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2010年3月 8日 (月)

バイオ燃料に関する報告書

相当前になりますが、2007年10月12日にバイオ燃料を書きました。経済産業省資源エネルギー庁は、3月5日に 「バイオ燃料導入に係る持続可能性基準等に関する検討会」報告書を公表しました。次のページからDownloadできます。

3月5日 経済産業省報道発表 「バイオ燃料導入に係る持続可能性基準等に関する検討会」報告書について

報告書は別添を含めると234ページもあり、添付資料2の概要または添付資料3の概要が読みやすいと思います。バイオ燃料が単純にCO2削減とはなるとは思えず、興味あることが書かれています。

1) 下手をするとCO2削減にならないバイオ燃料

報告書はCO2の発生量をLife Cycleで評価しています。バイオとは生物であり、燃焼したり腐敗したりするとCO2を発生するが、そのCO2は再び植物が取り込み、植物を動物が食べれば動物に移転したりで、植物と動物の合計した重量が地球上で変化しなければ、地球上のCO2も増加・減少はしないと考えられます。

従い、バイオが燃焼してもCO2発生はない。しかし、自然状態を超えて、農機具を使い、肥料を与えてバイオを育成し、運搬し、バイオ燃料を生産し、それを運搬・貯蔵すれば、自然状態を超えてCO2が発生することとなる。従い、燃焼時のみではなく、Life Cycleで評価せねばならず、LCA(Life Cycle Assessment)を報告書では実施しています。その結果は、報告書の次の図の通りです。

Biofuel20103a 

ブラジル産サトウキビがガソリン比236%増となっているのは、森林を伐採すると森林によるCO2吸収が失われ、バイオ燃料で得られるCO2削減よりも、失う方が大きいからです。

ガソリン比50%減の所に赤線が引いてあり、50%以下となるのは現状では、ブラジル産サトウキビ(既存農地)、てん菜、建設廃材のみになっています。50%の意味は、50%削減できなければ意味がないであろう参考値です。即ち、+/-ゼロが意味がないのは、直ぐに分かります。そこで例えば、バイオをそのまま燃料として湯を沸かしたり、ボイラで焚いて蒸気をつくり発電する。これらの場合よりも、バイオ燃料とする積極的な異議付けが必要であり、バイオ燃料にせずに、高効率バイオ発電の研究をした方が賢いことになります。バイオを使うなら、基準点はここという目安値です。

結果、バイオ燃料として意味があるのは、現状では、限られた場合に思えます。国産の計算値の内訳を掲げておきます。

Biofuel20103b

ガソリンの基準値が81.7gCO2/MJになっています。蛇足かも知れませんが、インサイトvsプリウス、そしてi-MiEVとティーダを比較しましたを書いた時は、ガソリンのCO2発生量を私は、67.1gCO2/MJとして計算しました。67.1gCO2/MJは、燃焼時のCO2のみで、81.7gCO2/MJは、掘削、生産、輸送を含んだCO2発生量を考えており、このため大きくなっています。

2) 4分野評価

4分野のWorking Groupを設け、GHG排出量評価、食料競合評価、生物多様性等評価、経済性・供給安定性評価を実施しています。上の1)は、GHG排出量評価です。

動物からバイオ燃料を作っても、その動物の飼料にする植物が必要であり、それなら初めから、植物からバイオ燃料を作ればよい。ところが、植物をどこで作るかとなると、農地か新たに開墾した農地しかない。食料競合は、常に生じる問題だと思います。例えば、日本における耕作放棄地は、食料生産に適さないからではなく、耕作人がいなくなったのが大部分の理由のはずで、食料より低いコストで生産する必要があるので容易ではないはずです。

上の表のMA米とは、ミニマムアクセス米であり、輸入米。即ち、本来は食料にする米です。飼料も食料とほぼ同じで、バイオ燃料生産に耕作地を回し、生産が減少した食料や飼料を輸入するのは、バカみたいと思います。世界中に飢えた人が存在しなくなることが、バイオ燃料を生産するための基準である気もします。

バイオ燃料用の植物は、食物ではないので、農薬や遺伝子組み換えなんて関係ないとして、多収穫品種を開発したとする。しかし、それは新種であり、下手をすると外来品種以上に生態系を破壊する可能性がある。相手は生物ですから、恐ろしいと思います。生態系・生物多様性なんて、我々がどこまで分かっているか、疑問があると思います。簡単に実験をできるわけでもありませんし。

経済性について言えば、大規模農場で生産されているブラジルや米国以外で、どれほど経済性がでているか分かりませんが、少なくとも日本では全く経済性はありません。だから研究も中止せよとは言いません。危険なのは、経済性を目指して大規模な設備や計画を推進してしまうことである気がします。

逆に、破棄物の利用による熱回収が可能性がある気がします。例えば、バイオではないが、廃プラスチックを燃料として熱供給や発電をする。埋め立てよりも良いと思います。あるいは、間伐材利用後の破棄部分を燃料とする発電です。林業にも貢献するし、景観保護、水資源確保、洪水対策にも役に立ちます。

バイオは、特定の分野のみに関係するのではなく、多くの分野に関連するのであり、総合的な評価をした取り組みが重要と考えます。そして、このような報告書が公開されることを歓迎します。数字を示して、議論をし、批判や反対も、数字や事実に基づいて可能になります。

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