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2008年6月 2日 (月)

消費者保護を頑張ろう

消費者契約法という法律があり、その第10条は以下の通りです。

10条  民法 、商法 (明治32年法律第48号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする

「消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」という法律条文は、読んでいて気持ちの良いものです。

Matimulogで知りましたが、賃貸マンションの賃貸借契約に付随した定額補修分担金特約が消費者契約法10条に該当し無効であるとして、この特約に基づき支払われた金員の返還請求を認める判決が4月30日に京都地裁でありました。判決文は、裁判所Webのここここ(前文pdf)にあります。

5月29日にカニカニ詐欺の電話を受けましたを書いたこともあり、少し書き続けます。

1) 無効とされた定額補修分担特約の内容

定額補修分担金特約とは、次のようなマンション賃貸契約に付随していました。

ア 賃料月額: 6万3000円
イ 共益費: 月額6000円
ウ 契約期間: 平成17年3月31日から平成19年3月30日まで
エ 更新料: 家賃の1か月分
オ 定額補修分担金: 16万円

定額補修分担金に関する特約では「① 賃借人は、契約締結時に本件退去後の賃貸借開始時の新装状態への回復費用の一部負担金として定額補修分担金を賃貸人に支
払う。② 定額補修分担金は敷金ではなく、返還を求めることができない。③ 入居期間の長短に関わらず。④ 乙の故意又は重過失による損傷・改造は除き、定額補修分担金以外に本物件の修理・回復費用の負担を賃貸人は求めることはできない。⑤ 賃料等の債務を相殺することはできない。」を規定していました。

賃借人は、定額補修分担金の16万円の特約は、過度の義務であり、二重取りになり、消費者契約法10条により無効であると主張しました。一方、賃貸人は、原状回復費用を賃借人の負担とせず、故意・重過失による特に著しい汚損・破損が生じた場合のみ、賃借人にその費用を負担させる内容であり、合理的であるとの主張でした。

賃貸契約に調印し、定額補修分担金の16万円を支払い、契約締結から2年経過後の更新時に更新料6万3000円を支払ったところで、定額補修分担金と更新料の合計22万3000円の返還を求めたものです。16万円があるから、賃料は安くなっていたかも知れませんが、定額補修分担金の特約は弱い者いじめである気がします。

2) 判決は

判決は冒頭に記載したように、消費者契約法10条により定額補修分担金特約は無効であるとしました。

定額補修分担金は消費者たる賃借人が賃料の支払という態様の中で負担する通常損耗部分の回復費用以外に本来負担しなくてもいい通常損耗部分の回復費用の負担を強いるものであり、民法が規定する場合に比して消費者の義務を加重している特約といえる。

定額補修分担金の特約は、通常ない特約であり、消費者契約法10条に該当すると判断されても仕方がないと思います。賃貸料を表面的に下げて、別の特約で値上げするというのは採るべきでないと思います。

更新料についても、争われていましたが、裁判の途上で賃貸人から賃借人に返還がなされたことにより、棄却されました。

3) 他の裁判例

消費者契約法10条での裁判を探してみましたら、2005年11月22日の東京簡易裁判所の判決がありました。ここここ判決文pdfです。マンションの賃貸借を終了し、敷金13万6000円が返還されると思ったら、原状回復費が18万0390円かかったとして、逆に4万4390円足りないとして、請求された例です。この裁判でも、以下のように消費者契約法10条による特約の無効が認められました。

自然損耗等についての原状回復義務を借主が負担するとの合意部分は、民法の任意規定の適用による場合に比べ、借主の義務を加重し、信義則に反して借主の利益を一方的に害しており、消費者契約法10条に該当し、無効である。

国民生活センターが2006年10月6日作成した文書がここにありますが、3ページ以降の〔表2〕消費者契約法関連判決に多数の判決例が書いてあります。

消費者契約法10条は、被害を泣き寝入りしないために重要と思います。

4) 適格消費者団体

平成18年改正で、適格消費団体に関する消費者契約法12条以降が追加されました。事業者等が不特定かつ多数の消費者に対して消費者契約法4条または8条から第10 条までに規定するような行為を現に行い又は行うおそれがあるとき、適格消費団体は、当該行為の差止請求をすることができます。この内閣府のWebには、6団体の名前があり、この6団体が現在までに認定された適格消費団体です。

一部改正が本年3月4日に衆議院に提出され4月15日衆議院通過、4月25日参議院を通過し、5月2日に公布されました。改正内容については、この内閣府のWebに説明があります。

消費者保護に関しても進んできているようです。

5) 消費者庁

この5月20日のMatimulogも言っておられますがこの毎日の5月20日の記事にある「問題が生じた際、業者の処分や被害防止策の実施を他省庁に勧告する権限を与えることや、被害者に代わり国が業者などに損害賠償を請求する仕組みの導入」については、消費者庁にのみ権限を委ねるのではなく、同じ権限を適格消費団体に委ねることも検討をすべきだと私は思います。

政府は信用ができないのではないでしょうか?政府は、どうしても八方美人にならざるを得ないですから。行政は消費者の方のみを向いていては、公正な行政とは言えないと思うので、適格消費団体にも権限を与えるのがよいと思います。最終的な判断は裁判所になるし、裁判所以外にしてはなりません。

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