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2008年5月14日 (水)

ニイウスコーの推理

ニイウスコーと言っても、余りご存じないかも知れません。でも、「日本IBMと野村総合研究所(NRI)によって設立されたニイウスは、最先端のハード、アプリケーション、それに高度なSEサービスを組み合わせた事業展開のもと、情報システムを構築するソリューション・プロバイダ」と言えば、どうでしょうか?ITプラス野村の知的ノウハウがたくさん蓄積された素晴らしい会社と思いませんか?

上の会社紹介は、ニイウスコーの代表取締役副社長割方 美奈子氏が日経BP社の「IT業界に就職するための完全ガイドIT業界徹底研究2007年版」のインタビューに答えて同氏が話した言葉です。その記事はここに同氏の写真と共にあります。

ニイウスコーは、実は現在有名会社でして、東証一部上場で(現在東証2部)、架空循環取引が発覚しているIT会社で、4月30日に民事再生手続開始の申立てを行ったことから脚光を浴びています。(申請したのはニイウスコーとその子会社ニイウスですが、このブログの中では合わせてニイウスとします。)関連の記事のリンクをあげておきます。

読売 4月25日 ニイウスコー、循環取引繰り返し300億円過大決算の疑い(リンク切れ?)

Net IB 05月02日 売上水増しの「循環取引」にのめり込んだ日本IBM、野村総研が母体のニイウスコー

私の、日本語の使い方が、乱れているようです。脚光とは、良い意味の場合に使うはずが、失礼いたしました。でも、この会社を見ていくと私の頭では、ついて行けない部分がありすぎまして、そのあたりを書いてみます。

1) IT株は恐ろしい

ニイウスコーの株価は本日304円でした。5月2日に民事再生手続開始決定が出され、認可されるかどうかは不明です。チャートを見ると言葉につまります。

Niws20080513

コンピューター・ソフトって本当に難しいです。例えば、読売 5月12日三菱UFJ システム統合初日に障害といったこともありましたし。IT会社の株なんて、素人が手を出せるような物ではなく、玄人だってダメだったりすると思います。日本IBMや野村総研なんて名前でも、手を出してはならないことを示しているサンプルではないでしょうか?

なお、IT技術者として生きていきたいと考えておられる方々について、私はITは未来を切り開く重要な産業だと思っています。IT産業は今後も続くし、社会にも役に立ちます。でも、投資対象として考えると難しい面がたくさんあると思います。IT技術者の方々の活躍には今後も期待します。

2) 日本IBMと野村総研

現在のニイウスコーの大野 健社長は卒業後すぐに野村総研に入社した野村総研の出身です。行きがかり上そうなったのだと思いますが、私にとっては野村総研がITには、必ずしも直接に結びつきません。

大野 健氏の前任は末貞郁夫氏で、この人は、1992年のニイウスコー設立以来社長を務めていました。(ここで中断。上に上げた読売の記事のリンクが突然切れました。その代わりに、日経IP Proの記事です。IP Pro 2月14日 ニイウスコー、不正取引の疑いで中間決算発表を延期)

ニイウスコーが4月30日に発表した「調査委員会の調査結果概要と当社としての再発防止策について」という文書がここにあります。この中で、架空循環取引が存在したことを認めています。「過去5期にわたる調査とそれに基づく過年度修正の結果、合計56取引、売上金額総額682億円の不適切取引が行われていたこと、当期利益への影響額は277億円であったことが判明しました。」と書かれています。

その原因の一端として「営業部門へは、達成不可能とも思われる高い社内予算を課す代わりに、その達成率に応じて高額な給与またはボーナスの支給を保証してきたことが明らかになっています。その結果、営業担当者らは、不適切な取引によるか否かは別として、目標達成と高額なインセンティブの取得へと邁進してきました。」とも書かれています。

「達成率に応じての高額な給与またはボーナスの支給」とは、IBMの体質そのものと思います。東洋経済 5月13日 惑・ニイウスコーの破綻とIBM、トーマツの影 は「成績優秀な営業マンに海外旅行を与え、業績連動報酬は最高で数千万円にも上った。」と書いています。休暇をくれて夫婦で会社負担での1週間の海外旅行なんてあったら、家に帰ったら女房から「○○さんのように、あなたも頑張りなさい。」と毎日言われたりして。

業績連動給は、恐ろしいです。下手をすると人間性を失います。

3) 医療事業撤退207億円

2007年6月期は、139億円の純損失ですが、医療事業撤退207億円が含まれています。医療関係の同様なニュースとしては日経 3月29日 偽造の「丸紅保証書」で投資、米証券が240億円回収不能を思い出します。

私の10月27日のエントリー 廃止候補の201病院を見れば、医療は大変ですし、10月 4日のエントリー 医療の国際比較を見れば、日本の医療は最高の医療が最低の金額で得られるのですが。経済財政諮問会議では、日本の医療は非効率である。だから、IT等を導入して効率化すべきといった議論もなされていました。少し古いですが、2002年の国際医療福祉大学の阿曽沼教授のプレゼンのスライドに次の絵があります。

Photo

電子カルテといった文字が浮かんできます。医師の数を増やさないでIT化して、解決するのでしょうか?2)で書いた「人参の馬」には、社会のためといった発想は生まれてきません。

私には、ニイウスコー、丸紅、リーマンなんて皆、医療の発展なんて考えていない。ただ、自社が金儲けするだけを考えたのではないかと。だから失敗する。ビジネスで成功する秘訣は、そのビジネスが社会のために役立っていることだと思います。

4) 何故11月に200億円の増資?

上の1)、2)、3)は、「さもありなむ」です。でも、2007年11月の200億円の増資は、闇に包まれています。何故倒産が予想される会社に200億円もつぎ込むか?200億円つぎ込んだのは、ロングリーチグループ(175億円)とフェニックス・キャピタル(25億円)です。ロングリーチグループはケイマン島の法人ですが、元をたどれば日本かも知れません。フェニックス・キャピタルは日本の株式会社でこの会社です。でも、単純に欺されたのでしょうか。

ニイウスコーの貸借対照表を見ても資産に計上されているもので価値があると思えるものは、ほとんどありません。2007年6月末で41億円の債務超過であったのが、200億円の増資で159億円の純資産となったものの、資産総額667億円を正当に評価すれば無茶苦茶になるのは目に見えています。それなのに金を出したのは誰か?何故か?であります。

もっと恐ろしい裏があるように思えたのです。

私は、ニイウスコーは生き延びないと思っています。ニイウスコーには子会社を含め600名以上のシステムエンジニアが働いていますが、エンジニアにとってニイウスコーに止まる必然性が感じられないからです。むしろ見切りを付けて、新しい勤務先を見つけるのが重要であって、下手をするとニイウスコーの資産であるソフトだってこっそりコピーしてとりあえず個人で保管しておくなんて。ソフト会社が倒産すると、重要ソフトも盗まれてもぬけの殻になる。最も、倒産会社にソフトのみが残っても無価値の資産である。

だから生き延びさせるための手段であった。そうすると資金の出し手は日本IBMが一番くさくなる。但し、日本IBM1社ではなく野村総研も加わっている。だから、200億円増資後は社長が野村総研出身の大野 健氏となった。銀行も、その結果支援を継続するはずであったが、足並みが乱れ民事再生手続開始の申立てとなってしまった。だから、4月30日のプレスリリース民事再生手続開始の申立てに関するお知らせには、「今般、一部の金融機関からの賛同が得られず」と書いてあった。

こんな推理をしてみました。

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コメント

IBMとNRIの合弁会社という事でしたが
小生がいたころからNRI色は薄まってましたね。
NRI出身の副社長が解任されたりしてましたからね。

高額報酬もそういえばありましたね。
30代で部長とか役員とかなんか異常でした。

W社長も元々IBMでは秘書をされていましたからね。
そんな方が社長!って思いましたよ。

投稿: 流離人 | 2009年10月17日 (土) 23時19分

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