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2009年8月27日 (木)

最高裁判所裁判官国民審査

衆議院選の投票日が迫ってきました。同時にあるのが、最高裁判所裁判官国民審査で、審査対象となる裁判官の氏名が記載されている国民審査の投票用紙に、罷免を求める場合は指定欄に×印をし、信任する場合には無記入で投票する。有効投票の過半数が罷免を求めた場合、異議訴訟を裁判所に提起可能な期間(結果の官報告示から30日間)を経過すれば、その裁判官は罷免される。(最高裁判所裁判官国民審査法)

1) 最高裁判所裁判官国民審査

最高裁判所の裁判官とは、最高裁判所長官1名と最高裁判所判事14名(裁判所法第5条)であり、その名簿はこの裁判所のWeb Pageにあります。

国民審査とは、次の憲法第79条2項に「その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し」とあり、この憲法条文により行われます。

憲法第79条
最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。
② 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。
③ 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。
④ 審査に関する事項は、法律でこれを定める。
⑤ 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。
⑥ 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

2) 今回対象となる裁判官

対象となるのは、前回の衆議院選以降に最高裁判官に任命された人達であり、次の9名です。(うち竹﨑 博允は最高裁判所長官です。)

最高裁判官 就任時期
櫻井 龍子 2008年9月
竹内 行夫 2008年10月
涌井 紀夫 2006年10月
田原 睦夫 2006年11月
金築 誠志 2009年1月
那須 弘平 2006年5月
竹﨑 博允 2008年11月
近藤 崇晴 2007年5月
宮川 光治 2008年9月

憲法79条2項の続きに、「その後十年を経過した後」となっていることから、10年おきに同一の裁判官が国民審査の対象となります。しかし、最高裁判官全員が60歳代であり、裁判所法50条に定年が、「最高裁判所の裁判官は、年齢七十年・・・に達した時に退官する。」と定められています。従い、任官すると、その直後の衆議院選で国民審査を受けると任期をまっとうし、退官することととなります。

3) 憲法改正

憲法改正なんて言ったら、どうなるでしょうね?上の表のように、今回国民審査の対象となっている裁判官のうち就任後1年を経過していない裁判官が5人です。

各裁判官が、最高裁判所の裁判官として、どのような考えで、任務を遂行しているかは、いろいろな裁判においてどのような考えで、どのような判断をしたかの情報が、最も参考になるはずです。裁判所法「第二編 最高裁判所」の中の条文第11条(裁判官の意見の表示)に「裁判書には、各裁判官の意見を表示しなければならない」と定められています。従い、最高裁判所の判決文には、判決以外に参考意見や反対意見も、記載され、どの裁判官が判決と同意見であったか、反対意見であったかも書かれています。

例えば、2008年6月5日に国籍確認訴訟の最高裁判決を書きました。同ブログの中でも、リンクを張りましたが、判決文はこの裁判所のWeb Pageにあります。この最高裁の裁判は大法廷で開催され、15人全員の意見が、どのような意見であったかが、判決文書から読むことができます。ちなみに、この裁判において裁判官をしていたのは、今回国民審査の対象者のうち、涌井 紀夫、田原 睦夫、那須 弘平、近藤 崇晴の4人であり、4人とも多数意見(子供に日本国籍を与えるべきである。)であり、補足意見を述べた裁判官です。反対意見であった5人のうち、2人は昨年退官しました。退官した1人と残る3人のうち2人は、4年前の国民審査の対象でした。

2007年8月17日に日本国憲法といブログタイトルで、GHQが1946年2月13日に日本政府に提示した憲法草案と現日本国憲法の比較をしました。憲法79条は、ほぼGHQ草案の通りです。三権分立・民主主義・国民主権の具体案としてGHQは、この憲法79条を日本政府に示したのだと思います。

その当時は、InternetもWebもなかった。今、ネットで最高裁の判決文を読むことができる時代です。だから、「任命後2年を経過後初めて行われる」でも良いのではと、深く考えた訳ではないのですが、ふとそんな気がしました。上の表で、私は国民審査の対象となる裁判官の名前から、裁判所の各人のWeb Pageに飛ぶようにリンクを張りました。各人Web Pageの下に、”最高裁において関与した主要な裁判”と書かれている部分があり、判決に飛ぶことができるのです。しかし、最近就任された裁判官には、この部分がブランクになっています。判断に困るな~というわけです。

4) 蛇足

選挙の期日の公示又は告示があつた日の翌日から投票日の前日までの毎日、期日前投票(公職選挙法48条の2)や不在者投票(公職選挙法49条)ができます。しかし、最高裁判所裁判官国民審査については、、投票日の期日前7日から投票日の前日までとなっており、先週期日前投票をされた方は、最高裁判所裁判官国民審査ができませんでした。

どこで、そんな議員と裁判官の違いが定められているかというと、最高裁判所裁判官国民審査法26条(期日前投票の場合)と最高裁判所裁判官国民審査法施行令14条(不在者投票の場合)です。裁判官国民審査の場合は、Xを付ける投票方法なので、対象となる裁判全員の名前が投票用紙に印刷されていなければならず、印刷の時間を確保するための様です。

今回の衆議院選は、8月18日公示で、8月30日投票日です。公職選挙法31条4項「総選挙の期日は、少なくとも十二日前に公示しなければならない。」の定めでの最短選挙期間に収めた選挙です。今の時代、印刷の時間短縮も十分可能と思うのですが。

期日前投票と不在者投票の違いをご存じですか?2003年6月11日公布、2003年12月1日施行の公職選挙法の一部を改正する法律で48条の2が付け加えられ、不在者投票に加えて期日前投票の制度が作られました。違いは、不在者投票は封筒で選挙管理委員会に提出するが、期日前投票の場合は投票箱に用紙を入れることになります。一方、不在者投票は、郵送も可能であり、出張で公示から投票日前まで、ずっと不在であっても、選挙管理委員会から投票用紙を取り寄せて、郵送して投票することも可能です。詳しくは、総務省のWebまたは選挙管理委員会のWeb等を見るか問い合わせいただければと思います。例えば、このニュースですが、この人の場合は、北海道9区ですが、東京都大田区役所田園調布特別出張所で不在者投票をしています。こんな方法もあるのですね。

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コメント

不在者投票は、密封した票を正規の投開票日まで選挙管理委員会で保管して貰い、投開票日当日に選挙管理委員会において開封の上で投票されます。そして投票行為(選挙権の行使)は本来の投開票日に行われたとみなされます。

対して期日前投票では、期日前投票を行った日において、投票されます。投票行為(選挙権の行使)は期日前投票日に行われたとみなされます。

この違いは、選挙期間の途中で選挙権を得ることとなる人(20歳到達日を迎える人)にとっては、注意を要する点です。極端な話だと、投開票日=選挙権発生日(20歳到達日)の人は、不在者投票は出来ても期日前投票は不可能なのです。選挙当日になるまで選挙権がないのですから。

投稿: 素人の浅知恵 | 2009年9月 1日 (火) 10時19分

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