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2009年9月17日 (木)

経団連CSRアンケート調査結果に思う

toshiさんの9月17日のブログで知りました。経団連が会員企業1297社に対してアンケート調査を行い437社より回答があった「CSR(企業の社会的責任)に関するアンケート調査結果」を、9月15日に公表しています。ここからダウンロードできます。結果だけを読む場合は、概要版が読みやすいと思います。

一つ前の鳩山内閣誕生で、民主党の公開会社法案の批判について少し触れましたが、企業のCSRについて、批判を書きたくなりましたので、今回はCSRに関する私の思いを書き連ねます。

1) 会社は株主のものではない

民主党の公開会社法案の基になっている考えは、会社は株主のものだけではなく、取引先や労働者、地域など様々なステークホルダー(利害関係者)の為のものである。これは、誰もが賛成することであり、且つ上場企業のみならず、また株式会社のみならず、社団、財団、NPO、NGO、独立行政法人等を含め、およそほとんどの団体にあてはまると考えます。

嘗て、ホリエモンが「株式時価総額が企業の価値」と言っていたことがありますが、とんでもないことです。One of Themの評価を、全てであるかのように、扱うことは誤りであり、企業の評価は、それほど簡単ではありません。もし、企業価値評価の最重要項目を一つあげるなら、「誰もが魅力を感じる企業」と思います。

CSRとは、社会の中で、活動する企業が、その企業を取り巻く多くのステークホルダーに対する責任と思います。また、多くのステークホルダーから意見を聴取し、そのなかの取り組むべき課題に取り組むこともCSRであると考えますし、そもそも企業としての社会的責任を果たすことがCSRであると考えます。

2) キャノンのCSR

経団連の調査結果であったことから、経団連会長企業キャノンのCSRを見てみました。先ずは、有価証券報告書ですが、「3 対処すべき課題」に次の文章がありました。

また、当社グループが更なる進化を遂げ、永々と発展し、繁栄し続ける真のグローバルエクセレントカンパニーとなるため、独自のコア技術の研究体制および経営人材の育成の強化に努めるとともに、社会貢献活動にも更に力を注いでまいります。

キャノンに、キヤノン 社会・文化支援活動という小冊子があり、社会・文化支援活動といのが社会貢献活動に含まれている内容と理解します。立派な内容であり、継続願いたいと思います。但し、少し気にかかる点としては、ボランティアと思われる活動に、「社員と家族など100名以上が参加しました。」とあります。これも、これでよいのですが、会社から社員や家族に強制することがあってはならず、会社(もしかしたら仕事上の上司や関係者)から言われたから、参加したというようなことに下手をするとなってしまうことを恐れます。

CSRとは利害関係者の為の企業活動ですが、利害関係者の自由を拘束することになってはいけないと思います。各個人が自分の意思で活動すべき分野については、企業は寄附のような金銭支援、あるいは給料を払って社員の業務活動として支援すべきと、私は思います。

3) 企業のCSR

現実には、不況下において、社会貢献活動に金銭や社員を割り振る余裕のない企業が実は多いと思います。そのような場合、CSRは、おざなりにして良いのかと言うと、私はそうは思いません。例えば、消費者に危険性があるものが発見されたら、例え、それが法令上問題にならなくとも、消費者保護のために、取り除くのが企業の社会的責任(CSR)であると考えます。

フェアトレードを目指すことや下請けいじめをしないことも、CSRのはずです。日本においても、国会で成立した法以外に、社会規範のような法があると私は考えます。それでなくとも、多くの法があり、多少は矛盾した部分もある。ある法では問題なくとも、別の法では解釈によっては、問題があり得ることはよくあります。法を解釈する上において、社会規範は重要です。「調査しましたが、法令違反の事実はありませんでした。」と自慢するのは、好きではありません。

内部統制制度を作って、それを遵守するだけで良いのか?であります。社会的責任の方が、もっと大事かもしれませんし、抜けてしまってはいけません。本当は、CSRがしっかりしていれば、EnronやWorldCom事件もなかったように思います。そう考えると、内部統制はCSRの一部である気がします。

4) 男女差別・ジェンダー

「男女共同参画ではないか。おまえは遅れている。」と言われそうです。男女共同参画社会基本法の公布が1999年6月23日ですから、10年と少しを経過しました。私は、男女共同参画という言葉は、ごまかしである気がしてならないのです。何故かというと、この10年で何も変わっていないと思うからです。その中で、あえて言えば、福島瑞穂新大臣が小渕優子旧少子化担当大臣と引き継ぎ挨拶をした時に、出産間近で働いている大臣を見たことです。但し、これも、異常と思います。衆議院選は、仕方がないが、9月の出産予定に対して、産休は、どうあるべきか、少子化担当大臣は激務でないか、本当は麻生旧総理他が考えるべきであったとも思います。

いずれにせよ、男女差別は、ほとんど変わっていないと言うのが残念ながら私の感触であり、男女差別と言うこととします。企業において、男女差別はないと思っておられますか?女性に対して、そう質問をしたら、「トンデモナイ」との答えが返ってきます。そんな簡単になくならないし、男女共同参画社会基本法を遵守していれば、解決するような単純な問題ではないはずです。

実は、CSRを実践することには、企業の中で男女差別をなくすことも、含まれているはずです。ISO26000が、Social Responsibilityであり未だDraft状態で、正式な基準とはなっていませんが、Gender Equalityは含まれており、ISO26000の”Box 2 – Gender equality and social responsibility”の最後には次のように書かれています。

Gender equality in stakeholder engagement is also an important means for achieving gender equality in an organization’s activities. In addition to including a balance between men and women, organizations may find it useful to seek expertise in addressing gender issues.
Organizations are encouraged to use indicators and targets to systematically monitor processes and track progress in achieving gender equality.

個人が生きていく上に置いて、社会から恩恵を受けていると同時に義務を負っている。企業・組織・団体も、全く同じで、それぞれ義務を有しており、それがCSRであると考えます。よりよい社会を作っていく義務は、政治家と国民にのみあるのではなく、企業や団体にもあると思います。

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コメント

こんにちは、初投稿です。

政策激変に振り回される昨今の業界建て直しはさぞ大変だろうと思います。

高速無料化にして、フェリー業界からの反対もその一つでしょう。

もっともフェリー自体に時代遅れ、魅力なしの声が2chでは多かったので安住しすぎたかなって感もあります。

フェリー業界から再建依頼が来た場合、コンサルの視点でどう指導するのか非常に興味あります。

投稿: もとひろ | 2009年9月19日 (土) 15時07分

もとひろ サン

コメントありがとうございます。高速無料化をあげておられますが、私は、猫の目のように、国家政策が変わって良いとは思いません。もし、無料化に進むのであれば、問題点を分析し、将来予測も国民の前に、きちんと出すべきで、その上で、国民がよしとするなら、段階的に実施すべきと考えます。マニフェストに書いたことで、その項目の全てを国民が支持したと考えるのは、行き過ぎと思います。

もし、フェリー業界から再建依頼が来た場合は、そのフェリー会社と、とことん議論します。その場合は、傷口が大きくならない場合の撤退案についての議論も含みます。一企業が、政策レベルについて、影響を及ぼすことは、難しいと思うし、下手にそんなことをすると、経営を誤ってしまうと思います。かつては、業界で自民党かどこかの先生にお願いするとの案があったでしょうが、そうすると引くに引けず、深みに入ってしまうリスクもあると思います。

CSRというタイトルにコメントを頂きましたが、自社が社会的に果たしている意義と、現在の状況について、Webに自社の意見を載せるのもCSRになるのではと思います。

投稿: ある経営コンサルタント | 2009年9月19日 (土) 16時13分

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