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2009年6月 9日 (火)

劣後債

劣後債に関する興味ある記事がありました。

毎日 6月7日 劣後債:個人投資家に人気 超低金利の中で利回り高く

利回り高くは、その通りです。しかし、全てが甘いのか、落とし穴はないのかと言うことで、記事にあるなかでの、金額が一番大きな東京三菱UFJ銀行を例として書いてみます。

1) 安全性

毎日の記事に書いてある劣後債は、メガバンクの金融機関ばかりですから、預金保険の対象ではないが、変な社債よりよっぽど安全です。しかも、株式と違い、元本が確定しています。

通常の社債と何が異なるかと言えば、この三菱UFJ銀行の資本性証券の説明ページの「劣後債権について」の次の劣後事由の説明にあります。劣後事由の発生により、元本も利息も払われなくなりますが、そんな事態は、発生しないと考えてよいのだろうと思います。

■ 劣後事由について
現在、当行が発行する劣後債には劣後事由として以下の3つがあげられています。

1. 破産手続の開始
2. 会社更生手続の開始
3. 民事再生手続の開始
劣後事由が発生すると停止条件が成就するまで劣後債の元利金支払いはなされません。

2) リスクと不便

劣後事由の発生がリスクです。それ以外には、ないと思います。但し、不便なことは、あるかも知れません。国債は勿論、一般の社債よりも中途で換金しようとする場合に、売るのに時間がかかったり、思ったより安く売らざるを得なかったりする可能性はあります。

それ以外に、不便なのは、株式のように価格上昇益がほとんど期待できないことでしょう。劣後事由が発生したら、株式よりは期待が持てるかも知れないが、元本が返済されない。この点については、株式と余り大きな差はない。価格変動を楽しむなら株式であり、手堅く収益を確保するなら劣後債と思います。

もう一つは、期限前償還オプションがついていたりします。発行者がオプションを持つのであり、市場金利が安くなり、新たに低い金利の劣後債が発行できるなら、新たに発行して、高い劣後債を期限前償還すれば利子負担が少なくなります。これを劣後債保有者から見ると、市場金利が安くなれば、固定利息の債権は価格が上昇します。しかし、上昇益が得られないうちに、償還されて元本が戻ってくる形です。ここに東京三菱UFJ銀行の行公募劣後債発行実績がありますが、発行から3年-5年を経過すると銀行に期限前償還の権利が発生するのがほとんどのようです。

なお、市場金利が上昇すれば、当然劣後債発行者は期限前返済をしないわけで、途中でもし有利になれば、期限前返済をするという一方にのみ強みがあるわけですが、それ故オプションであり、それを承知で投資家は投資をするわけです。

3) 劣後債は有利?不利?

東京三菱UFJ銀行の公募劣後債発行実績の一番最近である2009年3月13日に発行したリテール向け第19回期限前償還条項付無担保劣後社債の利息は2.75%です。これに対して、東京三菱UFJ銀行の普通社債の発行実績がここにあり、2009年4月9日発行の第104回債が5年満期ではありますが、利息は1.34%です。同じ東京三菱UFJ銀行の定期預金と比べると300万円以上の10年満期で0.6%ですから、定期預金よりは利率は高いのです。

定期預金は、預金保険があるしと言うわけで、うまく作られている。だからこそマーケットですが。

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