« 川辺川ダム | トップページ | 石原都知事の八ッ場ダム発言 »

2009年9月 3日 (木)

カブドットコム証券の問題点

社員のインサイダー取引があったカブドットコム証券を、8月末で同社取締役を辞任された磯崎さんが9月1日のブログ カブドットコム証券社外取締役辞任について(コーポレートガバナンスについてのご参考)でカブドットコム証券の調査報告書に関して書いておられます。その結果、あちこちのブログで再度カブドットコム証券社員のインサイダー取引および特別調査委員会「調査報告書」取り上げられています。

私も、2009年7月31日にカブドットコム証券の調査報告書を読みましたを書いたことから、補足を致します。

1) 不祥事発生には素直に反省し改善すること

当然のことですが、不祥事が発生した場合には、素直に反省し改善することが重要と考えます。カブドットコムで起こったことについて、調査報告書が述べていることは重要です。関係当事者以外に漏れてはならない情報を、誰もがアクセスできるサーバーに置いておくことは、企業として問題があります。情報管理は、重要であり、PC上の情報は、漏洩しても発見できないことがあります。社内であれば、悪用の心配がない情報が多いと思いますが、悪用が起こりうるリスクが存在する情報は、それなりに管理をすべきと思います。

2) インサイダー情報を全社員にメールで通知する

「これは、インサイダー取引となる情報です。」と言って、社長が全社員にメールすることを、どう思われますか?私は、モラルがないと思うのです。小さな企業なので、多くの社員が知っているからと言って、メールを全社員に発信するのは、その結果について何も考えずにしていると非難されても、致し方ないと思います。リスクは、常にある。しかし、リスクを拡大することは、してはなりません。情報管理は、企業の信用を確保する上で、重要です。

3) 特別調査委員会や第三者委員会報告書の読み方

特別調査委員会にしろ第三者委員会にしろ企業が調査を委託した委員会であり、自ずと制約があるなかでの調査であり、委託した契約書の範囲内の権限でしか動けない中で、作成された報告書です。間違いがあるかも知れないが、その企業の既存組織が調査するより深い調査や真実に近い事項を指摘しうる可能性があります。だからこそ、カブドットコムは久保利英明弁護士を含む3名からなる特別調査委員会に調査を依頼したはずです。

企業が報告書を公開するかどうかは、企業の意思ですが、重大な不祥事であれば、コメントを付けて公開するのが適当と思います。読む人は、そこから、何を学ぶかであろうと思います。

4) 委員会設置会社

カブドットコムは、監査役が存在しない、委員会設置会社です。監査役は、会社法381条1項の定めのように、取締役の職務の執行を監査します。一方、取締役からすれば、自分が正しいことをしているからには、監査役とは不要な存在であり、閑査役でいて欲しいのが本音という部分があります。しかも、監査は、取締役の判断が正しいかどうかの審査ではなく、職務の執行が正しいかどうかであり、法令違反はないか、代案等についての検討も適切に行われ取締役として会社から委託された業務を執行しているかです。

日本の株式会社は監査役制度でガバナンスを採ってきたのですが、他国ではその国の習慣や法体系の関係もあり、まちまちです。そのような中で、平成14年5月改正-平成15年4月1日より施行の商法特例法改正により日本にも米国式の委員会設置会社が導入され、委員会設置会社においては、監査役・監査役会は存在せず、取締役のなかから選ばれた監査委員会が監査役・監査役会の業務をすることとなりました。米国の上場会社で多い形態は、1名のみが執行役で、他の取締役は全て取締役会の時やその他必要時に取締役としての職務を行う形態です。例えば、GMのBoard Directorsの名簿がここにありますが、ChairmanのEdward E. Whitacre, Jr.さん以外の人達は、すべて他組織での本職の肩書きが書いてあります。良い悪いの前にカルチャーの違いがあります。

日本での監査役会設置会社と委員会設置会社の違いで気にすべき点は、私は、会社法390条3項による監査役会設置会社の常任監査役の選定であると思います。委員会設置会社においても監査役の任務をする取締役を内部で決めても良いのですが、一方で、取締役は全員が取締役としての職務履行の義務があり、個々の判断について、その内容を検討し、取締役における決定に参加しなければならないと私は解釈します。そうすると、監査役としての職務と矛盾する点が出てくると思うのです。

委員会設置会社において会社法405条により監査委員会が監査委員を選定して、この監査委員を常任とすることも可能ではありますが、そうすることは、法律上の義務ではない。常勤の監査役が会社内で職務執行をしているのが、日本の従来の風土にあった会社ガバナンスの形に思えるのです。

カブドットコムは、従業員96名の会社です。この会社のガバナンスに委員会設置会社が良かったのだろうかと思うのです。監査役会設置会社と委員会設置会社については、様々な意見があると思います。私としては、私の意見に対する忌憚のないご批判なりをコメント欄に書いていただき、勉強することができればと思っています。

|

« 川辺川ダム | トップページ | 石原都知事の八ッ場ダム発言 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/200131/46109999

この記事へのトラックバック一覧です: カブドットコム証券の問題点:

« 川辺川ダム | トップページ | 石原都知事の八ッ場ダム発言 »