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2009年10月30日 (金)

太陽光発電からの電力買取48円が始まります

1) 太陽光発電電力買取制度

太陽光発電からの48円/kWhでの電力買取が11月1日より始まります。誰が、そんなことを決めたかですが、経済産業大臣です。次の二階経済産業大臣告示です。

2009年8月31日付経済産業大臣告示278号

そんな権限が大臣にあるのかというと、大臣告示には本年7月8日公布の「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」第5条1項の規定に基づくと書いてあり、第5条1項は次の通りです。

第5条1項 経済産業大臣は、特定エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用の適切かつ有効な実施を図るため、特定エネルギー供給事業者が行う事業ごとに、非化石エネルギー源の利用の目標及び次に掲げる事項に関し、特定エネルギー供給事業者の判断の基準となるべき事項を定め、これを公表するものとする。
一  推進すべき非化石エネルギー源の利用の実施方法に関する事項
二   再生可能エネルギー源の利用に係る費用の負担の方法その他の再生可能エネルギー源の円滑な利用の実効の確保に関する事項
三  その他非化石エネルギー源の利用の目標を達成するために計画的に取り組むべき措置に関する事項

私も、この5条1項が、そんな幅広い権限を大臣に与えているとは、読み切れていませんでした。しかし、電力買取価格のみならず、消費者が負担する太陽光発電買取結果による電気料金の値上げ幅まで、大臣が決定する権限を持っています。法律としては、政府に権限を与えすぎであり、公正な委員会を組成するような内容の法律にできなかったかと思います。なお、消費者負担については、告示278号の5ページ目に「当年度における転嫁の単価については、・・・・」と書いてあり、毎年度設定するとなっています。

ユニバーサルチャージならぬ太陽光サーチャージですが、大臣がそこまでの権限を持つとなると、物価統制のような気がしなくもありません。日本の電力料金は電力会社が経済産業省の認可を受けるが、主体は電力会社という方式(電気事業法19条)でした。即ち、電気事業は公共インフラであるが、事業主体は民間上場企業をとした制度です。更には、2000年の電気事業法改正により、大口電力(現在は50kW。但し、沖縄は2000kW。)は自由化され、大口電力の料金については大臣による認可もないからです。

2) 太陽光サーチャージ

太陽光発電を設置していない人にとっては、電気料金の値上げ幅の方が、気になります。料金関係については、経済産業省総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会・電気事業分科会買取制度小委員会が、料金に関する検討を行い、結論を出し、その結果、大臣告示となっています。ここに”買取制度小委員会「買取制度の詳細設計について」取りまとめ”と題した2009年8月25日付けの審議結果があります。なお、この調査会や委員会が、どの法令で設立され、どのような権限を保有しているかについて調査できていません。

8月25日付けの審議結果の5ページの一番下に48円の買取価格が書いてあり、サーチャージについては、2ページの脚注に「kWh 当たりの負担額は約0.1 円程度(制度導入当初)」とあり、資料2ページ(17/27ページ)にもう少し詳しい説明があります。但し、10ペ-ジに、「例えば、暦年ベースの買取総額を集計し、次年度に回収するスキームを基本とすることが適当である。」と書いてあり、2010年4月1日からの電気料金値上げです。

2010年4月からの値上げ幅は、0.1円/kWhと予想されます。月に300kWhの電力を消費する家庭であれば、月30円ですが、家庭用の電力のみならず、あらゆる電力が値上がりするので、物価に跳ね返ってくる部分もあると思います。

なお、将来のサーチャージ額ですが、7月12日の太陽光発電による電気料金の値上がりに書いたように麻生総理が4月9日に日本記者クラブで20倍にすると述べたのです。そうなると、逆さや分は20倍の2円/kWhとなり、毎月600円で年間7,200円の負担です。これに物価上昇が加われば、年間1万円今より電気代他出費が増えます。

麻生総理が言うように20倍になるか不明であるし、技術革新により太陽光発電設備も安くなり、買取価格が下がっていくので、逆ざやは単価においては小さくなるはずです。しかし、量の上では、増加するので不明ですが、基本的にエネルギー価格は今後とも上昇を続けると見て間違いはないと思います。

3) 太陽光悪徳商法

やはり太陽光悪徳商法が、はびこっているようです。わざわざ経済産業省が呼びかけていますから。

経済産業省News Release 2009年10月8日 太陽光発電装置に関する消費者保護の取り組みについて

次の国民生活センターの報道資料発表は、悪徳商法の事例が6ケース書いてあります。

国民生活センター 報道発表資料 2009年10月7日 ソーラーシステムの訪問販売のトラブルが増加 -「売電収入」や「補助金」の過剰なセールストークに惑わされないで-

悪徳業者は、裁判でも訴えてくるから、大変です。例えば次の裁判例があります。(これは、70万円から100万円、あるいはそれ以上かも知れませんが、高く売りつけていた例です。)

平成21年9月17日判決言渡 平成20年(ワ)第6050号損害賠償請求事件

4) 太陽光発電の損得勘定

太陽光発電設備の費用は、幾らが妥当かと言えば、2)でリンクを張った2009年8月25日付けの審議結果の資料3ページ(18/27ページ)に書いてある3.5kWの設備で185万円か、それ以下だと思います。

幾ら買取収入が得られるかは、ここにSanyoの説明がありますが、1,169を掛けたのが年間発電kWhとなっています。これに、冷蔵庫等家屋内で消費した電力を引いた残りなので、審議結果の資料3ページは60%としています。そうなると、700を掛ければよいので、3.5kWの設備では年間2,450kWhであり、48円で買取収入が得られれば、117,600円です。年による変動もあるし、屋根が南から少しずれていることもあると思うので、これが最大限なのかも知れません。

いずれにせよ、審議結果の資料3ページ(18/27ページ)は、当然のことですが、実勢の数字です。これを参考にするのがよいと思います。但し、メンテナンスフリーではないことを認識しておいてください。台風が来て、物が飛んできて壊れる可能性もあるし、屋根に上って素人がメンテナンスすることは不可能です。それと、電池は直流ですが、利用や買取の際は交流なので、インバーターやそのコントロール関係もあります。これらも、専門家でないとメンテナンスができず、メンテナンスをすると、その年は買取収入以上の出費になるかも知れません。

将来の姿が見えにくいのですが、エネルギー価格は上昇するとの読みで、20年後を楽しみに投資するのが太陽光発電かも知れないと思います。但し、一方で、買取価格は国民全員による費用分担で支えているのであり、闇雲に進むのではなく、監視を続けて、必要があれば制度改正を行うことが重要と考えます。

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