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2011年2月28日 (月)

年金被保険者3号問題 (年金番外編続き)

年金被保険者3号問題については、前回で終わりにしたかったのですが、本日の衆議院予算員会で自民党加藤勝信委員が取り上げていました。なお、加藤委員も、現在の救済策が問題含みであることを指摘しているが、同時に何らかの救済策は必要性は認めていました。2月20日に書いた年金3号被保険者切り替え漏れについて(年金番外編)の続編を書いてみます。

1) 現在の救済策(運用3号)

現時点では、救済策(運用3号による事務処理)についての留保が、2月25日の細川大臣閣議後記者会見概要の通り、続いていると了解します。救済策(運用3号)については、厚生労働省年金局事業企画課長通知(平成22年12月15日付け年管企発1215第2号)及び厚生労働省年金局事業管理課長通知(平成22年12月15日付け年管管発1215第1号)に書かれており、内容は、年金3号被保険者切り替え漏れについて(年金番外編)の下の方にあります。

2) 問題点

多くの報道は、救済策と呼んでおり、私も1)で、救済策と書きましたが、事務処理と呼ぶのが正しいと思います。あまり報道されていない問題点は、次の場合です。

社会保険庁(日本年金機構)が、年金特別便を発行しています。年金の給付にあたっては、裁定を行い、給付する年金額を決定し、支給します。これが、間違いであるとして、年金を既に受給している人に、年金の減額は勿論、返還まで求めたら、どうなるかです。返還に応じなければ、返還完了まで支給額の減額・停止があり得るかも知れません。

年金記録の間違は、そのような影響がありえます。消えた年金と全く逆のシチュエーションです。

もし、年金が政府と個人の契約であり、年金の通知が政府によるコミットメントであれば、裁定を既に終わり、現に支払がなされている年金を減額・停止するのは、一方的な行為であると言いたくなります。

そこで運用3号は、現行法の解釈方法として、既に裁定を終わり、受給している人については、そのままにし、保険料支払いの時効(2年間)が成立していない人には、2年間の保険料支払いを求めるとしました。これらの人達は、政府側の手続き不備があったのは事実ですが、一方で、自らの手続きを行っていなかったのも事実です。そこに、別の不公正が生まれるのも確かです。

3) 発生原因

総務省の年金業務監視委員会が、2月16日に第9回の会議を行っており、ここに議事要旨および資料があり、見たり、ダウンロードをすることができます。議事要旨を読むと、運用3号の問題指摘と社会保険庁のミスを覆い隠すような行為であるといったような意見が年金業務監視委員会第9回会議で多かったと思われます。監視委員会であり、年金行政を執行する機関ではなく、批判が主体となってもよいと思います。

発生原因を含めて参考となるのは、2月16日年金業務監視委員会の資料2 「運用3号」職員向け「Q&A」集(第2版改)平成23年2月16日です。発生原因に関しては、4-5ページに記載があります。例えば、次のような場合です。

基礎年金番号導入前(~H8.12)は年金制度毎に別の年金手帳番号で記録の管理を行っていたことから、配偶者(夫)の年金手帳番号が不明である場合など十分なチェックが行えていない。

平成17年3月まで職権による種別変更を行っていないので、再勧奨を受けて届出をされていなければ不整合記録になっている可能性がある。

社会保険庁の怠慢と決めつけるには、2月20日のブログにコメントを頂いた匿名希望さんのご指摘のように、そう決めつけては、問題があります。そもそも、管理が困難な制度であったのです。現状でも、次のように複雑であるのに、以前は更に複雑であったのです。

2011228

敢えて言えば、年金保険料の支払い記録を追跡することが主体で、3号被保険者の記録までは、管理に重きを置いていない制度であったのです。2000年の地方分権一括法の施行前は、1号被保険者の保険料の納付先は市町村であったのですが、このこと自身、単純化した面と複雑化した面と両方あります。年金は健康保険と表裏一体で事務をすべきと考えるが、更に複雑怪奇な状態です。即ち、1号被保険者は市町村国保、2号は協会けんぽ、健保組合、公務員共済等であり、年金と健康保険の手続きが複雑です。しかし、基礎年金については、統一的運用管理がなされるのです。

3) 年金制度の改正を望む

今回の運用3号問題は、現在の運用3号の扱い以外に、適切な案は見あたらないと思います。2005年にも、3号被保険者の保険料未納期間を納付済期間とする特例が出されたことがあります。(参考はここ

問題は、根本的な制度そのものであると思います。これまでの法改正は、制度改正ではなく、パッチワーク処理をしていただけ。政治家に任せると無茶苦茶になる例のように思います。例えば、冒頭に紹介した予算委員会でも、加藤委員は厚生労働省と総務省の早急な結論を出すようにと迫っていました。最も、24日の衆院予算委員会で自民党の鴨下一郎委員の質疑の続きをうけているので、そうなる面はあるのですが、早い対応は、むしろ与党の失敗追求の意図があると思います。議員にとっては、国民不在で構わないのだと思います。本当は、根本的な制度の見直しが重要です。

官僚は、法案を立案できるが、自ら動くには、問題が大きすぎた。3号被保険者制度は廃止すべきと考えます。不合理な制度を温存する理由は全くありません。なお、3号被保険者制度を廃止するとしても、3号被保険者としての過去の扱いによる権利は今後とも存続すべきと考えます。日本の社会と国民が豊かに安心して暮らせ、平等・公平に恩恵が受けられ、義務を自ら望んで果たすことができる社会を作るべきと考えます。そのためには、国民が声をあげるべきと考えます。

本当は、年金について、年金について考える(その1)の続きを書くつもりでいました。しかし、運用3号問題が衆議院予算委員会でも取り上げられ、マスコミは誤解だらけの報道や解説をすると思い、今回のブログを書きました。

--------------追 記 (3月1日10:30)------------------

運用3号の扱い以外に適切な案は見あたらないと思うと書いたことに関連して、追記をします。

運用3号の扱いをしない場合でも、現行法をどう解釈運用すべきかとなる。下手をすると2年間の本来1号被保険者として支払わなかった保険料についても、支払わずともよいとなれば、更に不公平は増加する。

2月16日年金業務監視委員会の資料2「職員向けQ&A集」の5ページの下の方の6に、「第3号被保険者に関する不整合記録は大量に存在しており、昨年1月頃、社会保険オンライン上の年金記録の中を簡易な調査(夫:1号、妻:3号)で抽出したところ、約100万件の不整合記録が存在している状況」とある。

簡易な調査とあるので、約100万件の精度について評価できないが、現在のコンピューターシステムでも3号被保険者を正確に把握できていないことを物語っているように思う。そのことこそ、本当の大問題であると考える。即刻、コンピューター管理制度の手直しをすべきであるし、その原因、また現状の詳細を報告すべきである。そして、受給に至っていない運用3号の扱いとなる3号被保険者から2年分の保険料を徴収すべきである。

失敗は、そこから学び、将来に生かされねばならない。犯人追及や政権交代が目的ではない国民の幸福につなげるには、調査して、その結果を国民に公表する制度の樹立が重要と考える。

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