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2010年2月 1日 (月)

菅直人さん突っ込みが足りません

次の記事を思いました。菅直人さん突っ込みが足りません

日経 2月1日 11年度の社会保障財源、6兆円不足 菅財務相「特会を徹底見直し」

1月16日に医療費の将来予測を書き、国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計を基に将来の医療費を予想しました。この記事の記憶が残った状態で、「全閣僚が問題意識を共有して、自分の足元の特別会計などを徹底的に見直す」なんてことは、甘くって、国民を欺く行為だと思ってしまったのです。

1) 5年後の医療費は自然増で5%アップ

2008年度の医療費は、34.1兆円でした。私の1月16日の予想数字は、2010年度35.3兆円、2015年度37.1兆円でした。従い、5年間で1.8兆円(5%)の増加です。34.1兆円の負担は、個人から医療機関や薬局への直接支払いが4.8兆円で、全額公費負担が2.3兆円、そして医療保険が27.0兆円です。

5年間で1.8兆円(5%)の増加は、現在の年齢階層別の一人当たり医療費が変わらないとした前提で計算しているので、それ以上に増加する可能性の方が大きいと思います。2008年度の要素費用表示の国民所得は351.5億円でした。1月5日の日本経済の成長戦略に書きましたが、国民所得は1990年から水平又は下降です。従い大変なのです。

医療は、公共工事とは異なり、中止、凍結、繰延はあり得ません。多分、医療保険料の増加を国民が泣く泣く受けることになると思います。

2) 高齢者増加の影響

現在団塊の世代が60歳です。5年後には、65歳になり、多くの人はリタイヤすると思います。次の表は、医療費の将来予測で使用した国立社会保障・人口問題研究所の出生中位(死亡中位)人口推計の2010年と2015年について、25歳から59歳を年金支払世代とし65歳以上を年金受取世代として、その比率((a) / (c))を計算した表です。25歳から65歳を年金支払世代とした場合も計算しました。65歳以上の人口は増加し、一方で65歳未満の人口は減少する恐ろしい世界です。

2010年 2015年
(a) 25-59歳人口 58,534千人 56,235千人
(b) 25-64歳人口 68,529千人 64,634千人
(c) 65歳以上の人口 29,412千人 33,781千人
(a) / (c) 1.99 1.66
(b) / (c) 2.33 1.91

2010年において25歳から59歳の世代が65歳以上の世代を1.99人なので2人で1人を支えているとすると、それが5年後の2015年には1.66人で1人を支えるので、支える方の負担は1.2倍になります。25歳から64歳歳の世代が支えるとしても、1.22倍です。負担構造を変えて、25歳から59歳の世代が支えていた部分を、年齢層の拡大を行い、25歳から64歳の世代が支えるとしても、1.04倍になるのです。

団塊の世代をこき使って、65歳まで働いて頂くとして、仕事と仕事に対する支払は社会が確保する必要があります。実際に、団塊の世代のほとんどの方は、働く意欲を持っておられます。しかし、若者にさえ仕事は少ないのであり、あっても高い支払を得られないし、65歳以上の人達を支えるほど分担できないのが実状です。

年金は、受領する側になると負担しなくなるので、5年後には年金の負担が20%増加するのです。医療保険は、年金受領者も負担するが、給与収入より年金では受取額が小さくなるので、保険料負担額も高齢者が少額となる分、若い世代の負担が増加します。

3) 中長期将来設計

中長期将来設計ができていない。その結果が、菅直人さんの突っ込みの足りなさになっていると思います。今に始まったわけではなく、小渕政権時代の公共事業無限拡大と大幅減税の頃も全く将来像がなく、小泉政権も小渕政権の公共事業拡大路線を批判し、民活路線に転換を図ったが、具体的な将来像が示されたわけではありません。今、団塊の世代が60歳を超えつつあり、危険信号が点灯していると認識します。

それにも拘わらず、特別会計の徹底的見直しなんて、のんびりしたことを言っていたのでは、小渕政権や小泉政権と何ら変わりはないと思います。増税案の作成に直ちにかかるべきです。さもなければ、健康保険料や年金掛け金の大幅増加になります。結果は、格差拡大、貧困層の拡大、制度の破綻になると思います。税は負担能力に応じて徴収します。保険料や掛け金は払わない人に対して、無保険や年金減額・無年金と言ったペナルティーを課すことになり、それが制度破綻に繋がり、社会にとって悪い方向に向かいます。

民主党よ、増税案を立案下さい。結論までは無理でも、案を展開して、参議院選を戦うのです。さもなければ、日本沈没になる気がします。

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