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2008年6月 3日 (火)

日経ビジネスvs信越化学

信越化学が日経ビジネスの6月2日号の記事に抗議を行うプレスリリースを6月2日付で出しております。先ずは、そのプレスリリースと日経記事ビジネスの記事のリンクを掲げます。(日経ビジネスの記事は、読むには、登録が必要かも知れません。)

6月2日付信越化学の抗議プレスリリース
6月2日付日経ビジネスの記事の当該部分

そこで、この件に関して考えてみます。

1) 原油価格

6月3日日経 サウジ産原油など最高値、5月積み15―16%高は、「主力のサウジ産「エキストラライト」と「ライト」が初めて1バレル120ドルの大台に乗せた。」と伝えており、NYMEXの原油先物相場について、日経は6月3日 NY原油続伸、7月物127.76ドルで終了と伝えています。

OPECが発表しているDaily OPEC Crude Baskect Priceの5月14日から5月28日の価格推移を図1のグラフに示します。最高値は5月20日のバレルあたり127.59ドルでした。

Opec_crude080603

長期的な価格動向を見るために、1999年1月から2008年4月までの価格を図2のグラフに示します。

Opec_crude_jan99_080603

図2を更にわかりやすくするために、原油価格の前年同月比グラフを図3として示します。

Opec_crude_comparilastyear080603

原油価格の前年同月比は、実は1.5近くであったことが多くありました。2007年5月のOPEC原油バスケット平均価格は64.36ドルでしたから、1.5倍すると96.54ドルで、120ドルは1.86倍となります。高い感はありますが、ありえないとは言えない水準と私は思います。

日経ビジネスの200ドルは、米Goldman Sachsの原油価格見通しのシナリオの一つで2009年に200ドルになり、そして急落するとの見通しを書いており、1年後を考えれば1.6-1.7倍であり、あり得ることかも知れません。経営を考える上では、このようなシナリオもあり得るのだとした方が無難と思います。

一方、日経ビジネスが書いた”信越化学の金川千尋社長は、現在の原油高について「不愉快極まりない。実需でなく、投機筋が値を上げている」と不満をあらわにする。”との部分については、信越化学は「別の機会に別の目的で行われた弊社社長の発言までもコメントとして引用し」と述べています。

私として、これ以上に述べることはできませんが、私は原油価格の高騰は単に投機の結果ではなく、基本的には需給であると思っています。即ち、原油は工業製品ではないので、増産するといって簡単に増産できません。OPEC Monthly Reportにあった世界合計とOPEC合計の原油生産量の過去2年間の推移のグラフを掲げておきます。(ちなみに日本の需要量は4mb/dと思ってください。世界全体の5%弱。)

Crudeproduction080603

2) ガス価格

信越化学のプレスリリースで一番気になるのが、「塩ビ事業を大規模に展開している米国シンテック社では、原料は石油ではなく天然ガス由来です。」と書いている部分です。次のチャートはOILNERGYさんのチャートをそのまま掲げたものですが、米国天然ガスの価格も上昇しています。Henryhub080603

塩ビにおける天然ガス原料コストが全体コストに占める割合は、知らないので、数字としては言えませんが、影響なしではありません。

3) 信越化学株価

6月3日の信越化学の株価は、始値6,550、高値6,570、安値6,440、終値6,540ですから、日経ビジネスの記事の影響は皆無だったのかなと思いました。

4) 感想

細部についても色々ありますが、省略します。

信越化学の主張は正しいとしても、日経ビジネスが書いた分析記事は、企業の発表を、そのまま伝える記事が多い中で、興しろい記事です。信越化学の「相応の措置を講じてまいる所存です。」の部分が、具体的に何かは不明ですが、どの様な展開になるか見守っていきたいと思います。そして、どの様な展開になるにせよ、言論・報道の自由は守らねばならないものと思います。

原油価格のことを本日書きましたが、本当は食料について是非書きたいと思っています。近いうちに書くこととします。

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