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2011年2月17日 (木)

年金について考える(その1)国民年金

年金について考えてみます。先ずは、国民年金が得なのか、損なのかです。

この国民年金のパンフレット(平成22年度版)のあるように、政府は国民年金について次のように述べています。

メリット1 老後をずっと支える終身の年金
メリット2 不測の事態に備える保険としての年金
メリット3 納めた保険料分は税金の負担が軽減
メリット4 生涯の年金額は保険料の1.7倍以上
メリット5 国民年金は経済の変動にも負けません

メリット1は、その通りです。但し、長寿を全うしないで、若くして亡くなると、損をすることになります。

メリット2は、65歳未満で障害者となった場合に障害者年金が受給でき、基礎年金については、18歳以下の子があり死亡した人により生計が維持されていたという要件がありますが需給制度があります。病気で障害者の認定を受けても受給できるのであり、保険の性格をもっています。

メリット3については、社会保険料控除の対象であり、税負担の軽減になります。但し、低所得者にとっては、それほど大きな魅力ではない可能性があります。但し、低所得者には、保険料免除制度があります。学生の場合の免除もあります。仮に、全額免除となった場合の、年金受給額ですが、対応期間について受給額が50%になります。保険料免除に該当する場合、放っておいても意味はなく、免除手続きをすれば、将来年金が受給できるのであり、支払ゼロあるいは減額でリターンがあるという最高の投資ができます。

2011

メリット4について、私も計算してみました。81歳まで生きれば、1.7倍となりました。私の計算を行った表はここにあります。グラフにすると次の通りです。

2011_2

長生きは、そのまま年金受領で得をします。1.0になるのが74歳です。なお、政府のパンフレットにはずっと大きな金額が書かれていますが、私の計算は物価上昇をゼロとしています。

メリット5の経済の変動にも負けないというのは、残念ながら、首をかしげます。所詮、40年先や、あるいは100年近い先のことなど、不確定要素が多すぎるからです。但し、政府が管理するのであり、税をつぎ込んでも、制度を死守し、いかなる不況になっても給付を継続し、大きなハイパーインフレになっても物価調整をし・・・・と、国民年金に対する国民の権利を守っていくことは可能です。しかし、逆に言えば、バカなバラマキ政策の政党が政権を握り、年金財政を無茶苦茶にし、制度を破綻させてしまうリスクもあると思います。

メリット5は、政府が言うのではなく、国民が自分たちの制度として死守すると誓わなければならないことだと思います。過去の実態は、既得権益を守るため、その結果として若年者の権益が侵害されてきたという面があると思います。但し、その理由の一つとして、長寿社会と少子化社会が同時にやってきて、予定が狂い放しの要素があります。2004年の年金制度改正で国庫負担割合が見直され、基礎年金の3分の1から2分の1に国庫負担が引き上げられることになりましたが、この一番の理由は、国庫負担(税負担)を引き上げないと、上の私の計算が成り立たないのです。即ち、国民年金は全て基礎年金ですから、国庫負担がなければ1.7倍の年金受領には98歳まで必要であり、もし国庫負担が3分の1のままであったなら83歳が1.7倍の年金受領になります。

公的年金とは、政治に翻弄されるリスクがあります。ちなみに現状は、この日経 2月10日 国民年金改正法案を閣議決定 国庫負担2分の1維持の通り「いわゆる「霞が関埋蔵金」を使って国庫負担の2分の1を維持するのは09年度から3年連続」であります。3年連続なので、民主党ばかりを責められませんが、高速無料化やその他のバカなバラマキを少しは減らして、国民のことを考えた予算を作ればよいのにと思います。81歳で、1.7倍は、国庫負担2分の1があっての話なのです。

厚生労働省は、本年1月28日に国民年金保険料の納付率を2010年11月末現在で56.7%と発表しています。(この発表)たったの56.7%しか払っていないのです。但し、よく読むと対象月数10,013万月で納付月数5,677万月とあり、4-10月の7月分なので7で割ると1,430万人のうち支払ったのが811万人であることが分かります。実は、2010年3月末の国民年金の被保険者数は1,977万人とされています。保険料を支払っているのは、全体の1,977万人の56.7%ではなく、保険料免除をされた人が約550万人存在し、免除されていない1,430万人の56.7%の人が支払っているという意味です。

なお、サラリーマンは厚生年金に、公務員は共済に加入するので、国民年金は農業者や小売店その他の自営業のイメージですが、非正規雇用者が実に多いのです。次のグラフを見てください。社会保険庁の平成16年公的年金加入状況等調査から作成しました。

2011

更に年齢階層により分割したのが次のグラフですが、どうですか?実態をよくあらわしていると思います。学生は非就業者・不詳に含まれています。

2011_2

非正規雇用で厚生年金に加入できず、収入も少ないという若者が多いのが現実と思います。収入が少ないから、国民年金が有利だと言われても、そんな金銭の余裕はなかなかないし、一方で、政治に翻弄されかねないと考えれば、払ってもムダになりかねないと思ってしまう。子ども手当と騒ぐのもよいでしょうが、若者にももっと陽を当ててよいと私は思います。

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