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2009年11月15日 (日)

日本航空の事業再生ADR申請

日本航空についてが多いのも気が引けるのですが、次のニュースに関連しては、書かざるを得ないと思いました。

日経 11月13日 日航、最終赤字1312億円 4~9月で最大、つなぎ融資1250億円

記事の最後の「日航は13日付で事業再生ADR(裁判外紛争解決)手続きを申請した。」です。

1) 日本航空の発表

日本航空は、プレスリリースをしていませんが、13日に発表した有価証券報告書の継続企業の前提についてが、次でした。

【継続企業の前提に関する事項】
当社グル-プは、前連結会計年度において50,884百万円の営業損失を計上しており、当第2四半期連結累計期間においても売上高の減少により95,793百万円の営業損失の計上及び借入金の返済条項の履行の困難性が存在している。当該状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在している。
 ・・・当社は、当該状況を解消すべく、平成21年11月13日に、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法所定の特定認証紛争解決手続(事業再生ADR手続)を申請し、関係金融機関等に対して支援を要請し、事業再生計画案を提示している。当社は、・・・関係各位の皆様のご理解を得て、収益の改善を図りたいと考えている。
 <省略>

2) 今後の見通し

私は、甘すぎるのかも知れませんが、次の日経の記事は、アメリカン又はデルタから増資を受けて再建する案を西松遥社長が述べたと伝えていますが、それが一番良いのではと思います。何故なら、国内線の過去のしがらみを切れるチャンスと思うからです。この際、外圧を使うなら、それでも良い。合理的な経営こそが求められているのですから。2009年9月12日のデルタの日本航空への出資に書いたように、航空法の外資規制により外資は最大33.33%までです。

日経 11月14日 日航社長「アメリカンが自然」 米航空との提携、年内に結論

3) 再建策の反省

過去を振り返って、最悪はチーム前原であるというのが、私の考えです。カネボウ再生と日本航空再建は全く異なります。カネボウは、資産(例えば各事業毎)の切り売りが可能でした。しかし、日本航空は、ほとんどが航空輸送事業であり、切り売りするのではなく、スケールメリットを生かして競争に勝ち抜かねばならない事業なのです。LCCなら、規模が小さくてもチャンスはあるが、定期便運行会社は、スケールメリットを生かすことが重要であると考えます。

チーム前原の報告書は公開されていないと了解しますが、結論は融資銀行に一部債権放棄を求めたと報道により理解します。銀行にしてみれば、資本が先に犠牲になるべきであり、それが本筋です。報告書を読んでいないので、間違っているかも知れないが、変な結論を出したと思っています。

逆に、チーム前原が、変な結論を出したから、政府介入に道を更に開いてしまった。民主党は、自分たちに企業経営の知識や能力もないのに、何かできると誤解をしてしまったと思う。このあたり、まさかとは思うが、利権構造を維持したい人達が、政府介入をさせようと動いていたとしたら、根が深い問題があると思う。

4) 再建の可能性

継続企業の前提に関する記述や事業再生ADR申請は、企業の信用力にとってマイナスです。しかも、政府介入で、信用力が更に落ちたと言えます。しかし、私は、再建可能と思います。

今回の1312億円の赤字は、恐れるべきではないと思います。1312億円の赤字の最大の原因は、営業収入の減少です。従い、営業収入が戻れば、黒字になるはずです。そこで、全日空と比較します。(情報源は、両社の決算説明会資料です。)

Jalana200911

収入の減少率に、それほど大きな差がないことが分かります。日本航空は国際線の収入が全日空の2倍以上あるため、同じ率の減少でも、金額にすれば大きくなる。むしろ、日本航空は、収入減2748億円に対して、事業費・一般管理費等のコスト削減は1526億円であり、全日空は収入減1268億円に対してコスト削減499億円です。対比すると、次のようになります。

Jalana200911c

固定費が大きいことから、収入が減少してもコスト減少は変動費のみとなるので、減少幅はそれほど大きくはならない。次のグラフは、日本航空の決算説明会資料に次のグラフ(国際線の説明)がありますが、日本航空も頑張っています。

Jal200911p

2009年5月・6月が底で、回復しつつあり、9月は座席占有率が80%近くあり、しかもRPKは前年比プラスになっていますから、座席・距離あたりの収入額(円建てと思います)が前年より大きくなったのです。一方、ASKを見ると、座席・距離の総数は、4月-9月の間、連続して昨年より10%程下回っていますから、ダウンサイジングを進めていると了解します。その結果が、コスト削減になっているのかも知れません。

マスコミの報道ほど、悪くないと思います。政府介入でゆさぶられた結果、継続企業の前提に関する注記をせざるを得なくなった。その結果、事業再生ADRを申請せざるを得なくなったとの見解が私の見方です。

5) 企業年金

これにも触れざるを得ないと思うので、書きます。日本航空と従業員・退職者の間のことです。第三者が、よく知らないで、物を言うことは良くないと思います。従い、見守りたいと言うのが私の結論です。

当然、特別立法はしてはなりません。企業年金がマイナス運用となっているのは、現在ごく普通のことです。むしろ、その問題を解決する為の法を考えるべきと思います。くれぐれも、会社が倒産しても、企業年金は労働債権として保護されるなんて考えないことです。確実に保護されるのは、外部の年金基金に積み立てられた部分です。しかし、株価下落により資産が増加するのではなく、減少しているのが現在の状況です。例えば、ここに企業年金連合会の2008年度年金資金運用状況があります。表紙の次の1ページ目に資産残高の推移グラフがあります。平成18年度末に13.2兆円あった資産が20年度末には9.3兆円に減少しています。

企業年金は、議員さんやお役人さんには、少し縁遠いものです。マスコミに扇動されて、日本航空企業年金タタキをするより、大きな観点から、よく考える必要があると思います。国債の大量発行と低金利政策のしわ寄せが、企業年金の資産悪化に繋がっているように感じます。では、どうするか?健全な財政状態に戻すことも重要と思います。

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コメント

日本航空の問題はデリバティブと国際線の不振だったと私は考えておりますが、第3Qは更にひどいことになると思います。国内線の風評リスクにより、JALからANAへの乗り換えが進むと考えております。

タスクフォースが法的には何も意味がない機関だし、JALを救うためのカネを一切持たない口先機関が2ヶ月時間を浪費したうえ、債務超過7500億という数字が一人歩きすれば誰も乗りたくないと思うでしょう。これに再生機構が登場し、更に4ヶ月浪費するのです。

見方を変えれば、消費者に情報を与え、ソフトランディングが進むようにしたと考えることもできるでしょう。しかし政府は法的整理を考えていないのか不思議になります。というのはJALの為を思えば早い時期に決断し、法的整理した方が蛇の生殺しみたいな状態にならず、さっさと回復すると思いますが、1年もこの状態が続けば、どうにもならなくなります。

何がやりたいの?と聞きたくなるアプローチです。

投稿: ああ | 2009年11月17日 (火) 05時45分

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