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2010年2月28日 (日)

法人税率

2月19日に内部留保課税を書き、合理性のない税であると批判しましたが、次の古川元久副大臣の発言も、問題を含んでいると思います。

日経 2月27日 法人税下げ目指す 内閣府副大臣「成長促す税制に」

法人税について、考えてみます。

1) 現行の税率

法人税率は30%と頭に浮かびますが、企業の所得に対して課税されるのは、他に法人住民税(都道府県税と市町村民税)および法人事業税(都道府県税)があり、合算して考えるべきです。企業にすれば、日本政府に対して納付するのも、地方自治対政府に対して納付するのも同じです。次に、これらの税の概要を一覧表にしました。なお、平成20年10月1日以後開始する事業年度から地方法人特別税が創設され、地方法人特別税を適用した一覧表ですが、複雑怪奇な税体系と思います。(書ききれない部分も、多く、本当に複雑です。)

Tax20102a

法人税率を30%とし、外形標準課税適用外であった場合で、第1年度に100の税引前利益があった場合の、第5年度までの税額のシミュレーションをしてみました。第2年度以後も利益を計上することとしますが、第1年度の利益100に関する税のみを考えるため、この部分のみを抜き出した形です。赤字になっているのは、事業税(および地方法人特別税)が納付時に法人税の所得計算において損金扱いとなるからです。

Tax20102b

第6年度以降も続くのですが、金額影響は小さくなるので、5年間でシミュレーションを終わります。結果、合計した税率(実効税率)は、40.9%であり、うち法人税が27.4%であり、地方自治体に納付するのが13.5%です。

2) 現在の問題点

法人税率を下げると、法人県民市民税が法人税額を課税標準としていることから、同時に下がります。従い、法人税を25%と5%下げれば、全体で5.35%下がります。しかし、地方自治体は、反対するか、税収補填を要求すると思います。

外形標準課税は、都道府県から見れば、税収安定の為に、維持したい。しかし、企業からすれば、赤字、あるいは利益減少となった場合、税額が利益に比例しないから、税負担が厳しいのです。

日本政府は一つですが、都道府県は47あり、市町村は沢山あります。企業が、事業所、事務所、社宅等を多く持っていれば、関係する全ての地方自治体に申告書を提出し、納税します。地方税にも電子申告制度があり、多少は楽になったものの、大変です。自治体により税率が違ったりするし、人数で比例配分したりして、楽ではありません。

3) 税の簡素化・地方税の廃止

複雑化を進めるのではなく、税の簡素化を推進すべきです。例えば、地方税が必要ですか?直ちに、廃止することは困難でしょうが、廃止をし、政府が地方自治体に税を配分することにすればよいと思います。消費税は、消費税4%と地方消費税1%の合計5%です。しかし、この申告と納付は、税務署一本で済むのです。

1)に書いた複雑な税は、過去の遺産と思います。地方税を直ちに廃止できずとも、税務署が法人税に関するワンストップサービス窓口となるか、歳入庁を創設すれば、それだけでも楽になります。

4) 合理的な税制

医療保険に少し書きましたが、税の負担を増加しないと制度維持が困難と予想されます。基礎年金についても、税負担の増加が必要と思えます。

そして何より、800兆円の将来の国債返済に増税は避けられません。そんな状態で、安易に法人税を下げることは、悪魔のバラマキ政策と思います。

成長に即した税というなら、外形標準課税を直ちに中止すべきです。事業税資本割は、企業の人頭税であり、付加価値割は、利益に給与、支払利子、支払賃借料を加算した金額を課税標準とするので、利益を計上しても、従業員の給与アップに向かわせるインセンティブが全く働きません。内部留保や株主配当を増加させることが、悪いことではありませんが、その場合には、しかるべき税を納付し、従業員に対し相応の給与・ボーナスを支払うという方向に向かわせる税が、合理的な、成長戦略にふさわしい税だと考えます。

利益に比例する法人税が望ましく、その上で、政策的に発展を支援する地域や部門についての優遇税率や税額控除を実施する租税特別措置で適当であると私は思います。措置法42条の4の試験研究を行つた場合の法人税額の特別控除なんてのも、企業の成長を支援するのに役立っていると感じます。

日本から優秀な人材が消えていった時こそ、恐るべき事態である。企業は優秀な人材を必要とします。日本の税が少しくらい高くても、それに見合う優秀な人材を日本で雇用できるなら、法人税の高い分は、企業にとっては、コスト以上の収益が得られればよいので、歓迎します。そんな日本を目指していくべきと思います。

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