« 尖閣諸島領土問題 | トップページ | パソコン記録による小沢4億円書類偽装 »

2010年10月14日 (木)

法人税率の引き下げが事業所国外移転を防げるか

「法人税率の引き下げが事業所国外移転を防げるか」は、良い表題ではないと思います。何故なら、国外への事業所移転がイコール悪だと決めつけるのは、適切ではないはず。国内雇用の喪失や国内不況が問題であって、国外に日本企業が投資し、多くの国で産業が増加することは、地球規模で見れば、よいことに思えます。むしろ、日本企業が、外国に投資せず、国内に止まりガラパゴス諸島化し、競争力がなくなったとしたら、日本全体がいよいよ貧困化をたどるだけの可能性があります。

本件の関連記事を掲げます。

日経 10月13日 首相、法人税率「引き下げ方向で検討」 衆院予算委

私の意見を以下に述べます。

1) 政府の無政策

余りにも無策になっていると思います。よく言われる景気刺激策ですが、子ども手当(4000億円)と高校無償化(2010年度国庫負担1兆5千億円)が、景気刺激策の一つとも考え得るかもしれません。扶養控除や特定扶養控除を減額しているので、合計の2兆円が全額景気刺激にはなりませんが、いずれにせよ景気刺激策ではなく、所得控除から手当支給への制度改革と考えるべきと思います。なお、単純な手当ではなく、所得税と相殺する所得税額控除とし、税額が小さく控除できない場合は還付とする制度に改めて行くべきと考えます。無条件ではなく、正規に申告・納税することを条件にすればよいはず。納税者番号制度を確立をし、給与所得者は年末調整で可能とすれば良いはずです。

しかし、根本問題は、将来に不安がない状態をつくることです。現状では、景気対策として個人に手当を支給しても、将来の不安から、多くの人は貯蓄に幾分かを回さざるを得ない状態です。

企業にとっても、減税よりも、仕事そのものが将来的に安定して存在することを望んでいます。市場経済において、政府が仕事を作り出すのは、変な部分があり、仕事そのものではなく、市場取引(ビジネス)が盛んになされるような制度になることを促進すべきです。

公共事業も、その支出により恩恵を受けていた産業が存在するのであり、利用されないハコモノを作れば無駄であるが、価値の高い公共事業は意義があります。ともすれば密室で決定され特定の人達に利益が誘導される危険性が問題であったのであり、国民が決定に参加できる公開された場で決める方向にすれば良かったはずです。

派遣法の改正も、下手をすると、派遣労働者を形式請負に追い込む等労働者の保護とは逆の結果になる可能性もあります。貸金業法の改正が、ヤミ金融を増加させたり、格差社会の底辺では、貧困ビジネスが増加するのと同じ構造です。

むしろ企業が解雇に容易に踏み出せるようにした方が、経済や社会のために、良いように思えます。但し、そのためには、解雇されても、収入が途絶えず、次の仕事のためのステップアップの教育・訓練が受けられるようにする必要があります。解雇されたら、大学に戻り、あるいは別の大学で、異なった学部で学んだり、修士課程や博士課程に進めるようにする。また企業に戻る。そんなことが容易に実現できるようにして欲しいと思います。

解雇が容易であれば、企業にとってメリットは大きい。法人税が解雇後の従業員のために支出され、解雇が自由であれば、必要に応じ多人数の雇用も可能となり、仕事に見合った高給を払うことも期待できる可能性があります。

法人税を下げるより、企業のために、税金を有効に支出するとは、何かを考えることの方が、今の日本には重要と考えます。

2) 法人地方税の減税を

法人税を減税するより、法人地方税(法人都道府県民税、法人市町村民税、事業税、地方法人特別税)を減税すべきです。多分、このように言うと、地方自治体は支出が固定化されており、減税の余地はないと思う人が多いかもしれません。しかし、減収分は、政府が地方交付税を交付して埋め合わせれば問題がないはずです。一時的な不況による税収不足は、政府が国債を発行して補うべきです。それは、地方自治体や企業に負担させるべきではないはず。

それでなくても、法人地方税は、変な税金です。そもそも、法人が地方自治体から、どのようなサービスを受けているか明確ではありません。日本の法人実効税率が約40%と言われます。法人税が30%だから、地方法人税が10%かと言うと、そうではなく、法人税30%、道府県民税・市町村民税20.7%、事業税10.%の前提で計算すると、実効税率42%のうち27%が法人税で、残る15%が地方法人税と事業税になります。27%を下げる議論が、どれだけ有効なのか、それよりも経済発展・産業発展のために、どのような政策を展開するかの方が、有効と思います。その結果が、法人税引き下げであれば、納得します。

法人地方税の不合理な点として、租税特別措置法42条の4の「試験研究の法人税額の特別控除」が、地方税には適用されないことがあります。道府県民税の課税標準は、法人税額ですが、地方税法23条1項4号で、「・・・租税特別措置法第四十二条の四 の規定の適用を受ける前のものをいい・・・」と定めています。事業税は、所得金額、資本金等の額、付加価値額が課税標準なので、初めから対象外です。

企業からしても、税務署にのみ申告・納税することで済めば、仕事も簡単になります。多数の地方自治体にまたがって事務所や事業所があった場合は、それぞれに申告・納付するので大変です。金額をどう分割するかというと、就業者数での比例で、月ごとにするのです。

そして事業税の資本割、付加価値割は、赤字でも大企業(資本金等が1億円以上)には課税されますから、企業からすると、嫌なものです。事業税については、2008年10月1日から約45%相当額が、地方法人税特別税として都道府県経由国庫に納付し、政府が地方人特別譲与税として再度都道府県に1/2を人口比例で、1/2を企業の就業者数比例で配分することになっています。これこそ、よほどのバカが考えた税と思えます。単純に、法人税でまとめるべきです。大都市への地方税の集中を回避しようとしたわけでしょうが、日本国内で企業誘致合戦をするよりは、日本の各地が、それぞれの特色を生かし、日本全体で整合性ある発展を遂げるようにした方が、よいはずです。

|

« 尖閣諸島領土問題 | トップページ | パソコン記録による小沢4億円書類偽装 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/200131/49744474

この記事へのトラックバック一覧です: 法人税率の引き下げが事業所国外移転を防げるか:

« 尖閣諸島領土問題 | トップページ | パソコン記録による小沢4億円書類偽装 »