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2008年12月24日 (水)

医療トラブルの報道

12月19日の続きです。週刊文春の記事を読んでみました。どのような書き方をしているか興味がありましたし、自分のブログでエバハートのメーカーであるサンメディカル技術研究所と医療を提供した国立循環器病センターの反論をリンクの形で紹介したことから、週刊文春の記事にも目を通す必要があると思いましたので。

1) 第三者の医師のコメント

記事には、「人工心臓の手術をしているわけですから、まず心タンポナーデを疑う必要がありました。経過を見る限り、最低でも超音波をかけた19時20分の時点で開胸手術を考えなければいけない。唯一それしか対応策はないはずです。」との第三者の医師のコメントが書かれていました。

このまま読んでしまうと、「なるほど」と思ってしまうのですが、それほど簡単ではないので、以下に続けます。

2) その医師のコメントは正しいのか

記事には、カルテを見せと書いてあるので、デタラメのコメントとは言えないでしょう。しかし、全てのデータを見て、分析して判断しているのではないはずです。その場にいた医師が最も多くの情報を持っていたはずであり、ある選択肢の中から最良と思う選択をしたはずです。

医療に関してセカンド・オピニオンがあります。セカンド・オピニオンはその医療機関で診療を受け、必要なら追加検査を受け、元の医療機関の診断と治療方針等も含め多くの情報・データを提供して得られるし、正しいオピニオンは情報とデータにより得られるものです。カルテだけで、断定的なことを言うのは困難なはずです。

医療とは、場合によっては、即座に判断して治療方針・内容を決定する必要がある。翌日になれば最も正しい判断が下せるとしても、その前に病状が悪化するリスクが高いなら意味がないことがある。それぞれのタイミングにおけるベター・ベストを実践するしかない。従い、結果から、あの時の治療には間違いがあると言うのは、その治療に対しての評価としては適切ではないはずです。ビジネスの世界でも何でもそうだと思います。そんなに単純ではない。

3) 問題医師

誰が、コメントをしているかというと神奈川県大和市南林間の大和成和病院院長南淵明宏医師です。院長挨拶がここにあり、写真付きです。

2001年に当時12歳の女児が東京女子医大で心臓手術を受け死亡した医療事故で東京女子医大の医師が刑法の業務上過失致死で逮捕・起訴されました。2005年11月30日東京地裁で無罪判決となったのですが、この事件の裁判における検察側の証人となったのが、南淵医師でした。無罪判決の後は、マスコミ各社に対して弁護士なしの本人訴訟により名誉毀損による損害賠償を訴え、勝訴あるいは和解を勝ち取って行かれました。刑事事件については、検察が控訴し、東京高裁で今も裁判中です。

裁判において南淵医師の証言に対する反論は、被告人となっている医師が紫色の顔の友達を助けたいというブログを書いておられ、2008年1月17日のエントリー「検察官の異議申し立ては棄却! 第5回控訴審速報 自ら報告」に南淵証人が客観的に証人にふさわしくないことの理由を書いておられます。例えば、「証人は、手術で使用された、陰圧吸引法(人工心肺の脱血法)は、一回も経験したこともなければ、見たことすらない。」とか。

そして、そのブログにもう一つ、横浜地裁2004年8月4日判決(判例時報1875号119頁)において損害賠償が認容された事例の被告医師が南淵医師であることを2008年1月17日の控訴審で弁護側が言及したことを述べています。横浜地裁は、医療法人の経営する病院に勤務する医師が無断アルバイトや患者からのベンツの供与を理由に退職したにもかかわらず、医療過誤の事実を患者側に伝えて解雇されたなどと週刊誌の取材やテレビで発言し、病院の社会的評価を低下させたとして、医療法人の医師に対する損害賠償請求を認容しました。

さらに、Yoshan先生が2008年6月5日のブログ 南淵明宏氏の謝礼感覚で、患者からベンツや金銭の受け取りをすることを賞賛するような南淵医師のエッセイを紹介され、これに対するYoshan先生のコメントを書いておられます。

南淵医師とは、このようなことで有名な医師なのです。

4) 報道の姿勢

何も知らないで報道に接することは、恐ろしいことです。週刊文春は、「この医師に依頼すれば、このようなことを書いてくれる。言ってくれる。」と分かってコメントを依頼し、記事を作成したと思います。この手のことは、報道だけではなく、世の中に多くあることかも知れません。

報道は、真実を報道するのではなく、自分の新聞や雑誌の販売部数を増やし、TV報道番組・報道ワイドショーは、視聴率を上げることを目的に報道しているように思えます。「犬が人を噛んでもニュースにはならないが、人が犬を噛めばニュースになる。」との言葉を思い出します。言い過ぎの部分はあるでしょうが、そんな部分はないと否定することはできないと思います。

報道以外も基本的には同じことで、政治家の言葉、商品の宣伝文句等々私たちも、常に疑問を持ち、自分の目で見て、自分で考えて正しい行動をとらなければならないですね。しんどいが、そうしないと世の中良くならない。でも、そうすることが生きることの一つの楽しみであるかも知れません。

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コメント

問題意思がおおすぎます。薬半分にしてもらえるかきいただけでここにはくるな。其の上今までの薬がだしてくれない。
他のかの副院長までもいきなりこの病院にくるな。5種類の薬だしてくれない。そんなのいいのか。天皇でも色々聞くしはなしてくれる。まさに金さんか。
大病院しっかりしてほしい。小さな病院は細かく聞いてもくれるし、この方が良いとはなしてくれる。

投稿: 山本春彦 | 2009年3月19日 (木) 20時19分

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