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2009年9月27日 (日)

亀井さん、こちらのほうはどうするの?

アイフルが事業再生ADRの申請を行い、受理されました。

9月24日 アイフル発表 事業再生計画(案)の概要に関するお知らせ(事業再生ADR手続の正式申込および受理)

本当に大変なのは、どこなのか、金融政策として(単なる政府資金の導入のみならず、法の整備も含め)必要な対象は、何であるのか?そう簡単ではないと思います。そこをしっかりと見極めて実施するのが重要であり、選挙の票のために、政策があるのではありません、

消費者金融を支援しようというのではなく、むしろ次の報道が気になります。

日経 9月21日 貸金業者、1年で32%減 5月末5700社、規制強化で廃業増

業者が廃業した結果、ヤミに潜っているのではないかとの危惧です。業者側がヤミ金融業者となることもあるかも知れませんが、借り手が新規資金に恵まれたとはとても思えず、借り手がヤミ金融に手を出して深みに陥ってしまう恐れです。(アイフルも貸借対照表を見ると貸付残高が減少しています。)

グレーゾーン金利の廃止は、それでよかったかも知れないが、当時心配されたヤミ金融の増加懸念については、対策が施されているのだろうか?対策ができていないと、グレーゾーン金利を廃止ししても意味がないことになってしまう。グレーゾーン金利の返還問題は、裁判で争えばよいだけですが、立法により廃止することは、法律論争ではなく、実社会の経済取引のルールに関与することですから、実際に社会でおこっている減少をウォッチし、モニターを継続し、必要とあれば、次々と手を打つたねばなりません。

亀井さん、あなたは就任早々、モラトリアムなんて発言したのですから、貧困により消費者金融からも相手にされなくなった人達に対するケアも十分していただきたいと思います。

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2009年9月26日 (土)

光市母子殺人事件少年容疑者実名表記の出版

光市母子殺人事件少年容疑者の実名を記載したルポルタージュ本が出版されるとのニュースがありました。

共同47 9月26日 元少年の実名表記したルポ刊行へ 山口県光市の母子殺害事件

どう思われますか?ちなみに、実名の掲載を禁じている少年法61条は、次の通りです。

少年法61条 ・・・・・少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。

現在少年は、広島高裁の死刑判決を受けて、最高裁に上告をしている。その少年のことについて、本の上で、本名をわざわざ出さずとも主張はできるので、それでよいとの意見もあると思います。しかし、死刑判決を受けているわけで、実質少年としては扱われていない。次の最高裁が最後の裁判であり、死刑となる可能性が高いと思われる。死刑制度そのものも嫌ですが、死刑判決を受けるであろう被告を人間扱いしないことは、もっと嫌です。

少年法61条は、少年の保護更正・将来の社会復帰の為に、定められている。光市母子殺人事件については、容疑者は死刑の可能性が高く、最も軽い判決でも、無期刑しかあり得ない。一生通常の社会復帰は、あり得ない。一方で、人には、実名で自分の主張や様々なことを語り、他人が自分について語ることに賛成する権利が存在する。一生を少年Aとして扱われ、死刑を受ける。嫌な気がします。既に成人(28歳)となった本人が実名で本が出版されることに同意しているなら、少年法61条の禁止には該当しないと私は解釈したいのですが、いかがですか?

被害者の観点からの報道しかされなかった事件であり、本が出されることは意味があると思うし、出版の自由は極めて重要と思います。少年法においても、無期刑や死刑はあり得るとしていますから、特別な場合には、少年を人としての権利を保護することが必要と思います。

少年法51条1項 罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。

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2009年9月25日 (金)

民主党の八ッ場ダム対応から考える

八ッ場ダムに関しては、民主党のみならず地元や関係する県知事・都知事まで頑張っておられることから、8月25日に書いた八ッ場ダムを考えるは、多くの方に読んでいただいているようです。

最近では、次のような記事も、出てきています。

日経 9月24日 公共事業中止、「八ツ場」をモデルに 国交相、143のダム計画精査

大規模公共事業が政権が交代することにより進んだり、中止になったり、再開したりすることは、おかしいし、無駄な費用が発生し、国民の負担が増加するだけと思います。

私の持論は、「役人がしっかりすべきで、役人が政治家を、説得すべきである。」です。しかし、これも、眺めていて、やはりそう簡単には、行かないような気がします。余りにも複雑すぎて、身動きが取れない部分もあります。例えば、八ッ場ダムを例にとっても、長野原町の中心地である役場のあたりは水没しないので、地元と言えるのか、長野原町の人でも、水没地でなければ固定資産税その他が入ってきて町の税収が豊かになるから賛成という人もいると思います。水没地の人の中には、他の場所へ移動してしまっているも多くおられるようですし。

それと役人は、決定したことを、実行することも重要な仕事です。民主党は、政治主導で官僚をコントロールすると言っていましたが、主語を変えれば、自民党が官僚を使って様々なコントロールをしていたことの正当性を認めることです。これでは、無茶苦茶になると思います。ある政党の思い通りに、プロジェクトを動かそうとすると、秘密主義にならざるを得ず、既成事実を積み重ねる強引な手法がはびこります。

私が、最近思いついたのは、委員会方式です。ダム委員会を作るのです。国交省を含め、ゼネコンも含め、様々な利害関係者を含んだ委員が入って良いのです。但し、国交省を初め政府からは、独立した機関とし、予算も別に手当てします。重要なことは、Secretaryというか国連で言う事務総長を決め、常時機能している組織にするのです。ここで、個別のダムプロジェクトについて審査し、全て公開・公表します。

日本には、良いプロジェクト・コンサルタントと言うべきかシンクタンクと言うべきか、そのような機関も少ないし、そのような仕事をできる個人も非常に少ないのです。別の表現で言えば、育たないのです。何故なら、国交省を含め政府が行っているからなのです。現状では、政府はプロジェクトの計画と実施と両方をするのです。自ら計画して、実施するのであれば、途中で見直して、変更するインセンティブが働きません。計画して、反対運動で遅れても、見直しされず、必要か不要か分からないのに、実行してしまう。計画と実施は、別の次元のことであり、実施に関しては、政府がやるべきと思います。しかし、計画(適宜モニタリングをして見直すことも含め)は、政府から独立した委員会が行うことにより、より多くの視点や分析を取り入れた公平な立案が可能です。

道路についても同じで、政府から独立した委員会が計画すべきと思います。それから、教育は当然教育委員会であり、教育委員会を文科省から切り離して、公選制を導入する。政治から独立した教育委員会にして、詰め込み主義の教育を止め、様々な意見を取り入れた日本の将来・世界の将来を担う人材を育てる教育をするのです。

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2009年9月23日 (水)

高熱隧道(黒部第三発電所)

検索語「八ッ場ダム」で、このブログを訪問いただいていく方が、最近増えています。ダム関係を書くに際して、8月22日 ダムの議論の中で、吉村昭の小説「高熱隧道」に少し触れました。そこで、もう一度、高熱隧道を読んでみました。

高熱隧道とは、黒部第三発電所の水力発電所導水トンネルとそれに先立ち掘削完成させる軌道トンネルのことで、温度140℃(最高165℃)というダイナマイトの自然発火温度を超えた岩盤を相手に、熱水が噴き出してくる中を掘削した極めて難工事で完成したトンネルです。掘削といっても、トンネルボーリングマシン(TBM)があるわけではなく、人力によりドリルで穴を開け、そこにダイナマイトを差し込んで、発破により岩盤を崩し、崩した岩盤(ズリ)をトンネル外に出していく工事でした。当然人力で、トラックはなく、トロッコです。軌道トンネルとは、ダム建設時は、資材運搬用、完成後はメンテナンス用のトロッコ軌道です。

そのトンネル場所は、次のYahoo地図を見てください。トロッコ電車で有名な黒部峡谷鉄道がありますが、その終点が欅平です。欅平に建設した水力発電所が黒部第三発電所であり、そこから約6km上流(南)に行った地点に建設したのが仙人ダムであり、仙人ダムと欅平間を結んでいるトンネルの阿曽原谷と仙人ダム間の部分が高熱隧道です。隧道は、2つへ移行してあり、1つは水が流れており、人は入れませんが、もう1本も公開されていないので、通常は入れません。

地図の上の端に欅平があり、下の端に仙人ダムや黒四地下発電所という文字が見えると思います。高温部分は、地図の真ん中あたりにある、阿曽原谷や阿曽原小屋と書いてあるあたりから、仙人ダムまでの705mです。(欅平から水色の点線が下に出ているのが見えますが、これが水路トンネルです。点線が2本見えるのは、黒部第三発電所用と新黒部第三発電所用の2本あるからです。)

発電所着工が昭和11年です。当時の状況は、満州国建国宣言昭和7年、日本の国際連盟脱退昭和8年です。昭和11年に入ると、2.26事件がありました。翌年の昭和12年には盧溝橋事件が発生しています。日本が、軍事国家の色彩を強め、経済の上では、大不況を軍事支出増加の経済対策で、国家統制による社会主義色を強めていった時代です。米国の日本向け航空ガソリンの輸出禁止が昭和15年9月、石油前面輸出禁止が昭和16年6月で、そのような状態を政府首脳部は予想していたはずで、戦前の日本のエネルギー開発政策として、大規模水力の開発は欠かせなかった。同じような時期に着工され完成したのが東京電灯の信濃川発電所です。

吉村昭は「高熱隧道」で、限界に挑んだ人達、限界まで挑まざるを得なかった人達を小説の中で、描き出していると思いました。ちなみに、読んでいて、次のような文章には、すごさを感じました。

「日本電力でも、地質学者の意見に不信感をいだいている。大石教授の言うようにこれから掘り進んだ場合、温度が低くなるというような期待も全く持ってはいない。むしろ、温度は上がる一方だろうという意見が圧倒的だ。それに仙人谷から進んでいる本抗の抗道も、摂氏80度まで上がっているのを考えると、今のままのルートでは火の中の玉の中へ突っこんでゆくようなものだ。それで、日本電力でもルート変更を考えてくれたわけだ。

技師と人夫。そこには、監督する者と従属する者という関係以外に、根本的に異なった世界に住む者の違和感がひそんでいる。それは、一言にしていえば、技師は生命の危険にさらされることは少ないが、人夫は、より多く傷つき死ぬということである。と言うより、人夫たちには、死が前提となっているとさえいってよい。ある工事がはじまる時、その予算の中の雑費という項目には弔慰金に該当するものが必ず組みこまれている。死はあらかじめ予定されている事柄であり、しかも、それはより多くの人夫の死に対して支払われるような含みをもっているのである。

工事を強引に推しすすめることに、むろん藤平も異存はなかった。人夫たちの体は完全に熱に順応し、坑内の熱さに堪えられなかった者は一人残らず下山してしまっていて、工事現場にはたとえ痩せきってはいても強健な体をもった人夫たちだけが残されている。日当も普通賃金が1円80銭の相場なのに、いつの間にか割増金が加えられて、1日7円から8円の金額が支払われるようになってきている。かれらは岩盤温度が何度に上昇しようとも、日当さえ割額していけば作業をつづけてくれるにちがいなかった。

今は昔の物語です。しかし、もしかしたら、そんな極限状態が今でも、存在しているし、これからもずっとある気がします。だから、吉村昭が小説として残したかった。

参考事項をもう少し書くと、小説に出てくる佐川組とは佐藤組で、今の佐藤工業と思います。佐藤工業は、2002年3月に会社更生法を適用申請をしましたが、2009年9月7日に更生手続の終結をしました。(佐藤工業の発表)おめでとうございます。他社にない高度な技術力とかKnow Howとかを持っていると、不況下で同じように苦しいが、再生する潜在力はずっと高いと思います。

黒部第三発電所と言うからには、第一、第二があるはずで、第四が黒四で有名な発電所です。実は、黒四発電所は、黒部第三発電所のダムである仙人ダムの少し上流で、そこから10km以上離れた地点にある黒部ダムからの水で発電しています。黒部第一発電所という名前の発電所はなくて、柳河原発電所が第一に相当します。(現在の新柳河原発電所は、国交省宇奈月ダムの建設により建て替えられた発電所ですが、同じ場所(柳原駅)にありました。参考に表にしてみました。

Kurobehydro

新黒部川第二、第三という発電所が、昭和41年と昭和38年に完成していますが、これは黒部ダムの完成によりピーク時間の発電量を増加させることができるようになり建設したと理解します。ピーク時間の発電量を増加させると、ピーク時間帯以外で発電量が同じだけ減少してしましますが、電力という物は、貯蔵が不可能であることから、大きな意味を持ちます。

新黒部川第三発電所の導水トンネルも、旧トンネルとほぼ並行して掘削されています。同じような高熱問題がありました。見ていませんが、地熱に挑む-新黒部第3発電所導水路-という記録映画が、存在します。170℃との説明があり、難工事だったと思います。

日本電力が黒部第三発電所の発注主ですが、当時の電力会社大手は、東京電灯、東邦電力、大同電力、日本電力、宇治川電力、関西共同火力といった会社でした。当時は、軍需工業が起り、電力が不足するから、国家の手において豊富な電力を開発せねばならない、そして、戦時においては電力は国家が統制すべきであるとの考え方でした。経済分野の多くで国家統制経済に向かおうとしていた中、電力はその先頭を走っていました。昭和13年に電力管理法、日本発送電株式会社法が成立し、これらに基づき日本発送電株式会社が昭和14年に設立されたのです。日本電力も日本発送電の出資者となり、黒部第三発電所は日本発送電に引き渡されました。

黒部川の開発の歴史に関しては、この宇奈月町商工会のWebに纏まっています。但し、新黒部川第二、新第三や宇奈月ダムについては、触れられていませんが、黒三発電所のWeb Pageはあります。この日本ダム協会の仙人谷ダムの建設に関するWeb Pageには、もう一つ「内田すえの、此川純子、堀江節子著『黒部・底方の声-黒三ダムと朝鮮人』(桂書房・平成4年)」の書があることが書かれています。図書館で借りないと読めないようですが、時代からして、朝鮮人の人夫が当然働いていたと思います。

黒部第三発電所は、黒四発電所よりはるかに多い300名を超える犠牲者(単純比較はできませんが)を出して建設されました。今も水という自然エネルギーのみで、CO2を排出せずに発電をしています。おそらく何百年あるいは、それ以上の長期にわたり発電をすると思います。仙人ダムは、総貯水量682千m3の小さなダムです。自然保護と産業開発との調和という観点では、優れたプロジェクトであると思います。なお、仙人ダムへ行くには欅平から片道5-6時間、そして帰りに4-5時間かかります。欅平に宿泊して、日帰りするか、阿曽原小屋に泊まる必要があります。そうなると仙人池や剣岳も含めて行く方がよいのでしょうね。もう一つは、仙人ダムから黒部ダムへ行く方法がありますが、こちらは、もっと距離が長いし、徒渉をする必要があるかも知れず、大変でしょうね。

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2009年9月17日 (木)

経団連CSRアンケート調査結果に思う

toshiさんの9月17日のブログで知りました。経団連が会員企業1297社に対してアンケート調査を行い437社より回答があった「CSR(企業の社会的責任)に関するアンケート調査結果」を、9月15日に公表しています。ここからダウンロードできます。結果だけを読む場合は、概要版が読みやすいと思います。

一つ前の鳩山内閣誕生で、民主党の公開会社法案の批判について少し触れましたが、企業のCSRについて、批判を書きたくなりましたので、今回はCSRに関する私の思いを書き連ねます。

1) 会社は株主のものではない

民主党の公開会社法案の基になっている考えは、会社は株主のものだけではなく、取引先や労働者、地域など様々なステークホルダー(利害関係者)の為のものである。これは、誰もが賛成することであり、且つ上場企業のみならず、また株式会社のみならず、社団、財団、NPO、NGO、独立行政法人等を含め、およそほとんどの団体にあてはまると考えます。

嘗て、ホリエモンが「株式時価総額が企業の価値」と言っていたことがありますが、とんでもないことです。One of Themの評価を、全てであるかのように、扱うことは誤りであり、企業の評価は、それほど簡単ではありません。もし、企業価値評価の最重要項目を一つあげるなら、「誰もが魅力を感じる企業」と思います。

CSRとは、社会の中で、活動する企業が、その企業を取り巻く多くのステークホルダーに対する責任と思います。また、多くのステークホルダーから意見を聴取し、そのなかの取り組むべき課題に取り組むこともCSRであると考えますし、そもそも企業としての社会的責任を果たすことがCSRであると考えます。

2) キャノンのCSR

経団連の調査結果であったことから、経団連会長企業キャノンのCSRを見てみました。先ずは、有価証券報告書ですが、「3 対処すべき課題」に次の文章がありました。

また、当社グループが更なる進化を遂げ、永々と発展し、繁栄し続ける真のグローバルエクセレントカンパニーとなるため、独自のコア技術の研究体制および経営人材の育成の強化に努めるとともに、社会貢献活動にも更に力を注いでまいります。

キャノンに、キヤノン 社会・文化支援活動という小冊子があり、社会・文化支援活動といのが社会貢献活動に含まれている内容と理解します。立派な内容であり、継続願いたいと思います。但し、少し気にかかる点としては、ボランティアと思われる活動に、「社員と家族など100名以上が参加しました。」とあります。これも、これでよいのですが、会社から社員や家族に強制することがあってはならず、会社(もしかしたら仕事上の上司や関係者)から言われたから、参加したというようなことに下手をするとなってしまうことを恐れます。

CSRとは利害関係者の為の企業活動ですが、利害関係者の自由を拘束することになってはいけないと思います。各個人が自分の意思で活動すべき分野については、企業は寄附のような金銭支援、あるいは給料を払って社員の業務活動として支援すべきと、私は思います。

3) 企業のCSR

現実には、不況下において、社会貢献活動に金銭や社員を割り振る余裕のない企業が実は多いと思います。そのような場合、CSRは、おざなりにして良いのかと言うと、私はそうは思いません。例えば、消費者に危険性があるものが発見されたら、例え、それが法令上問題にならなくとも、消費者保護のために、取り除くのが企業の社会的責任(CSR)であると考えます。

フェアトレードを目指すことや下請けいじめをしないことも、CSRのはずです。日本においても、国会で成立した法以外に、社会規範のような法があると私は考えます。それでなくとも、多くの法があり、多少は矛盾した部分もある。ある法では問題なくとも、別の法では解釈によっては、問題があり得ることはよくあります。法を解釈する上において、社会規範は重要です。「調査しましたが、法令違反の事実はありませんでした。」と自慢するのは、好きではありません。

内部統制制度を作って、それを遵守するだけで良いのか?であります。社会的責任の方が、もっと大事かもしれませんし、抜けてしまってはいけません。本当は、CSRがしっかりしていれば、EnronやWorldCom事件もなかったように思います。そう考えると、内部統制はCSRの一部である気がします。

4) 男女差別・ジェンダー

「男女共同参画ではないか。おまえは遅れている。」と言われそうです。男女共同参画社会基本法の公布が1999年6月23日ですから、10年と少しを経過しました。私は、男女共同参画という言葉は、ごまかしである気がしてならないのです。何故かというと、この10年で何も変わっていないと思うからです。その中で、あえて言えば、福島瑞穂新大臣が小渕優子旧少子化担当大臣と引き継ぎ挨拶をした時に、出産間近で働いている大臣を見たことです。但し、これも、異常と思います。衆議院選は、仕方がないが、9月の出産予定に対して、産休は、どうあるべきか、少子化担当大臣は激務でないか、本当は麻生旧総理他が考えるべきであったとも思います。

いずれにせよ、男女差別は、ほとんど変わっていないと言うのが残念ながら私の感触であり、男女差別と言うこととします。企業において、男女差別はないと思っておられますか?女性に対して、そう質問をしたら、「トンデモナイ」との答えが返ってきます。そんな簡単になくならないし、男女共同参画社会基本法を遵守していれば、解決するような単純な問題ではないはずです。

実は、CSRを実践することには、企業の中で男女差別をなくすことも、含まれているはずです。ISO26000が、Social Responsibilityであり未だDraft状態で、正式な基準とはなっていませんが、Gender Equalityは含まれており、ISO26000の”Box 2 – Gender equality and social responsibility”の最後には次のように書かれています。

Gender equality in stakeholder engagement is also an important means for achieving gender equality in an organization’s activities. In addition to including a balance between men and women, organizations may find it useful to seek expertise in addressing gender issues.
Organizations are encouraged to use indicators and targets to systematically monitor processes and track progress in achieving gender equality.

個人が生きていく上に置いて、社会から恩恵を受けていると同時に義務を負っている。企業・組織・団体も、全く同じで、それぞれ義務を有しており、それがCSRであると考えます。よりよい社会を作っていく義務は、政治家と国民にのみあるのではなく、企業や団体にもあると思います。

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2009年9月16日 (水)

鳩山内閣誕生

9月16日鳩山内閣が誕生しました。

読売 9月16日 鳩山内閣の閣僚名簿発表、今夜の認証式後初閣議

民主党圧勝の結果誕生した内閣ですが、マニフェストが支持されて衆議院選で勝ったのではなく、麻生自公政権の不支持と選挙制度の結果、圧勝したので、今後は国民の声をよく聞く政府を作って欲しいと思います。おそらく、そうすれば今後とも民主党が支持されるであろうし、そうでなければ、自民に戻る可能性があると思います。最も最悪の事態は、政治不信や政府不信になってしまい、暗黒の世界になることで、それだけは避けてください。

金融・郵政問題担当の亀井大臣が、15日の記者会見で、モラトリアムや郵政民営化見直しを発言されました。

読売 9月15日 亀井氏「中小企業の返済3年猶予」導入検討

中小企業の金融対策の検討という意味と思うし、内容は明確でないが、リスクを銀行に取らせて、法令で銀行に義務化したり、政府がリスクを取らずに関与しようというのは、市場を壊すのみならず、不信感が生まれ、逆効果になってしまう可能性が高いと思います。例えば、需要を読み違えて、多大な設備投資をしてしまい、将来とも不要な設備投資を抱え、危機状態にある企業は、無理矢理助けるより、民事再生法等で再建処理をした方が、望ましいことがあります。中小企業の経営者が民事再生法等による再建処理を躊躇せずに進めるように支援することの方が、大事と思います。金融機関に個人保証をしているから、企業再生に向かえず、自殺を選ぶようなことは極めて変だと思います。

郵政民営化については、小泉郵政選挙とその後の自公の数で押しまくった政治がおかしいからと、同じ方法をすることには、反対します。郵貯と保険は、民間事業とすべきです。地方の人々の大事なインフラとなっている郵便局については、インフラとして存続できるように、必要な支援等を考えていけばよいと思います。小泉政権の独善的なやり方に反対されるなら、同じ方法ではなく、国民の声をよく聞いて進めるやり方をして欲しいと思います。

9月14日の日経新聞朝刊の「法務インサイド」が民主党の公開会社法案を取り上げたこともあり、再びあちこちのブログで、民主党の公開会社法案の批判があります。会社制度を知っている人が考えると、矛盾だらけに思います。「そもそも何がしたいの?」と思うことから始まり、「そんなことで解決にならないでしょう」と思ってしまうのです。問題点等について、少し前ですが、池永朝昭弁護士の8月18日のブログがよく整理しておられると思います。

よく錬られていないのです。民主党の政策には、思いつきはよいのですが、問題点がありぎる政策が多いと思います。国民に案を示し、官僚を含め国民からの種々の意見を十分考慮して、最善の案に作り上げる努力をして欲しいと思います。

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2009年9月14日 (月)

警察による事故救助

事故や災害時に懸命に使命として懸命に救助活動に従事しておられる警察官の人には、感謝します。だから、次の記事は、酷だなという気がします。

読売 9月14日 3000m級で初救助…ヘリ墜落、経験不足影響か

次の読売の記事には、「朝倉操縦士は飛行時間5740時間のベテランで」と書いてあったのです。

読売 9月12日 ヘリ墜落3人死亡、機体2つに折れ斜面落下

9月12日の記事に地図があります。事故があった穂高のジャンダルムは、ちょうど岐阜県と長野県の県境で、岐阜か長野かなんて、言い争いをせずに、すぐに救助に飛んできてくれたのだと思います。岐阜側も長野側も断崖絶壁で、私なんかヘリコプターでよく救助に来てくれたと感心します。結局、仲間9人と登山中に、突然倒れ込み、心肺停止状態になった64歳の男性は現場で死亡が確認され、長野県警のヘリコプターで収容されたのです。

天候が急変し、ガスにより見通しが直ぐに悪くなり、風が変わる危険な場所に、警察はヘリコプターを出す義務があるのだろうかと思います。勿論、操縦士が安全と判断した場合は、可能な限りのことをすべきですが、リスクが大きいと思う場合は、中止という判断を下すべきです。操縦士に中止を躊躇させる何かが働いたとしたら、恐ろしいと思います。

今の日本の社会において、事故や災害救助活動にあたる人達を暖かく見守り、社会のために必要なインフラとして支えて発展させていこうという思いやりが欠けている気がするのです。マスコミも何故かそんな方向を見失っている気がします。

次の北海道・積丹岳遭難死で、遺族が8630万円を求める償請求訴訟を札幌地裁に起こしたニュースも、これで良いのだろうかと思います。

北海道新聞 9月12日 積丹岳遭難死で遺族が国賠提訴 道に8千万円請求

どのような事故であったかは、次のMSN産経ニュースを参照下さい。

2009.2.2 00:47 救助活動中に滑落 遭難男性が再び行方不明に 北海道・積丹岳
2009.2.2 10:42 積丹岳の遭難男性死亡 救助活動中に滑落

登山ではなくスノーボードに山に来て、1人だけ下山しなかった。翌日の昼に捜索していた救助隊に発見され合流したが、下山中に警察官数人とともに滑落。警察官が自力で歩けないこの人をソリに乗せた。作業の交代のため一時樹木にソリをくくりつけた際、樹木が折れてソリが斜面を滑り落ち、行方が分からなくなった。しかし、現場は風が強く、視界も悪かったことから、悪天候のため捜索は午後5時ごろに中止せざるを得なくなった。

記事からして、このような感じと思います。訴訟を提起する権利は誰にもあるのですが、権利の濫用は、慎むべきと思います。北海道新聞の記事には、遺族が「道警には感謝しているが、真実を明らかにして問題点を検証し、救助態勢を改善するきっかけとしたい」と思いを語ったと書いてありますが、矛盾していませんか?それと、裁判の提起が、そんなことに繋がるのでしょうか?

権利の濫用は、社会に何の貢献もしないと思います。本当に目を向けるべきは、別にあるのではと思います。

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2009年9月13日 (日)

沖縄基地問題の解決

9月11日に書いた民社国三党連立政権で、三党合意の「米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。」と書かれていた部分を、載せました。9月13日の沖縄タイムスの社説に、「・・・米軍嘉手納基地のF15戦闘機約50機の一部を削減することを日本側に打診したが、日本政府が難色を示したため保留状態になっている・・・・」と書いてあったことから、驚きました。

沖縄タイムス 2009年09月13日 社説 [F15削減難色] これが政府の「本心」か

沖縄の人の、基地問題の大変さを思うと、心が痛みます。大東亜戦争で、本土決戦は避けられたと言われることがありますが、「本土=日本」ではないと反発します。米軍は1945年4月1日沖縄に上陸し、日本の中で地上戦があったのです。沖縄戦の犠牲者は、米軍1万2500人、日本軍(地元防衛隊含め)約9万人、住民の戦死者は10万人以上ですから、日本人約20万に戦争により死に、沖縄の島は戦場になったのです。(琉球新報 沖縄コンパクト辞典 沖縄戦 (おきなわせん)

琉球新報の沖縄コンパクト辞典(米軍基地)によれば、米軍専用施設・区域は38施設2万3753ヘクタールで、日本国内に所在する米軍専用施設・区域3万1349ヘクタール(91施設)の面積では75%が沖縄に存在します。

8月30日の衆議院選挙では、沖縄において4つの選挙区で、下地幹郎氏(国民新)、照屋寛徳氏(社民)、玉城デニー氏(民主)と瑞慶覧長敏氏(民主)の4氏が選出され、自公は全滅し、那覇市議をされたこともある赤嶺政賢氏が九州ブロック比例区の日本共産党比例名簿第1位でしたから、沖縄県からは合計5名の方が衆議院議員となられました。

「理不尽」とか「不合理」とか、そんなことがない社会を作っていかねばと思います。

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後期高齢者医療制度廃止を含む医療保険制度改革

次の記事を見ると、後期高齢者医療制度廃止を含む医療保険制度改革の必要性を感じます。

日経 9月12日 健保、7割が赤字 08年度3000億円、高齢者医療費重く

後期高齢者医療制度がスタートする前でも、国民健康保険、組合健康保険、政府管掌健康保険(現在は協会けんぽ)と共済組合(政府、地方公共団体、私学)の4制度でした。そして、それぞれの健康保険事業者に生涯にわたり加入するのではなく、退職時に国民健康保険に加入する制度でした。パッチワークの変な制度であったにも拘わらず、さらに複雑にする後期高齢者医療制度を新設した。

医療保険は安心して暮らしていく上で、とても大切だから守っていかねばならない。ところが後期高齢者医療制度は、75歳以上を切り離し、他の医療保険事業者から拠出をさせる。その結果、他の医療保険事業者が成り立たなくなる。そこで、日本の医療保険制度は、崩れ去る。そんなシナリオを狙ったとしか思えない危惧を抱きます。

医療保険とは加入者が互いに助け合う制度であるはずです。誰もが、高齢者になれば、医療を受け、医療保険の給付を受けることとなる。自分が働いて払った医療事業者と、高齢者になった時に、給付をしてくれる事業者が異なっても、安心して良いのでしょうか?政府が必ず給付をすると約束してくれるなら良いではないかとの考え方もあるでしょうが、そもそも無理が存在し、不確実性があることを政府に約束させる制度を作ることは、間違いと考えます。やはり、単一の医療保険制度を全員で維持し、運営していくことが重要と考えます。

課題が多く、実現には年数が必要ですが、自公政権では絶対実現しなかったことなので、民社国政権には是非実現に向けて尽力して欲しいと思います。その為の第一歩が、後期高齢者医療制度の廃止であり、次に国民総背番号制の実現でしょうが。(国民総背番号制なんて言ったら、俺は所得が捕捉されたくないからと、医療保険を初めとしてあらゆる福祉は必要がないと、背番号から逃げ通す人が出てくるのでしょうか?でも、方向が決まれば、自民党も、そんな輩の方を向かなくとなると思うのですが)

健康保険連合会の「平成20 年度健保組合決算見込の概要」は、ここにあります。

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2009年9月12日 (土)

デルタの日本航空への出資

日本航空に関して何度も書いているので、やはり今回の報道に関しても、コメントをと思いました。

日経 9月12日 日航再建、思惑が交錯 デルタとの提携、国交省後押し

1) 航空法

日本航空は、当たり前ですが、航空法第100条の許可を受けて航空機を運航している会社です。ところで、航空法第101条(許可基準)第1項五号が、次の条文です。

 申請者が次に掲げる者に該当するものでないこと。
 第4条第1項各号に掲げる者
 省略
 会社であつて、その持株会社(昭和二十二年法律第五十四号)第九条第五項第一号 に規定する持株会社をいう。)その他の当該会社の経営を実質的に支配していると認められる会社として国土交通省令で定めるもの(以下「持株会社等」という。)が第四条第一項第四号に該当するもの

そして、第4条1項は、次の通りです。

第四条  左の各号の一に該当する者が所有する航空機は、これを登録することができない。
一  日本の国籍を有しない人
二  外国又は外国の公共団体若しくはこれに準ずるもの
三  外国の法令に基いて設立された法人その他の団体
四  法人であつて、前三号に掲げる者がその代表者であるもの又はこれらの者がその役員の三分の一以上若しくは議決権の三分の一以上を占めるもの

日本航空の場合、航空輸送業務をしているのは日本航空インターナショナル、日本トランスオーシャン航空、ジャルウェイズ、ジャル エクスプレス、日本エアコミューター、北海道エアシステム、琉球エアーコミューターとジェイエアの8社であり、上場している株式会社日本航空は持ち株会社ですから、第4条1項四号の外資規制となります。従い、デルタが出資するとしても、33.3%以下です。

2) デルタの狙い

当然、様々なデルタの世界戦略の展開であることは、間違いないはずです。但し、航空法の規制により子会社にはできません。でも、ある程度の株数を持てば、相当の影響力を持て、日本航空と様々なデルタ路線に合致した提携を進めることができると思います。

8月20日の日本航空の経営健全化では、日本航空の現在の業績不振・赤字の最大の理由は世界不況による収入減と私は書きましたが、そうであれば現在の日本航空株価160円は魅力です。読売 9月12日 日航が詰め交渉、デルタ「500億円出資」打診かでは、500億円なんて数字もあがっていますが、500億円として1株160円では、300百万株強となり議決権のないA種株式を除く発行済み普通株式総数2,732株の10%を超え、デルタ出資後のデルタ出資割合は約10%となります。

約10%を取得して、有利なビジネスを展開する。そして、将来の売却もあり得ると思います。株価チャートを見れば、一目瞭然ですが、近年は右下下がりの一直線の感じですから。何年かすれば、株価300円位は十分あり得ると思いますから。

3) 日本航空の観点

日本航空の経営にとって一番大変なことは、私は資金繰りと思います。7月3日の日本航空と全日空の比較で書きましたが、2009年3月末時点における長期債務の1年以内に決済が必要な金額は次のように、2259億円です。

2009年3月末残高(単位:億円) 日本航空 全日空
1年以内返済長期借入金 1,284 811
1年以内償還社債 520 300
1年以内決済のリース債務 455 118
合計 2,259 1,229

2009年6月期の第1四半期において、営業活動によるキャッシュフローは595億円の資金不足でした。長期借入金は借入増が623億円で返済額が284億円でした。返済より借入が多かったのです。日本航空の場合、借入金のなかで政策投資銀行からの割合が大きいので、他の企業と少し異なる点はあるでしょうが、経営者としては、不況だからと手をこまねいていてはならず、10%程度資本を受け入れて、新規提携関係を計ることはあり得ると思います。

デルタの資本を受け入れることは、国内不採算路線からの撤退が更に容易に進められることもあると思います。完全撤退でなくても、減便でも良いのですから。

4) オープンスカイ

オープンスカイの広まりが、これから先、どのような影響を与えるか分からない面がありますが、少なくとも競争は更に激しくなると思います。民主党政権になって、オープンスカイが更に進む可能性があると思います。そのあたりも、デルタの戦略に入っているのではないか。日本航空経営陣にとっても、日本政府から関与を受け、足かせをはめられ、自由が失われないようにするために、デルタの資本参加を意図している。

そんな可能性もあるのではないか。いずれにせよ、単純な○×ではなく、これからの航空産業の行方を見ていきたいと思います。

そう言えば、三菱MRJも胴体縦径を2インチ半大きくしました。100人乗りのストレッチ型も生産するのでしょうね。(三菱航空機 MRJ最新状況説明会) 

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2009年9月11日 (金)

民社国三党連立政権

民社国三党連立政権の合意が成立して、大臣選びが進んでいます。

日経 9月11日 新内閣の人事、調整続く 社民「福島環境相」求める

日経 9月11日 国民新、「亀井総務相」を要求 民主新政権の閣僚人事調整続く

民社国三党連立政権の合意の内容ですが、民主党の9月9日付ニュース 3党連立政権樹立で正式合意 3党党首会談でのページの下の方から三党連立政権合意書がダウンロードできます。

読んでみて、私は違和感を感じませんでした。堅実な基本線が書いてあり、これなら多くを支持できるし、この合意に従い、進めていただければと思います。例えば、日米関係について次のように書いてあり、対等な関係は2国間の関係として、当然です。独立国として、主従関係は、存在しないはずです。

主体的な外交戦略を構築し、緊密で対等な日米同盟関係をつくる。日米協力の推進によって未来志向の関係を築くことで、より強固な相互の信頼を醸成しつつ、沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。

合意政策を具体的に進めて行くにあたり、財源問題のみならず、各政策が内包するリスクや負の面についても配慮を行う必要があり、紙の上の問題ではない、生身の人間に影響を及ぼすことになるわけで、十分な検討をしていくべきと考えます。

ちなみに、民社国三党連立政権の国会勢力は衆議院が民308、社7、国4の合計319で総数480の2/3弱の66.45%であり、参議院は既に民と国が民主党・新緑風会・国民新・日本で会派を組んでいることから118+5の123となり、総数242の50.8%です。

三党連立政権合意書は、私は収拾の為の三党の妥協として、興味深く読みました。興味がある方は、読むことをお奨めします。(政党間の合意も秘密にせず、どしどし開示していってください。)

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2009年9月 9日 (水)

日本の政治のこれから

すごい題名を付けてみました。民主党圧勝を機会に、考えるべきことがあるのではと思ったからです。

1) 選挙制度

小選挙区制度が本当に良いのでしょうか?8月1日に小選挙区制の廃止を望むを書きました。

民主と自民に限って比較すると、8月30日の選挙結果は、民主308議席、自民119議席でした。この毎日の報道によれば、小選挙区の有効投票総数7058万票の得票率では、民主が47.4%、自民が38.7%でありました。小選挙区の議席数は300なので、得票率をそのままあてはめると、民主が142議席、自民116議席となります。

比例区を投票結果から、私が計算すると次の表のようになりました。(表に書いている得票率は、全国を1つの選挙区とした場合の得票率です。)

20098election

比例区も全国を11ブロックに分けていることから、多少は大政党に有利な方向に働くが、今回の比例区の獲得議席数に、小選挙区の得票率配分で計算した議席数を加えると、民主229議席、自民171議席となります。小選挙区の選挙では、少しの差が大きな差になることを物語っています。

逆のケースが、前回の郵政選挙であり、毎日の報道には自民小選挙区得票率47.8%、民主小選挙区得票率36.4%と書いてあり、比例を合わせた議席数は自民296議席、民主113議席でした。

猫の目のように変わるのも良いかも知れませんが、人気取りだけのバラマキ政治がはびこってきている様に思えて、嫌なのです。だから、昔の中選挙区でも、全議員比例代表制でも良いから、バイアスが大きくならない選挙制度を採用すべきと思います。次の参議院選は、政策議論の正しい選挙をして欲しい。

この日経記事(9月1日)小選挙区制度「日本に不向き」 米コロンビア大教授によれば、選挙権のない人ですが、小選挙区制は日本に似つかわしくないと、私のような意見をお持ちの人もおられるようです。

2) 参議院選挙

こちらの選挙も、ミニ衆議院選の様になってしまっていると思います。何故なら、選挙方法は都道府県毎の47選挙区と全国1ブロックの比例代表選挙で、3年ごとに半数を選ぶ選挙です。次回の2010年7月の選挙では、選挙区73人、比例区48人を選ぶが、選挙区選挙の47都道府県のうち29県の選挙区が定数1人です。

仮にバカなシミュレーションをすると、民主が47.4%、自民が38.7%の得票率をあてはめると、一人県は全て民主で29人、2人道府県が12あるので、民主12人、自民12人、3人が埼玉、千葉、神奈川、愛知、大阪で合計15人中10人を民主が取る可能性があるが、民主9人として、最後の東京の数が5人です。3人が民主、2人が自民としましょう。結果は、民主53人、自民20人です。これに、比例区の人数を、改選数の48人に対して得票率で計算すると比例区では民主23人、自民19となります。結果、選挙区と比例区の合計で民主76人、自民39人とその他6人です。

参議院の場合、半数毎の選挙なので、「今回の選挙は○○県は投票がありません。」なんてできず、最低でも都道府県に2人が割り当てられます。その結果が、29県の選挙選出定数1人となります。

二院制を採用して、同じような選挙制度で選挙をしても、余り意味がないと思います。参議院は、全国1ブロックの比例代表選挙のみとするか、都道府県毎の選挙区選挙のみとし、一方で、衆議院選挙を比例代表選挙のみとするかと言うような改革をしないと変な選挙制度によるいびつな政治になる懸念を抱きます。

3) 民主党への期待

自公政権ではできなかった国民が参加する政治を進めて欲しいと思います。一方で、マニフェストには、CO2の削減とガソリン特別税の廃止や高速無料化と言ったような矛盾することが相当あります。例えば、炭素税の導入や所得税増税をしても良いのであり、正しい政策をして欲しいのです。

麻生政権末期の定額給付金や千円高速のようなキチガイ政策をすれば、今の自民党のような状態になってしまうと覚悟せざるを得ないと思います。最も、小選挙区制を改正して、議会の議席が合理的に投票結果に結びつくように改正することも考えられると思います。

4) 自民党への期待

55年体制当時の社会党の議席になったのです。今のように、民主党の揚げ足取りや、誹謗中傷をしていては、国民が離れていくだけです。正しい政策を作り、発表し、堂々と国会で討議することです。

建設的野党と言っている共産党と論争をしても勝てるようにならなくてはなりません。経験がない、最大議員数の政党ではない野党です。数で負ける上に、論争でも負けていたら、将来は暗闇になりかねません。正しいことを主張すれば、支持する人があります。利権政治をしようにも力がないのですから。

5) 官僚への期待

憲法15条2項の「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」を実践することが全てです。族議員と結びついて、一部の者の為に、汗をかく時代は終わりました。正しい政策を立案し、国民に発表するのです。

政権交代があっても、何があっても、国民の支持があれば、恐れる物はありません。健康保険、医療制度、年金、国債残高、日本経済、農業等々いずれも余りにも大きな問題です。これらが、政権交代により右や左にぶれるのは、国民が一番損をし、無駄が発生するだけです。もし、正しい方針が打ち出されているのであれば、政権が変わっても、少しの修正を都度していくだけで、済むはずです。

そのような基本政策の立案を誰がするかと言えば、そんな力があるのは役人しかいないのではないでしょうか?一人ではできないが、ある程度の人が集まれば、相当程度のことはできると思います。

私からすれば、議員立法で成立した法は、変な法ばかりという感覚です。プロの役人なら、政党の党略とは関係なしに、国民のための重要政策を立案できると私は期待します。

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2009年9月 6日 (日)

石原都知事の八ッ場ダム発言

次のニュースがありました。

日経 9月5日 石原都知事「八ツ場ダム、中止なら分担金の返還請求」

1) 実際の発言

東京都の場合、東京都のWebに記者会見の内容が出ており、確認することができます。知事記者会見のWebはここであり、9月4日の会見が、該当するものです。(このエントリーを書いている時は、未だテキスト版は発表されておらず、録画映像のみですが、初めから10分を過ぎたありからです。)

9月4日の会見で、知事は冒頭に「私から今日は申し上げることはございません。質問があったらどうぞ」と述べ、記者からの質問に答えたのみです。従い、新たな東京都の見解を伝えたのではなく、記者からの質問があったので、従来からの意見を述べたと理解します。即ち、議会にも諮っていないし、下手なことを言うと揚げ足を取られるし。

また、この日の会見は、IOCの評価報告書が出てきたことに関連しての、東京オリンピックに関する質問とその発言がほとんどでした。

会見の内容は、東京都のWebの前に、MSN産経ニュースが会見の詳報を伝えており、このページの次の2から6が詳報です。ちなみに、八ッ場ダム関係は、5と6です。

2) 分担金の返還請求

MSN産経ニュース詳報の5にありますが、次の発言です。

「東京だって分担金を出資してきたんですよ。これは国のせいで中止になったら、当然、返還請求しますからね。」

実は、他の新聞報道は、刺激的な表現で457億円を請求すると読めるような報道もありました。(記事の表題ではなく、その部分を引用していることから刺激的でありすぎ、ニュアンスは、リンク先の記事を読んでください。)

読売 支払い済みの費用負担分約457億円について国に返還を求める考えを明らかにした。
朝日 既に457億円を支出した。建設中止の場合、「支出した全額の返還を求める」(都都市整備局)という。
毎日 「国の意思で(工事が)中止になったら当然、(負担金を)返還請求する」と話した。都はダム建設事業の負担金として08年度までに457億円を支出している。

457億円の根拠は、私なりに思うのは、次の共同の記事配信です。

共同 都によると、八ツ場ダム事業の都の負担分は総額635億円で、既に457億円を支払っている。

3) 実際の東京都の負担金

八ッ場ダムに関して嫌なのは、不透明会計なのです。8月25日の八ッ場ダムを考えるの中で平成20年9月12日国土交通省告示第1121号の「八ッ場ダムの建設に関する基本計画」を紹介し、河川法による負担が2509億円で、その2/3が政府で1/3が関係する都道府県と書きました。川辺川ダムの場合は、洪水緩和が全てなので、河川法のみの建設になると思うのですが、川辺川ダム砂防事務所のWebによれば、熊本県の負担は22%で、さらにこの負担額の80%が地方交付税でまかなわれ、最終的な熊本県の負担額は4.4%(116億円)になるのです。

川辺川ダムの比率が八ッ場ダムに適用してよいか分かりませんが、4.4%とし、その中での東京都分担を22%とすると1%にもならず、25億円です。これに、水道関連の都道府県分担金を加える必要がありますが、水道関連に様々な地方交付税があることから、実際の都道府県の負担額は小さくなります。

こうなってくると民主党の肩を持ちたくなります。各種の地方交付税も当初はそれなりの理由があり、導入されてきたが、この仕組みの見直をしないと、無駄な公共事業が蔓延してしまうと危機感を持ちます。是非、国民の前に、正しい会計報告を含むプロジェクト報告をして欲しいと思います。

4) 水に関する知事発言

水リスクを低くするために八ッ場ダムが必要であると石原知事は述べました。しかし、会見の中では、数字等は全く出しておらず、観念的であります。記者会見においては、それでも良いので、Webにおいてでも、東京都民には水需要とその供給見通し等を公表すべきですし、地方交付税も関係するので国民にもそうすべきです。

東京都の場合は、利根川以外に、多摩川から取水しており、小河内ダム(貯水容量185,400千m3)あり、西武球場近くの村山貯水池・山口貯水池(両方合計で貯水容量34,350千m3)も多摩川からの水です。私たちは、大ダムが完成する前から、水を利用していました。ダムは、大雨が降った時の水を貯蔵して、渇水になった時に、放流され、その水を利用することとなります。従って、ダムの水供給に関する評価も、ダムにより違いはあるが、多くの場合、重要性は渇水時対策であり、洪水緩和と似通った面があります。

利根川にしても、矢木沢ダムや奈良俣ダムがある利根川本流、下久保ダムがある神流川、草木ダムがある渡良瀬川が同時に全て渇水になるとは思わないのです。また、海水淡水化により飲料水を作ることも可能であり、渇水対策として、何が最も有効かは十分検討すべきと思います。

5) 工事が進んでいるから中止できないか

分かりません。そのことも検討事項に入ります。ダムの場合、最初に水没地の道路を付け替え、移転のための居住環境の整備をすることとなります。着工したから、中止が意味ないとすれば、中止は全く不可能となります。

自公政権であったなら、既成事実を積み重ねていくだけであったのであり、民主政権は中止が意味ないことかも含め、正当な検討をすべきと思います。そして、民主党は、今名前があがっているダムの見直しに止まらず、国民の為の大型公共工事の国民が参加しての進め方の樹立を目指して欲しいと思います。

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2009年9月 3日 (木)

カブドットコム証券の問題点

社員のインサイダー取引があったカブドットコム証券を、8月末で同社取締役を辞任された磯崎さんが9月1日のブログ カブドットコム証券社外取締役辞任について(コーポレートガバナンスについてのご参考)でカブドットコム証券の調査報告書に関して書いておられます。その結果、あちこちのブログで再度カブドットコム証券社員のインサイダー取引および特別調査委員会「調査報告書」取り上げられています。

私も、2009年7月31日にカブドットコム証券の調査報告書を読みましたを書いたことから、補足を致します。

1) 不祥事発生には素直に反省し改善すること

当然のことですが、不祥事が発生した場合には、素直に反省し改善することが重要と考えます。カブドットコムで起こったことについて、調査報告書が述べていることは重要です。関係当事者以外に漏れてはならない情報を、誰もがアクセスできるサーバーに置いておくことは、企業として問題があります。情報管理は、重要であり、PC上の情報は、漏洩しても発見できないことがあります。社内であれば、悪用の心配がない情報が多いと思いますが、悪用が起こりうるリスクが存在する情報は、それなりに管理をすべきと思います。

2) インサイダー情報を全社員にメールで通知する

「これは、インサイダー取引となる情報です。」と言って、社長が全社員にメールすることを、どう思われますか?私は、モラルがないと思うのです。小さな企業なので、多くの社員が知っているからと言って、メールを全社員に発信するのは、その結果について何も考えずにしていると非難されても、致し方ないと思います。リスクは、常にある。しかし、リスクを拡大することは、してはなりません。情報管理は、企業の信用を確保する上で、重要です。

3) 特別調査委員会や第三者委員会報告書の読み方

特別調査委員会にしろ第三者委員会にしろ企業が調査を委託した委員会であり、自ずと制約があるなかでの調査であり、委託した契約書の範囲内の権限でしか動けない中で、作成された報告書です。間違いがあるかも知れないが、その企業の既存組織が調査するより深い調査や真実に近い事項を指摘しうる可能性があります。だからこそ、カブドットコムは久保利英明弁護士を含む3名からなる特別調査委員会に調査を依頼したはずです。

企業が報告書を公開するかどうかは、企業の意思ですが、重大な不祥事であれば、コメントを付けて公開するのが適当と思います。読む人は、そこから、何を学ぶかであろうと思います。

4) 委員会設置会社

カブドットコムは、監査役が存在しない、委員会設置会社です。監査役は、会社法381条1項の定めのように、取締役の職務の執行を監査します。一方、取締役からすれば、自分が正しいことをしているからには、監査役とは不要な存在であり、閑査役でいて欲しいのが本音という部分があります。しかも、監査は、取締役の判断が正しいかどうかの審査ではなく、職務の執行が正しいかどうかであり、法令違反はないか、代案等についての検討も適切に行われ取締役として会社から委託された業務を執行しているかです。

日本の株式会社は監査役制度でガバナンスを採ってきたのですが、他国ではその国の習慣や法体系の関係もあり、まちまちです。そのような中で、平成14年5月改正-平成15年4月1日より施行の商法特例法改正により日本にも米国式の委員会設置会社が導入され、委員会設置会社においては、監査役・監査役会は存在せず、取締役のなかから選ばれた監査委員会が監査役・監査役会の業務をすることとなりました。米国の上場会社で多い形態は、1名のみが執行役で、他の取締役は全て取締役会の時やその他必要時に取締役としての職務を行う形態です。例えば、GMのBoard Directorsの名簿がここにありますが、ChairmanのEdward E. Whitacre, Jr.さん以外の人達は、すべて他組織での本職の肩書きが書いてあります。良い悪いの前にカルチャーの違いがあります。

日本での監査役会設置会社と委員会設置会社の違いで気にすべき点は、私は、会社法390条3項による監査役会設置会社の常任監査役の選定であると思います。委員会設置会社においても監査役の任務をする取締役を内部で決めても良いのですが、一方で、取締役は全員が取締役としての職務履行の義務があり、個々の判断について、その内容を検討し、取締役における決定に参加しなければならないと私は解釈します。そうすると、監査役としての職務と矛盾する点が出てくると思うのです。

委員会設置会社において会社法405条により監査委員会が監査委員を選定して、この監査委員を常任とすることも可能ではありますが、そうすることは、法律上の義務ではない。常勤の監査役が会社内で職務執行をしているのが、日本の従来の風土にあった会社ガバナンスの形に思えるのです。

カブドットコムは、従業員96名の会社です。この会社のガバナンスに委員会設置会社が良かったのだろうかと思うのです。監査役会設置会社と委員会設置会社については、様々な意見があると思います。私としては、私の意見に対する忌憚のないご批判なりをコメント欄に書いていただき、勉強することができればと思っています。

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川辺川ダム

私のブログで、最近の検索ワードで「八ッ場ダム」が上位に来ています。(8月25日 八ッ場ダムを考える)民主党が大規模公共工事見直しの具体的な工事名として上げているもう一つのダム工事である川辺川ダムについても、書くこととします。

私の考え方は、利害関係者全員に調査報告書、評価報告書を含め多くの情報を開示して、透明性を確保した上での決定を下し、推進すべきは推進し、見直し・凍結・中止をすべき工事は、そのようにすべきであるとの考え方です。利害関係者とは、税金が投入されるからには、国民全員が利害関係者であり、ダムの場合は、水没地で住宅・農地・生活を含め多くの資産を失う人々は、より大きな利害を持つ関係者です。ダム工事の受注を期待する土建屋も利害関係者であり、下流流域で洪水軽減や水供給を受ける利害関係者も存在します。その範囲は、株式会社における株主、従業員、債権者、取引先と言う範囲よりはるかに大きくなります。

1) 川辺川ダム

位置は、次のYahoo地図の通りで、住所は熊本県球磨郡相良村大字四浦字藤田です。

ダムの大きさは、八ッ場ダムとほぼ同じで、比較すると次の通りです。

八ッ場ダム 川辺川ダム
堤高 116.0m 107.5m
堤頂長 190.8m 283m
流域面積 707.9km2 470km2
湛水面積 304ha 391ha
総貯水容量 107,500千m3 133,000千m3
有効貯水容量 90,000千m3 106,000千m3
水没戸数 340戸 403戸
水没農地面積 48ha 66ha
事業費 4,600億円 2,650億円

2) 経緯及び背景

八ッ場ダムとの違いは、あえて言えば、川辺川ダムが建設される川辺川及び、ダムの約20km下流で合流する本流の球磨川は、上流から下流までの流域全てが熊本県であることです。川辺川ダムは、1966年7月の建設省による川辺川ダム建設計画発表から始まるのですが、1963年、64年、65年の3年にわたり、川辺川、球磨川で毎年大規模な洪水が発生し、1965年に熊本県議会及び人吉市議会が建設省に対して球磨川の抜本的治水対策を要望したことがあり、この要望を受けての建設省の決定です。

ダムの約20km下流の球磨川との合流地点にあるのが、人吉市であり、水没地がダムの直ぐ上流の五木の子守歌の五木村です。(上のYahoo地図を動かせば、見ることができます。)中心地にかかっている橋が、頭地橋で、この橋が丁度海抜250m位です。川辺川ダムの計画満水位は海抜280mであることから、満水時には30m水没し、中心地を含め多くの家屋の移転が生じます。住み慣れた家や代々受け継いできた農地、先祖の墓所を手放すことになるし、自分たちにとっては、考えたこともないし、望むわけがないことです。反対運動や裁判闘争もありました。

過去の経緯の中で、一つの大きなこととして、利水としての農業用水確保が途中で消滅しました。利水事業対象農家が農水大臣に国営川辺川土地改良事業変更の同意手続きについて異議申し立てをし、裁判を提起し、2003年5月福岡高等裁判所で、用排水事業の同意率が65.66%、区画整理事業が64.82%の同意率と認定し、土地改良法87条の3に定める3分の2以上の同意に足りないとして、この2つの事業は違法として取消すと判決を出した。そして、2003年8月19日に亀井善之農林水産大臣は、上告断念の談話を発表したのです。詳細は、川辺川利水訴訟弁護団の声明文を参照下さい。

声明文には、「1966年の建設計画では、治水目的だけであったが、1968年には利水を入れた多目的ダムとして計画の変更がなされた。」とあり、当初計画に戻っているだけなのですが、有効貯水容量106,000千m3の全てを洪水緩和に利用できるという、多分日本一洪水緩和能力のあるダムになったと思います。

3) 球磨川の洪水

球磨川の洪水は、他の河川と比較して、発生する頻度が高く、被害も大きいのは事実と思えます。例えば、国土交通省九州地方整備局の平成17年台風14号球磨川水系の出水状況(速報)同速報(第2報)の中の写真を見ても、すごい量の水です。

当事者でもない人間が、ダムは不要と、無責任に言うことは不適切と思う次第です。もし言うとすれば、球磨川水系には、球磨川上流の市房ダム(次Yahoo地図)しかなく、市房ダムの洪水容量は18,300千m3であり相当小さいのです。従い、350m3/秒程度の流量制限しか期待できず、15時間もすれば満水になるような容量です。満水ダムは、コントロールできない恐ろしい状態であり、満水は避けねばなりません。人吉の下流に電源開発の瀬戸石ダムと熊本県の荒瀬ダムがありますが、これらのダムは発電専用ダムであり、洪水緩和には全く役に立ちません。

従い、土木屋でダム屋であり、球磨川の洪水対策を考えるなら100人が100人、今の計画地点にダムを建設することを計画するはずです。丁度、両岸が迫っており、絶好の候補地点です。但し、ダム屋以外の観点からも計画を評価することは絶対必要です。また、ダムとは自然に手を加えることであり、環境への影響は大小の差はあれ、必ずあります。

4) 水力発電

水力発電は、従であり、考える必要はないのですが、川辺川ダム砂防事務所のWebにあるQA2-8に「電源開発株式会社が新設する相良発電所(16,500KW)の発電が、ダム建設に伴い廃止される次の3つの発電所(合計)の合計発電量を下回らない。」と書いていることから、そんな単純ではないので、触れておきます。

発電所 事業者 出力
頭地 チッソ 5,200kW
川辺川第一 九州電力 2,500kW
川辺川第二 チッソ 8,200kW
合計 15,900kW

「相良発電所の年間可能発生電力量は、約85,000MWHであり、これと同等の電力を発生させるために必要な火力発電所の燃料に換算するとドラム缶約10万個の重油に相当する。」と書いてありますが、真っ赤な大嘘であり、廃止する発電所の発電量がほぼ同じか、せいぜい5%少ない程度と推定されます。従い、節約分は、ゼロかたったのドラム缶約4-5千個の重油です。

水力発電に、必ずしもダムは必要がないと理解下さい。八ッ場ダムには、廃止発電所はないが、川辺川ダムは廃止を伴うので、水力発電にとっては、ほとんど意味のない発電所です。

5) 現状

八ッ場ダムと同様、ダム本体工事には着手していないことから、中止や凍結、あるいは設計変更も可能です。

現状について、一番よく理解できるのが、2008年9月11日熊本県定例県議会における蒲島知事の発言と思います。即ち、”住民のニーズに応えうる「ダムによらない治水」のための検討を極限まで追求する”ことを知事は述べ、この方向で進んでいます。この知事発言の後、10月28日に蒲島熊本県知事と金子国土交通大臣が「ダムによらない治水を検討する場」を設立することに合意し、現在までに4回開催されています。(最近は、2009年7月16日)議事録や資料は、ここからダウンロードできます。

知事は、8月20日の定例記者会見で、民主党のマニフェストの関連で質問を受け、次のように答えています。

民主党のマニフェストがどうであれ、今進めておりますダムによらない治水を極限まで国と県と、それから関係市町村で検討していると、この考え方を進めていきたいと思っています。

当然その方向をどういう政権の形であれ、尊重されるものではないかと私は思っています。

ダムによらない治水を極限まで検討するものを、今そういうふうに進めているわけですから、そのやり方というのは私は正しいのではないかと思っています。

私は、このようなやり方が正しいと思います。

検討結果、ダムの中止があり得ると同時に、設計変更によりダムを小さくしたりすることや、洪水緩和機能のみになったので、穴あきダムにし、洪水緩和のために流量制限を実施する時のみ、ゲートを閉じ、通常は現状の河川と全く同じにすれば、環境負荷は最小に押さえられると思います。最も、穴なきダムについては、私も知らないので、これを機会に最適な穴あきダムを開発することを考えても良いと思います。穴あきダムの水力発電は、それに対応して計画すればよいのであり、この場合も、現状の発電量とほとんど変化はありません。

焦って予算を使い切ることより、人々を幸福にする最適な公共工事を、時間がかかっても良いから、立案し、実行することが最重要と思います。

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2009年9月 1日 (火)

民主党圧勝に思う

衆議院選の結果は、民主党が308議席の圧勝となった。民主党も予想しなかったほどの圧勝であると思う。なぜなら、近畿ブロックの比例区では、選挙区との重複候補を44人と比例区単独候補8人の合計52人を立てて、民主党候補13人が当選できる票数を得た。しかし、重複候補41人が選挙区で当選し、比例区で重複候補3人と単独候補8人全員が当選しても、2人余ることになった。実は、同じようなことが、みんなの党にも比例で生じたと朝日 8月31日 民主と「みんな」の比例議席、他党へ 4議席「譲渡」は報じています。

民主党が勝利した原因が、毎日 8月24日 麻生首相:学生集会で「金がねえなら結婚しない方がいい」のような発言もあった麻生太郎氏に助けられた部分が大きかったように思うし、低レベルの中傷ビラも撒かれた。落ち目になると、ここまで、あの政党は堕落するかのような気もした。いずれにせよ、定額給付金や1000円高速のような自公の堕落・低レベル政策には、私自身は嫌になった。

民主党に何を望むかと言えば、当然のこととして、正しい政策である。高速無料化については、まさか実現させることはないだろうが、日本の高速道路政策、料金政策、鉄道政策、空港整備政策について、見直しをすべき点はあまりにも多いと思う。税金を何に、いくら、どのような方針で投入するかは、基本方針がしっかりしており、毎年その会計と効果についての報告が国民になされるべきである。この点について、自公政権では、およそ期待できなかったことと思う。無駄な公共事業の廃止を唱えるからには、何が、どのような理由で無駄であるかを国民に示すことである。小泉政権は無駄だから、公共事業を減らすと言って減らした。その結果は、権力者の都合で減らされることになり、表面のみの体裁の効率化が生じ、弱者切り捨てが生じた。細かい点まで検討をした公共事業の見直しや、政策が必要である。

民主党は、後期高齢者医療制度の廃止を掲げている。大いに賛成したい。そもそも、75歳以上の(大金持ち以外の)高齢者の冷遇をすることになる懸念が高いと思うからです。日経BP Online 8月28日 もう先送りは許されない 少子化、税財政改革、社会保障再建に図があり、その中に金額がありましたが、後期高齢者医療制度は支出10.4兆円に対して保険料収入1兆円で、4.8兆円税金、4.6兆円が他の保険制度である組合健保、共済組合、協会けんぽ、国民健康保険からの拠出金となっています。そして、その中で、国民健保には税金と他の保険制度からの拠出金があり、協会けんぽにも少し税金投入があります。複雑怪奇な制度です。

保険制度とは、保険加入者間の助け合いのはずです。保険事業者間の助け合いではありません。過去を引きずって複雑になっている制度に更に後期高齢者医療制度という別の保険事業者を創設し、破綻を待つことにしていると批判されても、反論できないと思います。2008年5月7日に後期高齢者医療制度というタイトルでブログを書きました。この中で、2006年5月18日の衆議院本会議での民主党の郡和子氏、共産党の高橋千鶴子氏、社民党の日森文尋氏の反対討論を掲げましたが、今読んでも、その通りだと思います。小泉郵政選挙で勝てば、何でも許されるで、むちゃくちゃした自公がよく現れている法律です。2/3多数を持っているにも拘わらず、強行採決をしました。失政の回復には、相当の長期を必要とすると思うのですが、日本で健康保険制度を維持することの重要性を認識して、保険制度の統合に取り組んでほしいと思います。自公では、絶対できなかったことですから。

自公政権では、日本の未来がなかったのだろうなと思います。だからこそ、民主政権に期待したい。たとえば、国民背番号制をしくことの重要性です。これは、自公政権では絶対できなかったことです。そして、20年、30年という長期を見渡しての政策も必要と思います。

官僚たたきがおこらないように、役人には、国民のために、民主党に正しい政策を提案してほしいと思います。小泉時代の公務員たたきは、嫌でした。理由がなかったからです。標語でしかなかった。

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