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2010年6月28日 (月)

法人と法人税

6月13日に法人税の減税と日本の将来を書き、コメントのお礼を書く際に、近々再度また書いてみたいと私もコメントしましたが、そのままになっていました。そこで、法人税に関することを書いてみたいと思います。

1) 法人税とは

人が経済的行為(無償の行為を含め、あるゆる行為が経済的行為であると思います。)を行い、社会を作り、政府を作っている。政府の活動に必要な資金を捻出する方法として、税が存在すると考えます。選挙権は、法人にはなく、人にのみある。そこで、法人税は必ずしも必要ないと考えられるかも知れないが、法人も経済活動はするのであり、むしろ現代においては経済活動の中心は法人であり、法人に対する合理的な課税を行う必要があります。

落語的になりますが、中世以前の社会で、その国(地方)には、農民と武士(役人)しかいないとします。政府の役割は、近隣からの侵略を防ぐことで、防衛のみであったとします。政府支出は、武士に対する給料と武器の購入資金です。この政府支出をまかなうために税を徴収しますが、農地面積に比例して、農産物の現物納付を受けるのが無理のない妥当な方法と思われます。

そこで、農民を雇用して農業をしている法人があったとします。この法人にも税を課さないと不合理であり、個人と同じ税率と方法で課税するのが合理的と思います。法人を作ることによる税逃れを許すと不合理になります。勿論、逆に法人の税を高くして、合理的な経済活動を阻害することも問題です。法人税とは、そのような性格がある税金です。

法人税率が低ければ、法人に利益を貯め込んでおくことになります。そう考えると、中小企業の法人税引き下げなんて主張がありますが、これもどのような場合に適用するかを限定しないとバラマキ政策になると思います。バラマキには、つくづく嫌になっています。税金ドロボウとは、議員のためにある言葉と思います。

もう一つ、法人税減税と消費税増税が言われていますが、これも税が法人から個人に負担がシフトします。何故なら、消費税とは、医療法人や銀行等の一部法人を除いて、法人負担が発生しないからです。

法人税のもう一つの特徴としては、企業が必死になって節税を計ろうとする税です。例えば、1億円税が低くできるなら、5千万円以上費用を要しても、企業は、それを実行します。そんな単純ではないのですが、例えば、米国企業の投資実態を知れば、バーミューダーやケイマン島や様々なTax Heavenに作った子会社を経由しており、驚きます。

2) 法人税率の実態

3月決算の会社の株主総会季節で、決算発表が出そろっているので、幾つかの会社をPick upして、比較表を作成しました。なお、米国企業及び欧州企業としてSimensを含めました。1年のみでは、特殊性がありうるので、3年間とし、その平均も計算しました。

Companylisttax2010_2

Exxon Mobilの数字を見ると、特に日本企業の法人税率が高いとは思えません。例えば、キャノンは3年間の平均で34.7%です。この表の税とは、日本での法人税と都道府県民税、市町村民税や事業税の所得割のみならず全世界での税負担です。トヨタの2008年3月期の税額が9110億円となっていますが、日本政府に納付した税額は不明です。一方、新日鐵やNTT Holdingsは大部分が国内での事業と思いますので、39.3%や37.3%は国内で納付の税が多いはずです。

企業の活動が、グローバル化・多国籍化しており、よく考えないで、雰囲気で、高すぎるとか、低すぎるとか判断すると危険であると考えます。例えば、欧州各国は低い法人税率で高い付加価値税(消費税)率の国がほとんどです。理由は、EUとしてビジネス上は実質的には国境を無くしてしまったから、水準をそろえないと不合理となってしまうのです。その代わりに、欧州議会のようなEUの問題として議論・調整を果たす機能を設け、解決していこうとしています。また、欧州には、東欧諸国を取り組むこととなった。東欧諸国は、ソ連型計画経済であったので、西欧の税制をそのまま簡単に取り入れられなかった。東欧に企業誘致をして、経済発展を起こすには、低い法人税とし、その代わりに税収を付加価値税に頼ったのです。確かに、付加価値税に頼ると賃金をその分高くなってしまうのですが、もともと東欧にはある程度の水準の安い労働力があったのでオフセットして余りがあります。東欧諸国にとっては、外国企業が進出してくることは、雇用の確保が図れることであり、政策として外国企業の誘致は、どうしても必要であったのです。

アジア諸国もある程度似通った部分があります。そこで、日本がどうするかは、日本の問題のはずです。日本企業が生産拠点をアジアに移すことは、悪いとは言えないと思います。アジアも発展すべきだし、アジアで生産した安い物資が日本に入ってくることは、日本でその物資を使う企業や個人に利益は生じます。日本は、日本でどうすべきか、どのような分野で競争すべきかを考えるべきです。

上の表のMicrosoftやGoogleの純利益率を見てください。同じことを、日本人や日本企業がすべきとは言いません。日本が世界を相手に、競争して勝つことができる経済活動をすべきと思います。1位でなければならないとは言いません。トップレベルでもよいと思います。そんな分野を打ち立てなければならないと思います。

3) 法人税の課税範囲

法人税の課税範囲を広げるべきとの話を耳にすることがあります。私にとっては、理解不能な言葉です。法人税の課税標準は、企業会計の利益と、非常に近いのです。利益を計上したなら、利益に応じて、利益に税率をかけ算した金額を税額としています。但し、会計的に利益を圧縮し、会計上は許容されても、税の面では公平性を保つことが必要であり、圧縮した利益を調整して課税金額を計算したりします。

確かに、租税特別措置法で認めている特殊な扱いはあります。しかし、それらは個別に議論すべきことです。例えば、再開発事業で土地等を売却する場合の特例や障害者を雇用した時の割増償却などを含め個別の税優遇の内容の見直しは必要でも、廃止には問題があると思います。

今は廃止になりましたが、つい最近まで法人税法にあった業務主宰役員給与の損金不算入なんて変な税金と思っていました。これは、1)で触れた利益を法人に残すか、個人に移転するかの関連ですが、法人と個人が、合理的な税であれば、問題とならないはずなのに、バカなことを考えた人がいたのです。中小企業だからと税率を低くすることがナンセンスなのと同じです。

交際費損金不算入を考えてみます。租税特別措置法61条の4で、交際費は全額(資本金1億円以下の企業は6百万円以上)が、損金不算入となっています。国によっては、交際費も全額損金となっていますが、その場合は、企業活動としての正当な支出が前提となっています。銀座のバーやクラブでの飲み代が費用として認められること自体がおかしいはずです。販売活動とは、接待攻勢であるとしていた面もあったので、このような措置法61条の4になったと思いますが、現行でも一人5千円以下の飲食費は損金不算入とはなりません。それほど現行で問題はないし、中小企業の優遇幅も下げるべきと思います。

政権交代が教えてくれたことは、ほとんどの議員は勉強もしていないし、何も理解していないことでした。与党になって分かったという発言は、自らがバカであることを証明してる人だと思います。国民が賢くならないとダメで、国民が発言しないとダメだと思います。議員と一緒になって官僚タタキをするのではなく、官僚を国民が正しく使うことが重要と考えます。

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