« 問題多すぎのNHKクローズアップ現代 | トップページ | 菅総理、軽く考えすぎでは »

2010年12月 9日 (木)

体内埋込型補助人工心臓の日本での承認

「問題多すぎのNHKクローズアップ現代」の続きの感じですが、テルモが「体内埋め込み型の左心補助人工心臓厚生労働省より製造販売承認取得」として、12月8日にプレスリリースを出しました。

テルモ プレスリリース 12月8日 体内埋め込み型の左心補助人工心臓

補助人工心臓とは、心臓の機能が弱くなってしまった人に付ける血液ポンプで、その人の心臓とともに働きます。例えば、心臓移植を必要とする人であっても、補助人工心臓を装着することにより心臓の機能を実質的に回復することが可能な場合もあります。これまでの厚生労働省より承認されていた補助人工心臓は例えばこの補助人工心臓の下の方の写真に駆動装置の写真がありますが、このような駆動装置を接続しておかねばならず、しかもこのニュース(47ニュース 2010年9月15日 人工心臓のチューブ外れ意識不明 九大病院、原因究明へ)のように事故もありました。

体内埋め込み型補助人工心臓は、一般人と同程度の生活をほぼ可能にすると理解します。一方、NHKクローズアップ現代が伝えていたように日本において承認に時間を要しデバイスラグが存在するのも事実と認識しています。しかし、日本でまったくダメなのではなく、今回のように承認されるのであり、この結果、保険適用となり必要とする人は使用することができるのです。○×ではなく、どこに問題があるかを掘り下げるのが報道の役目と考えますが、その部分が不足しており悲しくなります。

2年前の12月19日に医療報道の読み方というのを書き、その中でエヴァハートについて触れましたが、補助人工心臓エヴァハートも同日に厚生労働省に承認されたと理解します。(メーカーであるサンメディカル技術研究所のプレスリリースは、このブログを書いている時点では部会での承認に関するまででしたが。参考サンメディカルのホームページ

読売 12月9日 埋め込み式補助人工心臓、国産2機種を初承認

PS 実は、NHKクローズアップ現代は、据置型補助人工心臓について触れており、上記の九大病院の事故のことも述べていました。しかし、デバイスラグを伝えることと日本での埋込型補助人工心臓承認の承認への動きは相反することから触れていませんでした。意図的にそうしたのか、あるいは取材能力不足かどちらか分かりませんが、私でさえ2年前にある程度は分かっていたことがと思います。

|

« 問題多すぎのNHKクローズアップ現代 | トップページ | 菅総理、軽く考えすぎでは »

コメント

報道というのは危険なもので、多角的に、そして客観的な表現、正確な表現をすることが肝要なのでしょうが、特に人工心臓(正確には補助人工心臓)のような複雑な医療技術に関しては技術はもとより、その技術が必要となった背景、医療従事者が抱える問題点、苦悩、現実など、書き手としてもっとプロフェッショナルな表現方法があるのでは、と疑問に感じることが多々あります。秋山ていぞう様のブログの端々には、医療ジャーナリストだけでなく医療記事に接する一般読者が心得ておくべきエッセンスがありとても感銘をうけました。私も医療機器の開発に身を置くものとして、日々その過酷さ、日本の現状、その中でも前進あるのみとがんばっている研究者や臨床家の情熱を深く理解しているつもりです。あまり知られていませんが、欧米(特に米国)の最先端医療機器の研究開発に多くの日本人が貢献しています。人工心臓もそのいい例で、非拍動流VADの基幹技術、コンセプトは日本人が作ったといっても過言ではありません。以前のログでもありましたように、研究者、PhDなどへの支援体制が不十分な日本も問題だと思います。また研究者自身も研究の出口をある程度考えながら、あくまで研究のための研究ではなくて、研究、開発、企業との連携とのもの、国の支援を受け市場に投入するような、一連のプロセスを熟知した経験値の高い研究者、サイエンティスト、そしてチームが求められます。特にこの過程のなかで正当な政府からの支援、評価システム、長期的なプログラムシステム、省庁を超えた製品化までのサポートが日本ではあまりになさすぎる、、と感じます。(むろんJSTやNEDOなどの支援体制はありますが・・・)

投稿: 中村ドント | 2010年12月26日 (日) 19時43分

中村ドント さん

コメントと過分なお褒めの言葉をありがとうございます。

「社会の仕組が大切である。」との中村ドントさんのご指摘に私も全面的に賛成します。例えば、菅総理が「医療と介護が今後の成長産業」と発言しても、医療や介護の支出は健康保険・介護保険のような公的な保険と税金がそれを支えているのであり、全体の費用が増加しないと、低賃金・長時間労働になってしまう。外国人医療ツアーの受け入れ拡大と言っても、その結果が、現状でも医師不足であるにも拘わらず、医師不足を増加させ、国内の医療サービス提供の低下になってはならない。

様々な情報が飛び交う中で、自分自身が体験していることや直接触れていることで得ていることは重要と思いますし、その真実を述べることは非常に大切なことと思います。

投稿: ある経営コンサルタント | 2010年12月27日 (月) 14時16分

中村ドント さん

このエントリーは、NHKクローズアップ現代を例にして書いたのですが、一つにはNHKクローズアップから取材依頼を受けたある人が、その強引なやり方に迷惑されていたことがあります。

もう一つは、NHKに限らず、マスコミ報道が正確な取材をせずに、その取材結果が一部分であるにも拘わらず、全体像であるかのような、誤解を生む報道をしていると私は感じています。例えば、次の李啓充氏が書かれているのを読むと、マスコミ報道の抜けている部分を感じると同時に、それほど難しい取材にも拘わらず何故マスコミは全く報道しないのかと思います。
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2005dir/n2617dir/n2617_05.htm

投稿: ある経営コンサルタント | 2010年12月27日 (月) 21時23分

秋山ていぞう様

明けましておめでとうございます。レスポンス頂いていたのに、チェックするのが遅れました。正直な感触として不思議に思うのが、これらの『マスコミ報道の抜けている部分』というのは、実はさほど難しい内容ではなく、ちょっと有識者にでもヒアリングすれば分かるようなものだとということです。なんとも違和感を感じます。

それから李啓充氏の記事にもあるように米国での薬価はとても高く、抗癌剤はもとより、免疫抑制剤なども高額のため、前述の補助人工心臓を移植前提で植え込む場合も、将来的な移植の費用を保険会社が支払を拒否するケースが多く、いったん補助人工心臓植え込みを予定したにも関わらず、断念するというケースは珍しくありません。

かくある私も、大病を患わった場合は、日本に帰って治療するのがベスト、と思っています。しかし妙な話で、標準的な治療に関しては日本が最も安心して、そして質の高い治療を受けられるという反面、医療従事者、特に医師と看護師は疲弊しています。同僚で大学病院に勤務している同僚を見ても、あまりハツラツという感じは受けません。どう見ても医療の現場という水際でそのクオリティーを保っている医師、看護師に大きなしわ寄せがきているとしか思えません。医療ツーリスト、医療産業は成長分野・・・・大いに結構ですが、現場の状況をもっとよく見た頂きたい。そう願っています。

投稿: 中村ドント | 2011年1月 7日 (金) 14時19分

一般の方が、人工心臓の話題を表面的なニュース以外として取り扱っているのは意外でした。他のコメントの方の様によく誤解されがちですが、人工心臓の~方式に日本人が尽力した、とかいうレベルではなく人工心臓は日本人が発案者でアメリカの研究者と共に開発に成功したものです。日本人が欧米の医療機器で活躍・・・と書かれていますが、そんなのは画像解析や医療システムの分野だけで、ごく一部の人しか医療分野では活躍していません。
活躍している人が少ないし、危険な機器の開発には企業も乗って来ないので日本では診断器以外の機器の研究は全然進んでいません。人工心臓が日本で実用化されたのはこの分野では稀な例です。NHKはもちろん、人工心臓が承認に向かうのではないかということは知っていたでしょう。が、今回の署名運動は急激に進んだものでしたし、普段はそういった運動に押されたからと言って承認が急速に進むものでもありません。いつ承認されるか分からないものを、報道機関として曖昧な状態を知らせる訳にもいかないでしょう。5年以上も前から申請されていたものが「もうすぐ」なんて、混乱を呼ぶだけです。研究関係者も2010年中の承認が出そうだと言う事を聞いたのは当年夏も終わりのころでした。
私はNHKの番組構成は良いと思いました。番組で全てを伝えることはできません。知識のない人に分かりやすくポイント、ポイントで伝えているという点で評価出来ました。

投稿: 研究関係者 | 2011年1月17日 (月) 23時59分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/200131/50254157

この記事へのトラックバック一覧です: 体内埋込型補助人工心臓の日本での承認:

« 問題多すぎのNHKクローズアップ現代 | トップページ | 菅総理、軽く考えすぎでは »