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2010年7月16日 (金)

IMFは、何と言っているか

次の読売なんかは、「国際機関からの「外圧」と国会運営という「内憂」との間で財政再建に道筋をつけられるか、菅内閣の政権運営手腕が問われている。」と述べて、問題の本質を、政局の闘争へと、すり替えている気がすします。酷いのは、NHK報道で、IMFが述べてもいない法人税の引き下げを勧めたなどと、報道としては、絶対にあってはならず、私はNHK解散論者になりそうです。(NHK報道は、7月15日 7時10分であり、リンクが消滅すると思うので、続きを読むに文章をコピーしておきます。)

読売 7月16日 消費増税、政権に「外圧」 IMF14~22%提示

1) IMFとは

難しいことを考えるより、IMFが、どのように説明しているかを読むのが簡単で、次の通りです。

The International Monetary Fund (IMF) is an organization of 187 countries, working to foster global monetary cooperation, secure financial stability, facilitate international trade, promote high employment and sustainable economic growth, and reduce poverty around the world.

187国が参加し、世界的な金融の安定や、通貨政策の協調と共に、経済発展や貧困対策に取り組んでいます。

2) 今回のIMF発表とは

IMFに加盟するに当たり、その合意している内容がありますが、合意書第4条(Article IV - Obligations Regarding Exchange Arrangements)でここにありますが、調査や意見交換をし、場合によっては、勧告が行われることもあります。今回は、IMF Gordon調査団代表他が5月10日から19日まで来日し、日銀白川総裁、財務省野田副大臣他とも面談し、協議及び調査結果を6月14日に完成させました。

この調査結果を受け、IMF理事会が7月2日に第4条協議を採択し、これを7月14日に発表しました。どの国とも原則年1回の協議がなされ、その協議に関する、IMFの意見発表です。今回の日本に対する意見に、強制力はありません。IMFの見解を述べたのです。

3) IMFが述べていることは何か

IMF理事会の文書(IMF Executive Board Concludes 2010 Article IV Consultation with Japan Public Information Notice (PIN) No. 10/87 July 14, 2010 )はここにあります。調査団が書いた報告書はここにあります。

日本経済が回復基調にあるとしています。また、成長するアジアに位置することの優位性も述べています。しかし、日本経済の問題点・脆弱性は、政府の巨額の債務であるとしています。債務残高を持続可能なレベルに下げることが、重要としています。

では、消費税についてはと言うと、次の文章です。Theyと言っていますが、これは日本政府の人達と私は読みます。そうしないと意味が通らない。なお、日本政府の人達が述べたことは、消費税の見直しを含む税制の抜本改革です。

They generally agreed that adjustment efforts should focus on a gradual increase in the consumption tax, supported by comprehensive tax reform, limits on non-social security spending growth, and reforms to entitlement programs.

なお、報告書には、様々な分析があり、おもしろいことが色々書いてあります。例えば、Box 3には、給料が低すぎ、給料を上げないと成長が見込めないとか。中小企業対策や高齢者対策も述べています。現状では、無政策の分野です。

ちなみに税制改正の一案として述べているのは、12ペ-ジの15で、「2011年からの消費税の15パーセント順次引き上げ、所得税の控除額の引き下げ、国内投資を誘導する法人税改正、納税者番号制」です。

4) どうすべきか

消費税増税に向かわざるを得ないと思います。しかし、私なら、その前に次のことを実行します。

1.納税者番号制
2.基礎年金保険料の全額税負担
3.医療保険料の負担率の引き下げ(税負担の拡大を行い、医療保険の統合を目指します。)
4.税収増が、年金や医療保険の将来の収支を確保できることの確認
5.政府負債の削減計画

間違っても、法人税の引き下げのために、消費税を上げることはしません。国債の発行、年金の破綻、医療保険の破滅というこれらが進みつつあり、全て未来を暗くするものです。その結果、日本は暗くなりました。希望を作るべきと思います。政府が破綻した国の国民は、悲惨なものです。夕張市の破産なんて程、なまやさしくありません。夕張市は、政府から税収以上の交付税を受けることができていますが、そんなものがない世界です。

NHKニュース 7月15日 7時10分

IMF=国際通貨基金は、日本経済に関する年次報告書を発表し、来年度・2011年度から消費税率の段階的な引き上げを行うことなどによって、財政健全化を急ぐべきだと提言しました。

この中で、IMFは、ギリシャの財政危機に端を発したヨーロッパの信用不安などを受けて、日本がこれまで以上に財政健全化を急ぐべきだとしています。そのためには、来年度から消費税率を段階的に引き上げ、歳入を増やすことが考えられるとしたうえで、具体的には「税率を15%にまで引き上げれば、GDP=国内総生産の4%から5%分の歳入の増加につながる」としています。その一方で、経済成長を妨げることがないよう、法人税率については引き下げるべきだとしています。IMFは、ことし5月に発表した各国の財政状況を分析した報告書でも、消費税率を10%に引き上げた場合の試算を示したうえで、日本に対し、来年度から財政健全化を実施すべきだと提言しています。さきの参議院選挙などを通じて、日本国内で消費税率の引き上げをめぐる議論が続くなか、IMFとして、日本に財政再建を急ぐよう、あらためて促すねらいがあるものとみられます。

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コメント

こんにちは。
私の聞いた情報では、財務省から派遣されている職員がIMFにいて、その方が言っているとか…。
猿芝居のような感じ。

投稿: gonchan | 2010年7月17日 (土) 11時27分

gonchan さん

コメントありがとうございます。確かに、IMFにも財務省から出向されておられる方が、沢山働いている。それは、それで、日本のことだけしか知らない役人になるより、先進国・途上国を含めた世界的な観点からの見方も、頭の中に入ってくるので、よいことだと思います。

本件のような問題については、様々な見方や意見が存在してよいはず。ところが、マスコミ報道は、どれも同じような感じであり、嫌な気がします。

投稿: ある経営コンサルタント | 2010年7月17日 (土) 11時41分

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