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2010年2月 2日 (火)

明石歩道橋事故に思う

神戸第2検察審査会の1月27日の決議を受けて、兵庫県警の元副署長を起訴し、検事役を務める指定弁護士の候補として兵庫県弁護士会が弁護士3人を神戸地裁に推薦したとのニュースがありました。

読売関西 2月2日 検事役3弁護士を推薦…歩道橋事故「強制起訴」で弁護士会

この件に関するマスコミ報道は、次の読売社説のように、市民感覚の刑事裁判への反映が行われることであり、歓迎すべきとの意見が多いと思います。しかし、私には、釈然としないところがあります。

読売社説 初の強制起訴 1月29日 法曹三者の責任はより重く

1) 警察の役割

警察とは、何でしょうか?怪しい者を捕らえて冤罪者をつくる機関であってはならないし、行き過ぎると、言論・思想統制の暗い社会になります。現行犯や捜査令状なしで、強制的に国民の活動に関与してよいとは思いません。

明石歩道橋事故の主催者は、警察ではありません。参加人員を予測し、安全を確保し、対策を講じるのは主催者です。犯罪があった場合、それを取り締まるのが警察です。

例えば、集会を開催するのに、警察の関与があってよいでしょうか?警察に事故の責任を負わせるなら、逆に警察の命令に従うことを承諾することになると思います。集会や催し物の主催者が、参加者の安全を確保するのが本当であり、警察は補助者である。警察とは、どうあるべきかの大前提はどうなっているのだろうと思います。

2) 主催者

明石歩道橋事故の花火大会は、「第32回明石市民夏まつり」のなかの行事として実施され、主催者は、明石市、明石商工会議所、明石観光協会等12団体からなる明石市民夏まつり実行委員会であったのです。

主催者は、組織も責任体制も明確でなかった寄り合い所帯であったと思うのです。それまで、31回開催して大きな事故もなかったから、明石市地方自治体も問題意識を持っていなかっただろうし、中止なんて全く考えてもいなかったと思います。

危険性があるにも拘わらず、無責任体制で取り組んでいることが、身の回りにないか、考える必要があると思います。

この明石市のWebpageから、歩道橋事故の事故報告書がDownloadできます。花火大会に終結する群衆が15万人と予想されるにも拘わらず、1時間当たり7200人の通行量で設計された歩道橋を参加者の主要経路として考えていました。事故が起こった海側の階段の下には露店も出ており、そのために混雑が更に悪化したのですが、露店の出店を決めたのも主催者です。

3) 裁判

民事は、9遺族について、明石市、兵庫県(県警)、警備会社が568百万円の賠償をすることで2005年6月28日の神戸地裁判決で終わっています。(11人の死亡事故であったのですが、2人がどうなっているのか分かりませんでした。)

刑事では、明石市職員3名、県警1名、警備会社1名の計5名が起訴されました。1月27日の読売新聞 明石歩道橋事故で元副署長起訴へ…検察審が議決によれば、明石市の3人は禁固2年6月、執行猶予5年の有罪が確定しており、県警1名と警備会社1名の2人は、上告して争っていると報道されています。

多分、今回の元副署長についても長い裁判が続くのだろうと思います。

4) 検察審査会の判断

検察の判断が正しいとは限らない。同じように、検察審査会の判断も正しいとは限らない。よくない仮定ですが、足利事件について、当時菅家さんを起訴していなかったなら、検察審査会はどう反応したのだろうと思います。

現実に、検察が不起訴の決定をした結果、検察審査会が不起訴の不相当を議決し、その結果、20数年もの長期の裁判となり、無罪が確定したのが、甲山事件です。検察審査会の不当な決議により人生を失ってしまった人もおられるのです。(20数年の裁判で、差し戻しはあったものの、一度も有罪判決はなかったのです。)

検察審査会って何なのだろうかと思います。人を刑事罰で起訴をすることの重みは、相当のものであります。

明石歩道橋事故は、歓迎すべきとは、とても思えず、無責任体制が原因と思える嫌な事件です。そして、それが今も続いている懸念がするものですから。

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コメント

>犯罪があった場合、それを取り締まるのが警察です。

警察法2条によれば、以下のようにあります

"警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。"

法により、公共の安全と秩序の維持に当たる事が責務とされている以上、花火大会の安全対策に関して、「補助者」とは言えないと思います。

投稿: しま | 2010年2月 3日 (水) 20時35分

しま サン コメントありがとうございます。

「公共の安全と秩序の維持」とは、何であるのかは、重要と思います。警察が、「公共の安全と秩序の維持」を理由に、何をしてもよいのか、どこまで強権を発動できるのかであり、裏を返せば、市民として、警察の介入は、どの場合に、どの範囲まで、許容すべきかであると思います。

私も「公共の安全と秩序の維持」に、警察は関与すべきではないと考えていません。しかし、無制限には反対します。

60年安保、70年安保の頃であれば、そんなことも、議論された可能性があると思います。現在は、そんな議論もなしに、警察副署長が刑事罰にならないのはおかしいという感情論があまりにも先行しているように思えるのです。

投稿: ある経営コンサルタント | 2010年2月 3日 (水) 20時48分

自己の安全は、自己で守る必要があります。 特に混雑が激しいところでは。

 新型インフルエンザがはやった時期に、1歳未満のお子さんを、繁華街に連れ出す親御さんが、いますから。

投稿: omizo | 2010年3月 2日 (火) 22時35分

当時大阪に住んでおり、ず~っと思っていましたが、なぜ警察起訴されるのか理解できません。基本的に自己責任、そうでなくても主催者の責任だと思います。こんな裁判が起きるから、事無かれ的に過剰な規制をかけることになると思います。

投稿: もりぞう | 2010年4月21日 (水) 08時50分

明石歩道橋事件の本当の犯人は花火に見物に行った、お前ら一人一人だ!!怒!!!怒!!それを、警備会社がどうだ、とか警察がどうだとか言ってんじゃね!!ふざけんな!!自分達の自己中心的な行動がこの事件をおこしたくせに人のせいにするんじゃねぇ!!自分達一人一人がもっと反省しろ!!

投稿: ふざけんな!! | 2010年5月27日 (木) 20時28分

人間社会である以上、ミスを完全にゼロにはできない。そのような不確実性を前提とせずして、誰かに責任を負わせようとする現代。警察に責任を負わせるなら、あのような場に子供を連れていった親にも責任を負わせればいい。自分には危険すぎて連れていくことはできない。

投稿: たか | 2010年10月11日 (月) 06時06分

この事件を見てて、
「何か文句言ったもん勝ちだな」と感じました。
この原告団の人たちは危機察知能力が皆無なのでしょうか?
警察が注意や制止をしてくれなかったら、こんな事故に巻き込まれた…他力本願、責任転嫁も甚だしいと思います。
誰に言われたのでもなく、自分の意思で歩道橋に入っていったのなら、それはあくまでも自己責任でしょう。

投稿: yamio | 2010年12月22日 (水) 15時04分

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