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2008年12月28日 (日)

低所得者の税と保険料負担

12月26日の税制改革中期プログラムを考えるに、しまさんよりコメントを頂いて、どうお答えすればよいのか迷ったことから、新しいエントリーを建てました。

1) 基礎年金の財源の全額税方式について

私がリンクを張った日経 12月25日 基礎年金の財源、全額税方式に 自民・民主の議員7人が改革案のことを言っておられるとの前提で、私の意見を書きます。

消費税を使って全額税方式との報道ですから、企業の負担はないのですが、逆に2009年度から基礎年金の負担の2分の1を国庫負担とすることが決まっており、この国庫負担が継続することが前提で考えているはず。国庫負担は、即ち税負担と同じです。

現状は、国民年金保険料は月額14,410円の負担で、40年間支払った場合の満額支給額が1年に792,100円です。40年間の支払合計が6,916,800円なので、8.7年で回収可能と考えるか、税の部分も支払ったとして17.5年が損益分岐点と考えても良いのかも知れません。最も、障害年金、遺族年金もあるので、民間の生命保険の年金より有利と思うし、保険料を支払わないと2分の1負担の税金を取り戻せない制度ですから。

厚生年金の場合、企業と受給者が各半額負担で、ボーナス込みの給与額の15.35%です(現状)。従い、年収5百万円であれば、受給者は約38万円の負担であり、月額では約32,000円です。40年間支払った場合には、792,100円の基礎年金に120万円程度の報酬比例部分の年金が加算されます。

上の例で、国民年金と厚生年金を比較すると厚生年金は負担が2.22倍となるが、受け取りが2.51倍になるので、お得感があります。しかし、企業負担も加えると、厚生年金の負担は倍の4.44倍になるので、国民年金がお得。但し、厚生年金でも所得が小さいと、受取額には基礎年金部分があるので、お得額が増加する。一方、高額所得者に配偶者が専業主婦で3号被保険者のケースが多いとすると、3号被保険者は保険料を払っていなくても792,100円の年金を配偶者が受領できる。

これでも統合を続けてきた結果であり、今後さらに国民年金、厚生年金、共済組合制度を統合して制度間の公平を確保することが重要と思います。しかし、大きな問題に納付率があります。ここに社会保険庁が2008年12月25日に発表した平成20年4月から9月までの国民年金の納付率がありますが、59.4%です。計算をすると納付額より給付額の方が大きいが、不信感が広まっているのだろうと思います。強制的に納付させるとなると税の方が徴収費用も効率も良かったりしますから。強制であるにも拘わらず納付率が60%を切ってしまった制度を継続するより、制度の見直しを考えるべきだと思います。さもないと、年金受給資格のない老人が将来大量発生し、そうなると余りにも多い生活保護者に対する生活保護費に税金の多くの部分を使うことが懸念されます。

なお、企業負担の厚生年金保険料と健康保険料ですが、なかには企業が負担するのが嫌であるとして、国民年金と国民健康保険を従業員に掛けさせたり、あるいは従業員の給料から正規の金額を天引きしておきながら、社会保険庁には安い金額を申請したりする犯罪行為が行われていることもあるようです。例えば、この厚生年金特例法についてという社会保険庁のチラシを見てください。これに関しても制度改革して、国税庁を歳入庁とし、効率よく徴収が実施できるようにすべきと考えます。(不正を無くす方法として、企業を調査することが考えられますが、企業からすれば税務署のみでたくさんなはず。歳入庁で一本化すれば、所得税、住民税、保険料の全てが同時に手続き、調査できるはずです。脱税をするのも基本的には高額納税者であり、不正が生じにくい制度とは、弱者に恩恵があると私は思います。)

2) 低所得者の税の負担

税には、担税能力と所得再配分機能を考える必要があると思います。この点からして、低所得者の税は低くて良いと思います。どの程度の低さがよいのか、よく考える必要があると思います。但し、自ら働かない人にまで特権を与えることは不必要であるが、働く意欲があるにも拘わらず職を失った非正規・派遣労働者から高額の税を取るのかの問題があります。その意味で、雇用保険制度についても同時に考える必要があると思います。

所得税、住民税、消費税、厚生年金、健康保険(くみあい健保)の合計で独身者の場合の負担を考えると、次の通りです。(収入が給与所得のみの場合です。)

支払義務発生点 支払額
所得税 103万円以上 最低税率5%(累進税率は注書1)
住民税 98万円以上 10%一律
消費税 0円以上 4%一律
特別消費税 0円以上 1%一律
厚生年金 0円以上 7.675%一律(同額の雇用者負担を含まず)(注書2)
健康保険(組合健保) 0円以上 4.1%一律(同額の雇用者負担を含まず)(注書2)
介護保険(40歳以上) 0円以上 0.565%一律(同額の雇用者負担を含まず)(注書2)

(注1)累進税率:独身で給与所得のみで、生命保険等の控除もなかった場合は、337万円以上が10%、490万円以上が20%、890万円以上が23%・・・・40%といった累進税率の適用となる。
(注2)厚生年金は、年間支払額726万円以上は納付額定額。健康保険・介護保険は1452万円以上は、保険料定額。

消費税を増税するなら、所得税を増税する方が、103万円なり89万円を差し引いてからの計算なので、低所得者の負担は軽くて済みます。増税するなら、消費税と所得税の双方のバランスをとって増税するという方法もあります。

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