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2010年1月28日 (木)

OECD諸国との比較 : 医療、医療費、医療保険を考える(その5)

今回は、医療費をOECD諸国と比較します。

1) 順位

先ずは、最もポピュラーな表から始めます。医療費の対GDP比の順位です。

Health20101w1

日本は、医療費の負担が低い国です。なお、医療、医療費、医療保険を考える(その2)で掲げたグラフから読み取ると、2007年の日本の医療費は、GDP比7%に達していません。一方、上のグラフを書いたOECDの源データは、8.1%であり、OECDの数字が大きいのです。この差は、5兆円強であり、理由はOECDのSHA(System of Health Accounts)は、介護の分野、人間ドックや予防接種のような予防医療、政府の行政費用も含んでおり、範囲が広いためです。日本の厚生労働省の数字は、医療保険行政のための基礎資料であり、他国との比較を目的としていません。

国により制度が違い、統計の取り方も異なるので、国際比較は容易ではないのですが、OECDの統計であり、あまり細かい数字を取りだしても意味はないと思いますが、信頼しうる結果と考えます。(なお、2007年についてOECD数字がない国があり、日本、ルクセンブルグ、ポルトガルは2006年、トルコは2005年の数字を使用しました。)

一人当たり医療費の順位も掲げます。購買力平価による米ドル換算です。

Health20101w1a

2) 費用と効果

比較をするなら費用だけではなく、その効果も併せて評価する必要があります。次のグラフは、横軸に各国の一人当たりの医療費(米ドル購買力平価PPP)、そして縦軸にその国の平均寿命(ゼロ歳の平均余命)を散布図として作成しました。

Health20101w2_2 

この散布図では、上に行くほど、平均寿命が長く、医療の成績がよいことを示し、右に行くほど、医療費が多いことを示しています。低い費用で、最も効果がよいのが日本。逆に、費用は多額にも拘わらず、成績はもう一つというのが米国です。中央で楕円で囲んだ国々が、最も集中している、部分です。

なお、上の散布図は、購買力平価PPPを使用したので、為替レートで直接換算した米ドルによる医療費を使用した散布図も以下に掲げておきます。

Health20101w3

物価の高いノルウェーは、一人当たり医療費が米国を追い抜きましたが、GDP比では8.9%であり、米国の16.0%より相当に低い割合です。全体の傾向としては、ほとんど変わりはないと言ってよいと思います。

とりあえず、今回はここまでとします。次回は、何故米国の医療費は高いのかについて少し考えてみます。

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2010年1月26日 (火)

医療費の将来予測-医療、医療費、医療保険を考える(その4)

医療費の将来予測をしてみます。

前提として、1月21日のシリーズその3で書いた年齢別一人当たりの医療費(次のグラフ)が変わらないこととします。そして、将来人口の予測として、国立社会保障・人口問題研究所(ホームページはここ)の2006年12月推計の出生中位(死亡中位)推計による将来人口を使って、この年齢別人口にグラフの年齢階級の一人当たり医療費をかけ算して、求めます。

Health201012a

1) 人口推計ー出生中位(死亡中位)

一応最初に、人口ピラミッドを見ておきます。上が、2010年の人口ピラミッドで、下が20年後の2030年の予測です。

Poulation2010a

Poulation2010b_2

2050年まで5年ごとの人口ピラミッドも掲げておきます。クリックすると拡大表示されます。 

Poulation2010c

高齢化社会になっていくのが、よく分かると思います。

2) 医療費予測

グラフで計算結果を示します。医療費総額は、2030年に39.6兆円と現在の約1.2倍になるとなりました。しかし、2030年以降減少するのは、人口減によるのであり、一人当たりの医療費では、下の青線のように、増加を続け、2050年には現在の約1.4倍の39万円になりました。

20101a

人口ミラミッドでは、総人口の推移が掴みにくいので、グラフにしました。なお、年齢層により色を変えましたが、見やすくするために、65歳と25歳の境界に線を引きました。

Poulation2010d

次のグラフは、パーセントで表示したものです。65歳以上の人は、現在総人口の23%ですが、2050年には、40%になります。25歳から65歳までの人は、現在総人口の54%ですが、2050年には44%に減少します。この25歳から65歳までの人が、それ以下とそれ以上の年齢層を支えるのだとしたら、23%の負担増となります。逆に現在65歳リタイアーとすれば、2050年には75歳リタイアーにする必要があるのかも知れません。

Poulation2010e

今回の医療費予測は、インフレも何も考慮していません。そして、本当は介護に要する費用も考える必要があるはずです。老老介護はあたりまえ。痴呆症・痴呆症介護をどのようにサポートしていくかを将来は考えることになるのではと思います。

次は、医療費国際比較をしてみようかと思います。

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2010年1月25日 (月)

小沢幹事長問題の本質

報道は、民主党小沢幹事長問題で、にぎわっていますが、政治資金収支報告書の記載や会計処理ではなく、法人や組合等(解散した政党も含め)からの政治資金問題であり、それとともに政党助成金の問題であると思います。

1) 米国1月21日最高裁判決

米国を賑わせている最高裁判決が1月21日にありました。

読売 1月23日 選挙広告への支出制限、米最高裁が違憲判決

判決文は、ここにあり、183ページもあり、相当長い文章です。事件は、Citizens UnitedというNPOが現国務長官ヒラリー・クリントン氏の民主党予備選に関する反対キャンペーンのドキュメンタリー・ビデオを作成し2008年1月に公開しようとしました。そこで、2007年12月に連邦選挙委員会(Federal Election Commission)に申請し、法廷(District Court)でも争われたが、公開は、「政治資金規正に関する連邦法が、企業および団体が一般会計からの選挙広告への資金支出を禁じている」ことに抵触するとして、認められませんでした。

このことが最高裁まで争われていたのですが、最高裁は5対4で意見が分かれたが、企業および団体が一般会計からの選挙広告への資金支出禁止が憲法違反としました。判決文は長く、しかも米国の政治資金規正に関連する法も知らないと理解に苦労するのですが、こんな感じの判決と思います。

2) NY Timesの社説

ここにNew York Timesの1月21日の社説The Court’s Blow to Democracyがありますが、この最高裁判決に対しては、厳しく非難をしています。例えば、次のような文章があります。

The founders of this nation warned about the dangers of corporate influence. The Constitution they wrote mentions many things and assigns them rights and protections — the people, militias, the press, religions. But it does not mention corporations.

<参考訳>合衆国の創設者達は企業による影響の危険性を知っていた。彼らが書いた憲法は、国民、民兵、出版、宗教等についての権利や保護に関して多くのことを定めた。しかし、企業に関しては何も定めなかった。

The majority also makes the nonsensical claim that, unlike campaign contributions, which are still prohibited, independent expenditures by corporations “do not give rise to corruption or the appearance of corruption.” If Wall Street bankers told members of Congress that they would spend millions of dollars to defeat anyone who opposed their bailout, and then did so, it would certainly look corrupt.

<参考訳>最高裁の多数意見は、大きな間違いを犯している。企業による選挙資金協力(現状では禁止されているが)は、汚職・贈収賄に繋がるわけではないと言っている。しかし、ウォールストリートのバンカーが銀行救済法案に反対する議員を排除すべく巨額の政治資金を拠出するとすれば、それは汚職・贈収賄以外に何ものでもないはずである。

NY Timesの社説は、正しいことを述べていると思います。なお、米国の政治資金規正では、企業・団体であっても、一般会計とは別に選挙会計を設けて、定められた条件で運用されている選挙会計からの政治資金拠出は認められていると理解します。

3) 日本の政治資金規正

小沢幹事長問題は、政治資金問題であり、企業および団体からの政治資金を禁止しないと解決にならないと思います。民主党は、直ちに企業・団体の政治資金禁止法案を作成すべきです。それができるかどうかが、民主党が価値あるかどうかの分かれ目と思います。労働組合からの資金協力が欲しければ、組合費からの資金協力ではなく、組合が別途とりまとめた個人の献金を受領すればよいのです。

ついでに言えば、政党助成金は廃止し、議員個人に対する支援にすべきです。政党助成金と小選挙区により政党のボスの権力は大きくなり、独裁政治がはびこる気がします。民主党が言うような比例定数削減には大反対をします。

報道は、民主党小沢幹事長問題で、にぎわっていますが、政治資金収支報告書の記載や会計処理ではなく、法人や組合等(解散した政党も含め)からの政治資金問題であり、それとともに政党助成金の問題であると思います。

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2010年1月21日 (木)

医療、医療費、医療保険を考える(その3)

今回は、医療費は下がっているとの分析を書きます。

1) 年齢別医療費

高齢になればなるほど、病気になるし、何らかの病で死に至るとすれば、死の直前には医療費がかさみます。従い、高齢になるほど医療費が増加するのは感覚的に分かります。今回も、厚生労働省の医療保険行政のための基礎資料を使って分析します。このページ -平成20年度 医療費の動向- からDownloadした資料です。

次のグラフが、2007年度の医療費の年齢階級別の1年間の医療費です。

Health201012a

若い時は、病気をしないが、高齢になると、医療費がかかることをグラフは表しています。これで、今回の私の医療費に関する分析は、半分以上を終わったようなものです。1月19日の医療、医療費、医療保険を考える(その2)では、医療費総額が増加を続けていると書きましたが、その原因は高齢者社会になっているからなのです。

医療費は、負担をする世代と支出する世代が、まるで逆なのです。保険料を払って貯蓄をし高齢に備えると言えるし、働く世代が高齢者を支える相互扶助の世界とも言えます。12月9日には、川崎協同病院事件医師有罪確定で尊厳死に関連することを書きました。尊厳死を認めず、人工呼吸器を全員が使用して、脳死を向かえるようになれば、上のグラフの数字ではなく、天文学的数字になるでしょう。そんな簡単に割り切れる問題ではないのですが、いろいろと考えることが必要だと思います。

2) 1997年からの推移

1997年からの年齢階級別の一人あたり医療費推移をグラフにしました。1999年をピークに減少しています。推移の状態を見やすくするために、折れ線グラフにしたのがその下の図です。

Health201012b

Health201012c

3) 年齢別人口と医療費

年齢別人口と年齢別医療費を比べてみます。次の図の上が人口で、下が医療費です。それぞれの年齢階級の色は、上も下も同じにしてあります。人口では、65歳以上は22.6%ですが、医療費では52.0%になります。65歳を定年だとすれば、医療費は半分以上を定年後に支出するのです。(勿論、個人差があり、平均の話ですが、傾向としては、正しいのです。)

Health201012d

ちなみに、後期高齢者の75歳で線を引くと、75歳は人口では10.7%ですが、医療費では29.6%です。後期高齢者医療制度の恐ろしさは、ここにあるのです。次回に分析をしようと思いますが、高齢化が益々進むことから、後期高齢者医療制度は制度維持が困難となるはずです。その点を無視して、後期高齢者医療制度を、根拠もなく長寿医療制度と読み替えることを提唱した人がいました。しかし、実態は、高齢者姥捨山制度かもしれません。

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2010年1月19日 (火)

医療、医療費、医療保険を考える(その2)

厚生労働省が、医療費の動向を発表しています。様々な表がこのページからダウンロードできます。そこで、これらの資料も使って、現状を見ることとします。

先ずは、1970年以降の医療費の推移です。ここで言う医療費とは、個人が医療機関と薬局に支払った金額及び保険で支払われた金額の合計です。

Health20101a

35兆円ですから、すごい金額です。例えば、防衛費は5兆円ですから、医療費はその7倍です。それで、これが医療費の全てかというと、この厚生労働省の資料は、医療保険に関する審査支払業務において集まる医療費情報を集約し、医療費の動向を把握し、医療保険行政のための基礎資料を得ることを目的として、作成されているので、例えば自由診療や差額ベッド代は含まれていません。救急車やドクターヘリの費用も別です。また、介護保険適用の分野も含まれていません。

次に、同じグラフの上に国民総生産GDPと国民所得NNI(要素費用表示)を重ね合わせました。GDPとNNIは、右目盛としています。

Health20101b

1990年からGDP、NNIは水平になり、増加しませんでしたが、医療費は増加を続けています。そこで、今度は、国民総生産GDPと国民所得NNI(要素費用表示)に対する医療費の割合をグラフにしました。GDPに対する割合は、一定の付加価値を生み出すために、医療費としてのコストが幾ら必要かを示します。NNIに対する割合は、個人と法人を併せた総所得のうち、幾らを医療費に費やしているかを示します。

Health20101c

医療費負担が大きくなってきていることが分かります。次に、一人あたりの金額をグラフにしました。なお、1970年からの金額をグラフにしているので、消費者物価指数で2005年基準金額にしたCPIによる調整金額も表示しました。

Health20101d

今回は、これまでで、次回に更に分析をします。単純に考えると、これほど医療費が増加すると、パンクをしてしまう。デフレで苦しい中、医療は合理化ができていないと考えてしまいます。しかし、そう考えるのは、危険な面を含んでいます。何故なら、一面では医療崩壊が存在するからです。マスコミは、たらい回しと報道したりして、患者と医療を対立させることがありますが、表面ではない、根本の部分を見ていかないと誤ります。

また次の分析もお読み下さい。

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2010年1月17日 (日)

日本航空株式の株式存続を望む

日本航空は、1月19日に会社更生法の申請を行い、同時に企業再生支援機構が支援を発表すると思います。

日経 1月15日 日航、19日に会社更生法申請 同時に支援決定、首相が日程了承

これに関連して、100%減資の可能性があることから、株式市場はストップ安を記録しました。次の1月12日日経ニュースには「企業再生支援機構は100%減資による上場廃止で株主責任を問う姿勢を示しており」とあります。

日経 1月12日 日航株37円、ストップ安で売買成立 7億株超の売り注文残す

次のニュースのように、銀行団に3500億円もの債権放棄を要求するなら、銀行団としては、何故自分達だけが損失を被らざるを得ないのか?、株主が負担して、当然であるとの見解になります。100%減資も3500億円もの債権放棄も企業再生支援機構が言っているのであり、極めて自分勝手な、「支援はしてやるが、損害はおまえ達だ。」との言い分にも思えます。

日経 1月15日 日航向け債権8割強放棄 支援機構、銀行団に提示

日本航空の経営問題は、麻生政権になった頃から、悪化が進み、鳩山政権になったら、いよいよ破綻したという気がします。前原大臣になってから、チーム前原が出てきて、横暴が始まって気がします。航空輸送業の素人が、好き勝手に、かき混ぜている気がします。航空行政をすべき人間が、航空行政ではなく、民間の航空会社の経営に口を出すことは、誤りです。国交省が、日本航空を助けるなら、経営ではなく、行政面で助けるべきです。例えば、運行を中止できない不採算地方路線に対する補助金政策の立案です。あるいは、不必要官僚出向者やOBの引き上げです。勿論、断固として、戦わなかった西松社長に大きな問題はあると思います。報道からは、西松社長は国交省と戦ったのではなく、社員やOBと年金引き下げを戦ったように感じますから。それでは、方向がまるで違います。

「日本航空株式の株式存続を望む」と、何故書いたかというと、このままでは、政治家、国交省、企業再生支援機構(その裏には、政治家や色々な役所もおられると思いますが)の言うなりになってしまう可能性が高いと思ったからです。利用者無視、合理性無視で、安全も無視されるかも知れない。企業として必要なディスクロージャーを行い、多くの利害関係者の監視が行き届くようにして欲しいのです。100%減資を実施すれば、暗闇に入る可能性があると思います。一旦、上場廃止になってもやむを得ないので、将来の上場を目指して健全な経営を行うことが日本航空再生への道と思います。増資をする際に、株式統合が行われても構わない。その時の、株式の価値が、決するのであり、合理的であれば、損得なしのはずです。8400億円の債務超過なんて、関係ありません。何故なら、飛行機の価値を勝手に評価しているだけですから。資産の価値は、持ち主により、使用方法により、変わります。

銀行団から3500億円もの借金棒引きが必要なのでしょうか?日本航空の借入金は長期・短期合計で7000億円です。金を借りて、半分は返さないとする。銀行からすれば、株主はゼロだとなるのが当然だと思います。銀行にもきちんと返し、やがて軌道に乗れば応分のお礼を株主にもするのが、普通だと思います。

やるべきことは、不採算路線からの撤退や、高コストたかり体質の下請けの整理です。例えば、関空は離着陸料が高いので、有名ですが、関空からと成田からロンドンに行くとして、運賃は同じです。当然やるべきことは、関空からの撤退です。国内路線でも、11月で利用率(満席率)が50%に満たなかったのは、羽田ー山形、成田ー中部、伊丹ー三沢、伊丹ー松本、伊丹ー隠岐、伊丹ー屋久島他沢山あります。

私は、安全に乗客を時間通りに輸送する航空輸送業としての任務を果たしていれば、借入金の棒引きも必要がなく、100%減資なんてせずに、多くの人に満足を与える会社として日本航空は存続可能だと思います。最後に、乗客輸送に関するグラフを掲げます。

1番目は、2008年4月から2009年11月までの日本航空の乗客搭乗者数です。2009年6月がボトムでしたが、右肩下がりは解消したと思います。

2010jl1

2番目は、単純な乗客数ではなく、距離をかけ算して合計した数字ですが、ほぼ同じです。

2010jl2

3番目は、座席数に距離を掛けた数字です。減便したり、小さな飛行機にすると、数字が小さくなります。国際線は、減少が続いており、小さな飛行機に切り替えていることが分かります。即ち、合理化は進めています。

2010jl3

最後は、乗客数と距離を掛け合わせた結果の満席率(利用率)です。国際線は、小さな飛行機に切り替えを進めた結果、満席率(利用率)は上昇していることが分かります。マスコミは、政府や、政府の意向を受けた企業再生支援機構の意に沿った報道をします。日本航空社内の、企業努力を評価しようとしません。なぜ、デルタやアメリカンが提携を申し出ているのでしょうか?それなりの魅力があるからです。その魅力を引き出すのが、本当の経営のはずです。そんな方向になっていない気がする面があり、嫌な気になることがあります。

2010jl4

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2010年1月16日 (土)

医療、医療費、医療保険を考える(その1)

医療と無縁で、常に健康で過ごすことができれば、最高と思います。しかし、人である以上は、時として病になり、現代において医者知らずで、医療無縁で一生を過ごす人は日本には誰もいないと思います。憲法25条1項の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」を推進し、医療を充実することは、私たちの幸福の追求であると思います。

しかし、一方で、医療サービスはタダで維持できず、一定の費用が発生します。1月9日の読売新聞(北海道版)に次の報道がありました。

読売北海道 1月9日 協会けんぽ料率9.4%以上に…月額1500円超アップ

但し、突然の話ではなく、2009年10月20日に読売が次の報道をしていました。

読売 2009年10月20日 協会けんぽ保険料率、9.5%に引き上げ必要

当然ですが、協会けんぽも、保険料率が上がる見込みであると2009年12月21日に発表していました。3月徴収分から実施となっていますが、確定した新規料率が未だ発表されていません。

協会けんぽにおける来年度保険料率の見通しについて

なお、誤解をしてはいけません。9.3%-9.5%と言っているのは、介護保険料を含んでいない保険料であり、介護保険料を含むと、介護保険料も1.50%への引上げとなる見通しとしているので、10.8%-11.0%になります。引き上げ幅は、合計で1.41%なので、年収5百万円の場合は、年7万円であり、これを労使折半なので、個人負担の増加は3.5万円です。

協会けんぽとは、少し前まで政府管掌保険と呼んでいた健康保険で、民間企業で健保組合を結成できていない会社の就業者が加盟する健康保険です。今後、健康保険組合、国民健康保険、共済組合の保険料も保険料率引き上げになる可能性があると思います。

これを機会に医療、医療費や医療保険について、シリーズで考えてみたいと思います。

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2010年1月 9日 (土)

今年の米ドル相場

今年になって最初の営業週が丸1週間過ぎましたが、米ドルの動きはすさまじいものです。Yahoo-USAのチャートは以下です。(クリックで拡大します。)

20101usd 

一番の円高は、5日に90.40円があり、円安は7日に93.65円があったので、差は3.25円。1日の間に1円以上動いたのが、4日、7日、8日の3日間あったのですから、すさまじいと言えます。

次が全て同じ8日の日経ニュースです。

円、93円台半ば 東京市場、対ユーロは133円台後半

首相「為替に言及すべきでない」 財務相、過度の変動で介入示唆

円、93円台半ばで下げ幅縮小 首相発言で買い戻しも

円、92円台半ばに上昇 NYで、米雇用を受け

プロでも読めないのが、為替相場です。個人で、FXなんてされておられる方は、ポジションは極限まで抑えた方がよいと思います。でも、為替は儲けるためにするものではないと思います。やっていて楽しいことより苦しいことが多いですから。

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2010年1月 7日 (木)

景気回復へ向けて

1) 国民所得の推移

1月5日の日本経済の成長戦略で、GDP(国内総生産)、GNI(国民総所得)、NNI(国民所得)の1980年以降の名目値の推移グラフを書きました。NNI(国民所得-要素費用表示)は、雇用者報酬、財産所得、企業所得に分かれます。これを図示したのが、次のグラフです。

20101nni

1990年頃にグラフの傾向に変化が生じています。1990年頃に、国民所得の増加が止まったが、雇用者報酬は1997年度までは増加が続き、それ以後はやや減少傾向です。企業所得は、2008年度を除いては、ほぼ増加です。一方、財産所得は1991年度をピークに減少です。

財産所得(非企業部門)のなかで大きな割合を占めていたのが利子による所得(支払利子を差し引いた純額計算で、1991年度の場合は、財産所得(非企業部門)の59%)でしたが、金利の低下により減少し、2008年度は10.6%であり、2002年から2007年はマイナスでした。企業所得には銀行の所得も含まれますが、金利の低下による利益は、企業が享受した形でした。定期預金金利の推移をグラフに書いたのが、次です。

20101_2 

低金利は、国債の利払い負担や企業の利子負担を減少し、銀行に対しては、利益を移転させました。一方で、日本航空で話題になっているように、低金利は確定給付の企業年金の財政悪化を招いており、企業年金制度を持つ多くの企業で、バランスシートにおいては債務に含まれておらず、注書で表示されている巨額の未認識数理計算上の差異が存在しています。期待運用収益と実績との差は、上の金利率の推移グラフを見れば、納得します。

経済活動が正常に機能する市場の金利について考えるべきと思います。利子率が低いことは、資金コストが低くて済むことであり、その結果として、低いリターンの投資が行われ、無駄に繋がる。産業構造の変化・パラダイムシフトが生じているのに、過去の遺産を低金利で存続させている。「高ければ良い・低ければ良い」というのではなく、適正な金利水準が存在すると思います。

2) 雇用者報酬

雇用者報酬の推移のグラフは、次の通りです。

20101_3

雇用者報酬とは、給与・ボーナス・会社負担の健保・年金やフリンジベネフィットを役員についても合計した金額です。実数は、実際に支払われた金額であり、四半期ベースでは、10月-12月が大きくなるから、グラフに書くとのこぎり状態です。季節調整すれば、グラフがなめられかになり、実質と書いたのは、季節調整した数字を更にインフレ調整を、家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃)デフレーターで、行った数字です。

1997年頃から、収入が増えなくなったという個人の実感とぴったりの気がします。これを伸ばす努力をしないと、夢も希望も無くなってしまう。

次のニュースも日本経済悲観論を醸し出している気がします。

日経 12月31日 10年春卒業の大学生、「就職できず」6割増 氷河期並み13万人に

日経 12月15日 高卒就職内定率55% 文科省調査、下落幅は過去最大

大卒の25%と高卒の45%が就職できないというのは、異常です。しかし、その若者のほとんどがニート・フリーターになり、非正規労働者になるのだとしたら、景気が悪いことより、社会制度の問題の方が、重大だと思います。

子供手当や高校無料化より、もっと重要な問題があり、それに取り組んでいない日本という国は、日落ちる国なのだろうなと思ってしまいます。

3) 我がアイデア

政治家ではないので、日本なんて大きな単位は無理で、せめて自分の守備範囲限定で考えると、能力主義の会社を作ることではないかと思いました。中途入社も、不利な扱いを受けない。各自が自分の能力に適した仕事をするので、効率が高い。

なかなか難しいでしょうね。特に既存の会社をそうすることは。でも、そんなことでも考えないと、弱い人達にしわ寄せをする格差拡大のデフレスパイラル社会になってしまう気がします。本当は、卒業して就職できなかったことは、不幸の始まりではなく、チャンスが多くなることでなければならない。だから、就職氷河期の若者には、もっと多くの経験を積ませて、将来社会の役に立つようにチャンスを与える社会にしたいと思います。

経営者の中に、堅実に行動し、仕事の上でも、失敗をほとんどしてこなかった人がおられます。しかし、本当にリーダーとして、人を引っ張っていけるのは、失敗もし、困難を乗り越えたことがある経験豊かな人であると思います。

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公開会社法

次のニュースがあり、公開会社法についての議論が今後高まるものと思います。

日経 1月5日 「公開会社法」諮問を正式表明 千葉法相

ところで、民主党の考えている公開会社法とは、この民主党公開会社法プロジェクトチームの文書のようですが、私には違和感がありすぎて、こんな屁理屈で解決になるの?と思ってしまいます。

「会社は株主のものである。」と書いてあります。「エー」と思うのです。会社は、社会のものというのが、私の理解です。株主は会社を保有しているのではなく、株主総会における投票権、配当を受ける権利、その他会社法や定款等に定められた権利を保有しているのであり、会社を所有しているのではありません。

Stakeholderという言葉がありますが、Stakeholderはもっと意味が広く、従業員、得意先、仕入れ先、間接的な人や潜在的な人も含んでいます。会社は、そのような多くの人と権利・義務を保有しているのであり、株主の権利より、債権者の権利が優先する。債権者の権利は利益が予定以上であっても増加しないが、株主の配当を受ける権利は増加する。この関係を利用して、資金調達のツールとして株式会社が存在する。

民主党の公開会社法文書には、社外取締役が善であり、委員会設置会社が良いように書いてあります。逆に、社外取締役なんて、説明しても無駄だし、よく判っていないから、誤魔化しておこうと、最悪のガバナンスになってしまう恐れもあります。7月31日のカブドットコム証券の調査報告書を読みましたで、「委員会設置会社はガバナンスなしのリスクあり」と書きました。米国の上場会社に多いのは、CEO以外は全て非常勤社外取締役というスタイルです。CEOワンマン体制かどうかは個々に評価が必要ですが、ワンマン体制リスクがあると私は思っています。そして、ほぼ確実と思っているのは、天文学的数字のCEOおよび執行役員の給与とボーナスです。それと弁護士への報酬も天文学的数字です。自分たちの行為を正当化するために、高額で多くの弁護士を雇うのです。

勿論、日本の会社に問題があることは事実です。サラリーマン出世双六なので、なるべき人がリーダーになるのではなく、ごますり結果がリーダーになり、不祥事を起こすこともあります。それが、公開会社法で解消するとは思いません。次元が違うと思うのです。民主党の政策には、納税者番号制のようなまともな政策もあるが、ガソリン暫定税のような支離滅裂政策が沢山あります。それを民主党の方は、そういうことを述べている学者がいると言うのです。当たり前でしょう。学者が正しいことを言うとは限りません。

公開会社法にしても、そうですが、正しい議論をすることです。一部の御用学者に何かをさせて、それで正しいと結論づけてはいけません。

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2010年1月 5日 (火)

日本経済の成長戦略

あけまして、おめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

年頭は、日本経済の成長について考えるのが、ふさわしい気がしました。

政府は、12月30日の臨時閣議で、「新成長戦略(基本方針)」~輝きのある日本へ~を決定しました。「新成長戦略(基本方針)」の閣議決定及びポイントはこの首相官邸のWeb Pageにあります。

日経 12月31日 「名目3%成長」目標に、成長戦略を政府決定

閣議決定の28ページには、マクロ経済運営として”2020 年度までの平均で、名目3%、実質2%を上回る成長、2020 年度における我が国の経済規模(名目GDP)650 兆円程度を目指す。”と書いてあります。

1) 過去のGDP推移

過去のGDP推移を見るのが分かりやすいと思います。

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名目GDPの推移は、1990年代からは、ほとんど変化していません。2008年度の名目GDPは494.2兆円で、2007年度515.6兆円より4.2%低かったのです。1998年度は、503.3兆円であったので、10年前でも今より大きかったのです。これからは、10年で1.3倍の650兆円にする政府成長戦略です。ちなみに、1988年度GDPは503.3兆円であったので、1988年から1998年にかけては1.3倍でした。その頃の経済成長にもっていこうとする政府の戦略です。絵に描いた餅か、どうか、じっくり見ていきましょう。但し、目標としては、丁度よいのかも知れません。

2) GDP、GNI、NNI

あまりNNI(国民所得)は、使わないかも知れないのですが、次のニュースが12月25日にあったことから、上のグラフにNNIも表示しました。概略の説明も書きました。(面倒くさい方は、飛ばしてください。)

日経 12月25日 08年度の国民所得、落ち込み最大 企業振るわず7.1%減

GDP(国内総生産)とは、国内における物とサービスの付加価値合計です。GNI(国民総所得)は、GDPに対して海外で得た所得を加え、海外に支払った所得を差し引いた金額であり、日本に帰属する所得総額です。NNI(国民所得)は、GNIから固定資本減耗額を差し引き、国際収支の経常移転収支とを調整した金額です。NNIには、損金として企業が処理した税額を含んだ市場価格NNIと税額を含まないNNIがあり、日本では通常、税額を含まない国民所得(要素費用表示)を国民所得と呼ぶことが多いようです。12月25日日経ニュースにある351.5兆円も税額を含まない国民所得(要素費用表示)です。

トヨタ1社が日本として例えると、日本に存在する工場の付加価値合計がGDPで、これに海外生産の利益配当を加え、トヨタの外国人株主への支払い配当を差し引いたのがGNIです。NNIは、従業員・役員給与・賞与とトヨタの税引前利益の合計に従業員・役員の預金収入等を加えた金額です。会社が負担した健康保険料や社会保険料その他も加えます。これがNNI国民所得(要素費用表示)であり、会社が負担し費用処理した間接税や印紙税等を加えたのが、国民所得(市場価格表示)です。外国人労働者については、日本人の海外工場で働く人の給料等は、GDPには含まれず、日本に留守家族がいて送金をすると、送金額がGNIに含まれます。NNIにも送金額は含まれません。日本で働く外国人労働者についても、同じ扱いです。

2008年度のGDP、GNI、NNIを表現した図を掲げておきます。なお、経済活動別の金額は2007年の割合と各活動分野の金額割合が同一であると仮定して計算した推定です。

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3) GDPのOECD諸国との比較

他の国々と比較して、どうであったか、1990年以降の一人あたりGDPの推移グラフを書きました。なお、名目GDPとし、米ドル表示にしていますが、換算は購買力平価での換算です。

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グラフの右のレジェンドの順序が2008年の順位と一致するようにしました。1990年は、日本は8位で、1991年と1993年は6位でした。しかし、2003年以降は17位になっています。次の順位表はクリックすると拡大されます。

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最後に、OECD各国が1990年から2008年に一人あたりGDP(PPP)が何倍に成長したかの表を掲げます。日本は、1.82倍でした。高いノルウェー、韓国、アイルランドは3.2倍でした。やはり、日本は成長が低すぎるようです。「経済規模(名目GDP)650 兆円程度を目指す。」が妥当なようです。必要なのは、看板ではなく、戦略の中身のようです。私が、最重要と思うのは、人材の育成です。日本の低成長の原因は、人材を育てるのではなく、押さえつけてきたことと思います。

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