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2010年11月15日 (月)

尖閣映像U-Tube流出関連

言いたいことが多い事件でありますが、そのうちの幾つかについて。

1) 本来なら新聞やテレビなどがスクープすべきもの

この意見は、その通りと思う。しかし、一方で、そのようにマスコミを初めメディアが日本では育っていないのが実状と考える。尖閣映像U-Tube流出事件に関して、西山事件が引き合いに出されることがあるが、西山事件こそ、日本のマスコミをダメにした事件でもあったと思う。

公務員法100条の守秘義務違反となった蓮見喜久子氏は、当時毎日新聞記者であった西山太吉氏に情報を提供した。本来であれば、西山太吉氏も毎日新聞社も、情報源を守り通さねばならなかった。しかし、その信頼を裏切った。情報を新聞記事のネタにしたかもしれないが、当時社会党・現在民主党の横路孝弘氏に現物(もしかしたら、細工も何もしていないコピーだったかも知れないが)を渡した。その結果、国会でその紙は使われることになり、情報提供者の意図とは完全に異なってしまった。

そんな状態であり、日本のマスコミを信じることができなくても、当然と思える。社会正義を感じて行動する場合は、どうするか。人によって方法は様々だと思うが、マスコミは人々から信頼を受けることができるように活動すべきである。

2) 刑事訴訟法47条

中国漁船船長を逮捕した直後に、訴訟に関する書類の公開を禁じている刑事訴訟法47条によりビデオは公開困難との説明を政府はしていた。法の解釈は、誰がするのかは、三権分立であれば、明白である。裁判所であり、政府でも国会でもない。今回の場合は、刑事訴訟法47条の但し書きである公益上の必要その他の事由を適用せずとも、逮捕直後に「このビデオのような事実があり逮捕した。」と発表することも、私は可能であったと思う。

2001年12月22日に九州南西海域不審船事案と呼ばれている北朝鮮工作船事件(参考ここ)があった。この事件では、工作船は自爆し、乗船していた10名全員が死亡しているが、事件直後に海上保安庁は撮影したビデオを公開した。

今回も、事件直後に海上保安庁は公開について政府首脳と相談した可能性は充分あると思う。この点についてのマスコミによる調査能力は、ほぼ期待できないように思う。

法の解釈について裁判所が行っていない場合、それは国民であると言いたい。

3) 外交

今回の事件で政府関係者は、外交が絡むので公開については政府判断が伴うと言っているように感じる。これほど、奇妙な説明はないように思う。民主党は政権についた時は、あらゆる外交密約を洗い出し、公表すると言っていた。それは、国民の前に重要な情報を開示し、国民のための外交を行うことであったはず。しかし、その路線は転換され、国民に開示する情報を選択し、国民をコントロールする方向になったと危惧される。

国民の目線に立って政治を行うことは極めて重要である。4億円については、容疑になっていないと逃れることが許されるのだろうか。法令違反はないとして胸をはっても、多くの人が社会的に受け入れないこともある。

4) 映像流出公務員

上記は映像流出公務員の罪に関して述べた文章ではありません。起訴されれば、裁判があるのであり、裁判を待った方がよいと思いますから。現在報道されていることからすれば、当該公務員は無罪を主張すると思われ、公務員法100条について裁判所がどう判断するか興味を持ちます。

なお、この100条は重要であり、機密保持がなければ入札を初め不正横行が考えられるし、100条があるから民間に委ねることができないことも政府に委ねることが可能になる。しかし、全ての情報が機密となると、国民に適正な情報開示が実施されなくなる。法を作らないと何も開示されないのも変だと思います。

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コメント

前回の不審船の映像広報とは、しこし今回はことないます。
http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/articles/2010111000012.html?iref=fbox

ハスカップさまのお嬢さんからの提供

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=53481&hanreiKbn=01
昭和27(あ)801号・昭和28年07月18日最高裁判所第三小法廷判決・刑集第7巻7号1547頁
>二 刑訴第四七条本文の注意。
> 刑訴第四七条本文は訴訟に関する書類が公判開廷前に公開されることによつて訴訟関係人の名誉を毀損し、公序良俗を害し、または裁判に対する不当な影響を引き起すことを防止するための規定である。
>三 刑訴第四七条但書にあたる一事例。
> 検察官が公訴の提起という本来の職務を行うために、その保管にかかり、捜査中の他の被疑事件記録中の書類から知得した事実を起訴状の公訴事実のなかに公訴の提起に必要なかぎり記載してこれを公にすることは、刑訴第四七条但書にあたるものと解すべきである。


外交交渉での国家機密は多く存在しますし、その公開封印もありまいょう。 
米国流に、75年後には、一部の公開もでしょうか?。 

100条での内部告発にあたるかは今回の件では、該当しないは、司法関係者の大筋の見解です。

困ったことに、当該投稿者は、弁護士を解任したようです。 

身柄拘束がとの報道が騒がしいようですが、身柄拘束がなくても在宅起訴は可能です。  

投稿: omizo | 2010年11月15日 (月) 13時12分

omizoさん コメントありがとうございます。

事件は、それぞれ異なっているので、同一視して考えることは危険と思います。同様に、政府の説明が全てかというと、他の方法もあったはず。よく考えるべきと言うのが私の考えです。

判例紹介をありがとうございます。しかし、この昭和28年7月18日の最高裁判決は、検察が別の捜査段階中にあつた容疑者の詐欺被疑事件における検察官に対する供述調書の内容を、当該恐喝事件の公訴事実中に記載したことについて刑訴第四七条違反であると被告容疑者の弁護士が申し立てていたことについてであり、これを本事件にあてはめるのは難しいと思います。

外交交渉にも秘密とせざるを得ない部分はあるでしょう。しかし、何を秘密とすべきかについては、政府が一方的に決定するのではなく、国民の意見が反映されるべきであり、また秘密事項は極力少なくあるのが民主国家であると考えます。

本事件は、たまたま、ビデオが既に秘密情報ではなくなった。これを秘密とすることが正しいのか議論ができるよいチャンスでもあると考えます。

投稿: ある経営コンサルタント | 2010年11月15日 (月) 15時05分

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