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2009年4月20日 (月)

日立の省エネ冷蔵庫の不当表示に思う

日立の省エネ冷蔵庫における不当表示で、公正取引委員会が不当景品類及び不当表示防止法第6条第1項の規定に基づく排除命令を出したとのニュースがありました。

共同47ニュース 省エネ冷蔵庫で不当表示 日立ブランド9機種

1) 日立のガバナンス及びコンプラの欠如

日立アプライアンスは、株式会社日立製作所が全株を保有する子会社であり、日立製作所のガバナンス及びコンプラが不完全であることを証明したような形となりました。その結果、市場の信頼を失った部分は、大きいと思います。

ガバナンスやコンプラは、1%欠陥があっても、致命的な問題になりうると言えます。しかし、今回の、日立の問題は、「昨年9月から同樹脂を使う計画だったが、技術的な問題から遅れた。この情報が宣伝部門に伝わっていなかった。」とありますが、製造部門もその製品がどのような販売広告・宣伝がなされているか知っているはず。知ることは、義務であると考えます。見て見ぬふりをした関係者が多くいたのではないかと疑いを持ってしまいます。

日立が信頼を回復したいなら、この疑いを晴らせてくる解明をして欲しいと思います。

2) 省エネ大賞

省エネ大賞とは、平成17年度まで財団法人省エネルギーセンターが実施していた制度を平成18年度から経済産業省が主催者となり、実施している省エネのコンペティションです。ここに平成20年度省エネ大賞の平成21年1月28日経済産業省発表があり、問題の日立の製品は平成19年度の省エネ大賞でありこの経済産業省の平成20年1月17日の発表の(3) 省エネルギーセンター会長賞 (12件)の一番上に記載されています。

政府が経済産業大臣賞、 資源エネルギー庁長官賞等を出して、省エネを推進することに異存はありません。

しかし、この事態をどう考えるべきか?本当に政府がすべきことなのか?かといって、財団法人省エネルギーセンターがすべきことかとと考えると複雑です。この財団法人の役員を見ると日立製作所の方が理事としておられます。企業が財団を設立して、財団が企業の枠を超えて活動することに異議はありません。しかし、省エネ大賞のような中立的な評価を行う場合、理想としては、資金的にも政府や企業から独立した評価専門の機関が行うのが良いと考えます。

今後、省エネやCO2削減に更に取り組むといった場合に、企業から独立していた方が公平であり、省エネ推進にもっと有効であると思います。

3) モニタリング

省エネやCO2削減と言った場合、製品を評価するのみでは終わらず、モニタリングを継続することにより、正しい評価が下せます。モニタリングなしでは、一面を捕らえただけであり、正確ではありません。

独立した評価専門の機関と言ったのは、そのようなモニタリング制度を整備していく観点もあります。

4) 今回の日立事件

発覚経緯について、未だ報道がないようで、私も判っていません。公正取引委員会への内部通報でしょうか?もし、そうだとするなら、余りにも日立のレベルが低すぎると思えます。即ち、内部通報が行われるからには、その事実にある程度の数の日立の人達が気づいていたはずと思えるからです。

一方、日立アプライアンスのプレスリリースがここにあり、次のように書かれています。

「フレックス真空断熱材」の芯材の原材料に廃棄された冷蔵庫の棚等からリサイクルした樹脂を使用しており、また、この樹脂を使用することにより、「フレックス真空断熱材」の製造工程において排出する二酸化炭素の量を、当該樹脂を使用しない場合と比べて約48パーセント削減しているかのように表示したが、実際にはリサイクル樹脂の使用は一部機種・期間(添付資料参照)においてのみのものであり、また、実際の二酸化炭素の削減率も表示の数値より小さかったこと。

これを、省エネ大賞を受賞した際の、次の「申請者による概要説明」と比較してみます。リサイクル樹脂などとどこにも書かれていません。そうなると、省エネ性能は、ほとんど変わっていないように思えます。問題は、過大広告であったとなります。しかし、この場合でも、ガバナンス及びコンプラに問題があることには変わりはないと考えます。

省エネ大賞への申請者による概要説明

本冷蔵庫シリーズは、省エネと省スペース大容量を兼ね備えている「まんなか冷凍」構造であり、さらに独自の省エネ技術を採用している。省エネ技術では、2006年に採用した技術(ダブルクール冷却、マルチセンシング)に加え、独自の新技術として門形構造、立体成形真空断熱材の採用やコンプレッサーおよび真空断熱材の高性能化を図った。これにより、R-X6000では外形寸法がほぼ同じ前年機種のR-W5700に対し内容積を約6%拡大しながら、消費電力量では約20%の省エネ化を進めた。

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コメント

確か新聞の記事では、日立は”性能上はまったく問題ないので返品、交換などには応じません”と言っているようですが、省エネNo.1という価値(省エネ)に惹かれて購入した人もいると思います。そのような動機の購入者に対してはメーカ責任を取るべきであり、やはり大会社”日立”としては、≪希望者には返品、交換に応じます≫と言って欲しいと思います。

投稿: イチロー | 2009年4月21日 (火) 14時53分

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