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2008年10月 6日 (月)

米大手銀行間のワコビアをめぐるシティvsウェルズ・ファーゴ問題は地域分割で手打ちか?

米国の金融危機をめぐる色々な出来事は、猫の目の動きより激しいと思います。ワコビアとシティとウェルズ・ファーゴに関する出来事を見ていると、「さすが米国だ、活気がある。」と思ってしまいました。

1) これまでの動き

ワコビアの合併、身売りの報道がありました。

日経 9月20日 米モルガン・スタンレー、ワコビアと合併交渉 米紙報道
日経 9月27日 米銀ワコビアが身売り検討、3行が買収に関心 米メディア報道

その中で、一旦はシティと合意が成立します。

日経 9月29日 シティのワコビア買収、政府介入で破綻処理回避

ところが、ウェルズ・ファーゴが逆転します。

日経 10月3日 米銀大手ワコビア、ウェルズ・ファーゴが買収 1.6兆円
日経 10月3日 「公的負担なし」で逆転 ワコビア、ウェルズが買収

しかし、シティは9月29日の合意に違反するとして、裁判所にシティとの独占交渉を訴えました。

日経 10月5日 ワコビア買収、独占交渉権を延長 米シティ「裁判所が容認」

2) 複雑な経緯

ワコビアとシティは、合意したにもかかわらず、何故ウェルズ・ファーゴの逆転があったかですが、シティとは22億ドルだったのが、ウェルズ・ファーゴからは150億ドルで話が来たからです。そして、シティとは22億ドルが合意事項ではなく、交渉することが合意事項であったのです。

交渉中に他社と接触することまで禁じていたのか、禁じることが可能であるのか、又禁じていたとしても、その違反に対してシティが対抗措置として有効な手段があるのか、シティには150億ドル以上の値を付ける以外に方法はないのか。日経の報道で書かれている独占交渉権も、それほど簡単な内容ではなく、非常に複雑です。

さらに、シティによる買収に関しては連邦預金保険機構(FDIC)が資金融資を実施するとの話がありました。ウェルズ・ファーゴによる買収は、ウェルズ・ファーゴ株式がワコビアの株主に合併比率に従い交付されるだけですから、政府資金やFDIC資金の関与はありません。10月 2日の米上院の金融安定化法案修正案可決 で書いたように、米上院が金融安定化法を可決したのが10月1日です。7000億ドルは、枠の話ですから、これを何時、どのように使うかは、有効に使わねばならないわけで、ワコビア救済は政府資金やFDIC資金の関与なしで終わらせたいところです。

シティが裁判所に提起し、法廷闘争も始まったのですが、これについても複雑です。例えば、この文書があります。シティとワコビア/ウェルズ・ファーゴは主張が違って当然であり、裁判官にとっても判断が難しい部分が多くあります。裁判所が金融危機を拡大する一因になることは避けたいですし。

3) ワコビア分割案

ワコビア分割案を報じたのは、次のWall Street Journalの記事です。

WSJ OCTOBER 6 Fed Pushes to Resolve Wachovia Deal Dispute

ワコビアの3,346ある店舗の内、シティが米国北東部と中部/大西洋地域の店舗を、ウェルズ・ファーゴが米国南東部とカリフォルニアの店舗及び資産管理部門や仲介部門を引き継ぐ案が書かれています。そして、連邦預金保険機構(FDIC)が資金融資に応じると。

FDICは、銀行が保険料を負担しているのであり、連邦政府ではありません。だから、7000億ドルの金融安定化資金に手を付けるわけではありません。そして、ワコビアとシティとウェルズ・ファーゴの3銀行が合意するのであれば、裁判所はもう手を出す必要はありません。

多分、これで解決に向かうと私は予想します。米国の金融危機回避処理のすごさを感じます。日本だったら、政治家が互いを攻撃しあって、最終的には解決できないというパターンになりはしないかと危惧するものですから。

4) シティ、ワコビア、ウェルズ・ファーゴ

3行とも日本のメガ・バンク並あるいはそれ以上の銀行です。参考として、シティ、ワコビア、ウェルズ・ファーゴと日本のメガ・バンクの比較表を掲げておきます。これだけ巨大な銀行ですから、信用不安に陥ったら、恐ろしいことがおきるかも知れないと実感できます。(数字は、各社の上場持株会社の連結貸借対照表からであり、米国3行は2007年12月末、日本3行は2008年3月末です。)

銀行 シティ ワコビア ウェルズ・ファーゴ 三菱UFJ みずほ 三井住友
総資産額(十億ドル) 2,188 783 575 1,816 1,498 1,086
純資産額(十億ドル) 114 77 48 83 38 35

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