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2011年2月24日 (木)

日本経済デフレ脱却が近いか

最近、日本経済のデフレ脱却が近いのではと思うのです。但し、脱却してインフレになってよくなるかというと、実は更に経済は悪化する可能性があると思います。私の仮説は以下を読んでみて下さい。

1) 原油価格の上昇

北アフリカ・中東の政情不安により、原油価格の上昇が報道されています。

日経 2月24日 広がる「中東ドミノ」 原油高騰、サウジ焦点に 世界経済、揺れる楽観論

この記事は、北海ブレンド114ドル超を伝えていますが、当然、北海原油のみならず、全ての原油です。次のチャートは、OPECのMonthly Oil Market Report (February 2011)からです。

Opeccrude20112 なお、更に長期的な価格動向をチャートにすると次のようになります。

Opeccrude200520112

約2年前から価格上昇期に入っています。従い、北アフリカ・中東政情不安がなくても、100ドルは驚くべき価格ではありません。政情不安になったことにより、2008年の最高値より高い価格になっても不思議ではないと思います。200ドルもありうると思います。

2) 食料価格の上昇

特に農産物(穀物)ですが、食料価格が上昇しています。

Foodwb20112

世銀のFood Price Watch (February 2011)のチャートで、ここにあります。原油より少し後の2010年6月頃より価格が上昇傾向になりました。

市場価格が構成されるのは、様々な要素があり、中国の需要増といった単独の理由で考えるのではなく、昨年の暑い夏。例えば、ロシアの異常気象により穀物不作という要素もあります。中国のみならず、世界的(特にアジア新興国)に食糧需要が増加しているのは事実です。需要は更に増加する。世界的に農地は、それほど増加しない。水供給も、余り伸ばせない。温室効果ガスの排出増加により、異常気象が増えている。このようなことが言えると考えます。そうなると、現在の食料価格上昇に短期的部分があるとしても、長期的には価格上昇傾向であると考えてよいと思います。

3) 価格上昇が日本経済にもたらすこと

貿易統計によれば、2010年の日本の原油輸入量は214,617,761KLでCIF9兆4千億円であった。即ち平均価格は43,800円/KL(約82米ドル/バレル:1米ドル85円として)であった。これが、もし150米ドル/バレルとなったなら7兆8千億円輸入額が増加する。その結果、物価を全平均では、1.5%程度は上昇させることになるのではと思う。

穀物の2010年の輸入量は26,628千トンで7,200億円であった。こちらは、家計への負担が特に大きい。

燃料の総支出額が7.8兆円増加するとして、そして仮に全ての事業者が販売価格に転嫁できたとしても、流通在庫、消費前のストック在庫あるいは仕掛品のエネルギー相当分等の増加により運転資金が従来より増える。これらが3月分であるとして、2兆円になる。企業にとっては、価格転嫁ができず、業績悪化が伴えば、更に資金需要は増加する。預金をして余裕がある企業は、それを取り崩す、もし金融商品に投資をしていれば、売却処分を行う。あるいは、借入金を増やす。

これらの結果は、銀行から見れば、預金の減少と貸付金の増加である。最近は、貸付先が無くて国債で運用していた部分があるので、国債の売却に向かうと思う。それと、物価上昇に向かえば、今までデフレにより実質金利がデフレ分押し上げられていた。それが、インフレ傾向になったとたん、預金や債券運用の魅力がなくなってしまう。

その結果、債券価格は下落し、金利上昇に向かわざるを得ない。実は、恐ろしいのは、銀行の国債保有残高が多くなっていることである。国債価格が下落すれば、銀行は評価損を出さざるを得ず、評価損を小さくするためには、できる限り早期に保有残高を減らすことであり、下手をすると多くの銀行による国債売却合戦となる。ゆうちょ銀行も大赤字を計上する。

ムーディーズも日本国債の格付けを下げで、見越したように、政府は対策が打てない。原油価格や食料価格の上昇は、世界共通であり、各国の金融政策は政策金利上昇になると思う。日本でもそうせざるを得ない。長短金利の乖離を不自然に大きくすると、ますます経済は悪化する。

一方、日本政府は、国債が発行できない。発行額を下げざるを得ない。発行しても、売れ残りが出て、国債金利が鰻登りとなる恐れがある。

4) デフレを脱却したが未曾有の大不況

そんな可能性があると思います。このインフレは給料の上がらないインフレですから。給料を上げるためには、経済活動による付加価値も上げなくてはならない。1990年前のバブル以前のインフレ時代は、日本経済は生産規模の拡大や機械化・自動化により付加価値を高めていたのです。処が、今はその傾向が全くなく、あるのは大型小売店による流通の合理化のみと思いますが、一方で、シャッター通りにもつながっており、付加価値の観点で考えた場合、1990年代以前の状態より相当低い成長と思います。

生活は苦しくなる。企業も、賃金上昇をできる状態にならない。一方で物価は上がる。そして、政府の経済政策は、限定されたものとなる。その中で、大幅増税に向かう。大幅増税をしないと、政府は破綻するからである。多分、消費税率20%なんてのも、あり得ることではないでしょうか?健全な時に、再建を計画すれば、何とかなったものを、先送りした結果、国債発行を押さえざるを得ず、大幅増税以外に方法はなくなり、その上、増税した財源の多くは、過去の国債の利払いと償還に支出せざるを得ない。もし、それもせずに放漫な状態を続ければ、IMF融資のような外から強制されての更に厳しい条件で再建をせざるを得なくなるから。

5) 救済策

こんなことを書いていて、我ながら嫌ですね。しかし、そんな可能性がないかというと、今の政府のやっていることを見ると、バカとしか思えない。国債特例法案は、ねじれ国会で成立しないのかも知らないが、赤字国債を出すなら、それなりの意味のある歳出案を作らねばならない。S&PもMoody'sも政府がバカだと見ているなと思う。その前に、そんな政府を選んだ国民がバカなのかも知れないのですが。

国民番号制度については、改めて別の機会に書きますが、せめて番号制度を実現して欲しい。唯一、番号制度のみが、確実に日本経済を救う道であると思います。少しでも、公平な社会になると期待ができるようにすること。明日が、少しでもよい社会と思えること。そんな希望があれば、日本経済の発展・成長も考えられると思います。番号制度により即座には無理であるが、やがて助けが必要な人には、助けが届くようにできる制度を作れるはず。そんなインフラを作り上げないと、今の状態を抜け出すことができないと思います。

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