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2009年5月14日 (木)

アイフルの社債消却利益

消費者金融のアイフルが5月12日に2009年3月期の決算を発表しました。

日経 5月12日 アイフルの09年3月期、純利益85%減
アイフル決算短信 5月12日

決算の概要は、

営業収益  3122億円
営業利益    74億円
経常利益    86億円
当期純利益  42億円

と言う結果ですが、損益計算書を見ると、53.81億円の社債消却益が特別利益として入っています。「こりゃなんじゃ」と言うわけです。

1) 社債消却益

何でしょうね?償却消却とは消滅させることです。最初に思いつくのは、社債発行企業の信用力が悪くなり格付けが下がると社債の市場価格が下がる。そこで、発行企業が自社社債を買い入れ償還すると、満期償還よりも償還金額が低くなるので、償還益が生じる。

5月7日に米FRBが金融機関のストレステストの結果を公表しましたが、米国では金融負債が時価評価されていると理解します。どのような金融負債について、どのような方法で評価するかは、私も調べがついていませんが、例えばこの日経 米シティ「資本調達1兆円必要」 米紙報道、健全性審査受けには「時価会計の適用緩和や負債評価益などの特殊要因もあり」となっています。評価益は、時価評価をすることで計上されることから、負債を債務金額ではなく、市場価格で評価したということです。

IFRSと米国GAAPでは、負債の時価評価をどう扱っているのかは、私も勉強不足ですが、日本の会計基準では、金融商品に関する会計基準第26項が次のようになっており、社債の貸借対照表価額について償却原価法の適用はあるが、時価評価はありません。

26. 支払手形、買掛金、借入金、社債その他の債務は、債務額をもって貸借対照表価額とする。ただし、社債を社債金額よりも低い価額又は高い価額で発行した場合など、収入に基づく金額と債務額とが異なる場合には、償却原価法(注5)に基づいて算定された価額をもって、貸借対照表価額としなければならない。

社債に時価があるからと言って、信用力が低くなれば、資金調達コストが上昇し、業績は悪くなる。にも拘わらず、そんな時に評価益というのは、しっくりいきません。

日本企業でも、米国でADR(預託証券)を発行している場合に、連結財務諸表については米国GAAPで作成している企業があります。その様な企業は、社債の時価評価は、どうなっているのか気になります。

2) アイフルの社債償還

2008年3月末現在のアイフル連結財務諸表においては、一年以内償還予定社債が550億円と個別財務諸表の450億円より100億円大きかったことから、子会社の社債が100億円あったはずです。次の表が私が作成した2008年3月末のアイフルの社債内訳であり、黄色の部分が2009年3月期の間に償還があった社債です。

09

償還した社債の合計は650億円です。決算短信の連結キャッシュフロー計算書には、社債の償還による支出が△65,666百万円となっており、債務金額より6.6億円多く支払っていることになります。このことと、53.81億円の社債消却益が、どう結びつくのか、頭が混乱しました。

未償還の社債の簿価を合計すると3591億円(一年以内償還予定1009億円、一年超2582億円)です。決算短信では、社債金額は一年以内償還予定社債948億円と社債2582億円ですから、一年超は私の計算と一致しています。一年以内については、もし米ドル建ての5億ドルを為替レートを93.7円で評価していれば一致します。

そうではなく、一年以内償還予定1009億円の一部について、すでに市場から時価で購入しており今後償還が必要な社債が948億円に減少しているのであれば、差額の61億円は社債消却益であり、53.81億円の社債消却益と一致してきます。

本当は、どうか、アイフルがプレスリーリースで、社債期限前償還を発表していないか、見てみましたが、私は見つけることができませんでした。

アイフルのJ-CDS参考値(5月14日)を見てみると、3940bpでした。少し下がっていますが、高いですね。会社が自社の財務状態についてよく説明することは、重要と思います。

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