April 01, 2008 UAW committed to a fair, equitable settlement at American Axle は、AAMが賃下げや人減らしを行うことが必要であることを示す財務データを3月27日にやっと提出し始めたと書いてあります。AAMのFebruary 26 Press Release AAM/UAW Negotiations Update では、業界の平均が時間あたり(20ドルー30ドル)であるのに対し、AAMの人件費は全て込み(医療保険料や厚生年金込み)の70ドルは高すぎると言っています。

妥結内容は、このReuter May 18, 2008 UAW urges adoption of cost-cutting Axle dealこのNY Times May 23, 2008 Auto Parts Workers Approve a Contract にありましたが、最低は時給10ドル(千円)から最高26ドル(2千6百円)で、退職の場合は退職金14万ドル(1千4百万円)です。医療保険や厚生年金は、全額会社負担のはずですから、退職すると、おそらく自己負担となり大変なのだろうと想像します。

3) American Axleの業績

次の表がAMLの最近4年間の業績です。単位は百万ドルで、売上高は約3500億円という感じです。

Axlincome2007

米国だなと思うのは、2007年の役員報酬(株式による受領も全て合わせて)はSECへの提出書類によれば、Co-Founder, Chairman of the Board & Chief Executive OfficerのRichard E. Dauchは$10,175,194、Group Vice President — Finance & Chief Financial OfficerのMichael K. Simonteは$511,241、Vice Chairman & Chief Technology OfficerのYogendra N. Rahangdaleは$1,063,334、Executive Vice President & Chief Operating OfficerのDavid C. Dauchは$752,527でVice President, Chief Administrative Officer & SecretaryのPatrick S. Lancasterが$655,631ですから、5人で13百万ドル(13億円)を超えるわけで、すごい金額です。(金額も大きいですが、日本と異なるのは個人毎の金額が公表されています。)

トヨタ、ホンダに攻め込まれて大変なのですが、カルチャーの違いを感じます。

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