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2010年1月 7日 (木)

景気回復へ向けて

1) 国民所得の推移

1月5日の日本経済の成長戦略で、GDP(国内総生産)、GNI(国民総所得)、NNI(国民所得)の1980年以降の名目値の推移グラフを書きました。NNI(国民所得-要素費用表示)は、雇用者報酬、財産所得、企業所得に分かれます。これを図示したのが、次のグラフです。

20101nni

1990年頃にグラフの傾向に変化が生じています。1990年頃に、国民所得の増加が止まったが、雇用者報酬は1997年度までは増加が続き、それ以後はやや減少傾向です。企業所得は、2008年度を除いては、ほぼ増加です。一方、財産所得は1991年度をピークに減少です。

財産所得(非企業部門)のなかで大きな割合を占めていたのが利子による所得(支払利子を差し引いた純額計算で、1991年度の場合は、財産所得(非企業部門)の59%)でしたが、金利の低下により減少し、2008年度は10.6%であり、2002年から2007年はマイナスでした。企業所得には銀行の所得も含まれますが、金利の低下による利益は、企業が享受した形でした。定期預金金利の推移をグラフに書いたのが、次です。

20101_2 

低金利は、国債の利払い負担や企業の利子負担を減少し、銀行に対しては、利益を移転させました。一方で、日本航空で話題になっているように、低金利は確定給付の企業年金の財政悪化を招いており、企業年金制度を持つ多くの企業で、バランスシートにおいては債務に含まれておらず、注書で表示されている巨額の未認識数理計算上の差異が存在しています。期待運用収益と実績との差は、上の金利率の推移グラフを見れば、納得します。

経済活動が正常に機能する市場の金利について考えるべきと思います。利子率が低いことは、資金コストが低くて済むことであり、その結果として、低いリターンの投資が行われ、無駄に繋がる。産業構造の変化・パラダイムシフトが生じているのに、過去の遺産を低金利で存続させている。「高ければ良い・低ければ良い」というのではなく、適正な金利水準が存在すると思います。

2) 雇用者報酬

雇用者報酬の推移のグラフは、次の通りです。

20101_3

雇用者報酬とは、給与・ボーナス・会社負担の健保・年金やフリンジベネフィットを役員についても合計した金額です。実数は、実際に支払われた金額であり、四半期ベースでは、10月-12月が大きくなるから、グラフに書くとのこぎり状態です。季節調整すれば、グラフがなめられかになり、実質と書いたのは、季節調整した数字を更にインフレ調整を、家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃)デフレーターで、行った数字です。

1997年頃から、収入が増えなくなったという個人の実感とぴったりの気がします。これを伸ばす努力をしないと、夢も希望も無くなってしまう。

次のニュースも日本経済悲観論を醸し出している気がします。

日経 12月31日 10年春卒業の大学生、「就職できず」6割増 氷河期並み13万人に

日経 12月15日 高卒就職内定率55% 文科省調査、下落幅は過去最大

大卒の25%と高卒の45%が就職できないというのは、異常です。しかし、その若者のほとんどがニート・フリーターになり、非正規労働者になるのだとしたら、景気が悪いことより、社会制度の問題の方が、重大だと思います。

子供手当や高校無料化より、もっと重要な問題があり、それに取り組んでいない日本という国は、日落ちる国なのだろうなと思ってしまいます。

3) 我がアイデア

政治家ではないので、日本なんて大きな単位は無理で、せめて自分の守備範囲限定で考えると、能力主義の会社を作ることではないかと思いました。中途入社も、不利な扱いを受けない。各自が自分の能力に適した仕事をするので、効率が高い。

なかなか難しいでしょうね。特に既存の会社をそうすることは。でも、そんなことでも考えないと、弱い人達にしわ寄せをする格差拡大のデフレスパイラル社会になってしまう気がします。本当は、卒業して就職できなかったことは、不幸の始まりではなく、チャンスが多くなることでなければならない。だから、就職氷河期の若者には、もっと多くの経験を積ませて、将来社会の役に立つようにチャンスを与える社会にしたいと思います。

経営者の中に、堅実に行動し、仕事の上でも、失敗をほとんどしてこなかった人がおられます。しかし、本当にリーダーとして、人を引っ張っていけるのは、失敗もし、困難を乗り越えたことがある経験豊かな人であると思います。

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