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2009年12月12日 (土)

普天間問題

迷走する米軍普天間基地移設問題ですが、それを代表するのが、次のような記事と思います。

日経 12月11日 普天間巡る日米合意、首相が修正検討

しかし、選択肢は、多くないはずです。書き進めます。

1) 伊波宜野湾市長の説明

伊波宜野湾市長が、11月26日、衆議院第二議員会館において、与党国会議員に対して説明を行ったとのことで、その内容がここにあります。

「沖縄駐留の米国海兵隊の主要な部隊が一体的にグアムへ移転する。普天間飛行場の海兵隊ヘリ部隊も含まれる。」との説明です。

要望は、普天間飛行場の早期解決であり、12月11日に政府宛に提出した要請文がここにあります。次のように書かれています。

新政権におかれましては、辺野古地区へ新たな代替施設の建設に固執することなく、多くの市民・県民が求める県外・国外移設への意思を汲み取り、普天間飛行場問題の解決に向けて沖縄からグアムへの海兵隊移転の検証を通して、普天間飛行場の危険性除去と早期の閉鎖・返還の実現にむけて取り組むことを切望いたします。新政権におかれましては、辺野古地区へ新たな代替施設の建設に固執することなく、多くの市民・県民が求める県外・国外移設への意思を汲み取り、普天間飛行場問題の解決に向けて沖縄からグアムへの海兵隊移転の検証を通して、普天間飛行場の危険性除去と早期の閉鎖・返還の実現にむけて取り組むことを切望いたします。

2) 沖縄駐留の米国海兵隊のグアム移転

11月26日の宜野湾市長説明の最後に、グアム移転に関する環境影響評価書ドラフトが紹介されています。この環境影響評価書は11月21日に発表されたばかりで、ここから全てDownloadできます。環境影響評価書についての最初の公聴会が1月7日Southern High School, Guamで開催され、Guamで4回、Tinianで1回、Saipanで1回の合計6回が1月15日までの間に開催されます。

環境影響評価書を作成したのは、米国国防省Joint Guam Program Officeであり、この組織は、2006年8月25日に作られました。ホームページはここです。

Joint Guam Program Officeの目的は、2005年10月29日で日米間で合意された「同盟:未来のための変革と再編」(U.S.-Japan Alliance:Transformation and Realignment for the Future)に基づく海兵隊グアム移転の実施のためです。2005年10月29日の合意文書は外務省Webのここ仮訳)にあります。

海兵隊のグアム移転とは、他のコンポーネントも含め以下です。

・ 8,600人の海兵隊員とその家族9,000人のグアム移転と、北マリアナTenian島における訓練所の設置

・ 原子力空母のグアム基地建設

・ ミサイル防衛システムの訓練所の設置(600人の隊員と家族900人)

宜野湾市長が言うように、8,600人がグアムに移動することから、沖縄には実質海兵隊は残らないと思います。

3) グアム移転等の詳細を取り決めたロードマップ

日米間で、2006年5月1日に「再編実施のための日米のロードマップ」(United States-Japan Roadmap for Realignment Implementation)が調印されています。文書は、ここ仮訳)にあります。

8,600人の海兵隊員とその家族9,000人のグアム移転については、次のように書いてあります。

約8000名の第3海兵機動展開部隊の要員と、その家族約9000名は、部隊の一体性を維持するような形で2014年までに沖縄からグアムに移転する。移転する部隊は、第3海兵機動展開部隊の指揮部隊、第3海兵師団司令部、第3海兵後方群(戦務支援群から改称)司令部、第1海兵航空団司令部及び第12海兵連隊司令部を含む。

「第3海兵機動展開部隊の指揮部隊、第3海兵師団司令部、第3海兵後方群(戦務支援群から改称)司令部、第1海兵航空団司令部及び第12海兵連隊司令部」がグアムに移転することから、辺野古に残る部隊は、何なの?と思います。

2014年までに海兵隊のほとんどが沖縄からグアムに移転することが、3年以上前に決まっていると思います。

政府は、説明すべきです。と同時に、このことをほとんど報道しないマスコミも責任があると思います。マスコミ報道は、普天間から辺野古に移転するように伝えていると感じます。真実を報道しないマスコミは悪いと思います。能力がないことは、理由にならない。「再編実施のための日米のロードマップ」は、密約ではありません。正式な合意文書として、外務省と防衛省が発表している文書です。

4) 在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定

もう一つ重要な日米協定があります。2009年2月17日付けの「在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定」です。日本文も正文であり、外務省Webのここにあります。正式な名称は「第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」です。

注目点は、以下のような部分です。

・ 「再編実施のための日米のロードマップ」の再確認

・ 第三海兵機動展開部隊の要員約8000人及びその家族約9000人の2014年までの沖縄からグアムへの移転および嘉手納飛行場以南の施設及び区域の統合並びに土地の返還

・ KC130機部隊の沖縄から岩国飛行場へ移駐

・ 費用見積額102億7千万ドルのうち60億9千万ドルを日本政府が負担する。

・ ロードマップは、その全体が一括の再編案と想定する。(英文では、Recallingとなっています。)

そして、最も着目すべきは、次の9条2項と考えます。即ち、代替施設の完成と書いてあるが、ロードマップに記載されているのは辺野古V字型1600m滑走路2本の案です。

第二条に規定する合衆国の措置は、(1) 移転のための資金が利用可能であること、(2) ロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設の完成に向けての日本国政府による具体的な進展があること及び(3) ロードマップに記載された日本国の資金面での貢献があることを条件とする。

この協定は、国会承認の後の公文の交換により効力を生じる(11条)となっています。5月13日に国会承認がなされ(5月11日外務省発表)、7月11日に公文が交換されました。(外務省発表7月11日)(交換公文はここ

但し、複雑なのは、ねじれ国会であったため、5月11日の参議院で承認されず、同日の両院協議会で意見の一致はなく、結果として衆議院の議決が国会の議決となったのです。

5) 今後

米国と行った公文の交換は有効です。これを無視すれば、逆に米国が無視した時に、何も言えず、世界の中での日本の信頼性も失うし、外交により平和を維持し、発展を計る日本の理念すら通用しなくなるでしょう。7月11日の交換公文は、麻生内閣崩壊直前ですが、米国に対しては、「それを言っちゃあ、おしまいだ。」であります。

自公議員は勿論、民主党、社民党、共産党の議員をも、全て知っているのです。その上で、どうしようというのか?上に掲げた文書を読んでの可能性は、辺野古40m滑走路案で2014年移転を進めることではないかと思います。勿論、米国側が40m滑走路案で受けてくれることが前提ですが、そもそも主力はグアムに移転するし、普通の飛行機は岩国に移転する。沖縄に海兵隊は基本的に残らないはずであり、そもそも、V字型1600m滑走路2本なんて日本が出した提案ですから。40m滑走路案の詳細については、11月17日のエントリーの下の方をコメントを含めて読んでください。

民主党の人達が、40m滑走路案で収めようと、煙幕を張り巡らせているのか、不透明です。

いずれにせよ、重要なことは、2014年ではなく、沖縄の基地の位置づけです。例えば、再編実施のための日米のロードマップには、「キャンプ・ハンセンは、陸上自衛隊の訓練に使用される。」とあり、米軍が出たあと自衛隊は、どのように使うのか?米軍はダメだが、自衛隊はOKなのか?沖縄の基地、防衛、アジアの安全、世界平和について、どのような展望を持つのか議論をする必要があると考えます。遠い、将来は不明でも、5年先-10年先の計画はあって当然であると思います。防衛庁を防衛省にしたのに、防衛計画がないのは、三等国家と思えます。もしかして、存在するのに、国民に伏せているとしたなら、四等国家ではなく、戦前の国民不在の軍部独走となんら変わらないと思います。

民主党さん、やるべきことは、内輪もめではなく、国民に防衛に関する情報を適切に開示することと考えます。

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  先日(10日)に「 実数と定数 」というタイトルのブログ記事を書いた。( 該当ブログ記事 ) それから少し時間を置いて 田中宇氏の詳しい人数を書いた記事 が配信をされてきた。 http://tanakanews.com/091210okinawa.htm 同音声記事 http://www.voice-news.net/mp3files2009/20091210.mp3 沖縄県宜野湾市の伊波洋一市長の記事や、田中宇氏の記事を読んで思うのは、非常に分かりづらい。なぜなんだろうかと考えてみた。確かに沖... [続きを読む]

受信: 2009年12月13日 (日) 14時49分

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