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2011年3月24日 (木)

福島第1原子力発電所復旧作業

福島第1原子力発電所3号機のタービン建屋地下1階で作業をしていた3人が24日正午過ぎに被曝し、病院に搬送されたとのニュースがありました。

日経 3月24日 3号機で作業員3人被曝、2人を病院搬送 福島第1 放射線量170~180ミリシーベルト

現場で頑張っておられる方々に、感謝します。

夏の停電について書いたのだから、福島第1原子力発電所復旧についても、書かないと片手落ちかなと思い雑感を書きます。原子力発電については、十分理解していない点もあり、間違った場合の影響は大きく、慎重にならざるを得ない部分がありますが、とにかく書いてみます。間違い点があれば、コメント欄へ書き込みをお願いします。

なお、復旧という言葉は、本来であれば、旧の状態に復することであり、元通りになることですが、ここでの意味は、放射能レベルが元のレベルに戻るという意味とします。それ以上の、議論は現状においては、無理があると考えます。

1) 放射能漏れについての安全性

放射能漏れに対する安全性についての一つの説明は、この電気事業連害の原子力・エネルギー図面集第5章」のPDFデータの5-11ページの「放射能を閉じ込める5重の壁」を参照するのがよいと思います。ペレット、被覆管、原子炉圧力容器、原子炉格納容器、原子炉建屋の5重の壁で守るという思想です。今回、被覆管の一部の損傷が確実視され、原子炉建屋については1号基、3号基、4号基で大きく壊れています。

なお、日経に対抗して書いているわけではないが、日経も日経 3月24日 福島第1原発、3つの可能性 冷却システムが左右という記事を出して掲載している。記事の2ページ目に各発電設備の現状の表があり、参考になります。

原子力発電とは、燃料に含まれているウラン235が中性子を放出して核分裂し、その中性子が更に別のウラン235に衝突し、核分裂連鎖反応が生じ、核分裂に際して発生する熱を利用して発電している。具体的には、原子炉圧力容器の中に原子燃料があり、核分裂を制御棒によりコンロールしつつ運転する。沸騰水型原子炉であれば、中性子の減速材を兼ねている水(軽水)の温度上昇となり、高圧の蒸気となり、この蒸気がタービンを駆動する。この蒸気圧と同じ圧力が原子炉圧力容器にかかっている。そして、その外側を原子炉格納容器が更に密閉しており、放射能を閉じこめている。更に、原子炉建屋で囲っている。原子炉建屋についても「標準化BWRプラント(1,100MWe級)に対する安全審査手引き」に次のように記述されている。

(3) 原子炉建屋原子炉棟
① 原子炉棟は、冷却材喪失事故時等に際して、常用換気系を閉鎖し、非常用ガス処理系を運転することによって、負圧に維持できること。
② 原子炉棟は、定期検査時に漏洩試験を行い、気密度を確認できること。

2) 福島第一発電所の1号-4号の現状

核分裂連鎖反応は止まっている。しかし、核燃料は、放射性物質であり、自然状態に置いても、放射線を出して、発熱する。この発熱量のデータを保有していないが、現状において、何もしていなければ内部にこもってしまう。温度も高くなれば、圧力も高くなる。そこで、懸命に水や海水で許容範囲に温度、圧力を下げようとしている。

冷却に使用する動力となる電源が何とか確保できた。電気が使えれば、離れた場所から操作できる。但し、機器や配線等に問題がないことが条件である。また、計器・計装類が、使用可能でないと充分な機能が発揮できない。原子力発電所は、計器・計装の塊であり、その信頼性を回復する必要がある。

3) これからのシナリオ

福島第一発電所1号-4号は、海水で直接冷却せざるを得ない事態に追い込まれた。その結果、海水が電気品、電気系統に絶縁不良等問題を起こしている可能性はあると思う。そうなると、それらの取り替え、修理に時間を要するであろうが、重要部分、緊急部分から作業をするであろうから、現状よりは悪くはならないと考えてよいように思う。

放射能レベルを元のレベルに戻すには、原子炉建屋を再建し、密閉状態の負圧を確保しなければならない。新規建設であれば、放射能がない状態での作業なので、放射能を気にする必要がないが、今回は異なる。建屋の設計や工法等も工夫すると思うので、どれだけの時間を要するかわからないが、結構長いこともあり得ると思う。

1)で掲げた日経の記事は冷温停止までのシナリオについて3つの可能性を書いている。冷温停止だけでも、これほど異なった可能性があるのであり、全体については、とても言えないのですが、あまり楽観視はできないような気がします。

最悪のシナリオは、手が付けられなくなり、全員待避して、核分裂連鎖反応がおこることであろう。しかし、あり得ないと思う。もし、そんなことが生じたら、福島第一原子力発電所だけで、核燃料が580トン、プルトニウムを含有している使用済み核燃料が1720トンある。何故、それだけはないと考えるかは、理論的思考とは異なるかも知れないが、自然状態では臨界にならないように考慮してあることを信じるだけです。

4) 放射能作業手当て

放射線を浴びつつ作業をする人達がいる。基準を守り、働くことが必要であります。ところで、この基準(電離放射線障害防止規則第7条第2項の緊急作業に従事する労働者の線量の上限)が、100ミリシーベルトから250ミリシーベルト(その緊急作業に従事する間に受ける線量)に変更されたのです。3月15日付け厚生労働省令第23号で、施行が3月14日で1日前です。(参考:官報通知

交代要員も必要で、基準を守らねば、2次災害が働く人に出てしまう。自分自身の末梢血幹細胞を保存しておけば、大量被曝をしても、移植手術で助かる可能性があるとも聞きます。但し、末梢血幹細胞の採取等のリスクについて、私も判らず、それぞれの方の判断が必要かも知れません。

そして、何よりも、せめて作業手当ては十分であるべきと思います。250ミリシーベルトと2.5倍にした。ここに「宇宙飛行士は1日で地球上の半年分の放射線を浴びる」という3月23日のニコニコニュースがあるが、国際宇宙ステーションに6月滞在して180ミリシーベルトですから、これより多い。十分なケアがなされるべきです。

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福島第1原子力発電所復旧作業 あるべきと思います。250ミリシーベルトと2.5倍にした。 ここ に「宇宙飛行士は1日で地球上の半年分の放射線を浴びる」という3月23日のニコニコニュースがあるが、国際宇宙ステーションに6月滞在して180ミリシーベルトですから、これより多い。 作業員3人が被ばく が確認されたのは協力企業の作業員3人で、足の皮膚に汚染が確認された。被ばくした放射線量は170─180ミリシーベルトだという。東電によれば、作業員らは管理区域に午前10時ごろから午後1時ごろにかけて入り、3... [続きを読む]

受信: 2011年3月25日 (金) 18時37分

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