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2008年10月11日 (土)

ニューシティ・レジデンス破綻から感じるJREITの不安(補足)

ニューシティ・レジデンス破綻から感じるJREITの不安について、不十分な点がありましたので、補足します。

1) 減価償却費と借入金返済の関係

利益=収入 ー 費用 ー 減価償却費
キャッシュフロー=収入 ー 費用 ー 借入金返済額

と書きましたが、減価償却費も費用であるので、厳密には次の式が正しいことになります。

利益=収入 ー 費用
キャッシュフロー=収入 ー (費用 ー 減価償却費) + 借入金借入額 - 借入金返済額

あるいは次のようにも表せます。

キャッシュフロー=(収入 + 借入金借入額 ー 借入金返済額) ー (費用 ー 減価償却費)

企業にとって、借入や返済に伴うキャッシュフローは損益の額に影響を与えない。一方、減価償却は損益では費用ですが、キャッシュフローは伴わない。固定資産の取得についても、同様であり、キャッシュフローと損益は事業年度毎の計算では、一致をしない。

但し、全額を借入金で調達しているのではなく、出資と借入金の組合せであり、NCR投資法人の場合はほぼ50:50でした。もし、借入金ゼロでやっていれば、安全で常に100%配当も原則可能です。一方、低金利で借入金が調達できれば、レバレッジを効かせて、投資主に対する配当を高めることができます。

2) NCR投資法人の場合

具体的にNCR投資法人の場合を見てみます。なお、NCR投資法人の有価証券報告書からの数字ですが、池袋のタワーマンションは含まれていません。また、最新データは2008年2月までです。

Jreitncr0810_5  

上記の表で想定元本返済額については、今後の返済期間を30年と想定して、有利子負債額を30で割り算し、それを6月にするため更に12/6を掛けて2倍にしました。

配当可能なキャッシュとは、借入等が全くなかった場合に手元に残るキャッシュであり、新規資産購入等の投資をすればが手元からその分のキャッシュが少なくなるし、借りれや新規出資を受ければ、増加することとなります。純利益額と同額の配当を実施し、法人税を払わないようにしていたのですから、結局は表の最下欄の金額のキャッシュを新規借入と新規出資で調達し、ネズミ講的に配当をしていたこととなります。

資金繰りは利益100%配当の実施のために、常に火の車であった訳で、NCR投資法人の場合は、池袋のタワーマンションが倒産のトリガーになったのだと思います。

3) JREITの今後

常に債権者に対する債務である借入金の返済が優先しますが、NCR投資法人については、民事再生法による再建が認可されたと考えた場合、新規借入は困難と予想します。すなわち、90%超の配当による再建案は実現困難と思います。すなわち、法人税を支払うこととなり、配当は激減すると思います。また、賃貸マンションの管理・保守を節約したら、賃貸料が減少するわけで、費用の節約余地も少ないと想像します。

唯一は、不動産市況が回復し、高い賃料を取れる時が来れば、再び法人税がかからないメリットを生かしての高いリターンが取れるのかも知れません。このことに関して、ファンダメンタルな世界では、人口減少社会、高齢化社会により需要減があるかも知れないことと、今の国債の乱発が将来の高インフレとなり、名目貨幣価値に対して資産価値が上昇する可能性だと思います。

90%超の配当は、株式会社ではあり得ない世界です。何故なら、株式会社は配当の都度通常は利益準備金を配当額の10%計上しなければならないからです。(会社法445条)そもそも考え方が異なる株式会社と比較することに無理はありますが、株式会社の場合は、利益が計上できても、全額を配当とせず、次の事業のための投資資金に回したり、あるいは不況の際の安全弁として手元に資金を残したりします。

JREITは90%超の配当による節税を目指すこととなり、不況に対して、市況の悪化に対して、弱い体質を持っていることを認識し、JREITの投資をすべきであるというのが、私の考えです。それと、格付け情報に頼ってはいけません。自分で、会社の財務状態を調査し、特にキャッシュフロー計算書は十分に読みこなすべきと考えます。

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