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2009年12月 7日 (月)

訪問販売お断りシール

朝日が、面白い記事を書いていました。

朝日 12月7日 効くのか「訪問販売お断り」シール 消費者庁が慎重姿勢

1) 特定商取引に関する法律3条の2

特定商取引に関する法律のうち12月1日から施行となった部分に含まれている3条の2を知らないと、議論がかみ合わないので、3条の2の条文を掲げます。第2節訪問販売の中の条文で、法律の全文はここからダウンロードできます。

契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の禁止等
第3条の2 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売をしようとするときは、その相手方に対し、勧誘を受ける意思があることを確認するよう努めなければならない。
販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘してはならない。

2) 政府の3条の2についての解説

朝日がクレームしているのは、次の政府(作成当時は、経済産業省所轄)の解説です。

「契約を締結しない旨の意思」については、契約の意思がないことを明示的に示すものが該当する。具体的には、相手方が「いりません」「関心ありません」「お断りします」「結構です」「間に合っています」など明示的に契約締結の意思がないことを表示した場合であって、「今は忙しいので後日にして欲しい」とのみ告げた場合など、その場、その時点での勧誘行為に対する拒絶意思の表示は、「契約を締結しない旨の意思」の表示には当たらない。また、例えば家の門戸に「訪問販売お断り」とのみ記載された張り紙等を貼っておくことは、意思表示の対象や内容が不明瞭であるため、本項における「契約を締結しない旨の意思」の表示には該当しない。

朝日の記事のような、訪問販売を死滅させないための解釈であると言うのは、言い過ぎであると思います。解説するには、裁判における論争と、その結果についても考慮する必要があり、上のような解説になると思います。

3) 政党ビラ配布罰金5万円事件

どうしても、この事件が頭に浮かびます。朝日の記事はここにあります。お奨めは、やはり最高裁の判決文を読むことです。

平成21年11月30日 最高裁判所第二小法廷 住居侵入被告事件判決

社会として許容できるもの、許容すべきもの、禁止すべきもの、刑事罰を与えるべきものについての考えることなく、目の前のことだけで判断してしまうと誤ると思います。

私にとっても、自分の主義・主張と異なるビラを自宅に入れられたら、頭に来ます。しかし、こんな輩もいるのだと、古紙として市のゴミの日に出すだけです。訪問販売の方が、嫌です。インターホンを押されたら、誰か分からないから、出ざるを得ない。

人としての自由を確保する社会であることは、重要と考えます。

4) シールは有効

訪問販売に、中には長時間無理矢理つきあわされたり、不必要物品やリフォームを売りつけられ、意図しない高価な代金を払わされたりというニュースもあります。それを防止するには、3条の2の条文を変更して、例えば「訪問お断りと明示された相手には、訪問販売を行ってはならない。」とすることもあり得ると思います。罰則の強化や取り締まりの強化も考え得ると思います。一方、悪質な業者に対して、実質的な効果があるのかとの疑問も浮かびます。

一方で、3条の2第1項では、訪問販売をしようとするときは、勧誘を受ける意思があることを確認するよう努めなければならないとしており、シールは意思表示のために貼られたのであり、それを無視することは、反すると言えます。少なくとも、執拗に売り込みを図ることは、私は3条の2の違反であると考えます。

シールが貼ってあれば、その家の方も余裕を持って対応ができると思います。訪問販売員は、その勧誘に先立つて、販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称を明らかにせねばならない(第2条)。業者名が分かっているから、悪質な場合は、通告することができます。シールを貼って、余裕を生み出すことができる人は、シールを貼ることがお奨めです。

大新聞に挑んでみたくなったのかな?この大新聞の記事は、世の中をギスギスさせるアラサガシみたいな気がしました。施行されて未だ1週間しか経過しておらず、評価困難と思うのに、大胆に批判する。批判するなら、もっと重要なことがあるはずと思いました。

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