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2008年12月 5日 (金)

国籍法改正の成立

最高裁が判断した国籍法3条1項の要件は過剰であり、その過剰部分である国籍法第3条の適用は憲法に違反するとした部分の法律改正が本日参議院で可決成立しました。

朝日 12月5日 改正国籍法が成立 国民新・新党日本は反対

判決があった翌日の6月4日に国籍確認訴訟の最高裁判決を書いたこともあり、今回の国籍法改正に関しても、すこし書きます。

1) 3条1項の改正内容

改正に係わる法文は、ここにあります。3条1項の修正を書き出すと次の通りです。(横線で消した部分が今回の改正で削除され、アンダーライン部分が挿入されます。)

父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した父又は母が認知した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。

改正前は嫡出子となっていたことから、非嫡出子は3条1項の適用外でした。改正は、単純に認知した子としたので、嫡出子と非嫡出子の区別はなくなりました。なお、非嫡出子であっても、生前認知の場合は、国籍法2条で「日本国民」と出生時になります。

この裁判所のWebに6月3日の最高裁判決文があります。例えば、次の文章も含まれています。

国籍法3条1項の規定が本件区別を生じさせていることは,憲法14条1項に違反するものであったというべきである。

2) 投票結果

投票結果は、投票総数 229のうち、賛成票 220、反対票 9でした。ここに、議員毎の投票結果があります。

最高裁が違憲だとしたことにより、合憲にするための改正にも拘わらず、何故反対票を投じる議員が存在するか、奇異なところです。憲法は、国民が定めたものであり、議員は憲法に従わねばならず、憲法に合致した法を制定せねばならない。

反対票を投じた議員の反対理由は、偽装認知の問題です。

3) 国籍法改正と偽装認知

改正前と比較すれば偽装する手段は増加したのでしょうが、次の憲法14条1項という極めて重要な人権の確保がより重要なことであり、憲法14条1項は私たちが絶対に守り抜かねばならない憲法条項と考えます。

憲法14条1項 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

しかも、今回の改正条文の「父又は母が認知」と言う意味は、「父又は母が自分の子供である」と宣言することであり、偽装すれば民法772条の公正証書原本不実記載(5年以下の懲役又は50万円以下の罰金)にもなります。父又は母には、扶養の義務が一生涯にわたって生じます。父が子供と言うからには、外国に住んでいた母親の子であれば、その国や場所で母親と会っていなければならず、国外であればパスポートその他記録が存在します。偽装が全く生じないとは言えませんが、認知するに当たり本人が手続きせねばならないことから、牢屋覚悟でないとできないのではと思います。スピード違反や飲酒運転は、証拠が残らないが、認知偽装は証拠を残し、しかも犯罪者の名前を記録に残す行為ですから。

参院法務委員会での12月4日の採決に際しては、付帯決議にDNA鑑定導入の当否の検討が盛り込まれたようですが、DNA鑑定にも問題はあります。すなわち、DNAが親子の判定として使うことで良いのかです。DNA上では実は親子ではないが、戸籍上も親子として生きておられる方もおられると思います。例えば、こんな最高裁判決の事件もありました。(母が子供を実の子ではないと親子関係不存在の訴えを出したが、最高裁は権利の濫用であるとしました。)

DNA鑑定を当事者間で合意して実施するのは構わないのですが、国家権力がDNA鑑定をするとこを認めることの恐ろしさを感じます。(権力がDNA鑑定を実施するのは、犯罪の捜査等特殊な場合のみ強制力が許されると考えます。)

その他、偽装認知関連に関しては、ここに11月27日の参議院法務委員会の議事録があり、中央大学教授の奥田安弘氏と日本弁護士連合会の遠山信一郎氏が参考人として意見を述べておられます。私の変な文章より、両氏が述べたことがずっと参考になると思います。

4) 不可解な反対者

それでも反対者がいるし、不可解です。例えば、11月27日の参議院法務委員会の議事録の丁度中程に新党日本田中康夫氏による質疑があります。「ペドフィリア」なんて私なんか聞いたことがないような言葉を使って、人身売買の類を促進すると言っています。しかし、それは別の法律がカバーすべきで、人身売買関連の現行法が不十分なら、そちらを整備すべきであります。

この産経 11月17日 によれば、国籍法改正案を検証する会合に賛同する議員の会なんて国籍法改正反対議員の連合ができたとのニュースがあったり。この河野太郎ブログのコメント欄閉鎖宣言は、国籍法反対の書き込みが集中して炎上した結果と聞いています。

もっと素直になって、平常心を持ち、理性で思考すれば良いと思います。

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