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2009年11月22日 (日)

環境税(地球温暖化対策税)

次のニュースがあり、環境税については、その少し前の11日のニュースを掲げます。

日経 11月21日 国家戦略室、暫定税率見直しで協議 環境税も検討に着手

日経 9月11日 環境税導入なら年1121円負担増 環境省案で家計試算

環境省の税制案は、次のWebからダウンロードできます。(平成22年度税制改正となっている方です。)

環境省の環境税の具体案

平成22年度税制改正には、地球温暖化対策税のみが書いてあり、実質は二酸化炭素税(CO2Tax)です。

1) 環境税の税率

環境省の税案の1ページ目に書いてあり、次が税率です。

1

なお、石炭は炭種により熱量が大きく変動するのですが、25.8MJ/kgは6500kCal/kgに相当する熱量が高い高品質の石炭です。

2) ガソリン税暫定税率

ガソリン及び軽油の税率と私の計算した税額は次の通りです。

200911_2

ガソリン税と軽油取引税を合計すると、4兆円を超える金額となり、暫定税率がその半分の2兆円ですから、暫定税率をなくすと影響が非常に大きいことが分かります。なお、上の日経の記事は、「暫定税率を廃止すれば、年間約2兆5000億円の税収減」としていますが、その理由は、自動車重量税が1兆7000億円あり、このなかに暫定税率による税額が約5000億円含まれているからです。

いずれにせよ2兆5千億円は、平成21年度当初予算の税収46兆円と比べて、その5%以上になる巨額です。この税収がなくなるとどうなるかと言えば、将来の世代に負担を押しつけることとなります。

3) 環境税導入とガソリン暫定税の廃止

ガソリンの地方揮発油税は地方自治体の財源になるので、揮発油税のみを考えると17,320円の増税と24,300円の税廃止であるから、6,980円税が少なくなる。但し、原油段階の環境税が適用されるから、総合では税引き下げ額5,916円である。政府財政の観点では、57百万kl相当の3372億円税収が減少することとなる。

環境税は、石油化学の原料となるナフサ、製鉄用に使用する石炭、セメント焼成に使用する石炭、漁船用と農業用のA重油を除いて、全ての化石燃料に課税されることとなる。その結果は、次の表の通り。

200911a

約1兆円の地球温暖化対策税を徴収して、ガソリンに3300億円補助する。結果としては、6700億円の増税であり、輸入時とガソリン出荷時に課せられる間接税であることから物価が上昇し、国民負担が増加する。

4) 国民負担額

6700億円が輸出品に転嫁される部分もあり全額が国民負担となるわけではない。しかし、車に乗らない人にとっては、実はガソリンへの補助金3300億円も負担するのであるから、一人あたり年間6,000円、一世帯あたり2万円というような額の負担になると思う。

家計支出の直接的な部分のみを考えると;

A) 灯油: 18リットルで50円値上がり。従い、年間700円以上と思う。

B) 電気料金: 1kWhあたり40銭程度の値上がり。従い、年間4,000kWh消費している家庭で1,600円。

C) ガス: 1m3あたり1.32円程度の値上がり。従い、年間500m3消費している家庭で660円程度。

以上合計で、2,960円。鉄、プラスチック、セメントが値上がりしなくとも、それ以外は全て税負担増となるのであり、例えば電力を1kWhにつき10円で購入している大工場があるとすれば、電力コストは4%上昇する。当然、製品に波及すると考えるべき。

増税となっても、税が有効に使われ、低炭素社会に向かうのであればよいが、実際にはガソリンの値下げに使われ、しかもCO2増加に向かう。せめて、ガソリンに対する地球温暖化対策税を暫定税率と同じ24,300円とするか、あるいはヨーロッパ諸国に少しでも近づけるべく例えば30,000円とすれば、どうだろうかと思う。

エコカー減税をしても、その財源は国民全員が負担しているのである。本来であれば、燃費の悪い車に負担をさせるべきである。その方法は、ガソリン税の税率を上げることにある。

5) 石油石炭税のナフサ免税

石油石炭税のナフサに対する免税(租税特別措置法90の4)と税還付(租税特別措置法90の5)の適用期限が2010年3月31日までです。ガソリンは、租税特別措置法で特別扱いしているので、本来の姿に戻すとして25,100円/kl税金を低くなり、同じ思想で本来の姿に戻すなら、ナフサからも2,410円/klの石油石炭税の免税・税還付を中止することとなります。それに対して、石油化学工業各社は、当然引き続きの免税・税還付適用を求めています。

毎日 11月20日 石油化学工業協会:ナフサ非課税継続求め緊急決議

石油化学工業協会 2009年11月19日 緊急決議

2008年は国産と輸入合計で約4,400万Klのナフサを原料としているので、約1,000億円の免税・税還付額です。環境税で免税とし、一方で租税特別措置の撤廃を唱えているから変な現象が生じるかも知れないという笑い話です。

それにしても、石油石炭税とは変な税金なのです。税率からしても原油・石油製品2,410円/kl、ガス1,810/トン、石炭700/トンですから。地球温暖化対策税に統一して合理化すべきです。

税を大きくいじろうとすると種々問題は出てくるのですが、政権のためではない、国民のための税制を作って欲しいと思います。

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コメント

こんにちは

民主党のインデックスの環境の部分に「地球温暖化対策税の導入を検討します」これが環境税と言うことでしょうね。

民主党の本音でしょうか。マニフェストの方が選挙用でインデックスが本音だと自分は考えています。

事の善し悪し別として選挙中にFTAをマニフェストから引っ込めましたが、インデックスをマニフェストとして選挙をしたらずいぶん政権運営が楽なはずですけどね。

それこそ
>政権のためではない、国民のための税制を作って欲しいと思います。
の政策が多いのですが、残念です。

投稿: udonenogure | 2009年11月22日 (日) 12時53分

udonenogure さん
コメントありがとうございます。

また、税に関する法案について書いていきたいと思っていますが、民主党の今の動きを見ていると、中小企業金融円滑化法案の強行採決のように、従来の自公批判の裏返しのように、数の力で同じように進めていると感じます。

税に関しては、相当多くの論点がある法案を出してくると予想します。多くの人が知らないうちに制定されるより、少しでも参考となる事項を書ければと思います。

投稿: ある経営コンサルタント | 2009年11月22日 (日) 16時50分

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