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2008年6月21日 (土)

株主総会の週

株主総会の週がやって参りました。ちなみに、6月27日(金)に予定されている上場会社の株主総会は、Nikkei Netで検索をすると1,303ありました。そこで、目にとまった新聞記事は、日経新聞の次の記事です。

日経 6月20日 大手運用会社、株主総会の3-7割で反対 野村アセットは500社強で

昨年の5月20日に私は、定時株主総会に向けてというエントリーで株主の権利の行使として取締役選任議案に対する反対票を投じてみることを書きました。本当に、その様なことがアデランスの株主総会であり、少し驚いた面もありますが、経営者を評価し、選任するのは株主であり、当然であると思います。

1) 自己資本利益率(ROE)が3年連続5%以下には反対票

自己資本利益率(ROE)が3年連続5%以下であれば、野村アセットマネージメントは、取締役の選任議案に反対票を投じるとのことであります。ROE5%とは、数字ですから基準として明確であり、面白いと思いました。

2) ROE5%とは

ROE5%とは、株主資本の5%に相当する税引後純利益を1年間で稼ぎ出すことであります。地方税を含め法人税実効税率が40%なら、税引前利益では、1.666・・倍になります。従い、株主資本の5%は税前では、8.333%の利益となります。

借入金と比較をします。今現在10年国債の利回りは1.8%程度ですから、これに1%のスプレッドを乗せて借りるとすれば、年利2.8%となります。これからすると、借入で調達すれば2.8%で済むところを、株主資本を使う場合は8.3%を支払うべきとなります。勿論、資本金が小さければ、会社としてのバッファーが小さく、借入金調達のための与信が困難となるという面が、存在します。しかし、一方で、株主資本に多くを依存した場合は、レバレッジが小さくなり、会社自体も大変であります。安易に、株主資本に依存することは、高いコストの資金に依存することです。

3) ROE5%に相当するPERとPBR

ROE5%が、ある会社において永続するとして、投資額100に対するリターンの現在価値を計算してみました。

割引率 現在価値
1.0% 500
1.5% 333
2.0% 250
2.5% 200
3.0% 167
3.5% 143
4.0% 125
4.5% 111
5.0% 100

年率5%で割り引けば、ROE率と割引率が同じですから、当然100のまま変化しません。10年国債の利率を年1.8%として、これに資金調達スプレッドとリスクプレミアムを加えて、合計3.8%以上とすると130程度(3.8%で厳密に計算をすると132です。)となります。

現在価額が130で、株主資本が100ですから、PBR1.3となります。一方、PERは純利益が5に対して現在価額130ですから、26です。だから、ごく普通のPERやPBRです。ROE5%の水準は、ごく普通の妥当な数字であると思います。逆に言うと、高株価を維持しておきたいのであれば、ROE5%は当然の水準と思います。

4) 個別判断

最終的には、個別の判断です。単に今期1年だけを取り出して議論するのではなく、長期的な観点で考えるべきです。何故なら、この考え方が、そもそも長期保有がベースです。短期保有なら、その株式に早々と見切りを付けて、別の株式に乗り換えれば良いのです。何も、取締役の選任に反対する必要なないのです。

個別の企業に特有の事情があることもあります。例えば、東京電力は昨年7月の中越沖地震により柏崎原子力発電所が停止し、その後の安全確認と復旧のために、発電ができない状態にあります。連結財務諸表で2008年3月期のROEを計算すると、マイナス5.7%です。ちなみに過去は、2007年3月期10.4%、2006年3月期11.6%、2005年3月期9.3%でありました。

単に1期のみで、判断することは誤るかも知れないし、個別の企業の種々の事情も勘案して判断すべきと思います。

5) 取締役選任議案への反対方法

実は、私は昨年の5月20日のエントリーでは、議案ごとに○×のこともあると書いたのですが、会社法施行規則66条1項1号をよく読むと、役員の選任議案の場合は、書面議決あるいは電磁的方法による議決において、各候補者ごとに議決権が行使できるようにしなければなりません。会社法298条2項により、株主の数が千人以上の場合は、書面議決をすることができるようにしなければなりません。

株主総会に出席すると議長が「第X号議案の取締役選任議案について一括して採決をお願いしたいと思います。御異議のある方は・・・。異議なしと認め・・・」と言ったようになります。従い、会社議案に反対をすることは、よほどの勇気がないと困難です。しかし、書面や電磁的方法であれば、簡単です。そして、この取締役は良くないと、取締役毎に×を付けられます。

経営者の選任は株主の重大な権利です。総会の案内通知を見て、どうするかゆっくり考えてみるのも良いのではないでしょうか。但し、議案に反対し、その結果、その取締役が選任されなかったとしても、会社の業績が良くなるとは限りません。そして、会社を評価する場合に、単に業績のみではなく、社会的貢献や、将来の可能性や、様々な要素があり、また投資家により判断基準は異なります。でも、それが投資信託ではなく、社債ではなく、あるいは銀行預金ではない、株式に直接投資することの楽しみだと思います。なお、このエントリーは株式投資の勧誘でないことは、ご承知おき下さい。

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