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2011年2月21日 (月)

会計報告(かんぽの宿層雲峡の補足)

すぐ前に書いたかんぽの宿層雲峡については、誤解をまねく表現もあったかも知れないと、補足を書きます。

即ち、郵政公社や日本郵政の財務諸表・会計報告は信頼できないとの書き方をしました。実は、そもそも自己矛盾を含んだ表現なのです。即ち、では何が信頼できるかという問いをぶつけると、どう答えるかという禅問答が始まってしまうのです。また、100%正しいとか、あるいは60%だとかも簡単には言えなくなります。会計とは、Toolです。時価会計に対する批判があったりしますが、時価会計も取得原価主義も、どちらが絶対とは言えないし、注記があれば、読む人が組み替えられるのであり、同じはずです。似たようなことが、包括利益についても言えると私は考えます。一方、会計報告がされない状態は、最悪です。そして監査も重要です。ねむの木学園で預金が不正に引き出されていたとのニュースがありますが、監査を受けていなかったのかなと思ってしまします。監査人が預金残高を調査するのは、余りにも当然のことなので。

かんぽの宿層雲峡の場合、もともと存在していた施設を建て替えた施設と了解しますが、かんぽの宿層雲峡が完成しRenewable Openしたのが2002年です。これが2006年3月に営業を取りやめ2006年11月に売却しているのです。簿価は、取得時が37億1000万円であったが、売却時は1億3800万円です。簿価が下がっている原因は、固定資産の減損です。即ち、将来の収益を考えれば、1億3800万円に対応する価値しか施設の値打ちがないとしたのです。会計的には、それが本当であれば、それで正しいのです。

しかし、企業活動として正しいのかは、別です。4年でその価値が30分の1になるような投資判断をしたことの責任は問われなくてはいけません。株式会社であれば、そのような投資をした取締役が株主総会で選任されるかの問題と共に、その提案をした取締役にミスがあれば損害賠償を要求せねばならないし(会社法423条)、会社がしないのであれば会社がするように又は取締役会で決定していてもその判断の正当性が問題になり会社に損害賠償を行うように求める代表訴訟(会社法847条)により株主が訴えることが可能です。総会において株主からの質問に対する説明義務(会社法314条)があり、株主提案権(会社法303条)があります。ところが、公社であれば、会社法は適用されず、株式会社であっても株主が政府のみであれば、株主権を行使する人が存在しないことになります。

本来、会計報告とガバナンスは一体のものです。ガバナンスが働いていない状態の財務諸表・会計報告をどう考えるべきか、正しいとしても、本当の意味を果たしていない部分があると考えます。特に、固定資産の減損のような評価に基づく損益を計上する時は、問題がより大きくなります。監査についても、会計基準とは別に監査基準が存在するのであり、監査基準もそれなりに厳しいのです。公社や独立行政法人が民間並の財務諸表と称しても、実はその内容を上場企業(なかにはずさんな企業もありますが)と同一レベルかというと、法、制度、基準、罰則、市場における監視と言った点で、弱い点はあると考えますし、無理な部分もあり、ヤムを得ないと考える部分も多いと思いますが。

やはり結論としては、政府が49%株式保有でよいから、早く上場企業とすべきと考えます。

直前のブログで会計検査院報告書の日付を2000年3月としていましたが、2010年3月の間違いです。訂正しました。

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